2019/02/17 のログ
ご案内:「魔族の国」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 魔族の国の荒野を一人進む兵士は、今宵も黙々と足を進めるのだ。
 誰もいない荒野、見たことある場所を再度精査するために右に、左に、仮面に包まれた顔を向けるのだ。
 見える範囲を確認をして、それを紙に記載していく。
 今までは、軍を探す方に注視していたが、こういった地形も大事だと学んだ。
 だから、魔族を探すのとへ並行で少年は地図を描いていく。
 一人で作る地図の効率の悪さは言わなくてもわかる、それに測量の技術があるわけではないのだ。
 そういった技術のある連れがいるわけでもないから、どうしても精密さは減ってしまう。

 が、それでもないよりはマシなのである。
 手探りで、少年は翼ある獣を、謎の一団を探しながら、地図を書いて、進んでいく。
 周囲に視線を、気を配り、警戒しながら、のそり、のそり、と。

ゼロ > 兵士の周囲、魔族がいないのは、おそらく今いる地点が居住区ではないから、ということなのであろう。
 魔族も魔族で人と同じような居住区を作ることは、侵入して調べてある。
 とはいえ、建物の形とかは似てもにつかない感じではある。
 なんであんな形なのだろうと思うものもいくつかあるぐらいだ。
 それに関しては、特に必要ないだろう、とその時は見送った。
 今もそうだが、あの時は今以上に探し回っていたものだから。
 今は……別に任務、として正式に言われたわけではないのだが、地形や、建物の方にも、意識を向けるようになった。
 だからこそ、今回の偵察は時間がかかるようになった、とも言えるのだが。

 別に、状況を報告するようにも言われず、戦列に加わるようにも言われてはいない。
 だから、少年は―――今もまだ偵察を続ける。

ゼロ > とはいえ、だ。
 強化されているとは言え、疲労を感じないわけではないし、空腹を感じないわけでもない。
 少年だって人間……ギリギリ、人間と言っていい、はずだ―――なのである。
 時には休息をしなければ、いけないようにできている。
 それが人よりも長い時間活動できて、休息が少しで済むようになっていても、だ。

 少しばかり疲労を覚えた少年は少しばかりの休息を求める。
 たしか、近くに森があり、その森には泉があったはずだ。
 水も飲めることは確認しているそこを思い出し、一度足をそちらに向けることにする。
 こういうところでは、安全に休めるところの確保が重要だと思う。
 敵地なのだから。

ゼロ > しばらく進んで小さな森に到着すれば、少年は草を踏み分けて進む。
 森なので、原生生物が居るのは当然だ、魔獣とかもいることもある。
 仮面があるから、そういうのはすぐに見つけることはできるが、警戒するに越したことはない。
 中には気配を消して、襲って来るのもいるのだろうから。
 槍を握る手に力が篭る。

 周囲を警戒しながら、少年は泉のところまでやってくる。
 泉の周囲にも、魔獣などがいないことを確認してから、薪を拾い集める。
 今日はここでキャンプをするか、と。

ゼロ > 枯れ木や枯れ枝、枯葉を集めてきて、ある程度たまったら少年は、そこに焚き火を作り火打石で火をつける。
 この時期は枯れたものが多くてやりやすくていいと、小さく笑う。
 とはいえ、寒いので結局は意味がないか、なんて軽くつぶやいてみせる。

 とりあえず、近くの泉で水を汲み、焚き火にかけて煮沸する。
 お湯が煮えるまでの間、少年は固形の食料を取り出し、それをお湯に放り込んでいく。
 これで、簡易スープができる。
 そのスープに干し肉を入れて、固い、保存用に作られたパンを取り出す。
 スープが出来てから、それにつけて食べれば、食べやすくなる。

 味はともかく、腹を満たすことのできる食事、だ。

ご案内:「魔族の国」に騎士アルダーさんが現れました。
騎士アルダー > 「最近は多いものだ、不肖な輩と云う者は。
此処を何処だと思っているのか…」

そんな少年の背後から掛かる声。
火打石の音がしたから、食糧の匂いに釣られて。
其の様な理由で現れた訳ではない。
少年を監視し続けていた白の少女からの報告を受けた為だ。
一度為らずに再び此の魔族の地へと姿を現わした存在を。

油断の有無は関係無い。
少年の位置は既に認識済み、転移を黒の少女に頼んだ訳である。
気が付けば騎士の鎧を身に纏う青年と、後ろに佇む二人の少女が居たと思えるか。

ゼロ > それは、唐突に現れた。一瞬前までは、何もいなかったはずの空間。
 少年の仮面にも、異常は見受けられなかった。
 しかし、その声と同時に少年は動いた。
 まずは何も言わず、振り向きさえせずに、前にバネじかけのように飛び退いたのだ。
 軽く20mを一瞬で跳ねて移動しながら、着地をする。
 そして、少年は初めて、自分がいた場所の背後出会った場所に視線を飛ばした。

「――――っ!?」

 散々探し回っていたが、今まで足取りどころか存在さえも見当たらなかった存在。
 それが、今、なぜ、急に。
 思考の渦を押さえ込みながら、少年は観察をする。
 相手に敵意があれば、殺意あれば既に首が飛んでいただろう。
 首筋がチリチリとするのは、おそらく実力の差を感じているからだ。

騎士アルダー > 少年が以前訪れていた時は排除の命は無かった。
だからこそ関わる事をせずに監視に留めていたのだ。
然し今は其れが在る。
だからと云って不意打ちと云う卑怯極まりない行為は到らぬ。
其の性格が少年を救ったと云え様か。

瞬時に飛び退く姿を只見詰め乍も其れを追う仕草は無い。
構えさえも取りはしないが。

「貴殿が何をしているかは知っている。
だが、そろそろ好きにさせる訳にもいかなくてな。
此の地から去れば良し、去らねば相応の対処を行う。
……答えを聞こうか」

此方の目的は排除では無く撤収をさせる事。
必要最低限の言葉だけを少年へと向けた。

ゼロ > 穏やか、とも言える男の言葉は、淡々とした物である。
 少年は仮面の下で黙考する。
 安易に撥ね退けるは容易い、が、先日の魔将軍と言い、実力の乖離が激しいものである。
 戦って勝つことが出来るか―――。

 答えは、否である。
 少年は、目の前の騎士意外にも存在を認めた。
 ここに出てくる様子はないが様子を見ているといっていいだろう。
 構えを向けないのは。

 敵意がないというアピールだけではない、敵ですらないというのであろう。

「何をしているのか知っているのであれば。
 どうすれば、穏当に去るのかも、知っているのだろう?」

 何をしているのか、何をしてきたのか。
 彼は知っているというのであれば、答えは既に出ているはずである。
 少年の目的は偵察であり、調査。
 その中には、今、目の前にいる一団も又、含まれている。

 出会ったのであれば、何かしら、一つでも。
 情報を持ち帰らねば、帰れない。

 それが、命令を受けた兵士という、個体だ。

騎士アルダー > 構えを放棄している、少年の考える様な理由も確かに在ろう。
然し、彼に攻撃を仕掛けてみればもう一つの理由が解ろうか。
此の状態でも少年の攻撃を往なす自信が在ったからで。
自身一人でも十分、だが更に背後の少女達が居るからだ。

少年の目的は知っている。
だが其れを簡単に行うのは愚策と云うものだ。

「良かろう、貴殿が対価とする情報を提示する為らばな。
勿論、今迄我等が放置した事で得られた情報も含まれる。
相当量な情報を提示する事と為る訳だが…貴殿に出来るか?」

だからこそ此の言葉を少年へと伝えよう。
人間側が知らなかった情報に対する自分達の知らない情報。
尤も主とする存在が人間側に居るのだ、此方が知らない情報等は実は殆ど無いと云えるのだが。
其れを如何少年が判断するのか見物である。

後ろの少女の内、黒のカチューシャを着けた少女はクスクスと可笑しそうに笑う。
逆に白のカチューシャを着けた少女は、何故か複雑そうな表情を浮かべていた。
其の情報量の対価を、少年が持っている訳がないと理解しているからだ。

ゼロ > 「……………………。」

 情報の対価に、情報を求めてきた。交渉が可能であることは、判った。
 そして、相手が言うには、相当量の情報が必要だ、と言うこと。
 それをどう、するかを考える。

 問題は、自分の持っている情報で、相手が満足するのかどうか。
 そして、こういう問題は、物々交換というわけではないので、相当難しい問題になる。
 こちらの持っている情報。
 こちらが知りたがっている情報。

「情報を渡すこと自体、知っていることであるのならば可能ではある。
 しかし、だ、一番重要なことが抜け落ちている。

 情報の価値を示すものがない。
 つまり、今の状態だと先に情報を出したものが、損をする。
 一言で、情報の価値など消え去るのだから。

 そのあたりは、同裁定するのかを問いたい。」

 情報というものは時間とともに劣化する。
 最初は秘密でも、それが徐々に広まり誰でも知っていることとなる。
 それに自分の持つ情報は出しても構わないが。
 どんな情報であろうとも。

 『知ってる』 と言われてしまえばそれは全て価値を失う。
 それでは、先に言うだけ馬鹿を見るのだ。

 だから少年は、問いかける。
 自分の持つ情報量が少ないなら、自分の持つ情報で、どれだけのものが引き出せるのかを。