2019/02/18 のログ
■騎士アルダー > 成る程、中々に考えを持った人間か。
若しも少年が此れに対し簡単に受理したら、其の点を質問し様と思っていたのだ。
又、力尽くで聞き出そうとして来れば叩きのめしたところで。
だが然し少年は自ら其れに到り逆に聞いてきた。
簡潔に答えれば、其の答えは『無い』のだ。
如何少年が自分の持つ情報を引き出そうと対等なものは在りはしない。
其れを試していたのに気付いていた黒の少女は、意外そうな表情を浮かべていた。
白の少女はと云えば胸を撫で下ろしているかの様子だ。
『へぇ、凄い凄いっ!
団長、試す様な意地悪しないで答えてあげたら?』
ヒョコッと青年の背後から顔を出す様にして、見上げ乍そう云って。
其の言葉に今度は青年が額に手を当てて複雑そうな表情を浮かべて見せた。
「まったく…彼の肩を持つとは困ったものだ」
黒の少女を見下ろし云った後に、顔を少年へと向ける。
青年としては、もう少し色々と試そうと思っていたのが様子を見れば解るかもしれない。
そして、其の口を開きこう言葉を述べた。
「答えられる事だけ答えてやろう。
代わりに此方に来る事は控えて貰う、構わないか?
今回は我等が来たから良かったものの、そうでなければ貴殿は只では済まなかったのだからな」
■ゼロ > 「―――――。」
仮面の下の少年の表情は、ただ驚きがあった。
後ろから出てこないとばかり思っていた―――兵士で言えば支援魔法とか回復魔法を司る人で、前線に出る存在ではないだろう少女が顔を出してきた。
今は戦いの場ではないし、当然といえば当然ではあるのだが。
なんかすごくはしゃいでいるのはわかる。
そして、目の前の騎士がすごく残念な表情、自分の答えにではなく、少女の出現の方に。
「答えてもらえるなら、今すぐ戻ることは約束できる。
が―――、こちらに来ることを控えること自体は、確約できかねる。
理由は、王国第七師団の所属であり。
一般の兵士は――――命令に背く事はできないから、だ。」
それに、第七師団は彼らも知っているだろう、魔族と戦うために突撃する部隊。
ここに来るなということ自体無理難題となる。
王国に戻り、情報を伝えて。そして、新たな命令を待つ。
しかし、少年が第七師団の所属である限り、命令はこちらに来る命令となるだろう。
静かに、少年は彼を見やる。
■騎士アルダー > 「さあ、彼も驚いているだろう?下がっているんだ。
大丈夫だと解っていても、油断は禁物と何時も云っているじゃないか」
『えー?…もう、仕っ方無いなぁ』
黒の少女への言い聞かせる様な言葉。
其の言葉に、少女は少しばかり不満気な様子を見せながらも素直に背後へと戻って行った。
其れを確認してからコホンと咳払いを一つして。
「では適当に何か聞けば良い、答えられる事だけ答えよう。
然し二百年以上経っても人間と云うのは変わらないものだ。
無駄な権力所持者の多さは其の侭の様か。
そう云った者達が、人間を裏切りの種族と成しているのに。
……他の師団の者が相手に為っただろう、格闘家に注意する事だな。
彼に会えば其の考え方を後悔する事に為るだろう」
何かを思い出す様な素振りを見せ乍、青年は答える。
青年も嘗ては同じ国を守る存在で在り、裏切られたのだから。
少年を見詰める視線は、何処か哀れんでいる風に見えるかもしれない。
■ゼロ > 「では、聞きたいことは………。
まず、貴方達は何者なのか。
次に、王国に対しての敵なのかどうか。」
質問は、たった二つ、簡素で、そして、重要なものであった。
むしろ、二つ目の質問がメインであった、その返答次第で最初の質問さえ必要なくなるのだから。
敵か、味方なのかと。兵士らしい単純な思考とも言えるだろう。
「人は、変わりつつも、変わらないよ。
だから、ボクが造られたんだから。」
権力者の多さ、裏切りの種族
その言葉に、少年は珍しく無駄口とも言える言葉を返す。
権力者の気まぐれで攫われ、戦争の道具として作り上げられた体。
全身に走る永続強化の魔法の術式に、薬物投与の結果。
今来ている鎧と仮面がなければ、10分生きていけるかどうか。
哀れみの視線を向ける男に、仮面は何も返さずに。
そして。離れた距離を縮めるために歩き始める。
会話をしている間に、少年が作ったスープが、いい感じに煮えているから。
■騎士アルダー > 「其の程度為らば問題は無い。
我等はファウスト騎士団、魔王メフィストフェレス様に従っている存在だ。
そして貴殿の気にしている二つ目の質問だが…
王国の動き方次第で我等は敵にも味方にも成るだろう。
我等が主は国の支配や権力争いには興味は持っておらん。
だが、不必要で無駄な争いは嫌っているんでな。
如何為れば我等が敵と為るか、其の一つは既に理解しているだろう?」
そう、其の答えは少年達人間側の動き次第。
まさに導かれる結果は自業自得と云えるものと為るだろう。
単純で在る事が良いのか悪いのか、難しい処で在るか。
「貴殿だけではない。
人間は其の手に依って数多くの不幸を生み出し続けている。
今尚行われている限り、変わったとは云えないだろう」
少年の存在を認知し、監視対象とした時点で少年の情報は主から送られていた。
だが、向けた視線は其れを思っての事ではない。
人間其のものに対して向けられたものだとは、まだ今は理解出来ないだろう。
移動を始める少年。
其れに気付けば青年は場を少し外れ距離を置くのだが…
白の少女は続いて場を開けるも、黒の少女だけは其の場に留まっている。
視線は、云わずもがなスープに向けられていた。
■ゼロ > 「了解した。
ひとつは、濫りに魔族の国に侵入し、荒らすこと。」
返答は、極々単純で身近なものであった。
王国の動きに関しては、少年には制御できるものではない。
そういうものだという事を、上に伝えるのみである。
魔王メフィストフェレスの部下でファウスト騎士団という存在のことを。
そして、敵となる条件のうち一つを、少年は自分の考えで問う事に。
それよりも人の世がもっと酷くなれば襲ってきそうな気もするのだが。
変わったとは言えないという言葉に首を横に振る。
「変わってるよ、手段は。
変わらないよ、性質は。」
逆を言えば出来ることが増えて性質が変わってないから、余計たちが悪くなっていく。
しかし、それでも、だ。
少年は兵士となり、今、人を守る立場に立つのだ。
それしか、ないから。
「これを食べたら、戻る。
食べたければどうぞ、あまり美味しいものでもないけれど。」
少年は焚き火の近くに置きっぱなしだったカバンから銅でできた器を取り出し、スープをすくう。
どろりとしたポタージュのようなスープで中の干し肉は水分を吸って柔らかくなっていた。
少年はそれらをある程度撮り。
黒と白の少女に振舞ってから。
報告のために、国へともどる道を歩きだしたのだ。
ご案内:「魔族の国」からゼロさんが去りました。
■騎士アルダー > 「矢張り貴殿は物分りが良いと云えよう。
然し先も云った通り、我等が騎士団の一人で在る格闘家には注意をしておくと良いだろう。
我等と違い闘う事を良しとしているからな」
理解を聞き、改めて其れを伝えておいた。
尤も、彼は自身での移動手段は徒歩のみ。
そう簡単には出会いはしないだろうが。
「そうか…では、そう云う事にしておこう」
守る立場、嘗ての自分を思い出し苦笑を浮かべる。
其れ以上の言及は不要とし、言葉短く答えておいた。
そして、少年の次の言葉に黒の少女はパッと表情を輝かせて。
『大丈夫大丈夫、丁度動いてお腹空いてたんだもん。
お腹が空いてる時は何でも美味しいものだよ!』
『あ、え…お、お姉ちゃん…?』
『ほら、一緒に食べよう、ほらほらっ』
戸惑う白の少女だが、器を受け取る黒の少女。
更にもう一つ受け取って白の少女へと無理矢理に押し付ける。
そう為れば、流される様に食べる事と為ってしまう訳で。
二人の少女は振舞われるスープを美味しく頂く事と為る。
青年は食べ終わるのを静かに待ち、其の後、黒の少女の転送で戻って行くのであった。
ご案内:「魔族の国」から騎士アルダーさんが去りました。