2019/01/25 のログ
ご案内:「魔族の国」にアザリーさんが現れました。
アザリー > 足元の小石。唯それだけでも長年瘴気を吸い込み、そして魔力の波動を受け続けたそれは妖仙の類としての覚醒を待つ存在になっていた。
手に取る。僅かな重みや土汚れはキニシナイ。
己が透き通る肌の色合いに相反したような鈍やかな色の石。

僅かな鉱物。僅かな変異性鉱物。そして僅かな根源意識の存在。
数十数百。千でも及ばぬ次元の眼からの祝福と、詔にて。
その鉱物は空へと登る。――ただ、筋を描き箒星の様に煌く尾を描かせた。
その行く先は北方、シェンヤン。かの土地であれば今新たな命を得る目前に至る石も。
目覚めの時まで緩やかに自己を確立させていく事だろう。

「何を為すかは貴方次第ですけどね~。」

ぽつん、と甘く間延びした声が続く。
どうも1番思考回路、2番思考回路と接触して以来、らしくもない行動が続く。
時に人間の兵に、時に魔族の兵に。自ら接近しようとしてしまう。
自分が近寄ればどうなるのかは自明の理だ。それは数多の思考回路を使わずとも判っている。

――それでも尚。今の自らの精神状態と有り様は不安定と言って差支えが無いのだ。
僅かに手を払う。近くに居た羽蟲――それを追い払う為ではなく。
塵一つ残さずこの世から抹消させる、物質の崩壊術式に閉じ込めてしまっている。

アザリー > 仮初の命を造る。
原初の命を奪う。
――相反する行為をして破壊衝動を押さえ込めない。
月の満ち欠けによるもの、という物ではない。感情の触れ幅が広がり、思考にもブレが生じている。

思考能力が劣化していると言う訳でもない。
ただ、純粋に。自己の原初たる始まりの思考回路。それが産んだ2つ目の自らが望んだ、新たな自分。
それに触れた事で3番以降の思考回路。そして今は最早惰性で産み続けられる末端の思考回路が引き摺られているのだった。

顎先にほっそりとした、そして長い指先を乗せる。
そう、考える事は多いが今、一番。目下の思考点はそんな事ではない。

「こちらは~。どこなのでしょうか~。」

アザリー > 道すがら、馬だろうか?幾つもの即席が近くを通り抜けた様子が見える。
また人間が魔族の国に足を踏み入れているのだろうか。
それとも、魔族の国でも騎乗が流行っているのか。
はたまた魔獣の群れがたまたま通り抜けたのか。


また数キロ先に一つの思考を向けると、そこでは激戦の痕も残されている。
魔族の国ですら絶えぬ争い、人の国とて同様だろう。
それが目に見える戦いなのか、目に見えない戦いなのか。
明白な違いは其処だけなのだ。

ハイヒールが砂地を踏む。足跡の一つを辿らせるように指先から迸る紫電の細糸。
砂の性質、砂のくぼみ具合。――そして砂を蹴り上げた事での脚力に体重、或いは重量。
それらを元に「其処を通り過ぎたのは何か」これが魔力で作り上げられていく。

重量はよほど重いのだろう、糸は複数の思考の上方を元に混迷を極め。
馬に全身鎧を着けたような重装騎馬。
或いは人を乗せた馬等、だ。
――候補として上げられている以上人が少なくはない人数で魔族の国に足を踏み入れている事になる。

アザリー > 「あんまり~動きたくはないのですがね~」

一度タナールに釘を刺す必要はあるだろうか。
ぼんやりと閉じた瞳の奥で物事を考える。転がす――。釘を刺す。
その言葉が文字通りに、生きた人間を無残に杭で。或いは熱線で刺す――。
その映像が瞼の裏にこびり付く事を拒む様に。銀だけの色合いに満たされた瞳が夜空を映し。

乾いた砂を蹴る音と共にタナール砦

とは逆の方向に去っていくのだった。

ご案内:「魔族の国」からアザリーさんが去りました。