2018/11/19 のログ
ご案内:「魔族の国」に影時さんが現れました。
ご案内:「魔族の国」にシュティレさんが現れました。
影時 > ――この領域に踏み込んで何度日が昇り、日が沈んだか。

害なく安全と弁えて口にできる菱食の類は、そろそろ半分を尽きた。
水については既に持参したものは呑み干して、現地調達を行う段階にまで移っている。
水脈を見定め、濾過や煮沸して清めなければいけないというのは大変重要な作業であるが、相応に手間とリスクを迫られる。
しかし、そうしなければ生命を保つことができない。
此処が危険な土地であったとしても、そして刻限を注意して作業するように心掛けてでも、必要を為さなければならない。
さて、そろそろ戻るべき頃合いか。そう考えながら進んでいるうちに至ったのは。

「……街、か?」

そう形容できる風情のものである。
所々が砕け、崩れ落ちた石壁に囲まれながら、崩れたモルタルなどが散らばった家屋等が並ぶ。これを街と云わずしてどういうべきか。
しかし、人の気配がない。夜、丸い月が投げ掛ける冷たい光を受けながら石畳の上を静かに、足音を微かに落として立ち止まる。
その場にしゃがみ込み、掌に地面に手を当てて瞑目する。
地脈の動きを探る。地を往くもの、生命の有無を探る。何か居るのか、否かと。

シュティレ > 私は、月明かりの下、廃墟の中を歩み進んでおりました。いつコレが廃墟になったのか、何時まで繁栄していたのか、知る所にはありません。
人を探しており、その人が見つからない故にあちら、こちらと噂などを頼りに動いていたものの、何時しか魔族の国へ来ていたようです。
ヒトは、魔族を敵としておきながら、奴隷を魔族の国へと流す……そんな利敵行為になりかねないこともしているのですね、とそんな感想を覚えてしまいます。
月の光は私にとっては眩しいぐらいに明るい光、蒼白く落ちてくる月光のなんと心地よい事。
どの様な時も優雅で居る必要のある血族である私は、足の音は静かに、泰然と進むものであり、どんなに足場が悪くてもがれきがあろうとも、それは変わることがないのです。
しばらく進んだ所、しゃがみこんでいるのは――――ヒトです。
彼が、そうなのでしょうか。奴隷商人………だとしたら、私の知っている、私の求めている者に繋がる情報があるやもしれません。

「もし――――貴方は奴隷商人、でしょうか?」

流石に、私は警戒致します、魔族の国の奥深くに単身で入り込むヒト。
それは、当然魔族から身を守ることができる、実力者なのだと。
声が固くなり、視線は鋭く全身を観察しましょう。私は、ヒトを侮りません。

影時 > 瞑目する。此処が人の住まう土地ではなくとも、地に脈動するものがある。力が流れる。
それを龍が住まうとも形容し、地に流れる脈とも呼ぶ。文化圏、術式等々で言い表し方は多様である。
強き力を持つものであれば、その地の脈を震わせることもある。
単純な振動の有無も含めてそうして、周辺の動くものの確認、並びにこの力の流れを吸い上げて使うものの有無を探るのだ。
だが、これはあくまで先行して危険の予兆を測るための手段でしかない。

「……――む。なんだこりャ?」

故に、この微かな何かを捉えれば仮面の下で訝しげに顔を歪める。
予兆して捉えるのは微かな振動。それだけだ。それだけだからこそ、疑念が沸く。
生命体であれば、伴って気配を生じさせる。気配を絶っていたしても振動に加え、練度次第で他の察知手段もある。
だが、今回の場合は故にこそ、常ならざる事態であると。そう定義する。
しかもそれが思いのほか、視認できる距離に至ってきたとなればなおのことである。

「――あー。いや、俺は、な。……こういうモノよ」

片膝を突いた姿勢で顔を挙げる。向こうにはこのように見えただろう。
目深にフード付きの黒い外套を纏ったものが顔を起こし、赤黒い二本角を生やした仮面越しに視線を遣る、と。
その上でゆるり、と。衣擦れの音無く立ち上がりながら左手を振り上げよう。
その手に握られていたのは、一枚の十字型の刃物。シュリケン――手裏剣と呼ばれる類の投擲武器。
当てるつもりは、ない。これはいわば名刺代わりだ。其れを向こうのの右頬に霞めるように放つ。

シュティレ > 私が声をかけた相手は、何かを調べているようで、しゃがみ込んでおりました。
その服装は黒い外套に、角の生えた仮面―――ヒトの国で言えば、不審人物と評されてしまうでしょう格好です。
その仮面はおそらく自分の顔を隠すために敢えてなのでしょうが、その二本の角は攻撃用でしょうか。
私の声に対して反応し、こちらを見るその瞳はどこか獣のようにギラギラとしていまして、私の事を測っているようにも見えました。
ゆるりと、そんな表現がぴったりな動きで彼は立ち上がり、懐に手を忍ばせて取り出したのは―――

奇っ怪な形の鉄の塊でした。ナイフというにはギザギザしてますし、あれでは握りにくそうです―――それを、投げてきました。
どのような意味でのその軌道なのでしょう、威嚇でしょうか。
私の頬を傷つけて飛んでいくそれは、しかし無駄な行為なのです。
私の頬は、瞬時にその傷が一切見えなくなるのですから、血族にただの武器で怪我をさせられるハズもなく。
そして私はそれを敵と認識することにしました。

「貴方がどういう者かはわかりませんが―――
 振り払わせていただきます。」

じゃらり、と宵闇の中に金属の音。それは、sonne peitscheと名前打たれた鉄の鞭。
細かな鎖で編みこまれ、先端に重替わりの握り拳大の刺鉄球。
私が、血族を誅伐するための、私の身を守るための武器です。それを握り込めば、ジュウという肉が焼ける音と匂い。
血族を縛るための忌まわしき太陽と神の力、我が主である魔王の加護を混じりこませた呪いの鞭。
痛みに眉根を潜めつつ、振れば、音を超えた先端が空気を叩く音二度三度。
かつ、とヒールを踏み鳴らし一歩前へ。
ドン、と地面を蹴り飛ばすように接近し、彼の胴体部へ横薙ぎの振りからの巻付の一撃。
巻きついてしまえば、鎖で縛りつつ鉄球での一撃を見込める二段攻撃。

影時 > 調べるとすれば、此処に誰かが棲んでいたかどうか位だろう。
如何に酔狂と言えども、わざわざこんな所まで来て試し斬り等と称した殺戮はしない。

無駄だからだ。

有象無象をいくら殺したとしても心は躍らない。極限に突き詰めた殺戮は作業でしかない。
強さの果てを追求する求道者では己はないと自認しているけれど、刹那の愉悦は魂削るような応酬にこそある。
さて、この不意の遭遇を果たした御仁はどうだろうか? 
夜会服と形容すべき装いは戦に不向きであるとは思う。
しかし、顔も含めて徹底的に肌を隠した己とは違い、顔を曝け出した向こうの有り様はあくまで自然だ。
それが何者であるかということは、考えるまでもない。

「――振り払う、か。いいねェ。愉しめそうだ!!」

ばさりと外套を打ち広げ、抜き出した両の手指を幾つか組み、強く息を吸っては石畳が割れろ、とばかりに地を踏む。
腹の底から響くような振動に従って、石を投じた水面の如く波紋が舞う。土煙が舞う。
練り上げた氣を周囲の土埃へと流して、更に印を切る。念を籠めれば、土煙が凝り幾つかのカタチを為す。
手裏剣だ。先ほど投じたものとは別の針状、筆状の金属塊のようなものをぱぱ、と掴んでは投じ――撃ち込む。

先程の一発が意味をなさぬならば、もっとだ。氣を練り込んだ産物であれば単なる氣を籠めていない鉄よりは通じよう。
た、と。後方に飛びのきながら一つ、二つ、更に三つを投げる。
一番速度の宿る先端ではなく、鞭の半ばに二つ打ち込んで蓄える運動エネルギーを鈍らせ、もう一つは相手の顔へと。

此れで仕留められるという確信はない。此れは試しだ。目の動き、反応速度、身のこなし等々を測るがために。

シュティレ > 「――――」

やはり、目の前の御仁はヒトで有りながらも、人成らざる実力を持つものなのでしょう、認めました。
彼は、手を組んだかと思えば、地面を踏みしめます。魔術的な、魔法的な力の動きは見られませんので、祈りのタイプなのでしょうか。
次の瞬間、地面が爆発するような土煙、あの踏み込みだけで起こされるようなものではありません。
そして、土煙が細く針のようになり、彼がそれを掴みながら下がり、投げてきました。
狙いは……顔と鎖の部分に三つの土から作られた鉄の針が飛来するのがわかります。

「―――具現。Panzer」

前に出た勢いは止めることができません。ならば私は彼と同じ手段を別の行動で行いましょう。
私が纏う魔力―――領域の一部を練り上げて魔力で全身鎧を作り上げます。私の魔力は、領域はタイムラグを一切排し、ドレスから鎧へと変質していきます。
細やかな装飾と、魔力で保護された強固な全身騎士鎧へと。
足を止めながら、篭手で顔に来る鉄の針を叩き逸らし、鞭の方は彼が下がっていますし、勢いを弱められるままにすることにし、手元に引き戻しました。
仕切り直し、というところでしょうか。彼我の距離は最初の時とさほど変わらず、彼を見据える侭になりましょう。
ただ、彼は不思議な業を使いますし、様子を見ましょう。

「―――具現。Dolch」

私は幾つもの投げナイフを作り上げ、指にそれぞれ握ります。
彼が針を投げたのと同じように、投げナイフを投擲します。

狙いは、右肩、左肩、心臓、股間と、ナイフが勢いよく飛びます。