2018/07/27 のログ
ゼロ > 夜だからであろう、そこかしこで魔族が歩いているのが見える、だからこそ避けるのが容易とも言える。
 なぜなら、仮面が魔族の存在を、魔力の高い存在を捕らえることができるので、魔力の濃度高いところを避ければいいし、避けて濃度低くなれば、個体の識別が容易になる。
 そうなれば、それを避けて通ればいいのである、時間は別に制限があるわけではないので焦る必要もなく、ぐるりと遠回りしてしまえばそれを地図に書けばいい。
 無駄に地図が精密になっていくがこれは、戻った時に十分な情報になるだろう。
 副産物がどんどん豪華になっていくが、メインが全然ない。
 その状況に苦笑を漏らしながら少年は通路を移動し、周囲を確認し、先に進む。

 街も半ばぐるりと回ったところだろうか。
 特に、軍事施設らしきものは、見当たらないのだが、やはり中心部にあるのだろうか。
 一度立ち止まり、中心部にある大きな建物を見やる。

ゼロ > ここから見える中心部の建物は大きくて豪華である。
 それが城なのか、豪邸なのか、それとも別の何かなのか……遠目からは判らない。
 魔族の国というものは人間の感覚と違った作りをしているところが多いのだ。
 奇妙な建物だと思ったら、彼らの中ではセンスのいい作りとかいうのを、盗み聞いたこともある。
 とりあえずは近づいて確認しないといけないから、少年はまたぐるりと回るように歩き始める。

 途中、人の気配のない家があった。
 そういえば、食料が心もとないなと、思ったから、少年はまず、家の中を確認する。
 魔力の波動もなく、本当に誰もいない模様、中を確認すれば住んでいる気配はありそうだ。
 窓を割って、家に侵入する。
 手早く移動して、食料を保存している所を探して移動し、マグメールで見たことのある魚や、野菜、チーズなどを盗み、バックパックにぶち込んでいく。
 そして、即効脱出。

 これでしばらくは持つだろう、後で魚は燻製にしておかなければ。
 そう考えながら、さらに中央に向かい進む。

ゼロ > 石畳を踏みしめて少年は進む。周囲から聞こえるのは、悲鳴の様な嬌声や、愉悦の声。
 魔族に奴隷として捕まった人間の声なのだろう、少年は思う。
 しかし……しかし。思うだけで少年は行動には起こさずにその場所を去る。
 助けることは可能であろう、しかし、足手纏いを連れて歩くということは不可能である。
 そんな技術も、知識もないので、助けることは戻る必要が発生する。
 その戻る間にも、その相手を保護し続けることが可能かどうかがわからないのだ。
 なれば、無駄に手を出すのは、彼女だか、彼だかの寿命を減らすことにしかならない。
 なので、少年は見捨てて歩くことにする。
 正直胸糞は悪い。助けることができない自分の不甲斐なさ、見捨てることしかできない状況が。
 いつしか、軍で助けられれば幸運と思っておく。
 歯を食いしばりながらも、少年は先を急ぐ。
 
 少年はそのまま進んだ結果、中央部にほど近い場所に寄る。
 周囲を見回す、警備のようなものは見当たらない。
 さて、どうしたものか、と考える。

 このまま襲撃するか。
 数日、ここで様子を見たほうがいいのか、その場合の潜伏場所などはどうするべきか、と。

ゼロ > ……しばしの間、悩んでいた。
 視線を先ほどの館に向けると人が多くなっていっている。
 状況的には………と、考えたところ少年は小さく笑う。

 大きく事件を起こせば、もしかしたら動くかも知れない。
 それなら、見つけられるかも知れないと思ってしまえば、よし。と気合を入れた。

 少年は、腰に手を伸ばしてナイフを手にする。
 そして、仮面の下ほくそ笑みながら近づいていく。

 魔族の館に押し込み、殺戮を果たし、少年はその館から去っていくのだった。

ご案内:「魔族の国……一領地」からゼロさんが去りました。
ご案内:「魔族の国」にミリーディアさんが現れました。
ミリーディア > 大図書館で渡された報告書に依って、例の騒動の一件の内情はほぼ理解しただろう。
用事も終わったのだからと王都への帰路に少女は付いていた。
タナール砦迄に在る街や村の状況も知る為にと変わらずに徒歩で。

今の処、あれ以降特に大きな問題は起こっていないらしい。
何処かで争い事が起こっていたとか、何処其処で襲撃が在ったとか、其の辺りは人間の国と大して変わらないと思う。
此れを平和と云うべきなのかは難しい処ではあるが、私的に見れば平和な状況だ。
人間とて魔族とて、自分から見れば似た様な存在なのだから。

「……其れが逆に、面白味に欠けるのだがね。
中々に難しいものだ、世界と云うものは」

そんな呟きを零し乍、少し小高い丘を歩み上がる。
此れを越えればタナール砦が遠くに見える感じだろう。

ミリーディア > 実の処、タナール砦迄の護衛の申し出が在ったのだが断った。
確かに今までの経緯や立場を考えれば襲われる可能性が無い訳ではない。
だがそうしたイレギュラーが在る事も又楽しみの一つとも云えようが…期待は難しいか。
此の地の立場で在れ、彼の地の立場で在れ、自分と知って手を出す意味は分かっている筈だ。

こう云う時にもう少し立場を不鮮明にしておくべきだったかもしれないと思ってしまう。
が、今更其れを嘆いても仕方無いだろう。

「久々に派手に楽しみたい処ではあるんだが…都合の良い相手も居ないのは困ったものだ。
昔こそすれば結構無謀に挑んでくる連中も居たが…考えてみればあの頃は良く楽しめたものだったな。
平和を良しとするか、悪しとするか、何とも微妙な匙加減……だが…?」

頂へと辿り着き、後は下るだけだろう。
眼下に見えるタナール砦を眺め乍、足を踏み出そうとした処で動きが止まった。
残すはタナール砦、其の道すがらに何か在る訳でも無いのだが何やら気配を感じ取ったのだ。

ご案内:「魔族の国」にアザリーさんが現れました。
アザリー > ―――道に迷った。タナール砦を出てからふらふら歩いていたのだが、何故か目の前に砦の見える小高い丘。
つまりはこの付近をぐるりと一周する迷子っぷりを見せ付けたのは幸か不幸か。

月に換算すれば3桁に及ぼうかと言うほどに懐かしい相手が目の前にいる。
かつて図書館という場所があると聞き、流行の漫画や小説があるに違いないと踏み込もうとして色々な出来事があった。結界に弾き飛ばされず結界の解析を試みようとして、結局吹飛ばされたりなんだり。
お互いが解析、分析系の能力を有していた為に、静かな千日手になった引き分け相手が、なんだか一人で丘の上にいる。
ここは彼女の図書館ではなかった筈。となれば掛ける声は決まりきっていた。

「やっほ~。メッフィーちゃんも迷子になっちゃった~?」

も、と付ける辺り。どうやら迷子仲間を見つけた喜びも大分大きかった様子。
手をぶんぶんと振り回しながらダッシュはしない。足元に水を練成して、自走式ローラースケートの様に水を車輪の形状に変化させ、回転させながら近寄っていく。下から爆走してくるが、隙あらば抱きしめようと両腕を広げるのは――彼女の悪癖の一つ。