2018/06/24 のログ
リア > 「いててて…あ、ありがとう…」

(声をかけてきた女性の手を見るとその手に小さな自分の手を差し出して掴み、立ち上がる。
軽くお尻の誇りを払うようんパンパンと叩く。
立ち上がった後、女性の方を見る。
優しそうな外見をしていると思うと)

「…あ。あの…もしかして、一人ですか?良かったら…僕と一緒にどこか行きませんか?」

(思い付いたようににこっと笑ってエウロペに言う。
ナンパやそう言うものではなく、目的がないため、一緒に行動しようとする。
頭の中では子供と大人が一緒に歩く親子の姿を見て、そういう風に歩くものあるんだと間違って学習してしまったのである。)

エウロペ > 「いえいえ、こちらこそ」

少年相手であっても、優しく柔和な姿勢は崩さない。
どうやら怪我をしている様子もなく、お尻をはたく少年を微笑ましく見た。
少年が立ち上がってもエウロペはしゃがんだまま、少年に視線を合わせる。

「ええ、一人よ? うーん…ボク、お父さんかお母さんは?」

一人と聞かれれば、その通りと頷く。
でもどこかに行くかなんて、いきなり誘われるのには目をぱちくりとして。
もしかして迷子なのかなと、誘いに対して別の質問で返した。

リア > 「え?父上…?えっと…父上はどこにいるかわかりません。
奴隷市場から逃げたって話だけは聞いたので…。」

(親子揃って奴隷市場で売られており。自分が先に買われた。
父上はそのしばらく経った後に逃げたため、行方がわからないのである。)

「えっと…僕、迷惑かけちゃいましたか?」

(ぱちくりする姿をして、間違いではなく迷惑なのかっと聞き返した)

エウロペ > 「奴隷だったの…なんというか若いのに苦労しているのね。 お父さんはどこにいったかわからないの?」

親子揃っての奴隷経験があるなんてと、エウロペも同情してしまう。
母親の話が出なかったのはまたいろいろあるみたい。
少年の召し物は奴隷と呼ぶにはずいぶん上等なもののため、奴隷だったのはずいぶん前なんだろう。

「いいえ、迷惑だなんて思ってないわ。 いきなり誘われたから、少し驚いただけよ。」

少年はちょっと変わった性格をしているのだろう。
父親も行方不明であれば無理も無い、甘えたい年頃なのだろう。
不安げな少年へ、笑みを浮かべてみせながら驚いた理由をきちんと説明した。

リア > 「はい…。多分…僕が一人前のインキュバスになるまでは、会えないと思います…。」

(度々、夢には出てくるが現実で会ったこともなく、気配を読み取れるほど魔力も強くはないのである。)

「あ、そうだったんですね?ごめんなさい…今は目的が無いので…一緒に行動しようと思って…」

(えへへっと恥ずかしさのあるような笑い方をしてほっと胸を撫で下ろす)

エウロペ > 「育児放棄…みたいねぇ。
子育ては親がきちんと責任を持つべきだと、私は思うわ。」

少年の言うような子育ての仕方は人間ではあまり聞かない。
魔族や自然界ではわりとある方だが、エウロペ個人はこういった放置する子育ては好かないところ。
もし父親に会えたなら、きつーくお説教をしているかも。

「ううん、気にしなくていいわ。
…うん、これも何かの縁だし…ボウヤのお誘いに乗ってあげましょうか。
どこか行きたいところでもある?」

とりあえず、王都にはいつでも戻れるし、少年に付き合ってあげよう。
こんな簡単に人についていってしまうのは危ないのだけれど、そこらへんもきちんと教えてあげたい。
見た目から察するに、少年はどこかに勤めている様子。
わずかな暇であるなら、食事やお茶だけでも一緒にいてあげてもいいかなと、少年に行きたいところを訪ねた。

リア > 「そうですか?父上はいつも、一人前になるには、基礎を覚え、一人で駆使するっと言ってました。」

(生まれて物を覚える時には既に一人であり、一生懸命にいろんな事を覚えようとしたため、一人にされるのは寂しくもないし、当たり前であった。)

「ん、ありがとうございます!
行きたいところ…んー…目的も無いので…無いんですよね…。」

(嬉しそうに素直な笑顔をする。
しかし、里帰りと言っても目的はない。
行きたいところと言われても、これと言って目的地が無いのである)

エウロペ > 「ボウヤは良い子に育ったみたいでいいんだけど。」

少年にはすでにこれが当たり前だという認識ができてしまっているようだ。
もし悪人に知識を仕込まれてしまえば、それを正してくれる人が必ず現れてくれるわけではない。
たぶん、それを言っても理解して貰えないだろうな。

「ふふ、そっか。
ならどこかでお茶でもしましょうか、美味しいケーキがあるお店を知ってるの、そこに行きましょう。
それから、私はエウロペっていうの、よろしくね。」

少年の笑顔は愛らしいし、母性本能が刺激されて守ってあげたくなる。
とくに目的地もなく誘ったらしい少年に、くすくすと優しく微笑めば、お茶に誘うとしましょう。
その前に自分の名前を名乗ってから、少年に手を差し伸べて手を繋ぎ、そのお店で楽しい時間を過ごしたことだろう。

ご案内:「魔族の国」からリアさんが去りました。
ご案内:「魔族の国」からエウロペさんが去りました。
ご案内:「魔族の国 海沿いの屋敷」にルーシェさんが現れました。
ルーシェ > ”今朝、目覚めた時に彼と私は揃って同じ夢を語った。自身が滅ぶ予兆、死の夢はあまりにも鮮烈だった。私と彼は執事長にルーシェを頼むと告げて、戦場へ出ることにした。願わくば懸念のまま終わって欲しい。”

母が記した日記は、まるで寝物語の様に何度もベッドでページを捲った。
幼い頃、帰らなくなった両親をほんの少しでも知れたらと、色んなものを漁ったのは記憶に遠い。
けれど、この一文だけは忘れられなかった。
魔王と呼ばれた母が何かを察し、それに次ぐ父も何かを感じ取っていた。
死の瞬間、それが虫の知らせと言うなら、二人の死はこの時に決まっていたのかも知れない。

「……」

普段はあまり立ち入らない魔術儀式の部屋、占い道具が置かれたテーブルに両肘を着いて座り、日記を読み返す。
昨夜見た夢、あれはまるで二人の感じた予兆のようだった。
本当にそうなら…自分の身に何が起きるのか、結末以外の想像はつかない。
傍らの床に描かれた魔法陣から光が消えると、その中央に置かれていた箱が露となる。
金のフレームがはめ込まれ、幾何学模様が描かれたそれは、靴箱程度の大きさをしたもの。
ひょいっとそれを抱えあげると、何時もと同じ軽い足取りで階段を上がっていき、廊下を抜けて大広間へ。
自室へ戻ろうと階段に足をかけたところで、その先にいる執事長の姿が目に止まった。

「あっ、ちょうどいいところに! ねぇねぇ、これ預かってほしいの」

パタパタと足早に階段を上がっていくと、切れ長の目をした眼鏡の執事長へと駆け寄る。
燕尾服にオールバックに纏められた黒い髪、陸地に上がっているがマーマンらしさを見せる首筋の鱗は健在の青年。
満面の笑みで箱を差し出す姿は、宛らバレンタインデーの贈り物でもするかのような明るさだった。

ルーシェ > これは? と首をかしげる執事長に眉を顰めて笑うと、そっとピンクの唇を彼の耳元へ寄せた。
鈴の音のような甘い音色で耳打ちをしていくと、訝しむ表情はさらに深まるばかりだ。
そんな事をする必要はないでしょうともいい、ご必要であればご自身でお創りになられるべきだと。
ご尤もな言葉に、そうだよねと微笑みを浮かべるだけの主の姿は、青年の記憶を呼び覚ます。
ずっと昔、彼女を託した先代と同じ微笑みだったのだから。

「……ごめんね、ママとパパと同じ夢みちゃった」

静かに、柱時計の振り子の音だけが広い空間を支配する。
呆然と瞳を見開く彼の手から、預けた小箱が零れ落ちかけると、あわあわとしながらも素早く両手を伸ばして底を支えていく。
幸いしっかりと保持されたことで零れ落ちず、ほっと安堵の吐息を零すと、改めてその両手で預けた小箱を抱えるように導いていった。

「また作れるか分からないんだから、大切にしてよね? 壊したら駄目だよ?」

クスクスと微笑みながら、少しだけ背の高い彼の瞳を覗き込むようにして確かめる。
声と感触にやっと現実に戻った青年だったが、駄目だと何度も頭を振っていく。
言葉と託したもの、その意図の理解に至れば、そんな現実を受け止める気にはならない。
寧ろ、箱を小脇に抱えれば、白く細い手首を白手袋の掌がぎゅっと握って捕まえてくる。

「……でもね、多分行かないと…後悔することも起きるんだ。その時の私、ずっと泣いてたから。悔やんで生きるより、ちゃんと納得して進みたいよ」

だから、ここに留まれという彼の言葉には頷けなかった。
緩やかに瞳を伏せながらも、人外の力で手首を握りしめる彼の手の甲へ、掌を重ねる。
魔術師寄りの魔王ではあるが、それでも人外の力を体に宿していた。
ぎりぎりと彼の骨をきしませるほどの力で、強引の拘束を解いていくも、青年はまだ手を伸ばそうとする。
ごめんねと呟くと、バックステップと共に距離を取り、そのままトントンと跳ねるようにして踊り場だけを蹴って広間の床へと降り立つ。
一瞬の動きを終えず、彼が手すりから身を乗り出してこちらを見やるなら、満面の微笑みで両手を振った。

「じゃ、いってきまーすっ」

逃げ出すように背中を向けて屋敷の外へ出ると、作りかけの中庭へと回る。
結局潮風よけの壁も完成せず、欲しかった薔薇園も未完成。
煉瓦を積んで泥のような漆喰を塗り重ねる庭師と視線が合えば、いつもの微笑みで手を振る。
変わらない何時もを演じると、無茶させてるななんて、淡く申し訳無さを思いながら改めて門の外へと抜けていった。

ルーシェ > 「薔薇園、見たかったなぁ……って、悪い前提で動いちゃ駄目だよ。覚悟しただけなんだから」

何時何が起きてもいいように、そのための覚悟を形にしたまでだ。
既に覚悟を決めたわけではないと己に言い聞かせると、丘から続く道を歩いていく。
少し色味の悪い草原から見下ろせる海は、綺麗なエメラルドブルーと言ったものではない。
濃いめの紺色が均等に広がるような魔の海であり、吹き付ける風も何処か生暖かい。
眼下に広がる街並みも人の世界とそれほど変わらず、商売や日常を過ごす人々に溢れる。
両親が守りたかったもの、それが今もここにあるのが置き土産だと思いながら、歩き続ければ領地の境界線へと辿り着いた。
案内板はない、どっちだったっけと首をひねりながらも、凡その方角を感じ取れば、あっちだと歩き出す。

「ぁ、ロザちゃんに一応伝えとかなきゃかな…」

自分に何が起きるかわからないのだから、大切な友達にも伝えておくべきだとパッと姫君な彼女の顔が浮かぶ。
きっとどうでも良さそうな顔しながら、当たり障りないことを言われるのかなと思えば、クスクスと楽しそうに笑いながら更に奥へ奥へと歩く。

「……また、かな」

ばいばいと手を振るには重く、再会を夢見るように自身の屋敷へ振り返る。
目を細めていき、哀の残る苦笑いで誤魔化しながら呟くと、小さく手を降って背中を向けていく。
またすぐ戻れるはずだから、そう願いながら少女は少しずつ魔族達の闇へと消えていくのだった。

ご案内:「魔族の国 海沿いの屋敷」からルーシェさんが去りました。