2016/05/06 のログ
ご案内:「魔族の国 鬼國門鵺曳城陸文洞」にロトさんが現れました。
ご案内:「魔族の国 鬼國門鵺曳城陸文洞」にハーディさんが現れました。
ハーディ > 【4/16の続きです】
ハーディ > 一瞬商人の表情に困惑が浮かぶが、袖で冷や汗をぬぐうと、それはたちまち消えてなくなる。

「は、はあ、貴方様がトップでいらっしゃいましたか。
これは失礼いたしました」

つくづく、外見でものを判断するのは危険だ。
これ以上の詮索は失礼かもしれない。メイドの格好はまさかの趣味嗜好の可能性だってある。
ハーディは心の内にあらぬ誤解を抱きながらも、慌てて目録を両手に持ち、そっと差し出した。

「いやいや……辺境の地などとご冗談を。これだけの規模で栄えているのに、ですかな?
その目録のとおり、シナモンや黒コショウ等の調味料、椰子油に食用椰子の実に……
椰子の実は昨夜の嵐で何個か、紛失してしまいましたが、余分に持ってきていたので、数はギリギリ大丈夫なはずです。収穫してそれほど経っていないので、ココナッツオイルやジュースなど用途は広いかと。
あとは精油、も取引できるのですが、これは次回以降に」

謙遜するように片手を振って。
言いながら、確認するように、手元にある目録の控えをぱらぱらとめくる。
毛織物もあるにはあったが、潮風でダメになってしまったので、今回は出せず。

「その他は、……九頭竜山脈南にある、ルミナスの森と交易路ができましたので、霊森の素材、エルフの魔法金属あたりは都合つけられますが。
まあ、今回はこんなところですな。
私どもの用件としましては、さきほど申し上げた通り、この辺りの酒類を所望したい。
といっても本日伺ったばかりですし、いきなり上物の注文は厳しいでしょうから、
まずはそちらの在庫に余裕がある分をお聞かせいただけますか。」

一度振り返り、積み荷がすべて降ろし終えたのを確認すると、メイド服の領主──ロトに向かって問いかける。

ロト > まぁ 理解出来ない 予想つかないという顔は分からなくもない。
メイド服のまま、のこのこ現れてしまっているのだから、仕方ない。
此処は威厳のあるこれぞ代表の服は…十二単でも纏えなのか、あれは屋外は出られない。

「…今の一張羅、メイド服なのですが。私、頭領の他に魔王軍直属アスラ奉仕団メイド長も兼任しております関係で。
服装は変えるべきでしょうが、此度は何の連絡もありませんでしたので、ご理解下さいまし。」

見た目は角の生えた小柄な鬼で、なぜか露出の高いメイド服。
メイド服には理由があり魔王軍直属の武装メイド衆 アスラ奉仕団とかなるメイドの服を纏っているのだ。
まぁ、人族からしたら魔王なんぞ面と向かって拝謁した事はあるだろうか?人の立場からしたら王族と謁見したというのと同じだ。
…すすっと差し出された目録を、傍にいた見目麗しい角の生えた侍女が受け取ると、
それを改めてロトが受け取って見た。パラパラと見つつ説明は聞く素振りを。

「魔王軍直轄地になりますので、辺境地の果て乍、魔王様の栄光と慈悲により酒造地を含めた領土を治めております。
これほど栄えたのは魔王アスタルテ様の素晴らしい手腕のお陰でもありますので、まだまだ本土と比べましたら赤子程度です。

香辛料に椰子油に椰子の実、精油…嵐に遭いましたか、それはご愁傷様に御座います。

魔法金属…これ辺りは実物を見ないと何とも言えませんが。
それに重要品目であります、香辛料や魔法金属は一度 許可を賜わらなければ。

外洋にも耐えられる大型船でお越しになる事をお勧め致します。…お越しになられた船が大破されているご様子ですので、
後程 此方 船舶をご購入されるか、お貸しするなりでご帰国されては如何でしょうか?」

先程遭難して大破寸前の商船は見た、というかそこにある。
目録を見て やはり米がない。シナモンや黒コショウ等の香辛料はそそるが、ここは酒造地。
米や穀物が一番の取引材料になる。己の一存で決めてもいいが、傍にいた侍女や護衛等に 目録をぱさっと渡すと

「要 検討。 重要議題は本土へ、では下がれ」

本土とは魔王アスタルテの領土を指す。貿易云々は任されているが、重要な品目に関しては命や許しを窺わねばならない。
侍女たちを目録諸共下がらせると、幾人かは減ったが、まだワラワラ集う鬼や少数の人、他種族たち。

「…此処で話をするのも如何なものかと思いますので、室に案内しましょう。…此方へ。」

港に商人をいさせるのも 港が騒ぎになるのも そもそも話し合いの空間にはそぐわないのとで
慣れた手つきでハーディとその護衛だと思われる商人や諸々をほど近い商館へと案内しよう。
建物のつくりとしては和様建築的な外見の、内装は豪華絢爛な造りでその一つの一室に案内するわけだ。
広々とした応接間に 大きい一枚板の檜だと思われる木のテーブルと椅子、装飾の美しい灯や港を一望できる窓。
座れる椅子の数は20人位だろう、もはや大広間的な空間だ。なおこの部屋にもメイドは数人いたりする。

「此方で交渉を改めて致しましょうか、酒でしたね、そちらにお渡し致します目録をご覧頂き、
気に入った品目がありましたら ご発言下さい。すでに今期の酒の仕込みは終了しており、すぐに調べれば在庫の有無は分かりますので。」

目線でメイドの一人と視線が合った。そのメイドは静かにどこから取り出した一つの巻物をハーディの目の前にコトッと置くのだ。
巻物というか一つの塊と化した物体。それだけ酒の種類が膨大というのもある。酒の種類や料金諸々が記載している。

ハーディ > 「ああ、連絡の件は申し訳ない。何せ情報が錯綜していたものでして。この海路を辿るのも、商人同士の情報交換でやっとこさ……
ま……魔王軍!?直属!?」

ハーディの顔から血の気がさあっと引き真っ青になる。
半ば悲鳴に近い驚愕の声を発して。目録の控えをもつ手が、ガタガタと震え出した。

(い、いや、魔族の国だし魔王と近しい関係でも別におかしくはないんだが。
よりによって“あの”魔王軍か。うちの国の大臣衆も警戒してるって言う。
直属のメイド長、それに直轄地といったか、ならば相当中枢に近いと言えるだろうか。
この取引、下手したら……俺、無事に帰れるかな)

ハーディ自身も、位を返上し平民になったとはいえ、その血は末端ながら他国の元王族である。
がしかし、王位の継承順といえば歴代王の手の早さのせいか100位よりはるか下、とてもじゃないが張り合えるようなレベルじゃない。

「ああ……やはり米麦その他の穀物は重要でしたか。失念しておりすみません、芋や果実ならば手配できるんですが。
……あと乳酒か。正直、酒取り扱いの老舗に持っていくには自信無かったんですが」

酒というか、どちらかというとヨーグルトとか、乳酸飲料っぽいやつだし、とぼそぼそと呟く。
本土がどうの、という主従の会話には恐る恐る耳をそばだて。うわあ、単なる商取引のつもりが大事になっちゃったぞ。

「ふ、船は確かに、修理か買い換えようと思っていたところ。後ほどじっくり見させていただきます。
屋内で話の続きですか。こ、これは有り難い。
正直、このまま立ち話も格好がつきませんで、な」

同僚や護衛諸々、商館へと案内されれば、ほとんどなす術なくついていくしかない。
周りには鬼をはじめとした人外種族がひしめき、興味半分からか近づいてくる者さえいる。
商人頭は務めて営業スマイルを取り繕おうとするが、その口元が若干引き攣っていた。

館の一室に案内されれば、窓からは先ほど立っていた港、それに遠く水平線の彼方までみえる。
部屋の中央には高そうな広いテーブルと幾つもの椅子。
一行がそれぞれの席に座ると、背後に従者達が控える気配がした。

ハーディはメイドの一人から鈍器になりそうな分厚い目録を渡されると、ゆっくり慎重に解いて眺めていく。

「それでは、麦や芋の焼酎をいくつか。『三途の川』『黄泉の末路』『六道の辻』、これらの、そうですな、それぞれ24本ほどいただけますか。専用のケースなどあればお願いしたく、その分の代金もお支払いします。
それと、……米酒なんですが。
『姫鶴左門 極楽秘蔵』を3、
『姫鶴左門 純米吟醸』を24、
『姫鶴左門 護国飛天』を12、
『姫鶴左門 彼岸譽れ』を12、
『玉響の雫』を6、お願いできますかね」

ロト > 「ええ、魔王軍です。魔王軍直属です。この辺境の地の手前の領土が魔王アスタルテ様の領土、
その他魔王ベルゼブル様のご領土でもあります黄金郷エルドラ等がありまして、屈指の魔王領に囲まれた自治区になります。

本音を申しますと 人族の船が大破したとはいえ五体満足でアポなしで来られること自体 珍しい事に御座います。」

賞賛したい、魔王軍と他魔王領にほぼ囲まれているこの自治区に来られた事態を。
僻地過ぎるのと酒はなぜ人族の処に出回りにくいのか、な理由は領土的問題でほぼ消費されてしまって
本当に人族の処に回らないのだ。ハーディの他に一応その困難を乗り越えて貿易に来る商船はいる事はいるが ほぼそれは極少数。

(…ハーディ なぜ 青くなりますか…?あ、この方人族だった。一応魔族と人は敵対して居る筈だ。
己は鬼なので魔族とはちょっと違うが、どうも同じの括りにされている気がする…落ち着くのかしらこの方。)

ロトの場合 元々魔王の貴族 公爵の生まれだ。紆余曲折遭って爵位を返上し 気づいたら頭領になっているのだ。
中枢には近いのだが、軍事活動には手を出しておらず、ただ単に酒造りがしたいと直訴もしているので
メイドの統括先たるアスラ奉仕団のトップと自治区の長と杜氏を兼任しているに過ぎない。

ただ 本人は酒造りで満足しているが、実は傍からしたら中枢に食い込んでいるのは気が付いていないらしい。

「米麦諸々の穀物が最重要ですね、一応酒造地自体 栽培を行っておりますが足りずに、魔王軍本土から輸入に頼っているのも事実。
此度 もし 取引が叶いましたら 人族やほかの種族の作られる穀物で仕込みました酒を造りたいと勘考した次第です。

…老舗といってもたかが数万年。まだまだです。」

酒しかマジで作っていない。主要産業 酒造りと農地改造。あと建築や土木、造船業位だ。
酒造り以外はほぼ本土と周りの魔王から要請で増えていったくらい。

「船は色々ありますから…ガレオン船が数隻とガレ―…これはお勧めできませんね。本土まで行くのならいいのですが。
…そこの者 手出しはしない つまむのは後!…仮にも貿易を望んでいるのですから 酒飲み乾杯は夜にしなさい。」

興味本位で近づいてくるのは 飲み水は酒だから 取りあえず飲め、とか絡んでくる者たちだろう。
酒に強いメンツがほぼいるのがこの自治区の特徴だ。老若男女、年齢にかかわらず酒が強い。…未成年は飲ませないが。
びしっと絡んでくるものを注意したり 案内したりと 喧噪あふれる港を後にし 商館へ。

商人たるハーディやその護衛が座るのを見届けると、テーブルの反対側に腰掛けるのはロトと秘書扱いにしている侍女。
その他は書記とかだろう。少数精鋭すぎる人数でハーディ一行と比べたら少ない。
彼がどう出るのか 興味ある様子でーと 飲み物を用意忘れていたのを秘書が気付きメイドに命じると、
程無くして 全人数分にお茶だろうか、冷たい装飾のされたグラスに注がれた飲み物入りの器がそれぞれコトッと置かれた。

「ん、『三途の川』『黄泉の末路』『六道の辻』…ありますね。それぞれ24本 計72本。
『姫鶴左門 極楽秘蔵』を3、『姫鶴左門 純米吟醸』を24、
『姫鶴左門 護国飛天』を12、『姫鶴左門 彼岸譽れ』を12、
『玉響の雫』を6…それだけですか?全てで129本です。

専用のケース…ありますが …お支払いはどの貨幣に致しましょうか。
それによって 支払金額が変わります。……両替商を後で呼ばねば。」

秘書居るけど暗算していた長は、記録をしてた書記に的確な指示をすると、その書記は傍にいた従者に指示して下がらせた。
…一応そのサンプル全て この部屋に持って来るように、と。

続けて 秘書が気付いたのは この商人は人だ 支払の貨幣はどうするのだ。まさか 魔族の国の貨幣はあるまい。
此処で流通している貨幣は残念ながら 人族の貨幣ではないので、どうしても取引上 金の問題が生じる。

…間に合わないと思うが 港に居る筈の両替商(人族)を呼ばねば。これも手配した―従者が一人また減った。

ハーディ > 商人頭は出されたお茶をごくごくと慌ただしく飲み干す。
途中でむせて咳き込んでいたが、なんとか落ち着きを取り戻した。
先ほど案内される途中で聞かれた言葉を考え、考え。
しばらくして、答える。

「ごほ、失礼。
そう、ですね。確かに珍しいかもしれません。船団ではなく船一隻で来たのは、色々考えもあっての事ですが。

実を申しますと、私の故郷である砂漠の国──山賊街道が見えなくなるまで南に進んだところにあるのですが、
そこはマグメールやシェンヤン、などと言った大国とはまた別の、方針をとっております」

ここで一息つくと、ハーディはお茶を飲む。
後味を楽しみながら、グラスを傾け、これはどこの産物だろうかと首をひねる。

「こちらの魔族の国とは別系統らしいのですが、国の興りに、精霊と魔が関わっていまして。
私もここだけの話、魔をまじないの祭神とする魔神信仰の一派でしてね。
一応、砂を使う術師なんですが、まあ、本業は行商人ですので戦闘はからっきしで。
ここまで来れたのも、もしかすると何らかの恩恵があったのやもしれません。本来わが祭神の司るものは砂漠なんですが、ね」

話を聞くに、相当ヤバい領域に奇跡的にたどり着いたことが判明した。
ハーディにもわからない、偶々航路を知る商人が居て。偶々風を操るのが上手い船乗りの魔術師が見つかって。
偶々、海賊にも遭遇せずに、嵐の一つだけでここまで来れたのは。

「私もこの商売を始めてまだ10数年。
そういうことでしたら、穀物の取引先も探しておきますけれど。
問題は、大荷物で来るときの心配、嵐はまだあきらめもつきますが。……海賊を何とかしないといけないんですよねえ。」

とはいえ、じゃあ陸路を、となるとどうしても魔族の国領域を大きく縦断しなければならないので、
人族にとっては、手間と時間と危険度を考えたらできるだけ避けたいところである。

「はあ。…貴方方は自覚されてないかもしれないが。
数万年というのは、我ら人族の数国の興亡に匹敵しますぜ。
少なくとも、酒造でそこまでの年月はあまり聞いた事がない。私が“人族”であるから、知らぬだけかもしれませんが」

たかが数万年、という言葉を聞いて仰天というか、呆然とする。
そこまでこだわったら、もう老舗名乗っても良いのではないだろうか。

「そうそう、そういえば貨幣の問題がありましたか。
そちらはすみませんが、お任せします。一応換金できる貴金属を持ってはきたんですが……
嵐のあと見当たらない? だよなあ……」

隣に座る同僚に首を向けて声をかけると、芳しくない答えが返ってくる。
やはりあの嵐だけはどうにもならなかった、それでも被害は軽微というべきか。

ロト > 茶自体はここで作っている茶葉から作ったものだ。
此方も普通にゆっくりとだが飲んで行く。…もしもなくなったら注ぐ従者が居るから安心だ。
…商人頭が飲み干したグラスにすかさず注いで下がっていく。

「ふむ。砂漠の国。オアシスや流砂のあるきらめく砂や岩肌が広がる地域。陸地は余り地理は御座いませんが、
お話を聞く限り 一度赴きたいですね…いつか行ければよいのですが。」

グラスの産地は言わないでおこう。此処で作っているわけではないのだ。装飾グラスで有名な本土からの品だからだ。
ただのグラスではない、これだけ装飾されたとしても落としても割れやしないグラスである。
このグラス一つしても恐ろしい値段がするのだと。

「船で来るのが問題でしょうか。船自体に仕掛けを施して 途中の航路無かった事にする位しか出来ませんが。
海賊自体は…武装と船を改造、ここと取引をしている、という証の旗なり紋章をつけるなりで 逃げ出しましょう。
後は 穀物は質のいいもので量があれば 高値で買い取りますよ 我々が。」

船の魔改造、船に仕掛けをして 長距離瞬時移動を施してしまうか等をあっさりさりげなく打診してみよう。
後者は既に利用者がいる。港を出港して適当な処で術を発動をして港近くに出現するのだ。
是ならば 移動の最中の嵐や海賊に遭遇することは余りあるまい。例え遭遇しても海賊位には負けない武装を施してしまえばいいのだ。
そもそも見た目で海賊避けをするのなら 商人の紋章だけではなくここの紋章も足せばいいのではと。
色々とあるが 彼が商人のトップであろうから 答えは彼に委ねよう。

「目録を目にした際に気づきましたでしょうか? 『千香王旗』は屈指の酒。これが出来るのに千年かかります。
既に何本か世に送り出しておりますが これが落ち着くのに数万年かかりまして。私で何代目でしたか、
…ああ、5代目でしたか。まだまだ精進が足りないのですよ。この酒がまともに落ち着いたら 老舗と名乗っても許されましょう。
何より私が 納得しておりませんので、老舗とは…。」

秘書が貴女は5代目です、とこっそり囁いてた。彼らがもっている貴金属の種類と量にもよるが、
今回は大きな取引の「話」だけで金に関しては 次の船の際になりそうだ。

「両替商が来次第、両替に関しては相談をして下さい。
では、お支払い頂ける資金が無事に調達叶いましたら、酒に関しては取引はこの者と為さって下さいね。
後は 船でしたか。…カタログ…いや、写真がいいか。」

彼らは帰国の足がない。港にあるのは大破している。何か担保にできるものを預かり 船を買わせるか貸させるさせて
帰国させるべきだろう。従者が戻ってきた、多々酔っているだろう両替商(顔が赤いだけ)と
今 売っても良さそうなガレオン船が映っている写真数枚とカタログを彼らの元に。

そのガレオン船は見た目的に 武装面が人族の船より物騒気味である以外は普通だと思う。

ハーディ > うん、良い茶葉を使っている。ここのものだろうか。
既に2杯目も、残り少なくなっている。
旨さゆえか、それとも単に緊張のためか。どちらにしても、ハーディのペースは比較的早い。

「地上は大変熱いので、都ごと地下に潜って涼を求める造りになっています。
大抵の種族なら入国できるでしょうが、……砂漠が荒れる時期にさしかかっているので、当分は難しいでしょうねえ」

あの国は相当特殊な部類に入るだろう。
まあ、今はその話は脇に置き。

「船自体にしかけですか。聞く限りは転移か、その類の術でしょうかな。
大がかりな仕事になりそうですが、リスクを考えると、そうも言ってられませんでしょう。
ふむ紋章か、それもいいかもしれません、ただマグメール付近では旗を降ろさなきゃいけないでしょうが」

手間を考えると、最初にドーンと改造してしまったほうがいい。
そう判断し、魔改造の方針で考えていく。

「ほう、超一級品ともなれば出来上がるまでだけで千年ですか。気の遠くなるような話ですな。
しかし、貴方は慢心せずによりよいこだわりを求めておられる。素直に応援したくなりますぜ。」

きっとその日が来たとしても、人族のサイクルでは見ることはかなわぬだろう。

「ええ、そうします。
では貴方が担当の方ですか、よろしくお願いします。この見積りなんですが……」

手渡された写真を数枚見比べ、思案する。
ガレオン船、ならばある程度の積荷にも対応できるだろう。
少々、商船とするには大砲の数や各種武装が物騒な気がする。仕様だけ見れば装火薬庫かと見まごうくらいの。
とりあえず話はあらかた伝えた。あとは細かいところ、金銭の都合は両替商と話し合う事にしよう。

数日後、ハーディ一行は一時帰路についた。
今度は資金と、相手の望む物を戻ってくるために。