2019/05/12 のログ
ご案内:「北方帝国シェンヤン「帝都シェンヤン」」にカナンさんが現れました。
ご案内:「北方帝国シェンヤン「帝都シェンヤン」」にネイトさんが現れました。
■カナン > 前回のあらすじ。
うっかり男性になってしまったのでネリーをデートに連れ出しました。
あらすじ終わり。
観光名所めぐりのあと永春班の公演に向かい、二大スターと美男美女の織り成す史劇を鑑賞した。
劇場から飯店(ホテル)に向かい、夕食をとって上階の部屋に落ち着いた。
日没後にもなると、帝都シェンヤンは二つの顔を見せる様になる。
南北を貫く黄龍大路の東側、「天都」と称される殿上人の世界はまばゆい光に彩られる。
対して西側の「地都」は貧しき者や病める者の世界だ。
完全な闇のなかにか細い光が漏れ出ているばかりで、夜に出歩くものもいない。
透かし彫りの欄干を夜風が吹きぬける。風を孕んで薄絹がはためく。
古式ゆかしい帝国式の建築様式を墨守しているその部屋からは、壮麗なる天都の夜景が一望できる。
すこし離れた部屋から楽器を爪弾く音が聞こえる。月は静かに、星は清かに煌いていた。
「美味しかったでしょう小籠包。噂では密かに主上に献じられ、ご賞味もされた味なのだとか……」
「お腹はいっぱいになりましたか?」
窓の向こうにたなびく薄雲を遠く眺めて、天界の離宮もかくやとばかりに絢爛たる室内に目を転じる。
傍らの香炉から立ちのぼる、芳しい紫煙の流され運ばれていく先へと。
■ネイト >
なんかの弦楽器だろう。
種類はわからないけどとても美しい音色が聞こえてくる。
静かに外を眺めていた。
「ああ、とても美味しかったよ」
「僕も大概に金持ちのどら息子と言った生活をしてきたけど」
「このレベルの食事と部屋と香炉はなかなか見ない」
今日のことを思い出していた。
僕は誰だ。僕をネイト・オルブライトと呼ぶ人はもう誰もいない。
じゃあ僕はカナンが言う通りネリーなのか。
わからない。そもそも目の前の男性はカナンと呼んでいいのか?
「…君の事をなんて呼べば?」
■カナン > 「ここはシェンヤン。華の大帝都ですから。探してみつからないモノなんてありません」
「……私のことはどうとでも。抵抗があるなら別の名前でも構いません」
今日は大奮発してしまったので、しばらくは素食で暮らすことになるでしょう。
けれど、それはまた別の話。今ではなく、まだ見ぬ明日の、明後日の話です。
「探しものって、あるじゃないですか」
何の前触れもなく。唐突にそんな話を振ってみる。
「この世界のどこかにあると信じていて、ずっと探しながら生きているものが」
「将来の夢であったり、過去から続く因縁であったり……取り戻さないといけないものであったりとか」
ネリーの立ち姿には華やかな美しさがあって、部屋の雰囲気にも負けてはいない。
手をとり、腰に腕を回して軽く抱き寄せる。
「みつかって、手に入れた後のことなんて考えもしないままに」
「ずっと探しているものが。あなたにもあるでしょう。あったでしょう?」
■ネイト >
抱き寄せられると、嫌悪感はなかった。
それだけ彼女は男性で、それだけ僕は女性なのだろう。
「探しもの」
探しもの。カナンが語るその言葉に、僕は心当たりがなかった。
「僕にはなかった。生まれた時には全てを持っていた」
「望んだだけ女を抱いてきたし、スクールではお祈りの時間もサボってた」
「そもそも何かを心の底から欲しがった経験がないのかも知れない」
カナンの横顔を見て、微笑む。
「僕の中は空洞だ。この生活で少しは詰まっていたものもあったのかも知れないけど」
「さっき赤い砂として流れてしまったよ」
■カナン > 「世界で一番の美女とか、そんなのでいいのだと思います」
「いつかモノにしてやるぜとか、探す理由はそんなことでも」
探しもののない人なんているんだろうか。
それは、前に進む理由がないということになりはしないか。戸惑い気味に首を振った。
「……失くしてしまう前には、当たり前に思っていたことが」
「もっと別のやり方もあったんじゃないかって、自分を責めたりもしたことが」
その言葉とは裏腹に、お腹に力を込めて明るい声を出して。
「みつかる保証なんてどこにもないのに。存在すら確かでないのに」
「探さないといけないものが、私にはありました」
髪の色と同じ、青味がかった瞳を見つめる。
「あなたが先輩であるはずがなかったんです」
「だって、先輩はもう―――」
いつもより少しだけ長く、骨太になった腕で柔らかい身体を抱く。抱き締める。
「………亡くなりました。流行病で。小さなお墓ができて、それっきりです」
■ネイト >
「どうかな……僕はもう前に進む資格を失ってしまった」
「君には僕が女性に見えているのだろう?」
「つまりはそういうことさ」
腹の底にあるものを掬って言葉にしようと試みた。
でも、何度やっても頚まで届かない。
本当は、僕は男性なんだと叫ぶべきなんだろうけど。
僕を取り巻く小さな世界はそれを許しはしないだろう。
そして女性としての快楽を知った今、その言葉に何の意味もない。
抱きしめられると、カナンの広い背に手を回して。
「死んでしまったはずの人が目の前に現れたから、君はそんなに頑張ったのか…」
「それなのに、僕は僕の都合ばかりだ」
「すまなかった、カナン。すまない……」
■カナン > 「先輩が苦しんでいる時に、私は駆けつけることさえできなかった」
「だから、お墓にお花を手向けてみても信じられなかったんです。殺しても死なない様な人でしたし……」
どんな顔をすればいいのかわからない。私は今、どんな顔をしているんだろう。
「ある日突然、ふとした弾みに何気なく……ひょっこり現れるに違いないと。そんな気がしていました」
「誰に言われたわけでもなく、信じていたんです。バカみたいですよね」
麗らかな黒髪を撫でて、獣の耳に触れる。白く柔らかい毛の手触りを楽しむように揉んで。
「どうして謝るんですか? ほんとに現れるとは思ってなかったんですよ。ただ探していただけで」
「私はただ先輩の都合でポイッと捨てられた女なので、一途ぶったりする理由も義理もなかったのですけど」
「いつかもう一度会えたらデートしようって、決めてたんです」
片目をつむり、くすくすと笑って、笑いが収まると口付けを求める。
柔らかな唇が形を変え、隙間なく触れあう感触までそっくりで胸の奥がかすかに疼いた。
「………ん…おかげさまで私のやりたいことリストがひとつ減りました。ありがとうございました」
■ネイト >
「それでも」
口付けを終えて離れて、またカナンの胸に頭を預けた。
距離と裏腹に、僕の口は残酷な言葉を発していた。
「僕は君の先輩じゃない」
何度抱かれても、親しく語りかけてもらっても。
笑ってもらっても。助けてもらっても。
彼女が本当に救いたかったのは僕じゃない。
その事実がより一層、空虚な心持にさせた。
「僕はネイト・オルブライトだ。でも、君がそう望むならネリーくらいにはなれる」
「僕を抱きたいかい?」
「僕は君の所有物だからね。君は僕を抱く権利があり、僕は君に抱かれる義務がある」
言えば言うだけ自分と彼女を傷つけるとわかっていても。
僕にはそれを言わなければならない理由があった。
いっそ、彼女の手で地獄に落としてもらえたら諦めもついたのに。
僕は何故生きているのだろう。
今まで抱いては別れてきた女たちのように。
本当に人の心に決定的な瑕疵をつけないと生きていられないのか。
だったら、生まれなかったことになりたかった。
■カナン > 「ええ。わかってます」
「瓜二つなのは見かけだけ。先輩はもっとカッコいい人でしたし」
「もういない人のことを話すのはやめにしましょう」
もたれた頭に手をそえて、黒髪に鼻先を埋める。ふわりと懐かしい匂いがした。
「それでも」
確信を持って言えることがひとつだけある。
「あなたとの出会いが偶然であったはずがない」
「私、運命とかそういうのは信じない主義なので。これはなるべくしてなった必然だったのでしょう」
「………そういう方向で私なりに調査をしているのですけど、その件はまあ置いといて」
熱い口付けを三度交わす。胸の奥の鼓動が早まり、全身の血が騒ぎはじめる。
「いきなり固いこと言わないで下さいよ。ヘンなものでも食べたんですか?」
「……カエルの卵巣を干したアレは主上も好まれる珍味なのでヘンなものの中には入りませんよ」
「というか、ええ。気持ちいいこと、お好きでしょう?」
股下一寸あるかないかの短い丈の、深く切れ込んだスリットから手を突っこんだ。
下腹部を覆う下着などなく、ふともものお肉に挟まれながらぴたりと閉じた秘所に触れる。
柔らかいお肉をぐにゃりと押し込み、暴き立て、二指をつかって深奥まで大気にさらす。かき混ぜはじめる。
■ネイト >
「……そうかい」
喉の奥に引っかかっているものをそのままに、軽い調子で話を始める。
「まるで僕がかっこ悪いみたいじゃないか」
「僕といえばかなりの浮名を流した、とにかく顔のいい男で有名だったのに」
今は道化を演じよう。
カナンだって暗い顔をした女を抱くなんて気分が悪いだろう。
僕は女だ。彼女は男だ。今はそれでいいだろう。
口付けを交わせば体が熱くなる。
今はそれだけでも飲み下しておけばいい。
「あなたひどいことおっしゃる」
「これから抱こうとする女に言うことかい、それは…ムードの欠片もありゃしない」
「変なものを食べた淫売と罵った上で僕を抱きたいのなら止めはしないけどね」
中をかき混ぜられると、上擦った声が漏れる。
指が入り込む感触が今までとはまるで違った。
■カナン > 「気持ちいいのは好きですよ。私だって。嫌いな人なんていないでしょうけど」
下衣を緩め、充血して熱く滾ったモノを露わにする。
冷たい夜気に触れるだけでぞわぞわとして、脈打つように動くそれを戸惑い気味に眺めて。
「おかしいですよね。自分の身体にこんなのが付いてるなんて」
「こういう道具を使ったことがあるので、ご安心下さい。そんなに酷いことにはならないでしょう」
「たまには立ったまましてみましょうか」
十分に潤んで迎え入れる準備ができるまで、辛抱づよく指を使い、唇を重ねる。
白い肌に浮かんだ汗が散じてゆくたび、動物的な体臭が嗅覚をくすぐった。
「ネリーは気持ちいいのが好き。それでいいんじゃないですか?」
「何でしたら、この間みたいに男言葉禁止にします?」
ふとももと秘所の間、蒸れて熱気のこもった逆三角形の空間に陽物を捻じ込む。
お肉の圧迫に逆らってぬるぬると前後に動かす。行き交うたび、上方に反り返った切先が熱い泥濘を感じる。
我慢しきれずに浅く埋めて、ネリーの体温に押し包まれる感触を味わう。
「ん……! 熱さを感じられるなんて不思議ですねこれ」
■ネイト >
「わかっちゃいないな、君は」
「全くわかってない」
「君は男性としては下の下だ」
それが宣言なく内部に埋まると、彼の肩に抱きついて恨みがましい視線を向けた。
「はっ……初めての女性に対して言うことかよ、それが…っ!!」
「気遣いゼロ、優しさゼロ、ないない尽くしの初体験を女性に強いるなんてね…あっ」
内臓が押し上げられる圧迫感と、それ以上の熱を持った快感を覚える。
「君は最低の男だ、それを自覚して僕を抱くといい」
本能がそうさせるかのように、腰を捻った。
熱に浮かされるように行為に没頭していく。
■カナン > 「当たり前じゃないですか。男性に抱かれたことなんて、生まれてこの方ただの一度も」
「そういえばこの身体、膜あるんですよね。まだこれで終わりじゃないですよ?」
奥へと進むたび圧迫が増していく。
行く手を阻むモノに突き当たると、ネリーの体重がその一点にかかる様にして少しずつ引き裂いていく。
「ふふふ。そのうち慣れるでしょう。二度目があるのかどうかわかりませんけど……」
「お喋りはそれくらいに。舌、噛んじゃうかもしれませんよ」
顎を持ち上げて唇を奪う。その間も開拓は進み、ある一点を過ぎると一気に深奥まで呑み込まれた。
熱く蕩けるような圧迫に全身が呑まれたみたいで、痺れるように甘い快楽が背筋を駆けめぐる。
「ん……っ!! あ……っ、んん…大丈夫ですか?」
我知らずじっとりと汗ばんでいる。
浅い吐息を漏らしながら、ネリーの乱れた前髪を指先で軽く払う。頬を撫でて、ふたたびの口付けを交わす。
■ネイト >
「……君にも僕が言われた言葉をプレゼントしようじゃないか」
「あなたって本当に最低のクズだわ」
言われて直す気がさらさらない。
全く懲りない悪びれない。
この男に僕は膣内射精されるのか。
「うるさいな、ムードも考えないで行為を続ける男なんて罵られるのがお似合いだ」
「舌を噛んだら君にもよくわかるだろうさ、僕だって赤い血が流れてることがね」
そう言って口付けに舌を絡めて返す。
フン、今のはまぁまぁだ。
中がどうしようもなく高ぶって、時間の感覚が薄れていく。
甘い声の合間に罵ってやろう。
そして、僕は絶頂を迎え。がくりと彼に体重を預けた。
■カナン > 「えっ。そんなこと言いましたっけ!?」
「女の敵とは言いましたけど。たぶん今の私もそういうアレなのでしょう」
ぷんすか怒られながら情愛を交わすのも悪くない気がしてきました。
「一生このままで、元に戻れる見込みもない……なんてことにならない様に、祈っておいて下さいね」
交合は続く。いつになく怖い顔をしたネリーに怒られながら。そして―――。
未知の快楽がこみ上げてくる。抑えることなんて出来ずに爆ぜる。溢れだす。ぶちまけてしまう。
「…………こんな感覚……知らな…っ!」
焼きつくような強烈な快楽の余韻を味わいながら、繋がったまま倒れこむネリーを支えて荒い吐息をつく。
「ふぅ…っ………怒った顔も可愛いじゃないですか」
「せっかくですし、怒られついでにいろいろ試してみましょうかね」
交合は続く。天都の空が白むまで。
はたまた二人そろって力尽き、昏々と眠りに落ちるその時まで。
ご案内:「北方帝国シェンヤン「帝都シェンヤン」」からカナンさんが去りました。
ご案内:「北方帝国シェンヤン「帝都シェンヤン」」からネイトさんが去りました。