2023/05/21 のログ
ご案内:「タナール砦」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >
 花でいえば、既に春を過ぎたタナールの陽は荒れていた。
 寒く凍えていたあの頃 鎧は蒸れるどころか霞がかり霜のような冷たさを鋼色で示す。
 今は正反対に、陽熱を吸い取るかのようだ。
 革の鎧は汗と締め付けでギシリと軋み、匂いがツンと鼻を刺す。
 血の匂いは濃くなり、漂う。
 寒いあの頃は匂うどころか、雪に堕ちていきそのまま吸われてしまっていたというのに。
 
 だからこそ、魔と獣の匂いが濃い敵方の、朝焼けがかるこの奇襲。
 昼でも夜でもない春を過ぎた早い朝の始まり。
 其処で始まる微睡も抜けない者らに交じり、剣撃の応酬を行うメイラ
 及び、メイラの狂気が伝染したかのような、肩を並べた同輩達。
 犯罪者の再利用 無理やり来させられた者
 武で示したかった何者か達。
 臨まなければハテグもタナールもアスピダも、全て等しく外れくじだ。

 スペアを比較的に安全な場所で控えさせておくといったやり方すら通用しない。
 貴族の三番目四番目に胎から出てこようとも、誰も守ってはくれないのだ。


   「―――■■■■■っ!!!」


 白いギザ歯を剥き出しに、赤い瞳と白い眼が、霞みあう。
 黒い鉈 銀鉄の斧 黒い鎧 獣のように、重い剣撃を魔を含んだ者らの武具
 それらとぶつかり合い、鋭い痛みの音でもない 弾むような撓んだ音でもない。
 鉄と鉄 それらがぶつかり合う音は、互いの一撃を吸い合いながらも
 吸い取れきれずに周囲に、その衝撃という音を飛ばす音。
 剣と剣のチャンバラをやりつづけるつもりもない。
 そんな活劇をする為にいるのではない 
 ぶつかり合う最中、手首ごとその首を振るい落とした際の
 首は赤い線を上級に そう[ℓ]の線をぐるんぐるんと描いて飛びながら
 メイラは、この朝焼け過ぎる中、魔よりも魔足りる者を象っていた。

ご案内:「タナール砦」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にヨハンナさんが現れました。