2023/05/16 のログ
ご案内:「タナール砦」に銀華さんが現れました。
銀華 >
 天候は曇り やや雨が降った後の湿り気を、まだ土が覚えている。
 タナール砦は混乱にあった。
 人も魔も、此処では攻防が目を向ける度に変わるといっていい。
 互いの領域を侵し進まないように、領域を維持するための様に常に殺し合い続ける。
 殺し合い続けることに意味がある場所、とも言えるかもしれない。

 けれども、魔であるというのに、相手が魔であるのに。
 其処を取り返した間もない頃合いに横槍を入れるように
 人も魔も交じり合った第三勢力に推し進められてしまったら
 それはもはや抵抗する術はない。

 長烏帽子兜 濃紺色の長髪
 この一帯では珍しい故にシンボルになりやすいその兜と鎧の造り
 馬で跨り、攻め入る集団
 誰かが叫んだ 旗印の紋 第三勢力 “魔王エルビー・カルネテル” だと。
 魔王がいるわけじゃない しかし魔王の配下が、此処へと再び攻め入った。
 大義や拘りも見えない 攻め入って滅ぼしたかと思えば 次の勢力に対し潔すぎる撤退を見せる構え。
 魔王が一体何をしたいのかが見えない 配下が何を命じられたのかが見えない。
 ―――同族殺しと罵られようともだ。


   「魔王 エルビー・カルネテルが一柱!
    ―――銀華 己(わたし)が矢面引き受ける!!」


 楽し気な表情 堅牢な砦も、魔も人も血の匂いも
 全てが銀華には、新しく見えて仕方ない。
 両手に抜いた、手放しで跨る馬の上 大刀二本
 黒の打刀拵えと白の鎖太刀拵え。
 蹂躙を味わった魔族の笑みとは違う、突然の空気に現実な追いつかない表情の豚鼻面の首


   「―――しゃぁっ!!」


   “ぼぎゃっ”


 首の骨が切断され、宙に舞うすれ違いざまの振りぬきと共に、砦内で始まる
 同族と同族の、殺し合い。

ご案内:「タナール砦」から銀華さんが去りました。