2023/03/24 のログ
ご案内:「タナール砦」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >
 タナール砦 昼間
 天候 暗雲の霧雨にて

 此処数日 タナール砦の頂上からでも見える見事な桃色の花が点々と見えるだろうか
 しかしそれは兆しになる。 あの見応えのある花が咲き始めると、ある一定を過ぎた頃から
 まるでその枝ぶりから一斉に叩き落とすかのように雨が降るのが決まりになっていた。

 そして今日 数日の雨が続く中 霧雨となって全身にしっとりと濡れるそれ
 大嫌いな雨の一つにこれは上がる。
 上から塞いだところで少し風が吹くだけで横から全身を濡らしてくる。
 雨は体を冷やし 踏み込みを浅くさせ 視界を鈍らせ 匂いを途切れさせる。

 互いにやや具合の悪い場となるこの時 タナール砦は人間側に置かれていることとなる。
 手に入れるのではなく防衛線
 それに対し、メイラは砦と言う境目から向こう 魔族国側に首無しの愛馬に跨る姿
 銅板で付け根を塞がれ、銜もなく胴付きの手綱を握る姿の後ろ
 メイラ・ダンタリオの狂気に呑まれ、浸かり、共にいるようになってしまったイカれの集まり。

 飽くまでもメイラは将でもなければ英雄でもない
 遊撃部隊の先陣を切る 王の力で嵐であればいい。
 周りが勝手にぎゃあぎゃあと吠えるばかり
 先陣を切るバカでかい穂先で充分だと、ギザ歯から漏れ出る白い吐息
 この生ぬるい 雨で少し冷えただけの空気の中で零れる吐息は 一体どれだけ臓腑を熱くさせているのか。

 向こうから見える騎馬と徒歩の部隊
 砦の頭上 弓を引き絞る音と共に、砦の将が敵を惹きつけ、弓から矢を放つ怒声と共に
 弓の弾む音と幾つもの線が、向こう側の奴輩を穿ち倒れ伏す者と、生やした者らで分かれていく。
 弓をもう一度放つと、次には丸みを持たせた石くれによる、強力な樹脂材と革によるスリング
 それらが放たれていき、礫を放るよりも効果的な一撃がいくだろうか。

 しかし向こう側は人ならざる者らの集まり
 この中で、あれに対して恐れもなく立ち向かう経験と狂気を担うのは メイラの所有する部隊以外
 どこまで延びるのか。

メイラ・ダンタリオ >
 弓 スリング 遠くからの嫌がらせが終わるや 向こうもそれは起こる。
 弓を引き絞り、ゴブリンでも扱うようなそれを構え、やり返してくる。
 しかし砦の前にいる メイラの部隊 他いくつか
 それらに対してでしかできないのならば 盾持ちやマントで弾き返す経験から来る矢避け
 メイラも同じく 鎧はいざ知らず馬に一々当てられても面倒だと、スリットの入った両翼マント
 それの片側で バシンッ バシッ と大きく二度振りつけて矢を落としていく。

 そして向こうから、いくつもの唸り声と共に 全力全身が始まった。


        「アスピダよりも、随分とわかりやすいですこと。」


 ギザ歯から零れ出る言葉は、アスピダ攻防戦に比べて単純明快
 圧されたら負ける 滅びれば負ける で示させる防衛戦線。
 なんらストレスを感じることのない答えに対し、メイラは肉厚な首無し馬の上
 背に掛けた大剣擬きを片手で持ち上げ、宙に浮かせる。
 大きく 重く 厚い 刃先は鋭く根本は鈍らに近い 斬撃よりも貫くことを得意としそうな
 一見グレートソードに見えるそれは、巨人槍の穂先。
 周囲は剣の間合いに入らないようにしながらも、全員が抜剣 同じく突撃する構えをとった。


        「何度護れば 王はお喜びになるのでしょうね。」


 そう言って、愛馬の蹄と他者の蹄が鳴り重なり始めながら
 互いが近づいていく 魔族の醜いシルエット
 無毛緑体 土色豚貌 体毛牙口
 様々な特徴を感じながら、先頭へと、躍り出る。

ご案内:「タナール砦」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。