2023/01/18 のログ
ご案内:「タナール砦」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ > 砦という場所は 手に入れれば守りに徹する場所
門は巨躯や閂を砕かんばかりの外側からの一撃がなければ流れは生まれず
必然的に砦の最上段からの侵入
梯子を用いてくる粒の群れ
それらを始末し続ける 疲労と消耗 どちらが勝るかの瀬戸際が延々と続く。


その大舞台
最早アスピダでの始末は浸食が広がろうというのなら、再び引き籠らせればいいと
メイラは近くのタナールにばかり意識を向けていた
道中のゾス村から山賊街道近くの山賊狩りや、役に立ちもしない者に対する憤りを添えて。


「タナールは良いですわね いくら奪われても諦めない
 変化の坩堝 鼬ごっこ ―――上等ですわ。」


そう言って佇む場所 この魔境 言葉通りの境目にして 魔の内側にメイラは騎馬と歩兵の群れ
その最前線で構えているという異質な配置。

力の塊のようなメイラと轡を並べる者らの日常は奪い返しだった。
しかし今は奪い返しではなく、奪われたものを取り返すものらを迎え撃つ防衛線
それに対しメイラがとった行動は、適時表に出ては砦の中へと戻っていくという
散らかし放題の舞台を作り上げることだった。

暴れていては矢雨 礫 を降らせることもできない
精々が零れてくる者らの始末くらいしかできないだろうか。
砦の中にいる者らは、楽ができると笑みを浮かべる者から、逆に最先の端を往くメイラがつぶれた場合
此処は落ちると喉を鳴らし経過を見守る者の二択に分かれる。

向かってくる勢が見える中
砦を昇る事を意識していただろう者らは待ち構える牙と歩兵の群れ
まるでハテグのような現場に対し、矢を番えることを始めようものなら
逆にメイラ達の外側から矢が降ってくる。
あれに混ざらなければ距離も詰められないまま雨を浴びるだけ。

雨を浴びないようにするには混ざるしかない。

単純な回答 互いに突っ込むしかなくなった現場を作り出すしかない答え
馬鹿と思えるかもしれない しかし、魔の勢は目の前

―――その馬鹿をやり始めて突っ込んでくる者らを見たらもう、混ざるしかなくなってしまった。

メイラ・ダンタリオ > メイラが最前線へと、騎馬の蹄を鳴らす
首無しの妖馬 断たれた首に銅板で蓋をされた妖。
それに鞍を身に点けさせて跨り、銜も咥えられないのに首元の手綱だけで操って見せる。

黒毛の太くたくましい戦馬の足取り
上で跨る黒真銀で身を包んだメイラは、赤い瞳 ギザ歯 三つ編みを下から折って上でつなぐ髪
右手には長槍 笹葉のような穂先を携えて、蹄が土を抉る。
続く勢 メイラに合わせた歩兵 亜人 リザードマン 耳付き 人ではない者が多い
足に自信がある者らが、メイラの周囲で蹄の歩幅に合わせて駆けていく。

メイラから離れた位置 メイラの背中を見つめ続けた狂気に呑まれてしまった集団が、後に続く
切り込みの突兵集団 死が近いのに、死に触れると感じない場所。
騎馬と歩兵の群れに対し、砦に馬で挑むはずがない勢
物量が迫ってくるのに対し、歩兵らは弓を番えようとすることしかできない


「弩ォッ! 構えェェッ!!」


廻りで走り込む集団らが、走りながら終えている弩を握り、構えだす。


「―――放ちなさいッッ!!」


一手を崩せ
それで始まる

矢が真正面から放たれた瞬間
メイラは首無し馬の上から、その大身槍を右側から左側へと、下へ向かって薙ぎ払う。

首無しの利点はそれ
右側 騎乗でしか責められない範囲を塗り替えるように

右 左 右 左

振い続ける槍の穂先が、斬りこんでいく。散らかしていく。
続く歩兵らが、散らかした者らの首 眼 穿てる部位めがけて殺到する。
人よりも 大柄 力増す それもまた、魔。
しかしメイラの騎乗した高さからならむしろやりやすいように
首めがけて怪力令嬢の通り名の通り 魔と張り合う怪力が刃で裂く。

首 腹部から突き刺し、頭上へと向かって捻りあげた腰
まるで後ろを振り返るような振るい上げ。
割腹された縦筋から、零れ出ていく肉の筒。


「―――アハハ ハハハハハッッッ!!」


歓喜だった 首の数などいらない 首級が欲しければ始末をつける者らにくれてやる。
仕留め続け、転ばせ続ける 大柄な者をその鉄でくるんだ柄がボグンッと転倒させた瞬間、追従の切っ先が降っている。
矢も礫も顔面以外急所にならない 黒真銀が弾き 群れた矢ですらその革のマントを翻せば叩き落とせる。

狂気の流れを造り 狂気の流れに呑ませる
勢いを弱めず周囲を燃え上がらせる。
耳や首 鼻 歯列の白い粒 それらが槍を振るうたびに宙へ舞うのをが赤い瞳に入り込む


―――絶え間ないこの空間で働けてなんて、なんて幸せなんだろう
―――あの御方の困りごとをまた一つ片づけることができる
―――残念なのは、この頭にあの御方の手を添えてもらうことがもう二度とないことか。


強請らない
求めない
待たない


きっとあの御方は喜んでくださる


自己満足にも似たそれだけが、メイラを前進させる。
誰かがもしこの内の言葉を聞いたなら吠えるだろうか

死者が 腐敗したあの国の王が褒めるものか! と

しかしメイラは断言する


あの御方 あの御方の国に対する痛みが減るだけで十二分すぎると。
そんな狂気的な忠義に、だがしかし応えてくださると確信している。

ご案内:「タナール砦」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。