2022/06/05 のログ
ご案内:「タナール砦」にアスベルさんが現れました。
■アスベル > 今だ魔族の占領するタナール砦。
そこに現れたのは一人の男だった。
肩で大雑把に切り揃えた漆黒の髪、瞳は前髪に隠れて見えない。
シャツにジャケット、ジーパンにブーツとラフな格好は、この砦においては場違いな格好だろう。
しかし、そこに留まる魔族達の反応を見れば只者ではない事は解る筈だ。
男の為に大きな門は開かれ、悠々と砦を抜けて行くのだから。
何か言い掛ける魔族の言葉を手で制し、構うな、と言わんばかりに。
男は、砦を抜けて人間の領域へと足を踏み入れる。
「あの野郎は、まだあっちで寛いでやがるのか。
ったくよぉ、挑むのに一々出向かにゃならねぇとか、面倒掛けやがって…」
ポツリと独り言を洩らし歩む男。
門が閉じられれば一人、もし人間側からの侵攻の動きがあったなら、たった一人で先ずは相手取る事となるのだろうが。
それを気にした様子は一切見られなかった。
■アスベル > 「どうせアイツは人前にゃ来ねぇだろ。
また山の上かどっかでやり合うしかねぇよなぁ」
歩みながらそう呟き、視線を先へと向ける。
地理に詳しい者が居るなら、その視線の先にあるものが九頭龍山脈と解るだろう。
そもそも人前で戦う事になろうとも構わない。
しかし、場所を考えねば余計な邪魔が入るのは間違いない。
他愛も無い雑魚でも集まると面倒な事この上ないのだ。
歩み、砦もそれなりに離れた頃合。
男はふと足を止める。
ここならば、暴れようとも砦からは遠く見えないだろう。
監視等をするならば、程よい距離と言えよう。
そうした場所だからこそ…
感じた気配は動物か、魔物か、それとも人間か。
男は足を止めたまま、静かに佇む。
■アスベル > 「……まぁ良いか」
それだけを次いで呟けば、止めていた歩みを再開する。
害の無い動物、自分に怯えるだろう魔物、敵意も見せない相手。
そんな相手に興味が向く訳もない。
そのまま男は姿を消してゆくのだった。
ご案内:「タナール砦」からアスベルさんが去りました。