2021/05/03 のログ
■ベルナデッタ > 人類が奪取し、しばらくが経ったタナール砦の外縁部。
ベルナデッタは魔族の国側に果敢にも足を延ばし、偵察に出ていた。
最近斥候なのか魔族とこちらの歩哨との遭遇や小競り合いが多くなっていたり、歩哨に被害が出たりしているのだ。
もしかすると、大規模な攻撃の予兆かもしれない。
「どうせなら、魔族の一人か二人捕まえられると良いのですが…」
異端審問官は供もつけずに一人で歩む。
歩哨たちとは巡回のタイミングをズラして、魔族の痕跡を探す。
ご案内:「タナール砦」にメーアメーアさんが現れました。
■メーアメーア > 魔族の国側。
ここから先はかつて大規模な火炎魔術か、あるいは呪いでも炸裂したのか、
表面が黒く炭化したようになったまま立ち枯れた木々ばかりで身を隠す場所が少なく
さすがに単独偵察ではなく威力偵察目的の『部隊』でなければ立ち入れないエリアにまであなたが
近づこうとしたときのことだった。
ふいに幻影の如き、小型の山砦めいた建物が蜃気楼めいて揺らぎながら
しかして確固とした存在感を持ってあなたの前に立ちふさがった。
野蛮で粗野ながら、ときおり上位種を気取り滑稽なまでに余裕を見せるそのやり口。
気づかれている。しかし、先んじて攻撃を仕掛けるでもなく
いきなり幻影の砦を出現させるこの手法は……あきらかに『魔族』の――
それもある程度、力を持ったモノがやるやり口だ。
「――勇気があるならば、どうぞ」
男とも女ともつかない、やや不明瞭な声がそれとだけどこからか発せられ
あとは静寂だけがあたりを支配した。
明らかにトラップ――挑発に乗り進むべきか、否か。
■ベルナデッタ > 「勇気があるなら、ですか」
突如目の前に出現した砦。
明らかに魔族、それも高位の者の術。
普通の人間なら、それに恐れをなして逃げ帰ってしまうかもしれない。
賢ければ、罠を警戒してまず情報を集めるだろう。
だが、ベルナデッタは…迷いなく砦に向かい、進む。
「貴方こそ、私を目の前にする勇気はあるのでしょうか、ね?」
罠を張るなら、踏み潰すまで。
ベルナデッタは砦の中に消えた。
■ベルナデッタ > 【以下別室】
ご案内:「タナール砦」からメーアメーアさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からベルナデッタさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にタピオカさんが現れました。
■タピオカ > 此処はタナール砦。
炎で焼かれ、表面が黒く炭化した上に血の匂いが染み付いた石壁に弓兵が息を潜める胸壁、動かすたびに軋む吊橋は攻撃を受けて何度補修したか数えられない。天幕を張っただけの救護室では怪我人が水を求めて呻き、寄せ集めたちの雑兵たちは薄暗い目で夜な夜な焚き火を囲み、不平と共にエールを飲み下す。
消耗戦にも報復戦にもくたびれ、もはや人目も憚らずに虫けらのように交わる男女。
そんな陰鬱なタナール砦は――ここのところ非常に平和であった。
「魔族の大規模な攻撃があるから備えろって言われてもう一ヶ月にもなるね。
――ゴブリン一匹、せめてくる様子も無いねー」
見張り台にて片目を瞑り、望遠鏡であたりを確かめる褐色肌の冒険者もさすがに緊張が解けてきた様子。
緊急招集がかけられ、自分と一緒に編成された傭兵正規兵混合中隊の皆は毎日カードとダーツに明け暮れている。
「王都に迫る勢いの大群が来るっていう情報、嘘だったのかな……?
でもいいや!こうしてるだけで傭兵としてのお給与貰えるもんね!」
冒険者ギルドを通して砦の傭兵としてやってきた身としては、何もしないでお金がもらえる美味しいバカンスだ。
まだ昼ながら、早くも酒精を口にする騒ぎを砦の内部に感じつつ、ゆったりと見張り台の縁にもたれ。
ご案内:「タナール砦」にスピカ=キャスタルさんが現れました。
■スピカ=キャスタル > 小康状態が続くタナール砦。普段であれば付近を通るのも嫌なのだが今日は仕事だ。物資運搬の護衛ということで荷馬車に同行しこうしてやって来た。
「ふぁ。なあ御者クン。何事も起こらないのはありがたいが些か退屈じゃあ無いかい?この分ならボクの護衛なんて要らなかったと思うのだけど?」
『まぁそう言うなよ嬢ちゃん。俺は無事に帰れる。アンタは楽に稼げる。いい事づくめじゃあないか。』
「ふぅん。そういうものかね 。」
大きな欠伸を隠そうともしない気だるげな女。やがて重苦しく開門する砦へ入ると兵士や傭兵たちがお目当ての品を求めて馬車へと群がる。
「確か片道の護衛だったね、帰りは何人かの兵士を連れて帰るんだろう?ボクの方はどうとでもするから同行はしないよ。達者でね。」
依頼完了のサインを羊皮紙へと貰いさてどうしたものかと砦内を宛もなくうろつく。自分から来ない場所だけあってこんな場には数奇な出会いでも転がってるんじゃないかとも思う。そうしてミレー族風の女(そう見られるがれっきとした人族である)は突如砦探索ツアーへと洒落込むのだった。
■タピオカ > 見張り台は尖塔の最上階、砦からは長い梯子を登った場所にある。城壁よりも背が高いそこからは、野外の様子と同じぐらい砦内部のこともよく眺められた。
荷馬車が現れ、そこへ兵士たちがポーカーの手札を伏せるのも忘れて集まっていく。どこか無邪気な、チョコレートを配る馬車にわっと群がる子供みたいな光景に思わず目元を細め。
特に自分あての支給品は無いはずだけれど、おこぼれにでも与ろうと梯子を降りかけた。
その時、人族の砦には珍しいミレー族の外見を持つ少女が馬車から離れていくのを見かけ。
物珍しさと愛らしさに惹かれ、彼女に見えるように大きく手を振ってみせる。笑顔混じりに。
■スピカ=キャスタル > 「おや、あんな子供まで戦線に送り出すなんて世も末だねぇ。まぁ、ナリの話をすれば僕だって大差はないか。」
監視塔から降りてくる少女が手を振っているのに気付きやんわりと笑みを浮かべ小さく手を振り返す。恐らく彼女も荷馬車へ何か受け取りに行くのだろうか。であればここで待っていればあちらから自然に近付いてくるだろう。
「あぁそうか。いつも通り手ぶらだから特に渡せるものは無いのか。これは困った。」
アンティークな女学生服をモチーフにした導師服のポケットをひっくり返し何か持ってないかと漁り始めるスピカの行動は傍目から見れば不信以外の何物でもないのだが生憎と彼女はそれほど他人の目を気にしない。降りてきた少女が声をかけるまでこの奇妙な行動は続いているだろう。
■タピオカ > 木製梯子の両端に手足を沿わせ、半ば落ちる勢いに任せ、するるっと木目の滑る音が微か。着地間近で両手に握力をかけて落下速度を緩めると両足の裏をつける。この砦に来てそれなりに長く、素早く梯子を降りる技術も既に習得済みだった。
荷馬車を中心にできた人の輪から離れていく彼女へと近づいていくと、どうしたって男性が多い前線へと久しぶりに同性が訪れたという心地よさに緩む表情。
「こんにちは!……ここに女の子が来るなんて滅多にないから、歓迎するよ!
あの荷馬車の護衛で来たんだよね?お疲れさま!
砦にはしばらく滞在するの?それなら、案内しよっか……?
――え、と。どうかしたの……?」
声音弾ませる挨拶。身振りもうきうき、矢継ぎ早に言葉を重ねるけれども。マグメールの学生にも似た、身なりの良い衣服を手探る様子に小首を傾ぎ。
■スピカ=キャスタル > 快活そうな少女が捲し立てるように矢継ぎ早な質問をしだす頃、彼女はお目当てのものを引き当てていた。
全く聞いていないようで通常の耳、魔力で象られた獣耳。4つ耳のスピカはしっかりと話を聞いていたようで受け答えに移る。
「おっと失礼、順に答えるよ。ボクの目が確かならキミも【滅多に来ないはずの女の子】なんだけど大丈夫かい?見たところむさい野郎だらけの砦だけど不自由していないかい?ほら、コレくらいしか持ち合わせがないけどあげるよ。」
と言い見つけ出したお目当て…街でたまたま買って持っていた袋入りのクッキーを差し出しながら護衛で来たこと、予定は特に無いがとんぼ返りするような予定も無いため少し滞在しようと思っていたことを告げる。
■タピオカ > 「僕なら大丈夫!これでも腕っぷしには自信があるから。
――わ、クッキーだね!ありがと!
確かにここ、筋肉ばっきばきの男の人が多いけどね。
それなりに教養があるひとも居るよ。例えば、小さなプランターで傷薬やお茶になるハーブを育ててる人だとか。
その人のところへ行ってハーブを分けてもらいに行くっていうのはどう?ハーブティーを作ってあげる。おもてなしとしてはささやかだけど、歓迎のしるしだよ!」
たいていは保存の効く食料だったり、砦の周囲をうろつく野の獣の肉であったり。どうしてもワイルドになりがちな食生活にまばゆい袋入りのクッキー。両手で受け取って頬を弛め、お礼を告げつつ。彼女の少しの滞在に釣り合いそうな余暇の過ごし方を提案してみせるのだった。
彼女がそれにどう答えるかはさておき、自分に出来うる限り快適な滞在を提供するつもりで。砦内部の少しだけ眺めの良い場所だとか、これだけは豊富な地下水の、意外に清い冷たさを体験してもらったりだとか。そんな感じで相手とのひとときを過ごしていく事だろう――。
ご案内:「タナール砦」からタピオカさんが去りました。
■スピカ=キャスタル > 一先ずは喜んで貰えたようだ。自分も折角足を運んだのだ。退屈な小旅行になってしまっては不本意(戦況が動けばまた話しは変わるのだが。)案内を買って出てくれた少女に礼を言い砦の散策へと移っていくのだった。
ご案内:「タナール砦」からスピカ=キャスタルさんが去りました。