2021/02/26 のログ
ご案内:「タナール砦」にアマンダさんが現れました。
アマンダ > 日暮れにはひとまずの趨勢が決し、其の日、砦は人間側の軍勢の支配下に在った。
戦の後の高揚感に煽られる侭、酒を酌み交わす者、連れて来た女を褥に引き込む者、
そして、捕われた魔族の女を、甚振り玩ぶ者も、また。

頑丈な石造りの小部屋が並ぶ地下牢、魔力を封じる術式が組み込まれ、
無力な女となった魔族の姫が、隣の牢で男たちの慰み者になっているが、
見た目が余りに幼過ぎる所為か、己は未だ、靴を奪われ素足で冷たい床に座らされているのみで、
特段の攻撃も加えられてはいなかった。
とは言え、両手首は後ろ手に回され、魔力封じの黒い枷で戒められており、
鉄格子の向こうに伸びる廊下には、半時ごとに見張りの兵が行き来し、
見た目はただの小娘に過ぎない己にも、油断無く視線を向けてくる。
何か不穏な動きがあれば、直ぐに格子扉を開けて、取り押さえに来るに違いなかった。

「………下級兵士風情では、屠っても仕方ないわね」

溜め息交じりの呟きは小さく、細く、廊下を歩く兵にも聞こえない程度。
無力な小娘を装い、大人しく繋がれている理由は、ただ、ひとつ。
可能な限り大きな獲物を、此の場で一人二人、仕留めてやりたい一心だった。

アマンダ > 視覚が奪われていない以上、力を使うことは、全くの不可能ではない。
然し未だ、其の時では無い、と己に言い聞かせて―――

ただひたすら、息を潜めて待つ。
果たして、其の顛末は――――――。

ご案内:「タナール砦」からアマンダさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にトルナードさんが現れました。
トルナード > ―――タナール砦 昼間と夕暮れの間―――

現在、魔族が占拠し少し人間たちから有利な立ち位置にいるタナール砦
しかしいつでも奪われ、奪い合う其処は常に全力の奪い合いがあるわけではない
状況を見ようと覗き込むような密やかな者や、毎日を嫌がらせのような行為で相手の感情を煮立たせていく者もいる
そして感情が全て煮え切ってしまい、蒸発してしまったときほど、狩られやすい

タナール砦上空にて、二つの影が大きくもなり、小さくもなっていく状況がそこにあった
一つは黒く風で伸ばした長い髪が見えるトルナ-ドがいた。 高めの身長を支える大きな鋼の翼を使い、重量のありそうな体重
それが空という高度の舞台で浮き操られていく。 片や大型の鳥獣を用いて飛行偵察か
それとも燃える火油でも落としに来たのか、見えるそれは二羽の影。

人間と分かったのは偶然にもトルナードが、せいぜい物資運搬か上空偵察をする友人と思ってのことだった
一緒に飛ぼうと、その硬くない思考が近づいていくと、二羽と一翼はすぐに交戦状態にはいる。
人間に空を飛ぶ友達なんていない そんな単純な答えこそが迷いを生まなかった

「―――~~~~こん  のぉっ!!」

空という舞台で、空気抵抗を物ともしない旋回運動
両腕の鋼色をした、Ý字型の三つ指の爪は冷たく控えている。
あれに掴まれた食い込まれた瞬間逃げ道はないと、視界に収めればわかるだろうか。
二羽は連携を取り、脱出をしようとするものの、何度目の前を、その鋼翼が通り過ぎただろうか。
振り返りざま互いに意識し合うような目配せ

その時、トルナードは一体を強引な振り返りで鋼の翼を叩きつけた
強烈な金属製の張り手打ち。 乗り手は零れ、大鳥はふらつきながら落ちていく。
それは砦の仲間が後で拾い上げるだろうからと、最後の一羽 それを再び、トルナードは眺めた。

トルナード > 交戦は続く
空の決闘 それは戦場ではやや珍しい部類だろうか
竜 怪鳥 空馬 空を飛ぶ生き物は少なく、調教師、乗り手となり、空をかけることは一種の戦士の誉れだ

魔族からすれば背中に翼を生やす者など珍しくはない
しかし空を駆け、何度も8の字を描き交わろうとする一体と一体 翼と翼 それを見上げる者は少なからずいた
一翼を落とされた相方の一翼は 任務 怒り 友情 冷静と激情に揺れながら、取った行動は友情だった

上記のように、空を駆ける仲間は人間には珍しい
数少ない同じ目線にいる友人を失いたく一心か 救助を試みる様に8の字から抜け出し、真っ逆さまに降下していく
それに追いすがるトルナード 燃える油に火をともし、敵を捲こうと散らすものの、腰に下げていた紅葉型の刃の団扇
それが炎を散らしていきながら、背中にとりついた。

乗りてと大鳥の、首と首を掴む二つのY字指
鋼の塊を錬成したような四肢の二本 それは首を掴み、冷たく冷え、強く締め上げる。
トルナードの降下は続く。
耳を通り過ぎる冷たい風が裂けていく音と共に、地面が近づいていく中、トルナードにも、囚われた者にも、何をされるかは決まっていた

「タナァーーールスープレックス!

            トル
              ナード
                 ォ
                  ォ
                   ォ
                    ォ
                     っ!!」

降下と共に、伸びる声

              「バスタアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

爪を放す 急降下の力が加わり、締め上げられ意識を失っている乗り手と大鳥 地面へと激突する音と共に、旋回し上空へと螺旋を描いて飛びあがる鋼の翼

決着がついた瞬間 空の勝負は終わりをつげ、状況も、嫌がらせも伝えられないそれらは友情を糧に同じ地面で終えることとなった。

ご案内:「タナール砦」からトルナードさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にアマンダさんが現れました。
アマンダ > ―――――そろそろ、頃合いか。

深更の夜、静まり返った砦の地下牢で、己は暫く閉じていた瞼を開く。
数刻前には人間たちが、酒に酔い、女に溺れ、其処此処で笑い騒いでいたけれど、
殆どの者が眠りに就いてしまったか、随分と静かになっていた。
誰か、屠り甲斐のある獲物でも遣って来ればと思っていたが、
こうなれば、此方から探しに出る方が得策か。
――――後ろ手に嵌められた枷は其の侭に、座り込んでいた石牢の床から腰を上げる。
壁に背中を預けつつ、床に素足をつけて立ち上がり、躊躇い無く鉄格子の前へ進み出た。

頑丈そうではあるけれども、格子の一本も破壊出来れば。
己の身体ひとつ程度、するりと抜け出せそうだと思う。
黒光りする鉄棒へ視線を凝、と宛がって―――呼吸を整え、意識を束ねる。
薄氷色の一対が、俄かに光を帯び始めれば。
縒り合わせた力が其の一本を、芯から凍りつかせるのも、もう時間の問題だった。

ご案内:「タナール砦」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 静まり返った砦の地下。
鉄の格子が彼女の力で芯まで凍りつくそれより先、足音が響く。
コツリと分厚いブーツが石造りの床を踏む音。

「いい気なもんだ…」

酒は嗜む程度、乱交にも混ざる気もなく…いや、故あって混ざることはできない冒険者は
地下牢の見張りを申し出たというわけだ。
自身の立てる靴音と独り言だけが響く地下の空気はひやりと冷たい。
それはそうか、地下なのだから…
だが、なにか…勘のようなものが働いたか、それとも空気の冷たさに不自然なものを感じたのか
少し足早に牢の前に立つ。そこでは一人の女が牢に捕らわれていた。

しかしおかしい。
格子の一本が妙な光を帯びている。そして、先よりも強く感じる冷気。

「動くな。妙な真似するんじゃねぇ」

何が起きているかはわからなかったが、脱走を企てているのはすぐにわかった。
声を低くしナイフに手をかける。

アマンダ > ―――――ふ、と、集中を乱す音。
音よりも気配、近づいて来る靴音、けれども然程、強大なる気配ともみえない。
ならば、と上げかけた視線を眼前の鉄棒へ戻したが、術の行使は遣り直しだ。
内心盛大に舌打ちでもしたい思いだが、表情には出さない。

やがて、足音の主が視界に映る。近づいてくる。
鉄格子を隔てた先に、小柄な其の姿。
緩く瞬いて、視線の焦点を移動させる。
鉄棒から、其の向こうに立つ、誰ぞ、へと。

「―――妙な、真似…?」

相手の目に映る己は、彼より小柄な少女の姿。
彼の言葉を無為に繰り返す声も、小首を傾げる仕草も稚い。
然し、真っ直ぐ向けた眼差しだけが、魔性の彩を露わにしていた。

視線が彼の面から、首筋、肩、腕へと流れる。
そうして、視線の集中する先が―――彼の、利き手の先へ。
其処に得物があるのなら、冷気を向ける先はもう、決まっている。
果たしてどの程度、効果があるものか知らないが―――――。

ブレイド > 見れば幼い少女のように見える…
が、それならよしと退けるわけもない。
少女は何もしていない風に装っているが、先に映った淡い光と
周囲に漂う異常な冷気が、彼女がただの少女ではないと物語っている。
そもそも、ただの少女がこんなところにいれられているものか。
この砦に人間の少女を閉じ込めておく牢など必要はないはずなのだから。
補給物資を運んで昨日やってきた自分には、彼女がどういう背景でここにいれられているかはしらないが
兵士の玩具というわけでもあるまい。
そうであれば、先ほど上で行われていた乱交の場に引きずり出されていただろう。

そして、何よりも目。
その瞳の奥。その気配を敏感に読み取る。
なにか、人とは違う気配。
自分の中に薄く混じった夜族に寄った部分から感じ取れる違和感。

「そうだ、妙なまね…」

少女の視線がこちらの目から外れる。
何をみているのかと視線を彼女と同じ方向に落とせば…
ナイフをみている?いや、右手?
じわりと、体温が失われる感覚。これは、まずい

「そういうことだっ!!」

とっさに、彼女の視線を遮るように、その眼前の格子を脅すように蹴りつけた。

ご案内:「タナール砦」からブレイドさんが去りました。