2020/07/22 のログ
ご案内:「タナール砦」にシルフィエッタさんが現れました。
シルフィエッタ > 久々に受けた王都外に赴く依頼は、タナール砦へ向かう輸送隊の護衛だった。
魔族と人間で所有権を競り合い、落とし落とされてを繰り返すそこは、対魔族の最前線。
普段ならば厄介事だからと面倒は避ける少女なのだが、うっかり借りのあるギルド嬢に捕まったのが運の尽き。
引き受けたパーティに斥候が足りないから、と半ば無理やりねじ込まれてしまったのだ。

「――ま、これで借りを返せるから、良いっちゃ良いんだけどさ……」

街道を進む馬車は、積み荷の重みもあってか、なんとも鈍い。
道中を数日かけて、ようやくやってきた砦の門前。牙城は高く堅牢だ。
何事もなければ戦闘の兵士が今頃、開門の手続きを踏んでいるはず。
今の少女に出来る事は、辺りの警戒をしながら待つことのみだった。

シルフィエッタ > 退屈凌ぎに今回の依頼を振り返るが、至って平和な旅だった。
王都で荷を乗せて、そこからからからと荷車を引いてひたすら歩く。
一日の行程を進み終えたら、ピタリと止まって野営。そこそこの飯を皆で食う。
それが終われば、男女に分けられた簡易の天幕で眠り、翌朝片付けて再びの行軍。
数日間繰り返したところで、砦の前にたどり着いた。運良く、腕を振るう機会もなかった。

「何もないに越したことはないけれど、これで報酬貰って良いのかとは思っちゃうよね」

王都に戻れば、危険手当も込みでそこそこな金額が手に入る。
王城で行われている魔力供給依頼よりも時間単位の効率は悪いが、それでも十二分だ。
戻ったら何か美味しいものを食べよう。取らぬ狸の皮算用が始まった。