2020/02/29 のログ
ご案内:「タナール砦」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 人間の支配地域となっているタナール砦、其処は王国軍第七師団が主に駐留している場所である。
度重なる激戦に、修理が追いついていない所は所々あるが、其れも今、補給部隊が急いで物資を集め、修復してくれている様子である。
其処に、過去の第七師団の腕章をつけている兵士が、入ってきた。その鎧は銀鼠色で、ミスリルで作られたフィールドアーマー……全身鎧であり、重戦士と言う雰囲気を持つ。
真っ白な無謀の仮面をつけており、その顔は窺い知ることはできないだろうが、首筋には赤いマフラーを身に付けている。
腰には、一対の大型のナイフと背中にバックパック、右手には鉄の槍を持っている。
彼は、第七師団の兵士、ゼロという男であった。
現在の将軍サロメに新たな任務を受け、国中を歩き回り、困っている人を助けたり魔獣、魔族を一人で狩っているのだった。
とは言え、ずっと外にいるわけではなく、時折報告の為に拠点であるタナールには戻って来る。
今日は、その報告の日である、と言う訳である。

「―――……」

普段砦に居ない分、新しい兵士や、傭兵には胡乱な瞳で見られるが、気にするような性格ではなく、かつ、かつ、とグリーブの音を響かせて、部屋へと行くのだ。
第七師団でも、少年は浮いて居ると言って良いだろう、なにせ。


友人と呼べるような団員が、居ないのである。

ご案内:「タナール砦」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ゼロ > そんな悲しい少年の交友関係事情は兎も角―――今は、仕事の時。
少年は、己の部屋へと戻っていき、そこでカバンを下ろして荷物を漁る。今まで行動してきたことの報告書を作る必要が有るから。
とは言っても、予め報告書はある程度作り上げているから、ここにきてやるのは時系列に並べなおし、纏めなおす作業と、文字の間違いなどがあるかの最終チェック。
問題が無いと判断できれば、指揮官室へと持って行くのだ。
少年は学習机に腰を下ろして、書類を見聞始めるのである。

ちなみに、少年の部屋は個室ではない、当然のごとく軍隊だから、複数人がまとめて休むための部屋なのだ
故に、人の出入りはそれなりにある、とは言え、自分のルームメイトが誰かも、少年は知らない。
殆ど砦にはいないし、居る時も交代制で休むことが多いから。

今は――――誰もいない。皆、任務か何かで出ているのだろう。
なので、自分の部屋に、ゼロが居るというプレートを扉の前に掛ける。
珍しい物がプラプラ揺れるが、まあ誰かが来ることは、まずないだろうと、少年は書類作業をするのだった。

クレス・ローベルク > ゼロが砦に帰還するのと殆ど時を同じくして。
剣闘士、クレス・ローベルクもまた、義勇兵としてこの砦に送られてきた。
戦場が人間側有利か膠着状態の時に限ってやってくるこの男は、あまり砦の司令官からは良い目で見られていない。
曰く『人がもぎ取った勝利を、給金と云う形で掠め取っている』――とまあ、そんな訳で。

単にタイミングの問題か、或いはそんな評価も相まってか、男が充てがわれた部屋は静なる兵士ゼロの、相部屋であった。

            ●

「お邪魔しまーす。あ、プレート下がってたからもしやと思ってたけど、ゼロと同じ部屋なんだ。これは僥倖」

無遠慮に入ってきた男は、背中のバックパックを自分のベッドにどかりと降ろし、自らもベッドに座る。
ゼロの方に寄ったりはしない。変に彼の書いているものを覗き見た結果、厄介事に巻き込まれる可能性は否定できないからだ。

「調子は……まあ、君に限って悪いって事はないか。
何か変わったこととかあったかい?」

と、言いつつバックパックから下着やタオルを取り出して、専用の棚に入れていく男。
話かけてきたにしては失礼とも言える態度だが、逆にそれだけ砕けた態度の方が男としては気楽なのだった。

ゼロ > 書類を捲り、順番を並べていた所に扉が開く音がする、顔をそちらに向ければ、見慣れた男が居る。
よくよく、タナールで義勇兵をしている冒険者のクレス。偶に闘技場で金を稼いでいるというイメージなのだが、あれ?闘技場が本職だっただろうか?
取りあえず、だ少年の数少ない知り合い……である。

「クレス、か。お久しぶり。―――僥倖?」

彼の言葉の意図がつかめず、少年は首を傾ぐ、まあ、表情に関しては仮面の所為で見えないので、少年はいちいち行動がうるさくなりがちなのだ。
アクションがオーバーと言って良いだろう。書類がちょうどまとまったので、トントン、とテーブルに当てて角をそろえて紐で結わえて置くのだ。
自分の疑問よりも早く彼の質問が来たので、ふむ、と軽く考えてみる。

「調子は、問題ないね。体調管理も仕事の内だから。
何か変わったこと―――か、個人的感想だけれど、最近冒険者が活発なのが気になるかな、依頼が増えてるってことは、それだけ何かあるってことだし。
魔獣などを斃すための兵士が足りてないという所かな。」

国中を歩き回り、冒険者をよく見るな、と思っていたところである。
冒険者が活躍するというのは依頼が多くなるという事であり、良くない傾向ではないか、という考えが一つ。

因みに、少年は彼の砕けた調子に何かを言う事は無い、全く気になっていないのである。
そもそも彼は同じ軍人ではないし、其処を突っ込んでもしょうがないだろう、と。過去の団長も彼のように破天荒だったし。

クレス・ローベルク > 「そりゃ、友達と同じ部屋なのは僥倖の内だろ?
それが君みたいに腕のいい戦士なら尚の事さ」

同じ部屋の人間関係が破綻すると怖いからねーと男は笑う。
勝手に友人扱いしているが、まあこれはわざと勝手に友人扱いしているのである。
ゼロは無口ではあるが、思考は柔軟な方だ。
ならば、仮に友人扱いを否定するにしても、それで気分を害したりはしないという読み。

彼の仕事が終わった様なので、男も学習机の近くのベッドに移動する。
恐らく人のベッドだろうが、今居ないのであれば特に問題はないというのが、男の考え方である。

「確かに、それは問題だな。
兵士が足りず、冒険者に依頼してるって構図は、見様によっては国軍が機能してないとも取れる。
ちょっと頭が回る奴なら、この機に乗じて悪さをしかねない。
……治安悪くなりそうだなあ」

いやまあ、俺も副業でその冒険者やってるんだけども、と言わずもがなのことを付け足す男。
男の語る視点は戦略というよりは、国政の視点である。
実際、男としては魔族との戦争よりも、国内の平穏の方が生活に関わってくるので、視点がどうしてもそっち寄りになる。

「っと、まあ景気が悪い話で沈むのも何だ。
丁度仕事が終わったんなら、息抜きにどうだい、軽く一勝負」

と、言ってバックパックから取り出すのはダイスやトランプ、それにチップである。
つまり、賭けのお誘いである。

ゼロ > 「確かに、背中を預けるなら、実力の知れている相手の方が良い。此処は、最前線基地で直ぐに襲撃が発生するところだし。」

今現状でも、何時襲撃が来るか判らない、だからこそ、王国騎士団の精鋭が、交代に魔族の国方面を見張っている。
何かあればすぐに少年も戦場に駆り出される、そんな時に、強い相手が隣に居れば心強いというのは解る。
だから、少年はこくり、と頷いて見せるのである。
それに、彼が友人だと感じてくれているのなら、友人なのだろうという思考は、きっと彼の読み通り。

「ああ、クレスの言う通り。……報告上げたら、また、出るか。」

軍ではない、個人、戦闘能力を鑑みての単独行動指示故に、効率という意味では余り宜しくない、ひとりでは行ける場所も、解決できる大きさも限られてくる。
とは言え、それで腐ったり投げたりはできない、兵士なのだ、軍人なのだ、駒なのだ。一人でも多く、助け一人でも少なく犠牲を減らす。
その為には、即断即決即行動が、必要なのである。
本当に火急であれば、少年に召喚状での呼び戻しもあるだろうから、で。

「…………………………。」

取り出されるアイテム、カード、ダイス、チップ。
それらを仮面はしげしげと眺める。
ふいにくい、と彼の方に顔を上げるのだ。

「すまない、判らない。やったことが無い。」

この国に来る前は、実験台としての駒。
この国に来てからは、魔族の国に入り浸ったり、国の中を飛び回ったり。
この手の遊戯に触れたことが、一切ないという、レア中のレアものだった。

クレス・ローベルク > 仕事から仕事に移ろうと考える少年を見て、真面目だなーと思う。
終わったから休もう、とかそういう事を全く思考の中に入れていない。
勿論、パフォーマンス維持の為の『休息』は入れているのだろうが。
そして、信じられないと言うか案の定というか、彼はこちらが取り出した遊び道具を見て首を傾げた。

「……ああ、うん。本来此処で驚くべきなんだろうけど、寧ろ『ああ、やっぱり』って思ってる自分の方に驚いてる。
君、基本的に生き方が深く狭いタイプだよなあ……」

男の真逆だと言っていい。
とはいえ、だからこそ誘ったというのもある。
息抜きがてら、というのは建前でも何でもなく本当にそう思っての事なのだ。

「まあ、でもルールは教えるから、簡単なのを1ゲーム、やってみないかい?
意外と、良い訓練になるんだよこれ。
本気で――つまり、自分が差し出したくないものを賭けるなら、だけど」

ゼロには、ストレートに遊ぼうと言うより、こっちの方が効果的だろうと男は思う。
それに、これは嘘ではない。
勿論、普段遊びで賭けをする際、訓練のつもりでやっている訳ではないが、とはいえ剣闘士の仕事が上手く行っている原因の一端が、ギャンブルにあるとは、本気で思っているのだ。

「ま、普通に賭けなしで遊ぶのもそれはそれで楽しいけどね。
どっちが良いかは君に任せるよ」

ゼロ > 「―――?まあ、そうなの、だろう。」

真面目と言うのも違う話であり、彼の言うとおりに深くて狭いタイプなのである。それしか知らないから、それを行う。フレッシュゴーレムのような物だと思って良い。
彼ならば、把握が容易いだろう、奴隷闘士。戦うときのみ檻から出され、戦えば、又檻の中で、修練と食事と睡眠をとるだけの生活。
それ以外を知らねば、不満も出ない出さない、不満という事すら理解できていない、そんな生き方だ。
自由の中に有り、尚、少年は奴隷と同じ生活なのだと言える。

「何の訓練になるんだ、これ。」

訓練という形で有るならば、乗るのは吝かではなく、それが為になるのならば、学習するのに拒否は無く。
ただ、それが何の訓練として使えるのか、使うべき状況の想定を欲する。
なにせ、本当の意味で少年は、これを知らないのだ。
ギャンブルと言うモノは、ハイブラゼールにあるのは認識しているし、視たことも有る。
遊ぶという思考もでず、唯通り過ぎるだけのもの。

「正式なルールを知りたい、賭ける……なるほど、金をこれでやり取りするのか。」

そう、ハイブラゼールを認識している、賭け毎は認識している。
つまり、其れと同義と、これで、先程の勝つ負けるで、お金をやり取りするのだ、と認識し。
取りあえず、とダイスを指さす。