2019/12/24 のログ
ご案内:「タナール砦」にサロメさんが現れました。
サロメ >  
太刀打ちできぬ魔王クラスの存在が出現したならば速やかな撤退を──
という通達は、王国軍兵士なら兎も角傭兵や民兵までは行き届いていない

「また随分と…人的被害が拡大しなかっただけマシか…」

砦の大部屋…作戦室として使われる部屋に一人、報告の上がった書類を睨めつけながら溜息を零す

砦にやってくる魔物、魔族、魔王…
どれもこれも思想も違えば目的も違う、徒に迎撃をすればかえって痛手を被ることもある

サロメ >  
報告を受け後方の駐屯地から馳せ参じた時には魔王らしき当該個体は既に砦を抜けた後
王国側に抜けたのだろうが、侵略行為が目的ではないだろう
どれだけ強力な魔族であろうと、現状王国領でのそれは不可能な筈だ
故に追撃よりも前線物資の補給を優先したが……

「…また、手痛いところを小突かれそうだな。書面で済めばいいが」

テーブルに頬杖をついてやれやれと嘆息する

なるべく悪徳貴族どもに突かれる隙を増やしたくはないが、
魔族側の動きは全く読めないのだから無理がある

サロメ >  
無理があるのだから、と嘆いてみても解決するわけもなく、
侵略が出来ぬとはいえ、享楽的な目的だけで砦を突破する魔王ばかりと判断するわけにもいかない

魔王クラスの中には闘争を楽しむだけのもの
ただ王国領へ物見遊山しにいくだけのもの
結界によって侵略を断念し、隠遁しているもの
人間に対し友好的なもの
実力行使以外の手段で侵略の種を蒔付けにゆくもの
…そしていずれは結界を攻略し、王国領への信仰を開始しようとしているもの

彼らはあらゆる目的で、この砦に現れる
過去を遡れば相応の数の魔王が確認だけはされている──

「(やれることをやろうにも、王国貴族の考えていることはいまいち掴みかねる…)」

果たしてなぜ魔族が進軍してこないのかを知っているのかどうかすら…

サロメ >  
不透明なことが多すぎる以上は、やはり水際で阻止することが確実、肝要となる
あくまでも、可能な限り…だが
前述のような旧神の絡繰がある以上、歴戦の戦士ですら一蹴されるような相手ならば無駄に人命を消耗するのは得策とは言えない
しかしそれも、事情を知らぬ王族などがいれば単なる敵前逃亡としてとられてしまう

「こんな状況でよく変わらぬ姿勢を貫けたものだ。
 同じ位置に立って、初めて尊敬を覚えるよ。オーギュスト…」

既に過去の名となった、かつての第七師団の長の名を口に零す
…と、同時に砦の外側から鬨の声があがる

魔族でも現れたか──テーブルに立てかけた愛剣を腰に据え、立ち上がる

サロメ >  
外に出れば、明らかに大規模な魔物の襲来
飛行する種も見え、地上と空と、両方で戦闘が開始されていた

連れてきた師団の人員はおよそ三分の一程
翼竜を駆る者を多く引き連れてきたことが幸いし、両面で対応ができている

「大規模な群れが突っ込んできたか…はたまた、知恵ある魔族の差し金か」

腰に携えた剣を抜き、一歩砦の外側へと踏み出す
黒い甲冑、灰色の髪、その手にした氷の魔剣

「どちらにせよ、王国軍第七師団の前に現れた以上、皆殺しだ」

灰髪の獅子の参戦により士気は更にあがり、一気に魔物の群れを圧倒しはじめる──

サロメ >  
───……

一刻ほどの戦闘
片端から斬り捨てられ、焼き焦がされ、凍てついた魔物の死骸が転がる中、ゆっくりと白霧立ち上るその剣を鞘へと納める

砦内への侵入すら許さず、更には逃亡に転じた魔物すら一匹残らず仕留める様は
まさに全盛期の対魔族特化戦力である第七師団を彷彿とさせるもの

砦へと踵を返せば、勝鬨をあげる精鋭達の姿
これが、かつての師団長オーギュストが見ていた光景

無謀とも思える、最前線への師団長自らの突撃
自分が副官を務めていた時は随分とそれに関して小言を言ったものだったが……

魔物、魔族、魔王
それらに対して、人は本能的に恐れを抱くもの
故に、自らもそれを振り払い、打ち据えるため、自軍に意気を与えんという意味のものだった

「(隣ではなく、同じ場所に立たねばわからんものは、案外と多いな)」

ご案内:「タナール砦」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…いやはや、流石は精鋭第七師団と言ったところか」

人類が砦を維持する為に必要な物資、食料、武器弾薬、嗜好品等々。
それらを満載した所謂補給部隊に同行し、半ば定型業務と化した慰問と懇談会へと訪れた矢先。
魔族襲来の急報を受け、増援も兼ねて道を急いだ先で見た物は、完全勝利を収めた王国軍の姿。
己が戦わなくて済んだのは幸いだな、と暢気な感想を抱きながら、鬨の声を上げる兵士達を眺めていた。

そして、次々と砦に入城する幌馬車に交じって一際豪奢な馬車が姿を現す。
その馬車は部下を見守る彼女の側に停車し、無造作に開かれた扉の先から戦場の空気に似つかわしくない豪奢な衣装を纏った少年が姿を現すのだろう。

「…随分と戦果を挙げた様じゃないか。大儀であったな」

馬車からひょい、と飛び降りて、勝利の立役者である彼女の元へとのんびりとした足取りで歩み寄ろうか。

サロメ >  
未だ勝鬨の声が上がる中、砦へと馬車が入場をはじめていた
援軍の寄越した物資だろう、と見ていたがその中に一際目立つものを見つけ、僅かに眉を顰める

予感は的中し、その馬車からは戦場には似つかわしくない、少年が降りてくる

「…感謝の至りです、卿」

歩み寄る少年へと騎士の敬礼を返した後、跪き、頭を垂れる
他の師団の面々も慌てたように敬礼の姿勢をとり、その場に直立する

「──ですが、今しがたまでこの砦は戦場で在った場所。
 まだ周辺の哨戒も済んでおりません。…些か危険かと存じます」

この少年は、確か──
王族の嫡男…であるにも関わらず王位存続の争いには参加しない、変わり者
余り詳しい話が耳に入ってきたことはない。眉唾もの噂がちらほらと知る程度、だった

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 頭を垂れる女将軍と、その部下達。
その礼に鷹揚に手を振ると、小さく肩を竦めながら言葉を続ける。

「余り畏まる必要は無い。此の場においては、異端者は私の方であろうしな。それに、勝利の熱気を妨げるつもりもない。運び入れた荷物の中には、王都で仕入れた嗜好品も山と積んでいる。私からの餞別だ。兵士達との宴にでも使うと良い」

王城ならば兎も角、戦場で一々堅苦しい挨拶など不要だ、と告げながら、入城した馬車の一団を視線で指し示す。
無骨な木箱に交じってちらほらと見受けられるのは、酒樽に酒瓶。上質な塩漬け肉等々。

そんなやり取りを続けながら、己よりも小柄な彼女の姿をしげしげと眺めた後、その様を観察する様な視線を向けながら言葉を続ける。

「此処に駐屯しているのが第七師団でなければ、私とて尻尾を巻いて逃げ出していたさ。王国有数の精鋭部隊に守られているのであれば、多少慢心するのも許して欲しいと思うがね?」

と、小さく笑みを浮かべた後。僅かに表情を引き締めて――

「…自己紹介が遅れたな。私はギュンター・メルヒオール・フォン・ホーレルヴァッハ。此の国を委ねられる王族の一人として、此の砦を守り抜いた事に改めて礼を言おう。
御苦労であったな、シュトラウス将軍」

彼女が己の事を知っているかどうかはさておき。此方は彼女の事は貴族達からある程度は聞いたことがあった。
過去から現在に至るまでの武勇から、王国貴族による陰湿な罠に陥った事まで。
尤も、王国軍のコネクションを求める己としては、単純に優秀な軍人であるなら特段過去の事などどうでも良いのだが。

サロメ >  
「あり余るお気遣い、痛み入ります」

ならばその言葉に甘えよう、と立ち上がって姿勢を正す
餞別だ、という言葉が聞こえれば背後に控えた兵士達からは俄に歓声が上がる
それもそのはず、最前線の砦などで王族の仕入れた嗜好品が振る舞われるなど滅多とないことなのだ

「浮かれるな。周辺の哨戒を終え次第、砦の保全作業に入れ。宴はその後だ」

女将軍から厳しい言葉が飛ぶと、すぐさま師団の者達は仕事に取り掛かる
目の前に褒美が約束された者の動きは普段と比べてもやはり軽やかである

改めて、この場に現れた王族の少年へと向き直る

「信頼を置いて頂けるのは光栄であり、有り難きこと。
 しかし敵勢が魔物だけであったこと、統率個体がいたならば、こうも圧倒することは難しいというのも事実…。
 どうか高潔なる血を引く御身、危うきに寄らぬようお願いしたい」

万が一にもその身に何かがあれば、自分の首一つでは到底すまない
その身を案じる、というだけの配慮では足りているわけがない

「…はっ。お褒めに預かり光栄です。ギュンター様。
 このサロメフェロディア・ドーガ・アクアリウス・ヴォン・シュトラウス、
 王国軍第七師団の長として更に邁進する所存──」

再び甲冑に手を当て頭を垂れる
こうして顔をあわせるのは初めてだが、特段この少年に対して変わり者だという印象は感じない
向こうからの印象は…計り知ることは出来ないが
王国の貴族である以上は、ある程度は知っていて然りだろうと

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「気にするな。我々は自らが命を差し出して王国を守っている訳では無い。戦場の矢面に立つ者達に、少しでも憂さ晴らしをして貰えればと思うだけ故な」

兵士達の歓声に僅かに目を細めた後、小さく肩を竦めて笑う。その笑みは、部下を叱責する様な彼女の言葉を聞いて、更に深く成る事だろう。

「ふむ、謙虚な事だ。まあ、貴公がそう言うのならば用心は怠らぬ様にしよう。私の様な素人が、現場の事に口を出しても致し方あるまいて」

ほう、と感心する様に頷いた後、素直に彼女の言葉に頷く。
餅は餅屋、とでも言う様に、戦場のプロフェッショナルである彼女の言葉に逆らうつもりは無いのだと軽い口調で応えた。
理解がある、と言うよりもそれが最も効率が良いだろうとでも言う様な口調で。

「…其処まで堅苦しくなる必要は無い……と言っても難しかろうな。まあ立ち話も何だ。少し散歩にでも付き合わぬか?城内までの短い散歩ではあるが」

部下の目のある中で将軍自ら態度を崩すのは難しいか、と苦笑いを浮かべつつ、砦の本丸を視線で指し示しながら首を傾げる。
人払いする程では無いが、聞き耳を立てられるのは面倒だ、程度の話をしてみたいのだと、言外に匂わせるが――