2019/12/06 のログ
ご案内:「タナール砦」にサロメさんが現れました。
サロメ >  
「砦に向かう魔族はその一切合切を潰す。
 王国には第七師団在りということを魔族どもの脳髄に焼き付けてやれ」

タナール砦の攻城戦
連日、熾烈な争いを続け、奪い奪われを繰り返す、特異なる戦場

「最終防衛線は砦で良い、余すことなく戦力を投入しろ」

王国軍の御印はためく軍旗の下、苛烈かつ冷徹な戦告を続けるのは灰髪の女将軍
その場に在るだけで周囲を凍てつかせるような冷気を放つ剣を手に、戦火のあがる砦をその金色の瞳に映していた

サロメ >  
大きな混乱を招く火種となるだろう故、公に言葉にこそ出来ないが
魔族達は王国の領内でその力を満足に発揮することは出来ない

前師団長が辿り着いたその理由と原因、
他にも感づいている者、知る者はいるのかもしれないが、
こうやって魔族と直接対峙する者でそれを知る者は…おそらく多くはないだろう

王国領内に侵攻できないのであれば砦よりも後ろに守りの戦力を多く割く必要はない
退魔結界と魔法による援護、魔族戦に慣れた白刃戦力だけで十分に渡り合える、圧し勝てる

「(気紛れな、特殊な戦力がいなければの話だが)」

サロメ >  
それはそれとして侵攻できない相手とこの砦で争う理由とはなんだろうか
魔族側としては、人間が魔族領に侵攻する足がかりとなる場所故に理由がある
では人間側としては?王国の地には旧神の加護が残っている
魔族は本来の圧倒的な力や魔力による侵攻が不可能、それは魔王といえど同じこと
で、あれば砦は本来捨て置いても構わない場所ではないだろうか

王国軍を動かす者が真実を知らないのか
それとも知っていて、魔族と戦う王国軍の姿を見せるためか
それとも前師団長と同じく、危機感からか───
旧神の加護など、いつまであるかもわからないものだと

前方から伝令が届く
奇襲に近い攻撃だった、内部は総崩れ
魔王クラスの存在は確認できず、統率個体を数体確認──

「──よし、踏み込む。首を頂きにいくぞ」

一際強くなった凍気を剣に纏い、地を蹴って駆け出す
前師団長が同じことをした時には、一組織のトップが無為にリスクを侵すなど、と苦言を呈したものだったが
気がつけば同じような戦術、戦型を取る自分に僅かに嘲笑を覚えながら

サロメ >  
魔族の強力な統率個体数名、首級すべての討伐
国民に誇示するには十分な功績を示し、王城へと帰投

前師団長の時代と変わらぬ対魔族特化戦力としての第七師団の威容を示し、攻城戦を圧倒的勝利で飾る

「(それでも未見の魔王が、単体であれ出現すれば…)」

狡猾な、知能の高い魔王とは会話が成立する
交渉なども戦術のうちかもしれないが、それは第七師団の在るべき姿ではない
魔族は全て殺す、眼前にあらば女子供であろうと根絶やしにする
剣を交えず撤退という選択肢は最初から存在しない
魔族の根絶が人間の恒久的平和の足がかりであるという信念は変わらない

「命あらん限り、か…不毛だな」

戦いが、か
それとも争いによって平和を目指すことが、か

砦の保全作業を他の王国軍に任せ、
どちらともとれる呟きを小さく零して灰髪の女将軍はこの日の戦場を後にした

ご案内:「タナール砦」からサロメさんが去りました。