2019/09/30 のログ
ご案内:「タナール砦」にマーラ・パーピーヤスさんが現れました。
マーラ・パーピーヤス > 人間と魔族の境、タナール砦。
つい先日、無人の砦となった。
だが、そこを抑える事に執着しているのは人間達。
すぐに部隊は率いられ、占領するに到っていた。

「はうぅ…早過ぎますのですぅ…」

それを、魔族の国側から見ている人影。
一人の少女が、ある程度の距離、その物陰から砦を眺めていた。
怯えた様子で、落ち着き無く辺りも見回している。

私用の為、魔族の国へと入っていた。
その時は、先日のように砦は空となっており、すんなりと抜ける事が出来た。
しかし、戻ってみれば、当然と言えるが占領されている。
まだ占領しているのが魔族なら、苦も無く通れるだろう。
だが、今は人間であるがゆえに、抜けるのに少々問題がありそうなのだ。
どうやって抜けたものか、そんな考えを巡らす。

マーラ・パーピーヤス > 「あんまりやりたくないのですが、仕方無いのですぅ」

はぁ…深い溜息を吐きながら、そんな呟きを漏らす。
物陰には隠れたまま、少女は目を閉じた。

ゆらぁ、少女の身から漆黒の魔力が緩やかに溢れ始めた。
それは広がりを見せると共に、空気に混じるように薄まり…消えてゆく。
目に見えぬ、感じ取れぬ、そんな精神を蝕む魔力が砦へと這い寄る。
周囲から覆いうように囲い、包み込んで…少女の瞳が開かれた。

『あなた達は誰よりも強い、一番の存在になりたいのです。
それが、あなた達が強く強く欲する事なのです』

少女は囁く、誰も居ない場所に向かい。
その囁きは、魔力に蝕まれた砦の兵士達の心に直接伝わり、欲望と言う精神を汚染する。

誰よりも強い一番の存在になりたい。
だが、そうするにはどうしたら良いのか?
自分よりも強い者が居なければ、自分が一番になる。
そう、強い者が居なくなれば良い。
強い者を居なくするには、どうすれば良いのか?
消せ…殺せ…そうすれば、自分が一番だ。

兵士達に植え付けられた欲望は、漆黒に歪め染められる。
砦の中で一番になる為に、蠢き始める。
手に手に武器を携え、獲物を求めて。

恐ろしいのは、敵がすべて味方である事か。
誰しもが、現状の砦を把握しているからこそ、誰一人逃される事はない。
残った一人になるまでは。

砦の中で、殺戮の宴が始まった。

マーラ・パーピーヤス > たった一つの懸念は、今回能力を使ったのがそれなりに広範囲である事。
その為、強靭な意志を持つ者は、抵抗し切れる可能性が生まれる。
もっとも、それに耐え続けながら同士と戦うのは、なかなか辛い事かもしれないが。

そう言った者が何人も居たら、それこそ計画崩れとなる。
欲望に染まった最後の一人を残す事こそが、少女の狙いだから。

宴は始まっている。
それを感じ取れば、少女は物陰から姿を現わし、砦へと向かう。
身体的には、見た目相応のそれ。
それなりの距離があれば、砦まで辿り着くのに、それなりに時間が掛かるもので。

マーラ・パーピーヤス > そして、少女は砦に辿り着く。
門の傍に設置された扉を前に耳を澄ませるも、近くに争うような音は無い。

「そ、そろそろ…終わったのです…?」

そっと、扉を押してみる。
止め具は外されており、あっさりと扉は開いた。
しん…と静まり返った砦内。
少なくとも、魔族側の扉付近には誰も居ないようだった。

恐る恐ると言った感じに、扉を抜け、砦の敷地内へと入る。
そうすれば、すぐに何人かの屍が見えた。
切り傷、刺し傷、魔法による負傷、死因は様々だ。
それらを避けるようにして、そろりそろりと進んで行く。
とりあえず、目標は反対側にある、人間側の扉。
途中、欲望に染まった者を見付け、魂を取り込めば良しである。

マーラ・パーピーヤス > 少女は進む、ところどころにあった元兵士達の屍を越えて。
越えてとは言うものの、それを避けるように進んではいるが。
ゆっくりとした足取りで、広い砦内を進み続ける。
今や屍ばかりとなった場所、しかし、生き残りは見付からない。

少女は軽く思案する、可能性があるとすれば二つ。
一つ、純粋にただ見付かってないだけ。
二つ、能力に汚染されたにも関わらず対応し切った。

一つ目であれば、見付けて魂を引き抜けば終わる。
しかし、二つ目の場合は厄介だ。
対応し切り、現れた犯人の対処をしようとしている。
又は、そうそうに撤退。

予想は出来るが、結果は果たしてどれとなるのか。
もしかしたら、予想していた以外の結果もありうる。
その結末とは…それは、誰にも分からない。

ご案内:「タナール砦」からマーラ・パーピーヤスさんが去りました。