2019/06/12 のログ
ご案内:「タナール砦」にアヴァールさんが現れました。
アヴァール > 「――んで?抱え込んだ金品はこれだけか?シケてんなぁ、おい。もっと報酬を寄越せくださいやがれませ、指揮官殿?あるんだろうが、他にも良いのがよぉ。あるもん全部だしゃ命までは奪いやしねえよ。なぁ、俺たちゃ一緒に戦った戦友じゃねえか。ひひ。」

ゴッ、と鈍い音が砦の屋上で響く。

半刻程前。
人間と魔族の小競り合いで、ほんの少しの戦力の差で支配権が移り変わるこのタナール砦ではあるが、直前の戦闘により人間側の制圧と相成った。

しかし人間側とは言ったが、そんなものは建前だ。
何せ王国軍の占拠とは言い難い。

どっちが有利か不利かで人間側、魔族側どちらに就くか決める事にした最近になって目にあまる悪行を重ね勢力を拡大している山賊一味は山中や山道に限らず砦にまで出張し、人間側が不利の攻め落とす側の勢力と見れば自分達の戦力と兵力を売りにして今回の砦奪還作戦の指揮官へ交渉。
目先の戦果に眩んで悪名高い山賊と手を組んだ愚かな指揮官は、あくまで遊撃部隊、使い捨ての戦力として山賊達を利用する気だったのだが正規の軍程の練度こそ及ばずとも魔物迄従え、裏でこの山賊達を従える頭領を手引きしている存在のお陰で最先端の王国軍と魔族双方の武装をも獲得している山賊一行の加勢により魔族達を撤退に追いやる事に成功。

交渉段階では魔族の中に使える者がいたら戦利品として貰う。金も勿論支払ってもらうというものであったが――そんなもので満足するわけがない。

占拠後に裏切るや否や最初から裏切る前提で動いていた山賊側と利用するだけして捨てるという遅すぎる考えでいた指揮官達とでは反応の差は明白。
さしたる苦労もなく兵士達を捕縛。
部下や魔物に監視させ、金品も装備も剥ぎ取り、女は凌辱。
それは捕らえた魔族とて同じだ。

そうして屋上に連れてきた指揮官の頭部を先の戦闘でも猛威を奮った機関砲の銃身で殴りつけてから髪を引っ張り無理矢理顔をあげさせ、ぺしぺしと口から血を流し元より山賊と手を組む程度の浅慮漢に気概などある訳もなく怯え切った指揮官の視界一杯に顔を近づけ薄気味悪く双眸を赤く開かせ下品に嘲笑い。
蛮行の限りを尽くしている山賊頭だが、一方で次の王国軍と魔族軍の増援が来るまでの時間も計算に入れている。
別に砦を拠点にする気はない。幾ら戦力を順調に増強しているとはいえど今回のような漁夫の利を狙った作戦はともかく両方の軍を相手に出来る程の戦力がある筈もない。
ならば、目ぼしいものさえ略奪すれば後は破棄するのみだ。
指揮官を尋問しながらも部下には砦内を手当たり次第に探索させ、あと適当な頃合いを見て破棄する算段である。

アヴァール > 「戦利品はこんなとこか。おい、野郎共、撤収だ!……あー、んじゃ、正直に答えてくれたし戦友のあんたには俺からプレゼントだ。びびらせて悪かったな?――良い面構えになったんじゃねえか、気に入ってくれたら嬉しいぜ、ひゃひゃひゃっ!」

尋問、拷問。理不尽な暴力と恐怖に耐え兼ねた指揮官から砦の構造について詳しくなければ発見が難しい部屋に隠していた物資の在処を教われば当然それらも強奪。
ついでに捕らえられていた奴隷達もだ。

時間も頃合い。そろそろどちらかの軍が来る頃と読めば撤収の合図を送る。

それを皮切りに蹂躙と悪行を愉しんでいた部下や魔物達も遊び道具を処分、或いは持ち帰る事にして。

命乞いをする指揮官に軽薄な調子で上機嫌に肩を叩いて形だけの中身のない謝罪をしてから、銃口を零距離で指揮官の鼻先に突き付け――獣の咆哮の如き炸裂音。熱され焦げた血肉と砕けた骨が飛散。

頭部の大半が熟れた果実を地面に叩きつけたかのように弾雨でぐちゃぐちゃに切り裂かれ、潰され、必要以上に損壊させられ内容物を撒き散らした指揮官はそのまま首から上を喪失して崩れ落ちて。

硝煙を靡かせる機関砲を肩に担ぎ、山賊の頭領は人間と魔族双方の新たな奴隷と金品物資目ぼしいものは根こそぎ簒奪してから砦から撤収。

読み通り、暫くそう経たぬうちにやってきたどちらかの軍が空となって、生存者のいない凄惨な現場となった砦の支配権を握る事となるが、もうその時には犯人である山賊一味は意気揚々とアジトへ向け帰路についていて。

ご案内:「タナール砦」からアヴァールさんが去りました。