2019/03/26 のログ
ご案内:「タナール砦」にマーラ・パーピーヤスさんが現れました。
マーラ・パーピーヤス > 最近は、王都内で生活をしていた、そんな少女。
しかも高級娼館での、ほぼ雑用と言った状況だった。
なぜなのか?と思われそうだが、敢えて経緯は伏せよう。

そんな少女は、今、タナール砦がすぐ近くに見える場所で佇んでいた。
そこは魔族の国側、現在は守る人間を魔族が攻めている形。
現状は…完全に魔族が優位である。
なぜならば、守る人間達、そのすべてがまともな戦力にならなくなっているからだ。
その理由は同士討ち、その原因は…何もせず佇んでいる、その少女。
マーラ・パーピーヤス、欲望の魔王と呼ばれる存在だ。

ちなみに、周囲には誰も居ない。
魔族達は、その全員が砦内へと攻め込み、同士討ちをしている人間達を殲滅に掛かっていた。

「も、もうそろそろ…良いのです、かね…?」

どこか、ぼーっとしているような様子で砦を眺めながら、少女はぽつりと呟く。

マーラ・パーピーヤス > この少女が、どのようにして、この状況を作り上げたのか?
それは、少女の持つ能力。
相手の持つ欲望に働き掛け、それを一気に増幅させるもの。
しかも、それは歪んだ方向へと捻じ曲げられてしまう。
例えば、何かの欲求を増幅させたとしよう。
その欲求を満たす為ならば、どのような手段も問わず行ってしまうようにするのだ…最悪の方向に。
今回行使したのは、他人に自分の強さを認めさせる事を求めるもの。
その結果、強さを示す為に相手を殺す、と歪められた欲となり、同士討ちを始めたのだ。

もっとも、全員が全員、その力に侵される訳ではない。
強靭な精神力を持ったものならば、ある程度は耐えれるが、それでも耐え切るには到らない。
耐えているところに、侵された他の者達が襲い掛かってくれば、その余裕も失われてゆく。
侵食する能力に耐えながら、周囲からの攻撃も…そんな板挟み状態に、追い詰められる事となろう。
そうした中での、魔族の襲撃。
まともな対応なんて、出来る訳がない。

もう、役割は終えたと判断した少女。
早く終わらないかな、とか思いながら、適当な場所に座り込む。
戦闘に加われるような戦力なんて、持ってない。
だから、終わらないと王都に戻れないからだ。

マーラ・パーピーヤス > 今回のタナール砦での戦い。
その結果は、魔族側の完全勝利となる。
すべての人間が能力に侵された為、伝達も出せず仕舞い。
この戦いの詳細、それを人間達が知る事は無いだろう。

戦いが終わった後、少女は難無く砦を通り抜け、王都へと戻って行く。
再び、人間に混じっての生活を送る為に。

ご案内:「タナール砦」からマーラ・パーピーヤスさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にアマーリエさんが現れました。
アマーリエ > ――いつもの事だ。

獲られた、だから獲り返せというのはまるで子供のお使いのように自分達の上に立つと思っているものは云う。
安全保障の面ではそれは正しい。
要衝と言える土地を敵がずっと居座っているというのは、その先の土地に向かおうとするものの有無を問わず気分が悪い。
だが、為すとなるとこれがまた難しい。敵が常に同じであるという道理はないからだ。

「情報を揃えてくれない癖にまずは行け、というのも愚策の極みだわ。ホントに」

自分達第十師団が貴族院の者達に少しは信があるのかどうなのかは、知らない。
しかし、見た目として分かる力とは脅威としては重宝するらしい。
故にまずは行け、後は現地で見て行動せよ、という具合で差し向けられるのは溜まったものではない。
日が回って、夕刻がやがて近づくタナール砦近辺の丘の一つ。其処に先陣を敷いて独り。高台の上で零し、手にした遠眼鏡を仕舞う。

周囲を行き交う人の声や竜、馬の鳴き声を聞きながら思案する。
取り敢えず、眼に分かる脅威として先遣部隊として第十師団を配置し、情報収集の上で砦の再奪還を図る。
そういった心積もりなのだろう。運用方針としては間違いではとは思うが、出向く方としてはもっと情報が欲しい。
攻城戦の訓練の経験を積むには確かに良いのだが、本気で城崩しを図る訳にもいかないのだから。

アマーリエ > もっと奇を衒った戦術を取れれば、いい――とも思えない。

一発ネタにしかならない手管というのは往々にして、万一生き残りが敵に出れば模倣、対策をされうる。
兵力を揃え、兵力を維持するための補給を整え、時節に応じた運用を図り、目的を達成する。
結局のところ、堅実な手に出る他無いのだ。その意味では他の師団が羨ましく思うことはある。
魔族との戦いでは突出した個の能力を要求されることは多くとも、このような戦だとそうもいかない。

特に城攻め、砦攻めは平地の戦闘以上に気を遣う。何度やってもその点は変わらない。
この砦は魔族の国側の補給線が生じうる、否、そもそも補給という概念が必要であるかどうか、時に曖昧になることすらありうる。
第十師団のアドバンテージとして上空からの急襲、魔法や矢玉、可燃性の油壷の投下等が行いやすいが、敵側で備えがあると危うい。
かつて、この師団が潰走した時の要因がそれだ。
コスト度外視で竜殺しの手管を揃え、たたただ数を以て竜と竜騎士の合同の防御魔術を打ち破る。
今もまた、そんな方策への有効な手段を編み出せているとは言い難いが。

「夜……否、早暁に仕掛けてみようかしら。遠くから見に回ってても仕方がないし」

風に纏うマントを揺らしつつ、胸の前で腕を組んで考える。敵側は今のところ、立て籠もるという姿勢以外が見えない。
まやかしの魔術でこちら側の偵察や観測を阻害、誤認させているという風情は今のところ報告はない。
己の感覚としても、そんな気配は感じ得ない。騎竜の眼を通して、眺め遣ってもそうだ。

ご案内:「タナール砦」にイヴリィさんが現れました。
イヴリィ > そんな様子を適当な距離にある岩に腰掛けながら眺めている金髪真紅の吸血鬼。
攻め入るのかしら、攻め入らないのかしら、と首を傾げながら。
どうしようかしら、どうしましょうかしら、と呟きながら。

「……けれど流石に竜騎士相手は骨が折れるわね?
 正直戦いはあまり好きじゃないのだけれど」

ぷーらぷーら、と足を揺らしながら。
双眼鏡ごしにふと目が合えばにこやかに手を振って見せて。

アマーリエ > 自分独りだけ、否、自身と騎竜の組み合わせだけであれば何も考えずに突入しただろう。
それは全て自己の責任だけで片付くからだ。だが、そうもいかないのは個人プレーではなく軍を率いるものの責である。
独断専行は厳に慎むべき行為だ。結果を出せれば兎も角、徒に被害を招く行為は取り返しがつかないことになりかねない。

「……何あれ」

ふと、何か気になったのか。柳眉を顰めて一旦下した遠眼鏡を目に当て、ある一角を眺め遣ろう。
あ、何か居た。しかも何か手を振っている。
そんな指揮者の様子を丁度、遣ってきた先任の竜騎士が訝しげに見て声をかける。
その声に金色の髪を掻き上げ、複雑な面持ちで一瞬考えて。

「――何か居たから見てくるわ。

 取り合えず、現状明日早暁に武力偵察を兼ねた突入予定で考えて頂戴。
 気取られぬよう今日の皆には悪いけど、極力炊煙を上げない食事をお願いね」

そう指示を下し、念話の術で上空に回遊する己の竜に声を伝える。改めて周囲の警戒を指示しながら件の方角に足を向けよう。
ぶらりと所作こそゆっくりと、だが少なからず余裕があるものとしての所作を見せながら。

イヴリィ > 「あら。こっち来たわ?」

首を傾げ、しかも単騎。
これはどうなのだろうか。
相応に実力に自信があるような所作に首をもう一度かしげれば。

「戦いになると面倒よね……自信ありそうだし。
 戦いたくないものね? それじゃあそうしましょうか!」

立ち上がれば、自身の影にしまっておいた槍やら剣やらをぽぽいぽーい、と地面に投げ捨て。
てきとうな槍を手に取れば、白い布をくくりつけ地面に突き立てる。
これでよし、これで酷い扱いは受けないだろう、とご満悦。

その隣に腰掛けにっこにこの笑顔で女騎士をご案内しようと。
怪しさしかない。正直、怪しさしかない。

アマーリエ > 未知の脅威となりうるものとなれば、この師団の単独戦力を差し向ける方が一番良い。
つまりは自分だ。万一の際は速やかに全軍を挙げて――退くことだろう。
この取り決めは前々から自身に次ぐ指揮権を持つもの達に伝え、周知をしている。
無為な戦力投入による全滅より、個人の小を捨てて軍という大を活かす方が道理としては良いという判断だ。

「……――え。」

だが、眼に見える所作というのはどうにも判断に迷う。
何やら武器類をその場に放り捨てたように転がして、何か白布を槍らしいものに括り付けて地に突き立てる。
此方側の知識、概念としてはそれは降参や敵意がないことを示しうるものだ。
だが同時に、異邦の地だとそれが徹底抗戦の意思表示でもあるという逸話を昔に聞いたことがある。

「……――御機嫌よう。降参の使者ってワケじゃないのよね? あなた」

故に、問おう。即席の白旗らしいものの傍に腰掛けた姿を前に、適度な距離を置きながら立ち止まって声を飛ばす。
何にしても怪しさしかない。純度百パーセントだ。

イヴリィ > 「え? 使者? 何それ」

きょとん、とした様子で首を傾げてから。
くるり、と後ろの砦を見て、ああ、と納得してから。
また視線を戻せば。

「ただの通りすがりの吸血鬼っ☆」

きゃぴるんっ☆ と効果音が出そうな茶目っ気あるスマイル。
心底うざい。
足をぷらぷら、と揺らしながら。

「なんか美味しいのないかなーって迷い込んだら交戦地域で?」

足をぷらぷら、髪もゆらゆら。
真紅の瞳はそれでも申し訳のなさなんてかけらもなく。
愉悦と愉快に歪んでる。

「巻き込まれるのも困るし? かと言ってどっちかの味方するのも面倒だし?
 そもそも私戦いとか苦手だもの!」

けらけら、と笑いながら、真紅の瞳がじぃ、と見つめ。
また首を傾げてから。

「とどのつまり、愉快犯? なんだけれど」

アマーリエ > 「……ふぅん」

端から期待はしていなかった。故に極端な動揺はない。表情は崩れない。
所作も含めて見た目こそは可愛いけれども、はっきり言うまでもなくとてもうざったらしい。
恥じることもなければ、申し訳なさの欠片もない。
故に、そんなものだ。世の中そういうものであるという割り切りが先に立つ。

「あっ、そう。気構えはしてたけど、想定の一つが当たっただけ以上の感慨が無いわね」

吸血鬼となれば、どうだろうか。腰に佩いた宝剣の効力が見込めるが、さてどうしたものであろう。
落胆を通り越して、熱のない吐息をわざとらしく吐き出して見せながら腰に右手を当てて相手を見る。

「それで、自称☆愉快犯のあなたはどうしたいの?
 私はこう見えても結構忙しいの。邪魔にならないならそのまま放置遊戯で良いのかしら」

立場ある者として、どうしても真面目になることが要求される。
遊びではなく、仕事としてこの地に赴いている以上はどうしてもそうならざるを得ない。

イヴリィ > 「え? 白旗出したのだし、あなたには降参するわよ?」

とん、と白旗から降りればくるり、と回ってスカートをふわり、と回し。
真紅の瞳を細めながらこてん、と首を傾げてから。

「だから"どう扱う"かは貴女次第」

くるくる、と舞いながら、金の髪を踊らせて。
こつん、と足で大地に投げ捨てた剣や槍を蹴り上げれば影の中に沈め。
風になびく白旗の槍をこつん、と蹴り上げれば、ばさり、とそれが波打つ。

「一応魔族だから? スパイとして忍び込ませるもいいし。
 道具として扱うのも? まぁ、ちょっと数相手させられるのは嫌だけれども。
 あるいはここで首でも刎ねておくかしら? 死なないけれど!」

くすり、と笑いながら、槍の穂先に白旗を巻き付けていき。
それをとん、と影に沈めればまた真紅で見つめて。

アマーリエ > 「死なないコトに自信がある者って、大概皆そう言うわね」

さて、不死者対策は――どうだろうか。何処まで為せるだろうか。
腰の剣の特性は古文書も紐解いて調べたが、死なぬものを死にたくなるまで打ちのめすという意味が強い。
無力化を図った後は淡々とした作業になりうると考えれば、これもまた無用な戦力の投入は避けたい。
肩にかかる髪を払って、皮肉げに唇を歪めながら思考を巡らせよう。

「扱いに困る意味では十分に愉快犯よ、あなた。
 情報収集したところで有意がない敵に潜り込ませても意味がないし、戦場で裏切りを通り越して表変わられても困るわ。

 ……そう、ねぇ。
 使うにしても肉壺として使うのが妥当かしら。眷属作られても余計に困るから、わたし用の」

気軽に捨て駒にもし難い。かといって、兵の欲求解消に使うのも吸血鬼の特性を考えるとリスクがある。
うー、んー、と考え込んで空を仰ぎ、出したのは愚にもつかない落としどころだ。
気に入らないならば別に良し、だ。当方の邪魔にならない前提で放り出す位が今のところの方策か。

イヴリィ > 「だって首刎ねて心臓貫いて灰にされても死んでないし。
 どうやれば死ぬのか私にもわからないもの?」

首を傾げ、くるくる、と踊りながら。
とん、と踊るのをやめれば金の髪を揺らしながら真紅が見つめ。

「扱いに困るのは十分承知よ? だって楽しいこと美味しいこと求めてきたんだもの。
 あんまりここには美味しいものなさそうだったけれど。
 特上のひとが引っかかったから嬉しくて!」

両手を大仰に広げて満面の笑みを浮かべる。
ゴシックロリータの服が華やかに揺れる。

「眷属なんて面倒なもの増やさないわよ。世話なんか見たくないわ。
 事実上無職をたくさん量産することだもの!!
 けれど、そうね、お姉さんの肉壷ね? いいけれど!!
 いつまでも専属肉壷ではいないわよ?」

首をこてん、と傾げてから、真紅を細めてみやり。
あ、あとこっちもたまには楽しみたい、となんかほざき始め。

アマーリエ > 「じゃぁ、次は竜の炎に焼かれてみる? 魂まで灰になるそうよ」

ぱちん、と指を鳴らせば丁度上空を白い竜が轟、と風を鳴らして横切る。
己の乗騎たる竜だ。必殺を期しうるかどうかは定かではないが、眼に分かる力の象徴である。
その金色の瞳がじっと吸血鬼を名乗った金髪紅眼のものを見据え、再び上空に舞い上がる。

「求められる側は大変よ。
 こう見えても現在進行形で仕事中よ。私事で済まない時に来られたら、余計に頭が痛くなるの。
 嗚呼、――解しなさいなんて言わないわ。そっちが愉快犯を気取るなら、こっちは愚痴るだけだわ」

満面の笑みを浮かべる一方で、女騎士にして将たるものは渋面を浮かべる。
部下に対しての説明、方策の策定と指示、万一の際の対処等々、副団長から詰問されること請け合いだ。

「そう、なら良いわ。……あんまり良くないけどね。
 あとね。挿れられる側は好きじゃないの。ヒィヒィ言わせて腹膨らませる方が好みよ。
 そっちが手を出さない、邪魔にならない、口外しないならこっちから何か言うことは無いわね。
 
 好きな時に好きなように交わる位が今のなれ合いの落としどころかしら?」

素直に向こうの言葉を喜べないのが第一印象故の信の置けなさか。
観客として迎える、置いておく、口封じを念置くのが現状の妥協点となるだろうか。そう考える。
あとは嗜好のすり合わせだろう。今から催すにしては、時がない。時節が悪い。
 

イヴリィ > 「一回燃やされたことあるけど生き返ったわよ?」

何をやらかしたのかこの娘。
首を傾げてからわー、可愛いーと竜に手を振りながら。
嬉しそうに笑うその姿は少女それそのもので。

「仕事かー、仕事なら仕方ないわねー
 私は仕事らしい仕事したことないけれど!!
 なんならあの砦、爆撃してきてもいいわよ?
 私、吸血鬼だけど人とは仲良くしていたいもの!!」

ぱーっと花火いっちゃう? いっちゃう?
にこにこ笑う様、正に愉快犯。

「ぇー。私もたまには楽しみたいー。
 楽しめる子も提供してくれるなら悦んで穴になるわよ?」

首を傾げながらふわふわ、と笑い。
とん、と一歩寄り、見上げながら、くふ、と笑い。

「ふふ、お腹ぱんぱんになるのはするのもされるのも好きよ。
 それでいいわ?」

アマーリエ > 「ふぅん。じゃ、次は光に帰してみないといけないわね」

浄化、昇華術式の研鑚が捗るというものである。
頭が痛いことは兎も角として、もう少しポジティブに考えることにしよう。
懸念事項は多いけれども、決してそればかりではない。培ったものは次に生かす糧になるのだ。
手を振る姿に騎竜の方から、何か愚痴るような言葉無き思念が伝わるのを感じ、苦笑を滲ませて。

「仕事なさい、仕事。魅了等抜きで無銭から金を稼ぐことの難しさを思い知れば良いわ。

 取り合えず客人としてあなたを置いておくことにする。
 手は出さなくていいわ。――人間が為すべきことは、人間が為さなければいけないの」

ぴしっと。思わず突っ込まずにはいられない。
そして客人としておく以上、客分に余計な手を出させるわけにはいかない。
兵力の損耗が浮くという数字の勘定はできるにしても、ヒトの手で目的を達した。その点は拘る。
人も魔も関係がないにしても、自分は人の側に立つ将だ。

「まかりなりにも降参した側が言うべきコトバじゃないわね。少しは弁えなさいな。

 ……さて、取り合えず陣に戻るわ。軍議には入れられないけど椅子だけは用意してあげる。
 私はアマーリエ。アマーリエ・フェーベ・シュタウヘンベルク。王国軍第十師団を束ねる者よ。

 あなたの名を聞かせて頂戴」
 
近づく姿を見下ろし、呆れの色濃くその目を見る。
戯れる側の要求を一方的に呑むつもりはない。嗜好と趣味がこちらにもある。今はその気分ではないということだ。
部下が呼ぶ声があれば、そろそろ戻る頃合いだろう。そう考えながら、向こうの名を問おう。

イヴリィ > 「洗礼術式? 流石に受けたことないわね?
 多分死なないけれど」

首を傾げつつ、ドラゴン触りたいなー。
いいなー、とか思いながら。

「? ウェイトレスぐらいならしたことあるわよ。
 色々とチップもらえて楽しかったわ!!」

魅了とか使っていたのではなかろうかその仕事。
人のことは人が為す、と言われれば首を傾げ。

「珍しいわね? 人って楽するイキモノだと思ってたけれど」

大概絡んできた人間はそういうものだったから。
心底疑問そうに首を傾げてから、くるり、と女の回りを一回り。

「私? 私はイヴリィ=スゥ。天の零落とか呼ばれてたりしたこともあったわ!」

くすくす、と笑いながらくるくる、と回り。
後は後ろに付き従い、指示に従う様子で。

アマーリエ > 「死ぬことが娯楽になっていない? あなたみたいなのを見てると偶にそう思うわ。
 あと、それって何かイカサマ使った結果じゃないわよね。」

陣に戻れば、今回の出撃で帯同している竜騎士達のドラゴンを見ることが出来るだろう。
少なくない年月を経た、力ある竜達だ。その竜と伍する乗り手を揃えるが故に強力な戦力を有する。
やったことがあるという内容を思えば、これもまた鵜呑みにし難く思えるのは性分か。
この辺りも含めて遊ばれていると思うと、頭が痛くなるが。

「楽をするだけで済む仕事なら、苦労はしないわよ。
 そう、楽じゃないの。手段を択ばないなら如何様にだって出来る。けど、そればかりじゃいられないのよ」

誰よりも、何よりも示しがつかない。内外にとってもそうであれば、自分にとってもそうだ。
気位がない軍はただの暴力装置でしかない。人界に及ぼす害は己が手で祓ってこそ、その価値がある。
そうでなければ、ここまで幾度もなく散らされた血にも、後に続くものにも申し訳が立たない。

「イヴリィ、ね。……その名前は聞いたことは無いわね。」

最後の言葉にははて、と。聞いたことがありそうでないような感覚に首を捻りつつ、陣に戻る。
将たる女の奇行には慣れたものの部下達も、難色を示す事項にどう説き伏せるか。そう考えながら――。

ご案内:「タナール砦」からアマーリエさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からイヴリィさんが去りました。