2019/02/07 のログ
■アクラ > その後もアクラは眠り続けた
起きた頃には運よく魔族が先に砦を確保したおかげで追い出されるだけで済んだのだ
知らない内に捕らえられないかの心配など一切しないのはこれからも変わらないだろう
ご案内:「タナール砦」からアクラさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にレナーテさんが現れました。
■レナーテ > 新たな部隊を迎え入れ、初の戦闘となった奪還戦……とは行かず。
滞在していた王国軍の辛勝のおかげで、今日は人間側に所有権は移っていた。
そこを守る師団が現れるまでの繋ぎとして、集落の精鋭達が集まり、戦場には似つかわぬ弾んだ高い声が幾つも重なる。
大体がブラウスにハイウェストスカートにケープを羽織り、ブーツの底を鳴らす少女ばかりだが、貫通を防ぐ防具となった装束の下は猫科の獣を思わせる靭やかな体付きをしている。
胸壁の上では、魔法銃を携えた少女が二人一組で周囲を見張りつつ、空には少女を乗せて悠々と空を滑る大きなマシコの姿もあった。
待機要員は食堂で食後のお茶と共に雑談に花咲かせるのもいれば、宿舎になった部屋で眠るものもいる。
休める時に休んでおく。
それが出来るように、今見張る仲間達は索敵に穴が開かないように目を凝らしていった。
「……あれから、あの黒鎧は来てないみたいですね」
数週間前、捕らえられた捕虜の奪還の最中見つけた魔族側の強者。
軍勢を束ねるその手腕と器量も然ることながら、本人の戦闘能力の高さも特記すべき事柄だろう。
表紙がぼろぼろになった交戦記録の手記を確かめながら、作戦室の椅子に腰を下ろして呟く。
周りには特に誰もおらず、今は一人だけ。
小さく溜息を零しながら本を閉じると、出撃前に入手した情報を脳裏に蘇らせながら、窓の向こうを見やる。
真っ暗闇の魔族側の領地の地平線からは、未だ敵は見えない。
あの向こうへ消えていった第7師団と、魔族軍。
今も戦っているのか、それとも壊滅したのか、交信のラインが途切れた今となっては知る由もない。
ここを抑えるのも、彼女達のためだとは思わないようにしながら、ぼんやりと外を見やるばかり。
そうだと思ってしまえば、忠告を無視した彼女の後始末を押し付けられたような心地になる。
それは、脂ぎった平和ボケした貴族に苦笑いを浮かべるよりも、妙にイライラするので考えたくないのだろう。
はぁと小さな溜息を零すと、夜風にでも当たろうかと廊下へと抜ければ、静かな廊下に石レンガを踏みしめる小気味いい音だけが響く。
上り階段の向こう、ガラス越しだった世界が視野いっぱいに広がり、冬の冷たい風が頬を縮こませて、敏感にしていく。
■レナーテ > 近づく馬車の音に振り返れば、王都の街明かりを背に迫る騎馬の群れ。
その後ろには槍を担ぐ歩兵が付き従う。
どうやら仕事はここまでだと安堵の笑みを浮かべると、残り数時間の任務と撤退の準備を仲間達に呼びかけ、今宵の幕が下りていった。
ご案内:「タナール砦」からレナーテさんが去りました。