2018/12/26 のログ
ご案内:「タナール砦」にアマーリエさんが現れました。
■アマーリエ > ――陥落(おと)され、奪還(うば)って。またその繰り返し。
この場の情勢はいつもいつも、まるでコインや遊び札の裏表で弄ぶようにひっくり返る。
関係者はいつもの事と嘯き、半ばあきらめの体が入るがいざ、人を遣う立場になると頭を抱えることになるものだ。
またか、と。立場は兎も角として、能力と経験があるものは畑で採れるように手に入らない。
人的資源という言葉があるがまさにそれだ。性向も能力も適した人材を削り切るのが、魔族の策略なのだろうか?
いよいよ、ここまで考えてしまうと妄想の域に踏み込みそうな具合に内心で嗤う。
結局のところ、理解のしようがない。そう片付けざるを得ないのだ。
故に現実に意識を戻す。著しく損壊を受けた砦の修復、再建に集う工兵や新たな駐留部隊の支援。
それが今回、自軍が請けた任である。
「はーい、並んで順繰りに受け取って頂戴な。人数分は十分に運んできたわよ?」
併せて、慰問のために用意された補給物資の分配もだ。
兵一人一人に対する清潔な衣類や食料、嗜好品等々の詰め合わせである。
生憎ながら娼婦等の性的な補給までは約束はしない。そもそも、そこまでやっていればきりがない。
王国側の砦の門付近に帯同させた補給部隊の馬車の群れを止め、物資の受け取りを差配する。
年の瀬のこの季節でもあるのだ。
せめて、修羅の巷に身を置くとなれば気晴らしになればいい。
■アマーリエ > 既に着任した新たな砦の責任者には挨拶し、話は通している。
従って、この場の指揮系統に問題はない。
上空には護衛として連れてきた竜騎士が魔族領側・王国領側の付近の哨戒に当たっている。
其れで万全ということはない。何せ、自分が想像しているようなコトはおろか、それ以上の不条理も起こりうる昨今だ。
何せ、損傷した砦の修復が必要となればその分だけ、人を裂かねばならない。
噂に聞くゴーレムの労力でも使うことが出来ればいいが、生憎と自軍に導入には至っていない。
「嗚呼、最後尾はあっちね。あっち。二度取りは厳罰に処すから心しておくようにー」
不安は少なからずある。それでも、努めて軽い声を投げかけて人の列を整理する。
見た目こそむさくるしい男ではなく、女となれば軽んじられることもない訳ではない。
が、自分の背後で翼を休めるものがあれば、無茶をしたいという気にはならないか。
欠伸をするように口を開き、また口を閉じる白い竜の姿である。
マジかとか、初めて見た、とか言った囁き声が微かに聞こえるが、ただの兵士であれば余りある代物の威というのは絶大だ。
順番に受け渡してゆけば、馬車に積まれた袋の口を綺麗なリボンで飾った補給物資の山が失せる。
その旨の報告を部下より聞けば、頷いてご苦労様、と労を労おう。
■アマーリエ > 「……――何事もなく、年を越せるのであれば良いのだけど」
まずは元通りに再建を果たせることが重要だ。
防備を整えるとなると、やはり堅固な壁の有る無しというのはとても大きい。
かといって、ただただ人を集めておくというのも違う。
肉の壁という形容、表現はあるにしても、それを効果的に行えるほどの規模は生憎とこの場に用意はできない。
故、まずは再建を急ピッチで果たすこと。何よりもそれが大事だ。
魔族の国側の門の付近には濠と木の柵を巡らせ、特に騎兵対策として用意はしておいたが、これも最小限だろう。
一気に魔法で焼き払われる、或いは突破されるというのも想定はするが、最悪再建途中で撤退することも必要にもなる。