2018/12/16 のログ
ご案内:「タナール砦」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > [待ち合わせ中です]
ご案内:「タナール砦」にホアジャオさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 剣が服を切り裂く確かな手応え。
やった、と思い、距離を取った彼女を見やる。
此処まで衣服を切り裂かれれば羞恥で動けなくなる者も居るものだが、彼女は自らそれを脱ぎ捨ててしまった。
「うわっ、男前……!?」
驚きというよりは感心の声をあげたのは、彼女の身体が適度に鍛え上げられた、肉体的なバランスの取れた身体だったからというのもある。
情欲を煽らないでもないが、それよりも、よくぞ此処まで鍛え上げたものだという方が、感想としては大きい。
「良い身体してるね、って言えば良いのか何なのか……。
あ、服代は出すよ。別に敵って訳でもないのに、余計なお金を出させるのは不義理だし」
口ではちょっとした雑談を挟みつつ、しかし身体の方はじりじりとすり足で間合いを調整している。
取るのはホアジャオの歩幅で二歩を要する間合い。此処ならホアジャオが先んじて一歩目を踏み出しても、二歩目に到達する前にカウンターが間に合う。
勿論、そんな企みは顔には出さず、男は平然と言葉を続ける。
「さて、試合で言うなら、さっきの頭に食らった一撃と、君の衣服を破ったので、双方技ありって所かな。さて、どうする?続けるかい?」
■ホアジャオ > シャツは脱ぎ捨てたものの、素肌が流石に寒い。相手から視線を逸らさないまま、残った真ん中で切り裂かれたブラトップをぎゅうと無理やり真ん中で結んで気持ちだけ寒さを防ぐ。
服代は出す、との言葉を聞くと僅かに眉間を緩めて口を尖らせる。
「そンなら、いいケド…買いに行くときは、お店とか指定するかンね…」
じりじりと近付いているのには気付いている。ダメージを負った腹を撫でつつ、続けるか、との問いにはにっと笑って
「当然的事…当ッ足り前」
言いながら足元の人の頭ほどある石を持ち上げ
「でしょッ!!」
ひょいと放ると揃えたヌンチャクをバットよろしく振りかぶり、がん!!と打ち付ける。つぶてになった石が男の方へと鋭く飛んでいく―ダメージは負わないまでも、目くらましには十分な量。それを追いかけるように奔り出して――
■クレス・ローベルク > 「はいはい、頑張って男の甲斐性を見せるとしますよ……ッ!?」
叩き続けた軽口は、彼女の思いもよらぬ飛び道具によって驚きに変わる。
石一つ一つにダメージはないが、何せ数十に叩き割られ襲いかかってくる礫だ。その内一つでも目に入れば失明の恐れは十分にある。
反射として目を瞑りつつ、しかし意識は彼女が近づいてくる足音を捉えた。
後ろへステップで下がるが、前へ進むのと後ろに下がるのでは、前者の方が早いのは必然。
「こな、くそっ!」
故に、男ができるのは、見えてはいないが前方に居るであろうホアジャオに対して、盲の突きを繰り出す程度であった。
■ホアジャオ > つぶてで視界が悪いのは一緒だ――が、こちらが気にするのは相手が後ろか横へ引くか、前に向かってくるか。
足元から後ろへ引いたと解る、次に踏みしめた様子から来るであろう切っ先に対して軽く飛び上がって――鉄板入りの靴裏で踏むように剣を蹴りつける。
ガン!と鉄と鉄がぶつかる音が響く、と同時にそれを踏み切って更に男を飛び越す勢いで飛んで
「ィヤアァッ!」
飛越し様に男の顎目掛けて蹴りを放ち、追い打ちを掛けるように後頭部目掛けてヌンチャクを振り下ろす
■クレス・ローベルク > 攻撃を食らったあとで突き出す動作が、前にも見せたものだと気付いた時には既に遅い。
剣を踏みつけて空中に飛び上がりつつある女に対し、こちらは剣を踏みつけられて体勢が崩れている。
「読まれ……!」
た、という一音を塞ぐように、顎への一撃。
仰け反った事により、上に向いた視界が写すのは、こちらの後頭部をかち割る勢いのヌンチャク。
戦士ならば此処で、成程二段構えの打撃かと感心すべきなのだろうが、反射的に叫んだのは、
「流石に後頭部(そこ)は命にかかわるって!?」
まさかの命の危機に咄嗟に出てしまった突っ込みと共に、慌てて剣を捨てて右腕でガードする。
しかし、勢いのついた一撃を食らった右腕は、折れてはいないまでも無事というわけでもない。
痺れるような痛みに顔を顰め、つい右腕を後ろに下げ――無防備な身体を晒してしまう。
■ホアジャオ > 男の叫びにはっとするが、打ち下ろしたヌンチャクが勢いを失うわけではない。
剣が落とされる音と、どん、と一方のヌンチャクの先が男の腕に当たる鈍い感覚の後、戻ってきた方をもう一度振りかぶる動作に入っていた左腕は受け止めるだけに留めて、すとんと数歩離れた男の背後に着地する。
「ごめん、ついね…ッ!」
振り返り様無防備な男の足元、そこ目掛けて低く一足飛びながらヌンチャクを放つ―
■クレス・ローベルク > 「いや、別に良いけども……!」
反射的に叫んだとは言え、まさか攻撃をキャンセルされるとは思ってなかった。
根はいい人なんだろうなあと一瞬思ったが、しかしその感想は脛に直撃したヌンチャクの痛みで即座に霧散する。
だが、脛への打撃は前に強烈なのを浴びた経験があり、ある程度の耐性がついていた。
故に、涙目になりながらも、しかしがくっと、一瞬体勢が崩れるだけで直ぐに持ち直し、
「そろそろこっちのターン、だ!」
叩かれていない方の脚を軸足にして百八十度ターン。
その勢いを敢えて殺さず軸足を崩し、倒れ込む様にして肘を彼女の脳天に突き刺そうとする。
回避されればこちらの体勢が大きく崩れるが、何せ全体重が乗っているのだ。当たればただではすまないだろう。
■ホアジャオ > 低い体勢のまま、男がターンしている間に落とされた剣を遠くへと蹴り飛ばす。
打撃によって崩れた相手が、そのまま次の手を放ってくる事ならば予想済みだった――が、持ちなおされてタイミングがずれている。
庇うように上げていた左腕は半ば降ろし掛けていて――
「――くッ」
辛うじて直撃は避けようと右へ身体を捻る。重い一撃が左肩に落ちて、男もろとも倒れ込むことになる。
「この…ッ」
痛みに眉を顰めながら右に転がって、右腕で身体を支えるようにして男に向かって後ろ蹴りを放つ
■クレス・ローベルク > 「よっしマウント取った……!」
倒れ込んだ状態で殴り合いするなら、上に居る自分の方が有利。
そう思い、上から覆い被さろうとする男。
しかし、その腹を狙うように蹴りが飛んでくる。
「ぐがっ!」
一瞬、身体がくの字になるほどの衝撃が入る。
打撃の衝撃は自分の肺から空気を追い出すほどに強く、吐き気のような嫌な感覚すら起きる。
だが、男もただで食らったわけではない。
腹を蹴った脚を、両手で掴んでいた。
「捕まえ、たァ……!」
流石に蹴りのダメージが辛いのか息絶え絶えだが、それでも彼女の爪先を脇で挟み、踵の下に肘を潜り込ませる――ヒール・ホールドの体勢。
「これを女性に掛けるのはぶっちゃけ気がひけるんだけど……!」
そのまま捻りながら倒れ込めば、関節が完全に極まり、かなりの激痛を齎すだろうが――
■ホアジャオ > 「啊!(わっ)」
足を掴まえられる感覚に『しまった』と解りやすく顔に出る。
そのまま捻られながら倒れ込まれる
――のだけは避けたい!
その一心で、倒れ込まれる前に支えていた右手で身体を反転させる―――結果的にうつ伏せで倒れ込んでしまう事になる――反転と同時に掴まれていない方の足を精一杯延ばして男のこめかみを狙うのが関の山だ
■クレス・ローベルク > 脳天に一撃、腕に一撃、おまけに腹に一撃。
職業柄タフであると言っても、これだけ喰らえば流石に体力は削られており、しかも関節技を極めるために両手を使っている男に――死角から弧を描いて飛んでくる一撃を、避ける術はなかった。
「ぐがっ!」
おそらく、ホアジャオにとっては破れかぶれであろう一撃は、吸い込まれる様にこめかみに。奇しくも蹴りの衝撃で男の狙い通りに倒れ込むが、既にその身体に力は入っていない。
――どうやら、完全に、気絶しているようであった。
■ホアジャオ > どすん!とうつぶせに倒れ込む。ヌンチャクを握っている左手には力が入らないし、もう成す術がないと男から放たれるであろうの次の手に歯を食いしばって―――
と、何事も起こらない。
「……喂(ねえ)…ちょッと?」
声をかけてから、足を掴んでいる手に力が入っていない。前のようにフェイクではないかと、恐る恐る右腕を地面について身体を起こして…
(気絶…してンの?)
思い返せば頭へ攻撃をし過ぎたかもしれない。―――死んでるのではなかろうか。
不安げに男の横へ膝をついて、体温を確かめながらひたひたとその頬をはたいて
「ちょッと…終わったよ。起きてよ…」
■クレス・ローベルク > 暫くの間、頬を叩く手にも反応していなかったが、やがてむにゃむにゃとうわ言を言いながら目を開ける。
意識が戻って数秒はぼんやりとホアジャオの顔を見ていたが、やがてはっと気づくときょろきょろと周囲を見渡し、やがて何が起きたのか大体察して息を吐く。
「ああ、そうか、俺は敗けたのか……。あ、もう大丈夫。ちょっとこめかみが痛むけど平気平気」
そう言って立ち上がる。多少ふらついたが、それでも立つことはできるようで。
頬を両手でぴしゃりと一発叩くと、大分持ち直した様で。
「いや、心配かけてごめんね。まさか、あの状況から蹴りを貰うとは思ってなかったんで、つい気絶しちゃった。
『初撃は譲るよ』とか偉そうに言っといて。情けないったら」
と力なく苦笑する。
■ホアジャオ > 立ち上がった男を見上げるとほっと笑みこぼして自分も立ち上がる。
「つい、で気絶できるなンて器用だねェ?
…アタシも、最初に貰った剣の一撃が本物のやつだったら、とっくにお陀仏だったケドね…」
笑いながらそう言って、蹴り飛ばした剣の方を見やる。
安心したら、自分の両肩が丸出しなのに気付く。今は大丈夫だが、すぐに冷えるだろう…視線を彷徨わせると、先ほど脱ぎ捨てたシャツを拾いに歩き出す。
「獲物アリの喧嘩は久しぶりだったから、すごく楽しかったよ。懲りなかったら、また相手してくンない?」
シャツを拾い上げると、首をかしげて男を見る。
■クレス・ローベルク > 「確かにそうだけど、あの魔剣使うのは、剣闘士としての自分にとっては当然だからなあ。
だからまあ、殺し合いに勝って、喧嘩に敗けたって感じになるのかな……っと」
ホアジャオがシャツを取りに行くと同時に、自分も剣を拾い上げる。
大した魔力が籠もっている訳ではないが、それでもマジックアイテムなので相応に高い。紛失でもしたら割と高く付いたりするのだ。
ともあれ、ホアジャオから次を求められると、
「勿論。リベンジマッチは望むところだ。今度は敗けない様に、きちんと鍛え直してくるよ」
と笑って答えるが、しかし、ふと思い出した様に懐中時計を取り出して時間を見ると、
「あ、やべっ。そろそろ戻らないと流石に怪しまれる。
悪いけど、服代はまた後で弁償って事で良いかな?えーと」
そう言うと、懐から出した手帳を破いて、それに何かを書いて、手渡す。
書いてあるのは、ハイブラゼールの、やや奥まった所にある集合住宅の住所と部屋番。
「此処、俺の家だから。何時も居るとは限らないけど、この部屋の近くに手紙でも置いといてくれれば読む。会うのに都合が良い日でも書いといてくれ」
それだけ言うと、急いで砦の方に走っていく。
最後にくるっと振り返って、
「じゃあねー!あ、あと上半身見れたのは結構眼福だった!ありがとねー!」
と余計な一言を添えつつ。
■ホアジャオ > シャツを着こみ、渡された紙片を見てから嬉しそうに笑って視線を男へ。
「ありがと。服は、ハイブラゼールで買って『クレス』の名前ツケとくから、それで払ってくれたらいいよ」
笑みにすこし、悪戯っぽいものが除く。
うん、またね…と走り去っていく男の背に片手を挙げてから、振り返っての一言に思わず胸に手をやりながら細い目を剥く。
大した膨らみでもないことは自分で解っている…だからほんの少しコンプレックスのひとつではある。
「笨蛋(ばか)…おそまつ様!」
やけくそのように叫び返して、去っていく男の背を見送る。
ご案内:「タナール砦」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からクレス・ローベルクさんが去りました。