2018/07/13 のログ
ヴェルム > 「…助かりますよノワール。
エルオーネ、見張りも含め師団員は全員休ませてやってくれ。
十二師団が一晩やってくれる」

彼女は憤っている様子だが、ヴェルムとしてはこういう状況も慣れっこ。
振り回されるのは十三師団のお約束だ。
全ては王国の腐敗が招いた事態だが、今更言っても仕方が無い。

エルオーネと呼ばれた小さなミレー族の少女は、命令を受ければ元気よく返事をし、ノワールらに挨拶をしてからトコトコと総員に休息命令を伝えに行った。

「このご恩はいずれ返させていただきます。
もちろん何かあれば、団員を叩き起こして対処させますから」

ノワール > 「支援といっても、物資を届けるだけが支援じゃないということだ。
特に十三師団は働きすぎだ。私なら1週間働いたら1か月は休むぞ。」

憤っているというよりも、あきれ返っているといったほうが正しい。
王都にいる時間が長い十二師団だからこそ、その腐敗はよく見ているつもりだ。
取り締まろうにも、もみ消されてそのまま泣き寝入りしている庶民だって多くいる。
それゆえに思う、この国はどうやったら立ち直るのかと。

「……ミレー族か…、あれらも貴族の犠牲者の一人なんだろうな。」

彼らに対して偏見はない。
奴隷制度、それを敷いているこの国の在り方に異を唱えるつもりももちろんない。
だが、不正にミレー族を売買している取引があることも事実。
オークション、バフートでの公開相姦ショー。
それらをしているのが、貴族であることも多いがゆえに少し情が移ってしまう。

「ああ、ぜひそうしてくれ。
その時には使いを出す、だができれば泥酔だけは避けてくれよ?」

ヴェルム > 「ふ、そんなに休んでしまったら上からどやされますよ」

皮肉な話だが、人間だけでなく多種族を擁する十三師団は応用力が高い。
それゆえに様々な事柄に瞬時に対応、処理できてしまうというのもある。
働きすぎといわれるのも当然だ、できてしまうのだから。

「彼女は元々数百年続く王国の軍人貴族の家系なんです。
今の王国のあり方に疑問があっても、先祖に習って王国に尽くすんだそうです」

ほとんど没落同然の数少ないミレー貴族で、しかも軍人とあっては上も扱いに苦慮するところ。
十三師団に送り込むのは上にとっても、エルオーネにとっても最善の選択だった。
少なくとも彼女は奴隷のような経験こそしていないが。

「ええ、ほどほどにしますよ。
それでは休ませていただきます」

この場は十二師団に預け、一休みさせてもらおう。
一晩でも安心して休むことができれば、少なくとも二日は戦える。
その前には交代の部隊がやってきて、王都に戻ることができるか。

ノワール > 「休めばいいんだ、休めば。あまり無理をしすぎるのもよくない。」

多種族で固めている十三師団は、よく言えばそうだろう。
だが、悪く言ってしまうと結局は便利屋という考えに至ってしまう。
貴族がそこを付け込んでいるのが見えるがゆえに。

「ああ、そうだったのか…だったら私たちの今があるのも、もしかしたら彼女のご先祖のおかげなのかもな。
けなげなことだ……ぜひうちにもそういうのが一人ほしいな。」

ミレー族であるというだけで、この国では社会的地位は保証されていない。
その中で、ミレー族の軍人であるということはどれだけ大変なのかは想像に難くなかった。
タナールの中で手当てを受けている兵士を見舞いながら、十三師団の立場を今一度考える。

「ああ、しっかりと休んでくれ。私もしばらくは、働かせてもらうよ。」

仮眠室に向かうヴェルムを見送りながら、軽く肩を伸ばした。
まずは飯にしよう、そう思いヴェルムと別れ食堂へと向かった。

ご案内:「タナール砦」からヴェルムさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からノワールさんが去りました。