2018/04/15 のログ
■ルーシェ > 「~~♪」
ゆっくりとしたリズムに、穏やかな音色。
子供の意識を心地よく眠りへ誘うような、戦場とは噛み合わぬ響きを兵士達へと届けていく。
ぱたぱたと倒れていく兵士達を見やりながらも、手を下すことはなく、確りと言霊が脳にこびりつくように歌い続ける。
適当な小岩に腰を下ろし、暫くは起きないように眠りへ沈めたところに迫る蹄の音に振り返る。
防具もまとわぬワンピース姿、声を張り上げる姿にクスッと笑うも続く問いには首を傾げながら立ち上がった。
「だって殺す必要ないんだもん、皆が帰るまで、ちょっと眠っててくれればいいだけだからねぇ」
ぽんぽんと臀部の辺りを軽く叩いて埃を落とすと、彼の姿を確かめる。
何処かで見たことがあるようなと思えば、訝しむように眉間に皺を寄せて、悩ましげな表情を見せた。
実際、顔は合わせてないが、調書を盗み出させてのぞき見た時の特徴は覚えていたが、その事実をど忘れしているだけ。
「……まいっか、え~っと……私はあんまり喧嘩したくないから、このまま引き上げてくれると助かるんだけどなぁ…?」
と、前と同じ様に争うつもりはない旨を伝え、苦笑いを浮かべる。
■オーギュスト > 「――なるほどなぁ」
頷きながら声のした方へと向く。
子供の姿をした女――いや、少女。
もっとも、魔族に姿など関係ない。あれは好きな姿を取る事が出来るのだ。
「強者ゆえの傲慢か、それとも生来の余裕からの慈悲か――いずれにしろ、気に食わねぇな」
魔族に対しては敵意を隠しもしない。
この男は、そういう「強者の慈悲」を一番嫌うのだ。
「引き上げるわけねぇだろ――俺の師団はな、お前らをブチ殺す事が飯の種なんだよ」
そのあどけない姿に対し、容赦なく大剣を構える。
ここで引いては第七師団の面子丸つぶれである。
■ルーシェ > 「どっちでもないかな、喧嘩は嫌いなだけ。って、気に食わないって言われても困るんだけどなぁ」
そんな高尚なものではないと肩を竦めて答えるも、続く言葉には小さく体を跳ね上がらせた。
気に食わないという言葉と共に、敵意は相変わらずであり、戦う気満々の様子に、げんなりというように眉をひそめて項垂れるも、密かに視線も注意も切らしていない。
「まぁまぁ、魚だって釣れない日が――…あっ! そっか今わかった…第七師団の人だよこの人……うわぁ、ぜぇったい避けようって思ってたのに…」
こちらを殺すことが仕事、そのフレーズに記憶が一気に繋がる。
大剣の切っ先を向けられつつも、はっとしたような様子で紡ぎつつ、失礼にも指差ししながらげんなりな様子は深まるばかり。
とはいえ、この間の第5師団の彼女とは違い、口裏合わせが出来る達ではないとみるや、すっと少し離れた開けた場所を指差す。
「じゃあそっちでやろっか~…そこの人達巻き込むと可愛そうだからねぇ」
寝かせつけた彼等を巻き込むのを嫌がり、少し離れた場所を指さした後、一足飛びでそこへと離れていく。
その後は周囲に水の玉を無数に浮かべたまま、彼の方へと向き直る。
喧嘩は嫌い、その言葉を肯定するように様子見のまま、彼に先手を譲るようだ。
■オーギュスト > 「――やりにきぃな。俺の事を知ってる上に、馬鹿にもしないし敵意も向けねぇのか」
本来魔族というものは、こちらを馬鹿にするか憎んでかかるものだ。
大体の連中はそうだった。
まぁ、とはいえ手加減する理由も無い。
相手のフィールドというのが癪だが――連中を巻き込むよりかは良いだろう。
「お優しいこった――なぁ!」
まずは一太刀。
唸りを上げて大剣を振りかざす。
もっとも、これは様子見だ。
そもそも剣を振るだけで魔王が倒せるなら苦労しない。
まずは相手の能力を見極めなければ
■ルーシェ > 「ん~…? そんな馬鹿にするような事してたっけ? 敵意っていわれても…私は領地の皆が幸せで、美味しいご飯と、心地良い音が聞ければ満足だし…?」
彼等が本気であるのは先程の戦いからして感じ取り、それを嘲笑うことはしないが辞めて欲しいなと思いつつ苦笑いのまま。
そして敵意も、向ける必要がないが故に抱くこともない。
それはある意味、本気と理解した裏返しに叶うことはないと思っているのかもしれないが。
そんな言葉の後、飛び移ったのは砦周辺の開けた場所。
ところどころ小さな岩があるぐらいで、遮蔽物もない合戦場の一角を切り取ったような空間。
辿り着けば、振り返った先の彼は直ぐ側に迫っていた。
「わっ!? びっくりしたぁっ!」
紫色の瞳を大きく見開きながら驚くも、行動は早い。
開始のゴング代わりの一閃に対し、片腕をかざしてかばい手にする。
そして、先程壁を塞いだのと同じ様に珊瑚礁が腕から生えていき、刃を阻む盾となっており絡みつく。
珊瑚を削るかも知れないが、そのさきの肉へは届かせず、細い見た目のわりに片腕で斬撃を受け止めていった。
「せーのっ、えぃっ!」
ぶんっと腕を振るい、大剣を振り払うと同時にバックステップ。
反対の掌に少量の水を発生させると、手首のスナップを効かせて払う様にして水飛沫を放つ。
顔を濡らす程度の水しかないが、的確に目止めの間あたりへ平手打ち程の威力をもたせて放ち、目潰しで時間を稼ごうと試みる。
■オーギュスト > 「――覚えておきな。生まれながらに強い存在が、『私は今持っているものだけで満足です』なんて言うのはなぁ」
大剣を鋭く打ち込みながら相手を判断する。
殺意が無い。覇気も無い。かといって怠惰でもない。
生きる事に飽きてもいないし、かといって弱小な存在を見下しても居ない。何かを破壊する楽しみも支配する事も求めない。
つまり、だ。
「『矮小な人間なんざ存在する事すら想像した事ない』って事なんだよ!!!」
弱者の僻みとでも笑うがいい。
お前らの事などすら微塵も考えた事ないと嘯くがいい。
その方がまだマシだ。
「ったくやりきれねぇぜ。こちとら本気で戦争してるってのに、そっちは子供の遊び程度の感覚なんだからよぉ!」
目潰し代わりの水滴は剣で防ぎつつも、一度距離をとる。
全力で時間稼ぎをして殺意が無い分、相手に付け入る隙が無い。
■ルーシェ > ぶつけられた言葉に込められていく感情。
怒りとも敵意とも異なるようなモノは、心の奥底にモヤモヤと引っかかっていく。
剣を払い除け、目潰しの水を放つも、流石にその程度では当たらないかと、防御をする様子に眉をひそめて笑う。
「……あのさぁ、何か勘違いしてないかなぁ? 存在なんか忘れたりしてないよ。私の国よりご飯美味しいし、お城の薔薇園綺麗だったし、そっちにいる女の子の声も綺麗で大好きだし」
僻みと取るどころか、何やら勘違いされていると首を傾げていた。
寧ろ、人の国にある良いものを満喫していた事実を語れば、忘れていたなど言わせられる筈もなく。
指折り数えるようにして語りながらも、距離を離した彼を見つめながら腕の珊瑚礁が解けて散っていった。
「遊びっていうか……加減、かなぁ。だって、体とかそういうのが全く違うんだもん。そっちこそ、こっちに攻めて何がしたいの? 人って100年も生きられないんだから、あまり無茶はしないほうがいいと思うけど……?」
静かに実力差を考えながら、なるべく殺さずに戦えるのも力があるからこその事。
そして、彼の戦争への熱意は少々引っかかるものが有り、周囲に浮かべた水の球を揺蕩わせつつ問いかける。
まるで真逆といった雰囲気の彼の考えが、理解出来ない分に興味を惹かれるのか、きょとんとした様子で問いかけた。
■オーギュスト > 「何で攻めて来るか、か。100年も生きられない、か」
ふつふつと沸く、彼の原初の感情。
――怒り。途方も無い怒り。
己が『持たざる者』であるという、厳然たる事実。
「お前達魔族は、俺ら人間よりあらゆる意味で勝っている。
力もそうだ。身体もそうだ。寿命だってそうだ。
――だからだよ。だから、お前達を皆殺しにして、この地が人間のものである事を証明する」
それが、彼が第七師団を創った理由。
弱者である人間が滅びる前に、強者である魔族を淘汰する為に創設した、対魔族師団。
「だってそうだろう。そうでなきゃ、俺らはお前達魔族の家畜にでもなるしか生きる道がねぇ――無茶だろうがなんだろうがな。これは、生存競争なんだよ!」
時魔法で己の時間を加速する。
かなり身体に負担がかかるが仕方ない。
水の粒すら肉眼で把握できるようになりながら、一気に懐へ飛び込もうと
■ルーシェ > あらゆる意味で勝る、その言葉は素直に頷ききれない。
自分が人の世に心惹かれるものは、恐らく故郷では得られないもの。
それを得ずして全てに勝るなどと驕れるものかと思うも、続く言葉に瞳を瞬かせる。
「ちょ、ちょっとまってよっ!? そっちとこっちで土地が違うでしょっ!?」
闇と光の領地は、それぞれのもの。
その程度にしか考えぬこちらからすれば、全て奪うという彼の言葉は、飛躍して聞こえてしまう。
何故と思うも、生存競争と言われれば……少しの間をおいて、嗚呼と言いたげに唇が僅かに開く。
「――怖いんだ、私達が」
持たざるが故に、決定権を持たぬ恐怖。
それに納得はいくも、彼の選択は正しいとはそれでも思えない。
思考へ意識が多めに裂かれた瞬間、一気に加速する彼の体が懐へと迫れば、目に負えぬ速度もあって距離を離すことは出来なかった。
代わりに周囲に浮かべていた水の球を自身の至近距離へ引き寄せ、防御の体勢を取ろうと魔術を準備していく。
■オーギュスト > 「ああ、そうだ、怖い」
素直に頷く。
大剣は水を打ち込み跳ね返されるも、オーギュストはそれでも諦めない。
二度、三度。執拗に水の壁を打ち払おうとする。
「怖いさ。
俺だけじゃない、あらゆる人間が恐怖している。
今日は生きた。明日はどうだ。明後日は。
何時になったら、お前たち魔族に怯えずに眠れる日が来る?」
怒りに任せ一撃を打ち込む。
たとえ水に弾き返されようとも――まるで、オーギュストの生き様そのもののように。
「俺はごめん被る!
何時までも惨めに、お前らに怯えて過ごすなんぞなぁ!
他の誰もやらないなら、俺がお前達魔族を滅ぼす!
二度と、誰もが怯えて眠らずに済む明日の為になぁ!」
■ルーシェ > 水の玉は一つに固まっていき、刃を遮る壁となっていく。
前方に全身を覆う広さで展開したものの、相手の斬撃を受け止めるたびに水飛沫が飛び散る。
その状態から反撃を仕掛けることなく、水の盾を維持しながら憤怒の刃が食い込んでいく。
「だったら……っ」
刃が水の壁へ深く食い込んでいき、徐々に亀裂を広げていく。
彼の攻撃がとうとう防御を突き破った…というように見えるだろう。
実際、刃は壁の裏へ通り抜け、肩口を切り裂く感触も与えるはず。
だが、同時に懇親のストレートパンチを彼の顔面目掛けて振り抜き、少女の細腕から放ったとは思えぬような重く鋭い拳を叩き込もうとする。
「そっちのよく分かんない結界、強めなよっ!! そしたら片がつくんだから……、痛っ…」
肩から滴る鮮血は人と変わらぬ濃い赤。
痛みに顔を歪めながら、拳にしていた掌を傷口にあてがう。
青い光が零れ落ち、水の膜が傷口を覆っていけば、そこを塞ごうと治癒を開始する。
魔王とて痛いものは痛いのか、薄っすらと苦悶の顔に脂汗が滲んだ。
■オーギュスト > 「がっ――」
思いっきり顔面にパンチをくらい、一度距離をとる。
これだから魔族は油断ならない。細っこい腕でなんて威力だよ。
「ってぇ……なんだ、結界ってのは」
顎をさすりながら聞く。
この男でもアイオーンの加護と王城の結界について、詳しくは知らない。
そもそも宗教なんざ興味も無い男である。信仰なんぞ、回復魔法を使うのに必要なものという認識しかないのだ。
■ルーシェ > 「ほら、本当の姿じゃない私のパンチでこれだよっ!? 貴方がすっごく強くなったって、貴方一人倒れたら全部終わり。それなら倒すんじゃなくて、入れなくしちゃいなよ。……私は、嫌だけど、我慢……するし」
まくしたてる勢いで思いの丈をぶちまければ、肩で息をしながら傷を塞ぐ。
殴りタコのない手でも、力を込めるだけでも十分な力が出るのだ。
本気を出したら一溜まりもないのが多いだろうと、魔王のくせに彼を気遣っているつもりらしい。
「貴方達のいう神様とか、そういうのかなぁ。詳しくはしらないけど、そんな感じの人の凄い結界の欠片みたいのがあって、境目の砦で喧嘩してるんだとおもう」
全員揃って進軍しない理由の一つだろう、弱らされる何かについてを語っていく。
彼の様子から、それに気づいていないと見えれば、誰が張ったからからとなるが……詳しいわけでもないため、何処か曖昧。
ただ、ティルヒアの一件など知っていれば、想像しやすくなるかも知れないが。
「そっち行くと魔族は力が弱っちゃうんだよ。下がり具合は、魔族とか魔王にもよるけどね? だけど、その結界みたいなのを最大にしたら、弾かれて入れなくなるかなって」
倒すのではなく、不可侵の壁を築く。
彼が土地ではなく安息を欲するなら、それで答えになるだろうと。
遠ざかっていく仲間達の気配が大分読み取れなくなってきたところで、ふと表情を緩め、安堵の吐息を零す。
「……殿完了みたいだけど、続ける?」
■オーギュスト > 「――出来たら苦労しねぇし、第一そんなものを自在に出来るなら、人間は無限にそれを拡げようとするぞ」
それが人間ってものだからな、と嘲笑う。
もし結界を広げられるなら、王都の貴族どもはそれを魔族の国全てを飲み込むまで広げようとするだろう。
そして魔族の住処全てを奪い、今度は魔族たちが恐怖し、立ち上がる。
憎悪と恐怖の連鎖だ。止まるわけがない。
「――生憎と、俺は神様ってのに頼らないタチでな。
俺が死んだら……まあ、死ぬ気はねぇが、俺の後に続く人間が、俺よりもう少し賢く――お前達と共存する方法を見つけるだろうよ」
オーギュストの変化でもある。
あの島で得た知識――それがあれば、魔族との間に平和を築けるかもしれないという期待。
だが、それを為すのは自分ではない。オーギュストは、余りにも多くの血を流しすぎた。
「ちっ――今日はお前らの勝ちだな」
不愉快そうに呟くと、くるりと踵を返し――相変わらず寝ている別働隊を起こそうとげしげし蹴りを入れる
■ルーシェ > 「うわぁ……時折思うけどさ、人のほうが貪欲すぎない? わざわざ火を広げるつもりとかさぁ」
嘲笑と共に語られる想像に、嫌なものを見たように顔を歪めながら呟く。
どうしてお互い程よく折り合いつけ無いのかと思うものの、お互いに欲望あっての存在とならば、留まるには難しいか。
「あはっ、無神論者ってやつかなぁ? ……ホントかなぁ、何だか死にたがりなタイプに感じちゃうよ、今の言葉」
後の平和に繋ぐために、血を流す鬼神の役を担う。
壇上に新たに上る指導者が、より善人に見えるように。
そんな淡い不安を感じれば、楽しげな音が直ぐに鳴りを潜めてしまい、曇った表情で笑みを浮かべた。
「勝ち……ん~、逃げ勝ち?かな。 もうちょっとしたら起きるから蹴らないであげて~? それと」
兵士達の元へ戻る彼へ、足早に駆け寄っていくと小さな声で彼にだけ聞こえるように、艶ある桜色のリップが囁く。
「今度お城に行った時、美味しいもの食べさせてあげたら、いいものあげる」
悪戯な微笑みを浮かべながら囁くと、彼の方を向いたまま後ろへと下がっていく。
腕に纏っていた水の幕を、指を鳴らして弾けさせれば、それは自身を包む白い霧へと変わっていった。
「だから考えておいてね~? ぁ、それと私、魔王ヴェパール、でもあっちでそう呼ぶと大変だから、ルーシェでいいよ」
一方的に約束事の様に語る合間もモヤは濃くなっていく。
そして、最後に霧の向こうからバイバイと微笑みながら軽く手を振れば、霧は散っていった。
桜吹雪が風に踊るように白霧は消えていき、魔王の姿も嘘のように消えていく。
■オーギュスト > 「――けっ」
ひと言吐き捨てると、撤収準備を開始。
最後に言われた事は、誰が奢るかなどと息巻いていたが――さて、どうなる事やら。
とりあえず、眠っている連中を起こした後に撤退。
今日はタナール砦と、あの魔王の名前だけで良しとしようか
ご案内:「タナール砦」からルーシェさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からオーギュストさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にカインさんが現れました。
■カイン > 数刻前まで激しい戦闘の起きていた砦。
今は王国側の旗の翻る門の前で、億劫そうな表情を隠しもせず番をしている男の姿があった。
幸い死傷者はそう多くはない物の、先ほどの戦闘で被った被害はそれなりのようで、
結果として外様の傭兵までもが門の前に駆り出される始末である。
「癒し手の数が足りないってのは困ったもんだな。
それなりに激しい戦いだったから無理もないが」
取って取られ手を繰り返しているだけに、戦う相手の備えも中々の物であった。
それを思えば目立った死者がいないという被害は少ない方だと言えなくもないのだろうが。
「全く、朝駆けの後に昼で息切れするとはなあ」
そう、ぼやいた言葉は風に消えていく。
ただっぴろい砦の前の殺風景な景色を詰まらなさそうに眺め。
■カイン > 「手ごたえのあるやつと戦えればこんなところまで出張ってきた甲斐もあるってものだが。
ま、今はあんまり本腰入れようって感じでもないのかね」
一戦交えた感じの手ごたえをそう評しながら、
若干不満そうな表情を隠しもしない。
仕事が楽なのは良い事ではあるが、
それはそれとしてどうせなら楽しい方がよいと思うのも人情だ。
ままならないものだと肩を竦め。
■カイン > 「…お?やっとそんな時間か。遅いぞ、全く」
いい加減体が冷えてきた頃合いになって、
後ろからかかる交代要員の声。
ひとまずは平和を謳歌できそうだと思えば、
後は酒でも飲んで次の仕事まで寝てしまおうと決め込んで砦の中に引っ込んでいくのだった。
ご案内:「タナール砦」からカインさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にロザリアさんが現れました。
■ロザリア >
───此処には何度、足を運んだだろう
籠もりがちな吸血姫の戯れの散歩
「(一度目は……ああ、人間どもが抵抗をしてきたな──)」
今の、このように
月夜、突如砦近くに出現した魔の少女に砦は俄に騒然とする
恐怖にかられ、本能的な危機感から剣を構え飛びかかることしか行動の選択がなかった者
それらは少女の手振りにより虚空に現れた剣や槍に全身を貫かれ、羽虫の如くあっさりとその命を散らしてゆく
■ロザリア >
「(二度目は……記憶に乏しいな。竜の血を持つ者との邂逅であったか)」
ロザリアの歩みはゆったり、のんびりと
自らのペースで散歩をするかのように、砦の門───魔族の国側へと近づいてゆく
門番…だったものは既に物言わぬ死体に変わっている
上から弓を射ろうとしていた者も、吸血蝙蝠に喉を食い破られ、絶命していた
「(──三度目…あぁ、最後に此処に来た時は……)」
景色を眺めながら、己の記憶を紐解いてゆくように……
■ロザリア >
ばさり
音を立て少女、ロザリアの姿が舞い上がる
漆黒、朱の裏地のマントが翼のようにはためいた
砦の屋上、月明かりの下に降り立つ
「…ああ、最後は、あの男を蹴落とした時か」
名は、なんといったか
騒然となった砦
屋上に向け、多数の足音と共に…熱気が迫る
「……では、今宵は四度目だな」
■ロザリア >
少女…ロザリアは砦を必要としているわけではない
此処を占拠されることにより何か不都合を覚えるわけでもない
此処を占拠し、足掛かりとして人間の国を攻めるつもりもない
気に入らないのだ、人間が
憎悪の対象──兎にも角にも、大嫌いなのだ
──屋上に騎士や兵士、傭兵…魔法兵や神官の姿も見えるか
砦の戦力、それらは『敵』が屋上に陣取ったと正確に把握し迅速に動いていた
ただし、屋上に辿り着いた彼らが見るのは月明かりの下、佇む黒朱のドレスの少女
プラチナを梳いたような長い髪を夜風に揺らし、幻惑するような翠の瞳を向ける、恐怖を覚える程の絶世の美
───そして地獄を目にする
ご案内:「タナール砦」にフォーコさんが現れました。
■フォーコ > ざわめく友軍に待機を命じると、私は炎の羽を背に伸ばし圧倒的な闇の降り立った場所へと飛ぶ。
火の鳥を思わせる炎を背に生やし、私は彼女と対峙する。
いつもなら交渉で物事を終わらせることもある私だが、目の前で部下が殺されているのだ。
今日ばかりは加減する必要も語り合う必要も無い。
刀を抜くと、闇の根源に等しい少女の首めがけて一閃する。
さて、手ごたえのほどは如何に。
■ロザリア >
黄金の槍が煌めき魔法兵を貫いた
破邪の光が迸るも、突如出現した大盾がそれを弾いた
白銀の刃が宙を踊り、首を撥ねる
正面に立ったものはその双眼に見据えられ、発狂し味方を斬りはじめる───
およそ、惨劇に近いようなものが砦の屋上では繰り広げられていた
ロザリアはその白く細い指を戯れに踊らせるようにしているだけ
ただそれだけで周囲には無数とも言える綺羅びやかな武器が出現し、人を襲ってゆく
……やがて、兵達の動きが止まる。攻撃を止め、防御に…待ちに徹しはじめた。何か、指揮権が発動したのか
──少女の翠の瞳が灯りを捉える
それは夜空を煌々と焦がす、炎の翼
問答の隙もなし
"それ"は刃を向け、少女の細首を狙う
放たれた一閃は、その途中で突如出現した黄金の燭台によって阻まれ高い金属音を響かせた
■フォーコ > 「…ちぃ!」
怒りに任せた一撃は容易く防がれてしまう。
刃の向かった先には燭台が突如現れ、刃を塞いでしまう。
竜の素材を使った刀でも防がれる時は防がれると言うことか。
ならばと、全身から炎を発する。
炎は私の意思通り、目の前の彼女を焼き尽くさんと包み込む。
同時に、背中から大きな火柱を発する。
何かの記号のようなソレを見た部下たちは砦の中へと引っ込んでいく。
旗色が悪いときにのみ見せる信号。 意味は撤退準備。
ただし、今は砦内での籠城を指示した。
迂闊に外に出てはそれこそ一網打尽にされかねない。
視界の端に地上の様子が映ると、顔に青筋が走る。
武装した自慢の部下たちが無残に虐殺されたのだ。
たった一人の魔族によって。
■ロザリア >
「……貴様が指揮官か?」
少女が口を開く
鈴の音色のような、美しくも冷たさを感じる声
それすらもどこか人外じみた雰囲気を醸し出す要素の一つとしてそこ在る
「…激しいことだな」
言葉と共に、冷気が訪れる
少女の足元から、少女が一歩踏み出す度に踏みしめられたそこから、白氷が広がる
包み込むように少女を巻いた炎、その炎の中から…ゆっくりと歩みだす
…ちらり、と視線を送る
屋上から撤退してゆく兵士達
おそらく目の前の、刀を振るった女の指示なのだろう
「引き際が良いな。…しかし、吾も人を殺しに来たのだ。…そう楽しみを奪ってくれるな」
少女のつぶやきが漏れる、と同時──
フォーコに向けて矢が飛来する
風切り音と共に放たれた弓矢、その先を目で追うことができたなら、
喉を食い破られ絶命していた見張りの兵士数人が立ち上がり、
そちらへ向けて射掛けている姿を見ることができるだろう
■フォーコ > 「…そうだ。」
軍服と言うのもは厚手でたまに暑苦しいときがあったが、今日は感謝できる。
薄手の服だとはっきりと分かる程に体が震えていた。
魔王の類の首を刎ねたこともかつてあったが、どうやら魔王もピンキリのようだ。
そして、今日の相手は間違いなくピン。
部下が居なければとっくに逃げ出していたことであろう。
「部下を殺されて落ち着いていられる指揮官がいるか?
私は団長だぞ。」
我が子のように可愛い団員達を殺され、私は怒りに狂っていた。
それだけが強大な相手に立ち向かうエネルギー源と言えるだろう。
しかし、私の渾身の炎も魔王の放つ冷気の前では霧散していく。
「殺したいなら私だけにしろ。
部下には手を出すな。」
彼女に向かい、今度は生命力を奪う黒い炎を纏った刃を振るおうとした時に殺気を感じた。
私は周囲を薙ぎ払い、炎が私を包む壁の役割を果たす。
隙間から見えたのは絶命した筈の部下たち。
魔術で操られているのは明白だ。
「貴様ーーーーーー!!」
私は彼女に向かって吠えながらも、防戦一方になっていた。
数分前まで部下であった者達の矢を防ぎつつ、炎の塊をぶつけて焼き払う。
彼らは軍人とはいえ人間だ。 私の炎の直撃を浴びては灰になるまで燃えるだろう。
しかし、仕方のない事とはいえ部下たちをわが手で焼き、あげくにその元凶は目の前に
いるにもかかわらず何も出来ないとは。
私の眼には大粒の涙が浮かんでいた。
■ロザリア >
「そうか」
淡々とした物言い。そこには熱も、感情も感じられない
「気の毒なことだな」
屍を操られ、射掛けていた兵達はフォーコの放つ炎によって焼き払われる
まるで人形のように悲鳴一つあげず、黒焦げになって倒れる…当然だ、死体なのだから──
「…? 貴様一人を殺したところで吾が満たされるわけもない。
そう『願う』のであれば態度も言葉遣いも、なっておらぬ」
……砦の中、階下で悲鳴があがる
屋上から覗くことができる、地上の光景…砦の門付近に転がっていた死体が…いなくなっている
「……涙? …野辺に咲く花にさえ哀れみを向ける乙女であったか?」
クク、と小さく喉を鳴らし笑う
翠の瞳はフォーコの、涙を湛えた瞳を見据え…明らかに嘲笑っている
一歩、また一歩と、今宵の『敵』は歩みを進め、近づいてゆく──
■フォーコ > 「貴様のような魔族は久しぶりに見るな。」
気の毒と言われた私は唇を血が出る直前まで噛み締めていた。
私も普段遭遇する魔族たちからしたらこのような姿に見えているのだろうか。
「…貴様、いいかげんにしろ!」
言わんとすることは分かる。
しかし、私がこの場で彼女の足元に跪いた所でこの虐殺を止めると言う証拠はどこにもない。
ならばやることは一つだ。
背にもう一度火柱を上げる。
すると、部下たちは城内に居る死体を蹴散らし、砦からの脱出を決行する。
「家族を殺されて泣かない者が居るか?
お前は私が斬る。」
今度こそ、彼女に攻撃を集中する。
悠々とこちらに近づく闇に向かい、青い炎を纏わせた一撃を見舞う。
金属も溶かす温度の炎を纏わせた一撃。
たいていの物は溶かすか一刀両断にしてしまう。
これでも通じるかどうかはわからない。
それでも私は体が動く限りこの攻撃を繰り出すだろう。
今の私は部下たちが逃げ切るまでの足止めだ。
■ロザリア >
熱気と怒気の籠もる声
少女のピンと伸びた長い耳はその言葉を漏らさず…聞き逃す
が…その後の言葉には、小さくその口を開く
「いるだろう」
家族を殺されて泣かない者?
自分がそうだった
斬る、という言葉と、それに違わぬ怒気
少女…ロザリアはその翠の瞳に蒼き炎を移し、細腕を正面へと掲げる
──瞬間、斬りかかったフォーコめがけ無数の黄金の鎖が虚空から現れ、まるで生きる蛇のようにその身体に絡みつこうと迫る
もし捕えられれば、華奢な子供などなら身体がバラバラになってしまいそうなほどに締め上げられ、その動きを封じられてしまうだろう
■フォーコ > 「ぐぅぅぅぅぅ!!!!」
捕えられた獣は、刀を掴んだまま手足を動かしていた。
もがく度に全身に激痛が走るが、今はそれでも構わない。
この鎖を溶かそうと、全身から炎を噴き出している。
「貴様、キサマ、きさま!
絶対に殺してやる。」
突如現れた金色の鎖に全身を縛られ、大人でも普通なら後遺症が残りそうな程に締め付けれていた。
2度、3度は躱したものの鎖の数はそれ以上で。
私は鎖に拘束された状態で彼女を睨み付け、炎を噴き出して居る。
■ロザリア >
「諦めの悪いことだな」
フォーコを捕え、締め上げる鎖は屋上の床に楔を打ち付け、その身体の自由を更に奪ってゆく
──無理をすれば、文字通り身体が壊れかねない、だというのに
目の前の女は、未だその怒気と殺意に衰えを見せていなかった
ふと、砦の中が静かになっていることに気づく
「……仲間を撤退させたか。
姑息な女であるな。怒り狂ったフリをして、随分と冷静ではないか」
もはや次の手は要らぬであろうと判断したか
再び一歩一歩、ドレスと髪を風になびかせ歩み寄る
その炎の、熱気を感じることができるその位置まで
「これは困ったぞ。
人間を殺してまわる吾の楽しみがなくなってしまった。
……その分、貴様で愉しませてもらわねばならなくなったな。
ところで、その炎はいつまで出せるのだ?暑くてかなわぬ」
細まった翠の瞳が射抜くようにフォーコを見据える
死の輝きに満ちたその瞳は、どこまでも冷たかった
■フォーコ > 「ふー! ふーっ!」
口を細め、深く息を吐いていた。
身体は千切れそうな程に痛い。
それでも私には立たねばならない理由がある。
「フリではない。 本当に今でも怒り狂っているぞ。」
味方が撤退できたと知り、私は最後の火が消えたのを感じた。
最早部下たちを逃がすと言う気力だけで燃え上がっていたが、それも無事に終えることが出来た。
かなりの数の犠牲が出たが、それでも大多数の部下は逃げおおせた。
「安心しろ。 もう炎は消えた。
さあ、好きなだけ楽しむと良い。」
これで殺されたとしても悔いはない。
諦めのついた私は深呼吸をすると、落ち付いた様子で彼女を見上げていた。
一矢も報いることができなかったのが唯一心残りではあるが。
■ロザリア >
「……一つだけ聞こう」
歩み寄り、顔を突き合わせる距離になると、ゆっくりとロザリアはしゃがみ込み、その視線の高さを合わせて言葉を投げる
「貴様が今逃した者達よりも貴様一人のほうが戦力としては貴重であろう。
解せん。その心中の秤は壊れているのではないか?」
理解することが出来ない、といった表情を見せる
雑兵…あえてそう呼称する
そんな者達を逃がすためだけになぜそこまでする必要があるのか…
「──何か、生き延びる心算でもあるのか」
拘束されたフォーコの顎に白い手が伸び、ぐいと上を向くようにして持ち上げられる
目の前にはあどけないようにも見える、少女の顔
表情を見てとれば…本当に疑問を感じているようにも見えた
■フォーコ > すぐさま殺されるか、拷問にかけられると思っていた私だが、
彼女が隣にしゃがみこむと目を瞬かせる。
そして出た問。 私は口元を弛ませる。
「その測りは単純に戦力だけ考えた場合だな。
団長と言うのは部下の為に命を張るのが仕事だ。
危険な場面があれば団長が先頭に立つべきだし、
脅威から守ってやるのが私の役割だ。
今日は守れなかったがな。」
やはりまだ納得がいかない。
私は痛みが走ることも承知の上で両手両足を動かしていた。
金属音がすると同時に、いよいよ全身から赤い液体が流れだす。
「あるわけがないだろう。
力の限り戦ったのだし、
最前は尽くした。
これ以上は何も出せん。」
顎を持ち上げられた私はさぞや悔しそうな顔をしていただろう。
かたや少女はそんな私を不思議そうに見下ろしていた。
■ロザリア >
「………」
その手を顎から離し、立ち上がる
視線を月へと移す。……良い月夜だ。月が沈み、空が白むまではまだ時間がある
「…そうか。では貴様の言葉通り……」
彼女の言葉に共感を得ることはできなかった
それくらいに、この少女は人間という種を見下していた
掲げた小さな手、その指先に赤く長い爪が伸びる
鋭い風を切る音と共にそれが横薙ぎに振るわれれば…
装備の関節部が破壊され、その下の衣服をまるで鎌鼬のように切り裂く
その褐色の表面にも僅かに赤い線が走ったかもしれない、そんな乱雑な行為
暗い夜、月明かりの下
鎖で拘束され、ボロ布を纏ったような姿となったフォーコの前で
「愉しませてもらうとするぞ」
砦の中から人影が現れる
──…砦から逃げる途中の戦いで落命した者だろうか
比較的傷の少ない…3人ほどの、男兵士
命の輝きを感じさせない瞳のままに──動けないフォーコへとよろよろと歩み寄る───
■フォーコ > 「…。」
元々、鎖に抵抗していた時点で体中に細かい傷は出来ていた。
その上に風の刃が身の上を通れば自然と細かい血飛沫が上がる。
この程度の傷は普段なら魔法で回復出来るのだが、今日だけは指先程度の火すら灯せない。
衣服まではぎ取られた褐色の肌は赤い筋が幾つも刻まれる。
拘束された時から絶えず痛みが続いており、感覚がマヒしていた。
「…好きにしろ。」
最早この場で私が出来ることは何もない。
全身を拘束され、布すらまともに纏っていない。
砦の中から近づいて来たのはやはり死人にされたかつての部下たち。
こうなることはなんとなく分かっていた。
私は彼女を睨みあげ、口を動かす。
「趣味が悪いな。」
■ロザリア >
「そうか?お前たち人間も見世物を見て愉しむだろう」
悪趣味と言われればやはり淡とした返答をしつつ…
「好きにしてよいらしいぞ」
一言、フラつく兵士達へと声をかける
───
兵士達はもはや身体に残った生物的本能にただ従うだけのようだった
濡れてもいないであろうフォーコの秘裂…そして後孔へと、
僅かに熱がまだ残っている肉の棒を構うことなくねじ込みにかかる
一人余ったものも、非わになった乳房へ、貪るようにかぶりついていた、そして……
「貴様も愉しめ」
爪撃によって装備を弾き飛ばされたフォーコ、
その瞳に自らの自然を合わせるようにして──催淫の魔眼を向ける
■フォーコ > 「わざわざ私の部下にやらせるなと言っているんだ。
…ん、あ、あぁ。」
私は大きな戦争を終えた時は大抵誰かを抱いていた。
欲望の赴くままに生きている私にとってはいつものこと。
故に今も身体は反射的に滾っていたのだ。
その相手が死人となった部下たちと言うのは複雑な気持ちだが、
身体はそんな細かい事情に拘らない。
濡れきっていた穴は前も後ろも少し冷たい肉棒を受け入れ、キュっと強く締め付ける。
胸を弄られる経験も犯される経験も少なかったが、それでも雌の身体は浅ましく喜んでしまう。
「貴様、それは卑怯だぞ。
あん、あ、んぅぅ。」
精神攻撃を防ぐ頼みの綱を取り上げられると、催淫の魔力によりいつも以上に女になってしまう。
鎖に繋がれたまま、浅ましく腰を振り、死人だと言うのに蕩けた瞳で見つめると、
己から口づけをしてしまう。
舌をのばし、死人の口の中を味わっていた。
■ロザリア >
「生きている者は貴様がみな逃してしまった。
それとも吾にやれと? 悪いが家畜と交尾するような気狂いではない」
──卑怯、と罵りつつも嬌声をあげ、受け入れる姿
それをまるで浅ましい晒し者を見るように愉しげに、少女は見下ろした
3人の兵士は理性もなく、加減もない
ただただ貪るようにフォーコの前と後ろの孔を犯し、
口吻を行っていたその口もしまいには性器のようにして利用されてゆく
疲れ果てることもない死人はひたすらにフォーコを貪り、犯し続け……
………
「…ふむ」
月が沈み、空が白む
そこでようやく…兵士達はその動きを止め、その場に倒れ動かなくなるのだった
まるで衰えぬ性豪達に夜通しレイプされたような姿になっているであろうフォーコに、少女は再び歩み寄り、見下ろす
「…死は覚悟していると言ったな」
言葉を投げ、視線を移す
視線の先は砦の反対側…まもなく朝日の光を受けるであろう人間の国
タナール砦へと続く道に、馬に跨った一団の姿が見えた
……団長と名乗ったこの女の逃した者達が、応援と共に戻ってきたのだ
「その無様な姿、大切な仲間に見せてやるも一興であろう」
ドレスを翻し、背を向ける───
■フォーコ > 「家畜を相手にしては随分と恨みが籠っていたではないか。
取るに足らない相手ではないのか?」
例え晒し者にされようと、言いたいことは言う。
私は口の端を伸ばし、無様に犯されながら笑みを浮かべる。
それで彼女の怒りを買おうが知った事ではない。
「ふご、んご、んごぉぉぉっ!!」
3つの穴全てを肉棒で塞がれ、道具のように犯される。
涎やら愛液やらを3つの孔から溢れさせ、私は被虐の喜びを感じてしまっていた。
もともと眼の中に入れても居たくないような団員達だ。
犯された所で何も困らない。
だが、それも朝日が昇ってくるに連れ突如として終わってしまう。
物言わぬ死体となり、崩れ落ちた姿を私は呆然と見つめていた。
この時には私の身体は死体の物か自分の物か分からない体液でドロドロに汚れており、
周囲に漂うほどに臭いを放っていた。
「…だからどうした。」
彼女のを睨みあげていると、何度も聞いたことのある声が聞こえてくる。
師団のメンバーが援軍を連れて戻ってきたようだ。
「貴様は私が殺してやる。」
私は背を向ける相手に吠える。
凌辱され、一糸まとわぬ姿で。
■ロザリア >
挑発するような言葉
無感情な瞳を向け、それを聞いていたが……
なんということはない、所詮女は女だと
嬌声をあげ、快楽に溺れ……しかしそれでも気をやっていない彼女をロザリアは一瞥し背を向けた
殺してやる、そういえばあの男もそんな言葉を自分に対し使ったか
「…楽しみにしている」
朝日が差し込み、薄暗いながらも屋上が照らされる
その光を浴びて……ロザリアの姿は霞のように薄まり、消える
無人となった砦内に到着した増援部隊はややして屋上にもやってくるだろうか
敗残し凌辱された、立場ある女団長
その今後はどうなるものとなるか。最後の言葉は少女にとって僅かに心躍るものだった
王国軍第七師団の長がここタナールでロザリアに不覚をとり壊滅、その後復帰したものの、
続くようにして第五師団の長までもが同じ魔族に───
王国軍に伝わった波紋は、小さいものではないかもしれない
■フォーコ > 全身を汚された私は彼女が去ったと入れ替わりに上がってきた団員達の手により救出される。
すぐさま身体を拭き清めてもらい、替えの服へと着替える。
砦そのものは相手が去ったことにより、曲がりなりにも王国の旗が翻る。
但し、それに至る経緯としては決して褒められたものではなく。
事態を重く見た上層部は今回の件について緘口令を敷くだろう。
しかし、人の口に戸は立てられず。
主だった戦ではほぼ確実に勝利をもたらしていた団長が敗北し、
無残に凌辱されたと言う事実をこれ幸いとほくそ笑む者も現れるだろう。
私は暫く戦場以外での対応を余儀なくされることだろう。
ご案内:「タナール砦」からロザリアさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からフォーコさんが去りました。