2018/03/22 のログ
■ゼロ > そろそろ交代の時間である、交代の要員が来るはずだが。
少年はそんな事を考えていたところ、果たして交代の要員が来た。
二人組の正規の人員、一人が足止め、一人が連絡、それでなくても、砦の屋上からこちらは監視されていて異常があればすぐに連絡できるようになっている。
それでも、魔族への警戒としては足りないと思うのだ。
中には転移してくる魔族だっているのだし、その為の内部と外部の歩哨。
引継ぎを軽く済ませてから少年は砦の中に戻る。
此処での唯一の楽しみとなっている、食堂での食事。
他の仲間のような酒とか女とかカードゲームとか、そんな娯楽がないので、仕方がないといえばない。
食堂は、夜だからか閑散としていて、それでもやっているのには頭が下がる思いだ。
いつもの分量を注文して盛ってもらい、隅の方のテーブルに移動する。
■ゼロ > ここでの食事は、栄養補給を優先してあり、味は然程良くはない。
それでも、前線で戦うために、と優先的に回してもらえていると思う。
そもそもの話、街で新鮮な食事を食べるのとは訳が違うのである。
美味しくない保存食と比べれば天国のような味である、それが山盛り、お腹も満足心も満足。
少しだけ仮面を持ち上げて、掻き込むように食べ始めるのはみっともないとは思えるだろう。
でも、手早く食事し、何があっても良いようにする必要がある。
常在戦場という言葉があると思うのだけれど、ここは最前線で正に戦場であるのだから。
何時襲撃があってもいいように、腹を満たすのはて早く。
でも、だからこそ……味わえないのは残念である。
もぐもぐむしゃむしゃばくばくがつがつ。
一般人の三人前はあろうかという食事が見る見るうちにお腹の中へ。
ご案内:「タナール砦」にサロメさんが現れました。
■サロメ >
長い髪とマントを揺らし、食堂へと足を踏み入れる
───諸事情で帰還するのが遅れてしまい、気づけば夜も更けてのこと
報告と今後の打ち合わせを済ませ、ようやく一息といったところ
表情から疲れは隠れず、タンブラーに水を入れ大きく溜息をつく
食事は…あまり口にする気分にもなれず、ふと食堂内を見渡せば砦の防衛任務と哨戒を行う駐屯兵の姿がいくつか見えた
そのうちの一人、貴方へと歩み寄り、テーブルの椅子を引きながら声をかける
「──相席は構わないかな」
他にも空いているテーブルはあるが、駐屯兵の話を少し聞いてみたいと思ったのだ
■ゼロ > お腹に食事が貯まり、気分が良くなってきた。
はふ、と満足気にと息を吐き出したところでかけられる声、そのほうを見れば、見たことのない女性。
うむ?と首をかしげそうになるものの、聞いた容貌を思い出す。
「はじめまして、副団長殿、僕は、ゼロといいます。
自分で良ければどうぞご相席下さいませ」
急に声をかけられて混乱したからか、一人称が即効でバラバラになっている。
彼女であれば聞いたことがあるだろう、団長に書類を渡してあるが、別の国で作られた生体兵器。
その性能は……捨て駒に使われるかの様な『物』である。
支配のための首の呪印、人体崩壊を厭わない魔導的、薬物的強化。
生きているのは単に、鎧と、仮面の治療の効果。
それでも、魔導の強化を発動すると、命が削られていく仕様である。
少年は上司に向けて立ち上がり、敬礼を行う。
ゼロが第七師団に組み込まれたのは、実力と、この性格からかもしれない。
■サロメ >
「ああ、食事の席だ。楽にしてもらって構わない」
凛とした声は鋭い氷のように思える雰囲気を醸す
───ゼロ、と名乗った少年をじっと見つめれば、納得したように一度目を伏せる
「成程、君がゼロか。
タナールの駐屯部隊に配備されていたんだな」
タンブラーの水で口を潤し、向き直る
書類仕事の大半は自分の仕事となる
また変わった人材だとも思ったものだが…
「顔を合わせたのは初めてだな。
私はサロメ=ディレイン=アクアリア、第七師団の副将と…今は将軍代行を務めている」
恐らく末端の兵士まで情報は行き渡ってはいないだろう
しかし隠す意味はもうない。それくらいに切羽詰まっている状況だった
■ゼロ > 「は!ありがとうございます。」
視線を向けられる。彼女はこの仮面をどう思うのだろうか。
外せと言われても躊躇ってしまうのは、性分でもある、が……。
先に目を伏せる相手に対して、悩む。
「はい、ただ……。将軍から辞令が届かず、未だに僕の部隊の配属がなくて。
一年以上訓練兵としてあっちこっちに回されております。」
質問には答え、そして追加で。必要ないかもしれないけれど、今言わないとずっとこのままの気がしたので少年は少しばかり苦笑じみた口調で言葉を放つ。
此処の部隊は大体が傭兵、となると書類を面倒くさがり作られてないのかもしれない。
その場その場の状況で、あっちの部隊,こっちの部隊と放り込まれている現状。
タライ回し自体はいいのだけど、指揮系統のために何処かに確定して欲しいと伝える。
「サロメ副将軍……いえ、将軍代行ですか。
部隊でもちきりの噂は……いえ。よろしくお願いします、将軍。」
噂は、本当だったのか、少年はそんな風に考えた。
しかし、彼女が今自分の上司である、なのでそれに従うべきだと判断する。
そして、食事が残っているし相手が目の前にいる。
先程はためらったが、仮面をずらしながら一番上の前で食べるのも失礼だろう、と少年は仮面を外す。
東洋系の幼さの残る少年の顔があらわになる。
■サロメ >
「君のことは書類を通してだが一応知らせてもらっている。
各部隊の隊長も配属を悩むのは、ある程度納得するしかないかもしれないな。
砦の駐屯部隊も重要な配置ではあるんだが……」
己でも解っているであろう風貌と生い立ちにはあくまで触れず、現実的にそう言葉を続けた
「…無理に仮面を外す必要はないぞ。
あと、副将で構わない。将軍の席は私にはまだまだ務まらないからな。代行でさえ肩が石になりそうだ。
……噂か、どのような噂として流れている?」
タンブラーをテーブルに置いて髪で隠れていない片方の金の眼を真っ直ぐに向け問いかけた
■ゼロ > 「いいえ、意図があってのことであれば、自分からは何も。
ただ、今まで音沙汰がなかったものなので、不安に思っていたのです。
歩兵として組み込まれるのか、伝令としてなのか、補給なのか、砲兵なのか、竜騎なのか、と。
愚痴のような言葉、申し訳ないです。
ちなみに、砦の駐屯も全然大丈夫ですので。」
彼女の言葉に、そういう状態だったのか、と納得する。
確かに、自分は特殊すぎるだろう、将軍がいないがゆえに決められない状態と、考えることにした。
「戦闘でなければ、大丈夫です。
ずっと着けて居たので、恥ずかしいというのが先に立つだけで。
部隊の皆からは美しくて優秀で、と聞いておりますよ。
ええ、将軍が行方知れずになっている、と。
そう聞いております。
士気の低下も、かなり大きいと思います、僕の知りうる限り。
命の危険が多いここでさえ、サボるものが発生するくらいには。」
問いかけには静かに返答する。
基本ツーマンセルの警備なども、自分の時は大抵一人である事。
上のものがいなければ、酒、カード、性に現抜かすものも多いこと。
隠しても使用のないことなので、知りうることは伝える。
■サロメ >
「気持ちは察するよ。
推察しているであろう通りだ、今第七師団は将軍不在の状態にあり、
一時的に全権は私に委ねられている」
それが配属を遅らせている大きな原因だろう
元々、そういった辞令などには適当な仕事をする将軍だ
大きな戦いの前であれば軍師もかくやという指揮采配を見せることもあるのだが…
「むず痒い言葉だが、褒められていると受け取っておこう。
…そうだな…こういった席で何だが、恐らく第七師団が落ち着くにはもうしばらく時間がかかる。
何か、希望があるなら私が辞令を出そう」
解体の話が進められていることは口にはできない
全体の指揮に関わる上、疑心までも与える
それだけは断固として阻止せねばならないことだった
「私も可能ならば駐屯指揮を執りたいところだが、今はそれ以上に優先すべきこともある。
いざという時はカルネテル卿率いる第零師団が近くの駐屯地から応援に来る手はずにはなっているが……。
──それでも、この砦の防衛に当たるなら命を張る必要はない。
防衛上の要ではあるが、歴史上この砦を超えて大規模な魔物の軍勢が此方に踏み入ったことは、ない」
その理由は不明だが、と言葉を締めくくり、タンブラーを口へと運ぶ
「…防衛体制の引き締めに関しては私自ら注意を促そう」
元より騎士資格のない、傭兵あがりも多く抱えているのが第七師団だ。
頭の言葉がなければ、しっかりとまとまることは難しい
■ゼロ > 「はい。」
彼女の言葉には、多くは返答しない。
彼女の言葉はむしろ、一般兵には伝えてはいけないレベルの機密であることが判る。
なので、短く理解したことだけを伝えるべきだと判断する。
それに、彼女の言うとおり、今師団は危機的状況なのだろう、今自分がするのは騒ぎ立てることではなくて、なんとか状況を守ること、であろう。
「ありがとうございます。
では、歩兵、伝令、補給の中から、人手が足りないところで。
砲撃は命中になんがあると言われましたし、竜には、すごく嫌われました。
状況はわかりましたから、すぐ、でなくても大丈夫です。」
彼女の言葉に、遠慮なく、と希望を伝えることにする。
その時が来るまで、気長に待つということも伝えよう。
彼女にはすべきことが多いみたいだから、これ以上増やしても仕様がない。
「了解しました。
命を大事に、を厳命とし、全力で当たらせていただきます。
確かに、以前魔王クラスと出会った時も……奪い返すだけ、でした。」
彼女の言葉に、以前で合った触手の存在を思い出す。
あの時も、取り返すというだけで、人は殺していたがそれ以上の侵攻の意思はなさそうだった。
思い出しながら、敬礼とともに返答。
「ありがとうございます。」
以前は、適度にここに将軍が駐屯していたから、引き締まっていたのだろう。
彼女の言葉でも、効果は高いはずだ。
少年は感謝の意を将軍代行に伝えて笑顔を見せる。
■サロメ >
「ふむ…」
顎に手をあて、思案
副将自身の指揮する親衛隊に魔法兵が不足していたことを思い出す、が
「(彼は、魔法の素養は薄いのだったか)」
書類の内容を思い出し、言葉を噤む
「この砦は重要ではあるが、奪って奪い返されての繰り返しでもある。
本当に人手が必要なのは…マグメールの王城警備だ。
警備を強化し、昔ほどではないが…今も人間のなりをした魔族が入り込んでいる」
何を企んでそうしているのかは知らないが、と肩を竦めた
王城への転勤も可能だということを暗に含ませて
「ある意味では魔王達のやっていることは専守防衛。
タナールが元々どちらの物だったのかは定かでないが、連中は意図がまるで読めない。
それだけ、人とは価値観も何もかも違うということなのだろうが」
言葉を切って、立ち上がる
水の入っていたタンブラーは空になっていた
「此処のところは齷齪と動いていたからな。部隊の人間をこうして話すのは久しぶりだった。
食事の時間だというのに、会話につき合わせてしまってすまなかったな」
笑顔には微笑みを返し、此方も礼を払った
■ゼロ > 魔法の素養は、無いわけではない。
ゼロの素養は全て身体強化の術式と、支配の術式で食いつぶされているというものが正しい。
今のところ解除の見込みがない。支配の術式さえ解ければ、その分のリソースは出て来るだろう、今の所現実的ではないが。
「必要であれば、何時でもお呼びください。
サロメ将軍代行にはその権限はありますから。
それに、そういう魔族には、この仮面が有効です。
魔法での変化であれば、これは看破しますから。」
肩をすくめる将軍代行に告げる。
少年は、命令とあれば否は言わない。
おそらく、第七師団では珍しいタイプであろう、軍人らしい兵士である。
誰が命令するから従う、ではない、上が命令するから従う。
彼女が必要と判断し命令があるなら、今すぐでも荷物をまとめ出発する意思はある。
暗に発する必要はなく、その意図に気がついても、分をわきまえて口を閉ざしてしまう。
だからこその、便利屋状態だったのだ。
「人のことを軽視しているというのは共通かと思います。
今まで遭遇した魔族の殆どは、そういうタイプでした。」
立ち上がる様子を見て、少年も立ち上がった。
彼女を見送るため、に。
「いえ、自分も上司に久しぶりにゆっくりと話すことができました。
失礼な言葉になるかもですけど、美人な方と喋りながらの食事は久しぶりの清涼でもありましたし。
どうもありがとうございました。」
将軍代行に、冗談を交えた返答をしてから最後は兵士として敬礼を送る。
■サロメ >
「ほう」
見破ることが出来る…というのは希少な脳力だ
まだまだこの少年は未知数の力を秘めていそうだ、と内心に留める
「ならば王城の警備隊への召喚を進めさせてもらおう。
今の所、君のその仮面のようなことを出来る者がいないからな」
無論砦の駐屯軍に穴が空く、正式な辞令が下るのは数日後だろうか
王城での勤務は少々堅苦しいかもしれないが、と苦笑する
その分、富裕層などに足を伸ばせば休日をリラックスして過ごすこともできるのだが
そのことを言わないあたり、この副将は真面目な人物であるらしかった
「──うむ、素直に嬉しい言葉だと受け取っておこう。では、次に会う時まで壮健でな」
最後にもう一度少年に笑いかけ、
マントを飜して踵を返し、副将サロメは食堂を後にした───
■ゼロ > 「はっ。」
将軍代行の言葉に、少年は敬礼を返す。
何処にあろうとも、第七師団であるのは変わりはない。
少年にとって、戦場が変わるだけのことである。
駐屯に関しては、特に強く気にはしなかった。
先程、第零師団が増援としてくるとも言っていた、それは間違いはないのだろうことがわかったから。
それと、少年もまた遊ぶことはそこまで考えていない。
真面目な性分でもあるらしい。
「はい、全身全霊を持って任務にあたります。」
踵を返す将軍代行を見送ったあと、冷めた食事を掻き込んで少年もまた、器を返してから、食堂を後にする――――。
ご案内:「タナール砦」からサロメさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からゼロさんが去りました。