2017/10/08 のログ
ご案内:「タナール砦」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 妖仙の予想に反して、未だ魔族側からの攻勢はない。
お陰様で、砦はまだ王国側の拠点として機能している。
傭兵でもない民間人の滞在は、最前線たるこの場所では奇異だっただろうが、”前線で求められる物資の調査をしたい”というもっともらしい理由付けと、何よりも幾許かの袖の下によって、砦内での行動の自由を確保し、現在に至る。

「とはいえ、こうも無しの礫ではのぅ…」

城壁へと連なる階段を上りながら、ポツリと。
暇過ぎて心と体が鈍ってしまうだとか。

ホウセン > 石造りの砦はそれなりの規模で、石造りの城壁の上部は兵が活動できるだけの幅を有している。
交戦中ではない為、今は見張りの兵士と歩哨がいるのが精々だろうけれど。
夜の散歩という浪漫的な動機ではなく、単に人の目に見えぬ事象を、先んじて己の”眼”で観ておこうという散文的な動機で。

「何しろ、日常的な娯楽に乏し過ぎる。
 これでは精神的な飢餓感で、干乾びた魚のようになってしまおうぞ。」

最前線の要衝に、娯楽を求める方がどうかしているのだけれども、その点には触れず。
多少の酒類であったり、少数ながら娼婦の類は入り込んでいるようだが、絶対的な量が少ないことは否めず。
城壁の上に出る。
遮る物のなくなった丘陵地帯の風が吹き抜け、妖仙の黒い髪をサラリとそよがせる。

ホウセン > 魔族の国――という表現が正しいか分からぬが――の国力やら、構成やら、意思決定の仕組みが如何な形態をしているのか、この人外も豊富な知識がある訳ではない。
反抗の、或いは再占領の動きが見られないのは、早期の攻勢を仕掛けるだけの人的物的資源が枯渇しているのか、はたまた内部での足の引っ張り合いがあるのか。
愉快そうな可能性に目を向ければ、一大侵攻を企図しており、砦奪還のみならず、王国領深くまで攻め込む戦力を掻き集めているというものもあるのだが、判断する為の情報が乏し過ぎる。

「此処に居れば、魔族の被験体を調達し易くなるかも知れぬと期待しておったのじゃがなぁ。」

ポツリと零した、極々個人的な動機。
入手した薬物の類を人間以外のものに使用した実験結果を欲しており、その実験台をちょろまかしてしまおうという魂胆。
人間よりも手強い魔族を相手取ることと意味を同じくする台詞ながらに、小さなシルエットに緊張感はない。
危機感が薄いのか、或いは自負があるのか。
金持ち商人の御曹司という、兎角浮世離れしているイメージのある役柄としては、その振る舞いが幸か不幸か説得力を持たせる。