2016/12/10 のログ
ご案内:「タナール砦」に魔王アスモデウスさんが現れました。
■魔王アスモデウス > 奪い奪われ、常に支配勢力の変わるタナール砦。
今は人間の勢力下であるその砦の物見台の上に、ふわりと降り立つ一人の女の姿。
分かる者にはわかるであろう濃密な魔力を纏った、女は魔族。
それも、大罪と呼ばれる魔王連合のうちの一人、色欲であった。
表立って戦闘することを好まないこの魔王は、砦に侵入を果たし、指揮官を堕落させるつもりでいた。
「んっふふ……久しぶりの人間の男、美味しくいただかなきゃねぇ」
まるで緊張感のない緩く息の抜けるような声音で、楽しげに呟くと、布靴の足音微かに、砦内部へ向かおうと歩き始めた。
ご案内:「タナール砦」にカイオクスさんが現れました。
■カイオクス > ありがとうございます!プロフいつも拝見してて、ぜひお話できればと思っていました。どうぞよろしくお願いいたします。
ご案内:「タナール砦」からカイオクスさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にカイオクスさんが現れました。
■カイオクス > 数多の戦いが重ねられ、人と魔双方の血が染み込んで空気さえも生臭く思えるほどの激戦区。が……その血腥く殺伐とした空気でさえ薄桃色に染まろうかというほどの気配が降り立ち、まるで我が家の扉を開けるがごとく気軽さで砦への侵入を果たしたころ、指揮官の部屋へと続く通路へ、1人の巨漢が姿を見せる。
「……成る程、確かに私のような得体知れずにも高給を払うだけのことはある。これほど色濃く死の臭いがする砦は始めてだ……。」
繰り替えさえれた戦いの気配、それが積み石の1つひとつ似さえ染み込もうかというほどの死地。そこに傭兵として雇われ、歩哨として見回りを続けている蛮族の青年。普段は鞘に収めている双剣を初めから抜き放っているのは、この不穏な空気に当てられたからか。
■魔王アスモデウス > 砦は当然数多くの兵士や傭兵が詰めている。
歩哨に立つ者も少なくない。
しかし色欲の魔王は、口付け一つ、あるいは腕を振るう動作一つで、出会った障害を排除し、指揮官のいるであろう部屋へと続く通路まで進んできた。
そして、そこに赤銅にも似た褐色の肌の巨漢の姿を見つける。
官能的な赤い唇が大きく弧を描く。
「あっはぁ……手ごわそうなおにーいさん。怖い顔してどうしたのぉ?」
戦場の空気には場違いなほど艶めく声で、通路の先へと気安く言葉を投げかける。
ゆったりとした歩調はそのまま、制止の声がかからなければ遠慮なく近づいて行こうとして。
■カイオクス > そもそも砦である以上無人であることなど殆どない。ましてや死地に立つ砦なのだから兵士たちがいるのは当たり前のこと。しかし見張り台に降り立った気配が通り過ぎた後は、殺気立った兵士たちがまるで痴呆のように腑抜けた表情でだらしなく床に寝そべり、あるいは壁にもたれかかるばかり。
血腥い砦でありながら、まるでここが歓楽街や色町であるかのような弛緩しきった空気が兵士たちの顔に一様に浮かんでいて。
「……!?こんな所に女性が?もし……ここから先は立ち入り禁……!?何者!」
そしていよいよ指揮官の部屋へと続く通路へと足を踏み入れたとき、その視線の先には赤銅の肌をした巨漢の姿があった。ほぼ同時にその巨漢も通路の端に姿を見せた人影に気づき。
どうやら通路の端の人影をその艶かしいいでたちと絶世の美貌から、砦にいる娼婦か何かかと思ったか……不審さを抱きながらも丁寧な口調で語りかけてきた巨漢。しかしその声と態度が途中から一変し、明らかに「敵」に対するものに変わって。
■魔王アスモデウス > その通路へ至るまでに交わした接吻の数と、腕を振るいなぎ飛ばした男の呻きの数に、十分に色欲を煽られて。
巨漢が誰何する声に、妖艶な笑みを浮かべて、歩みを止めずに返答を。
「他人に名を尋ねるときはぁ、自分から名乗るものなんじゃないのぉ? ……でも、今はご機嫌だから教えてあげる」
豪奢なマントをするりと肩から下ろす。
男に似た褐色の肌と豊満な肢体が露わになる。
薄紅の髪を軽く払って、首を僅かに傾げて見せて。
「私は色欲の魔王……アスモデウス。この名を名乗ることは滅多にないんだから、光栄に思っていいよ?」
いっそ無邪気なほどに、冗談めかして言った。
次の瞬間、床を蹴って巨漢との距離を詰めようとする。
その太い首に抱きつこうとして。