2016/12/01 のログ
シャルル > ここは戦場。
傭兵でもある男は自慢の鎧に身を包み、襲い来る魔族…敵味方それぞれ20名程度の小競り合いに参加していた。
小競り合いと言っても命のやりとりであり、武功は存在するのだから男ももちろん必死である。

「喰らえ!」

かけ声とともに対魔族に特化されたという大斧を片手で振るい、うち一人をなぎ倒していた。
深紅の姿は目立つため、功績も認められやすい。
雑兵程度では報酬の上乗せは期待出来ないだろうが、この部隊を指揮する敵の首級を挙げれば、それなりの稼ぎにはなるだろう。
生きていくにも、武器の手入れをするにも金は必要なのだ。

シャルル > こちらは傭兵のみで構成されているせいか、統率はそれほどとれていない。
とはいえ、あちら側もそこまで本気になって侵攻しているというわけでもなさそうだ。
いずれにせよ、小競り合いにはよくある光景である。

赤の旦那、気合い入ってるねえ。

敵を一人討ち取れば、ふと後ろにいた傭兵からやけにのんきな声を掛けられる。
彼はまだ敵を討ち取ってはいない…後方から戦いぶりを見物していたのだ。

「ふん、これが仕事じゃからな。仕事は真面目にこなさねばなるまいて。」

そうそう、旦那は仕事には真面目だからなあ。
よし…俺もそろそろ参加するから、生き残ったらまた奢ってくれや。
傭兵仲間は弓矢を番え、敵に向かって放った。
鋭い動きの矢が敵の腿を捉えれば、それに合わせるように深紅の鎧は大斧を袈裟斬りに振り下ろし、魔族の命を奪っていった。

「抜かせ。たまには儂に奢らんか。」

男が楽しそうに軽口を放てば、傭兵仲間はそれはそうだと一つ大笑いを行う。
そうこうしているうちに形勢は定まったようで、魔族は撤退を始めた。
損害はこちらが2人、敵が5人…見事な勝利である。

「うむ、深追いは禁物じゃの。ここは追いかけたとて大した稼ぎにはなるまいて。」

どうやら他の傭兵達も同じ思いでいたらしく、仲間…といってもたまたま数度顔を合わせた程度だから当然といえば当然なのかも知れないが、味方の遺体には簡易の祈りを捧げるだけで特に何の感想も漏らさず、片付けを始めていった。
遺体の収容が終われば、彼らは砦に戻り、そして報酬を受け取りに行くのだろうか。

ご案内:「タナール砦」からシャルルさんが去りました。