2016/11/23 のログ
オーギュスト > 「まぁ、運が良かったからな。こうして戻ってこれた。
師団さえなけりゃ、向こうで一生暮らしたいくらいだったが……」

あの美味い飯が食えなくなるのが辛い。辛すぎる。
これからはまた塩スープに堅いパンの生活である。

「というよりも、な。向こうはどうも、こっちよりも千年ほど歴史の長い世界みたいだ。
おかげで胡椒も大量に生産して、安いんだとよ」

そして、ある本を見つけると、それをテイアに掲げてみせる。

「お前さんなら、これが気になるか。その世界の医術を記した本だ。
どうも、東で流行った病、あれの原因と解決法が載っているみたいだぞ。お前の森の村でも、一部流行ってなかったか?」

王国東地方の流行病はひどいもので、毎年多くの人間が原因不明で亡くなっている。
王国の医者達が総力を挙げて治療しているが、いまだ原因すら分からない。
オーギュストは本でその病に酷似した病を見つけたので、本をかっぱr……げふん。借りてきたのだ。

テイア > 「運がいいのか悪いのか…。ものが豊かなほうを蹴って、わざわざ血なまぐさい戦場に戻ってきたのか」

戻ってこれたのはある意味不運ともいえるだろう。
向こうの世界が、どのような場所かはわからないが少なくとも資源や物は豊富そうだ。
それでも、こちらを選ぶのはこの男らしいと思えた。


「なるほどな、生産して安定供給されるなら価格が安定するのも頷ける。チョコレートもそういうことか…。」

千年ほど長い歴史…ということは、千年分こちらよりも進んだ世界ということか。
ふむ、と興味深げに話を聞いていると、本をこちらへと掲げられ受け取る。
そしてぱらぱらと捲り。

「高熱が出て、皮膚が黒く変色する病だな。国中で流行った時に森でも何人かやられた。鼠や蚤から感染するのか…。」


害意、敵意のある者を拒む森でも病ばかりは防ぐことができない。
抵抗力の弱い者から感染に、そして死んでいったときの事を思えば自然表情は険しくなる。
本には、感染源や、症状、治療法まで細かに記されており食い入るように文字を追って。

オーギュスト > 「今更堅気に戻れるかよ。
俺は殺しすぎた、今更平和には生きられん」

それに、やられっぱなしで生きていくわけにはいかない。
あの吸血姫には目に物見せてやらねばならない。その為の方法も容易してきたのだから。

「そいつがあれば、結構な種類の病が抑えられるぞ。
まったく、異世界の技術ってのは凄かった」

なにせ、向こうでは小刀で人体を切り開いて、体の中を直接治療したり縫い直したりする技術まであるのだ。
王都の医者どもが聞いたら目を丸くする事だろう。

テイア > 「…確かに、難しいかもしれないな。」

そのつぶやきには、自らを重ねた響きが交じる。
戦場から幼子のもとへと戻ったとき、人を殺めたその手で触れて良いものかと悩むから。

「ああ、原因がわかれば予防も可能だろう。予防法までしっかい書かれているし、これは国の宝になるだろう」

細かい人体解剖図まで乗っている。
なんとまあ進んだ医療だろうと驚かされることばかりだ。

オーギュスト > 「――さて、それじゃ帰るとするか。
あいつらが待ってる」

第七師団。
あの連中が待っている。
あいつらが居なければ、戻ってくる事は無かっただろう。

「色々とやる事があるが……まぁ、まずは」

帰って、寝るとしよう。
寝床は堅いが、勝手知ったる我が家だ。

テイア > 「ああ、帰って安心させてやれ。落ち着いたら、砦の引き継ぎを頼む。」

サロメを含め、第七師団の者達もようやく安堵することができるだろう。
手に持っていた本を男に返して。

「チョコレートは有り難く頂いておく。とりあえずは、生きていて良かった。おかえり、オーギュスト」

彼のあっけらかんとした態度に言い忘れていた事を思い出し、それを告げると帰路に着く男を見送るか。

オーギュスト > 「おう」

ただいま、とは言わない。
それを最初に言う人間は決めている。

王国を再び驚愕の報が駆け巡る。

『第七師団長オーギュスト・ゴダン、生還する』

ご案内:「タナール砦」からオーギュストさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からテイアさんが去りました。