2016/11/09 のログ
ご案内:「タナール砦」にノーガルトさんが現れました。
■ノーガルト > 「……なあ、ダイン。どう思う?」
(ノーガルトは、タナール砦の城壁を遠くから見ながら、一人呟く。草の上に胡坐をかいて座り、頬杖をついて。)
『何がだ?』
「いや、ここの所魔族優性の日が続くな、と言う話だ。王都の騎士団が破れてからというもの、人間の旗が掲げられているのは3日連続磨ればいいほう。しかし、魔族の旗はもう1週間もあのままだ。」
『……オレには、そんな難しい顔をする案件じゃない気がするんだがな。』
(ノーガルトの声にこたえる声は、野太い男の声だった。
どこから聞こえているのか定かではないが、確かにここにはノーガルト以外の声が響く。)
「ああ、何とかという神様の加護か。まあ、アレがある限り魔族がここから先に攻め込むことはないと思うが…。」
『それがひっくり返ると、この国は滅ぶんじゃないか、と?』
「ああ…、俺はそう思う。」
(ふぅ、と言うため息が漏れる。それを打ち消したのは、ノーガルト以外の、もう一人の声だった。)
『……お前には関係のない話だろうが。』
■ノーガルト > 「いや、関係なくはないだろう。この地方で、お前やディンの兄弟が見つかる可能性だってあるんだ。」
『だったら、魔族を切り伏せて捜せばいい話だ。』
「……何千何万という魔族と遣り合えというのか?さすがにそこまでのスタミナは、俺にはないぞ。」
(そんなものはごめんだと、ノーガルトは肩を竦めた。背中に背負っている剣『ダイン』の言葉には、いつもながら呆れすら浮かぶ。小さいころからずっと、こんな関係を続けているから、さすがにもう慣れはしたが。
旅に出て20年間、ダインの兄弟をようやく見つけたのは1年前のこと。それ以降はまったく音沙汰もない。むしろ、ダインの話が嘘だったのではないかと疑い始めてもいた。)
「……なあ、ダイン………。」
『嘘ではないと、あと何回言わせるつもりだ、お前は。第一、その証拠にディンが見つかっただろうが。』
■ノーガルト > 「だが、手がかりもなしに神話の中に登場する剣を、後3本探せというのはなかなか、骨が折れるぞ。俺はお前やディンのように、不死身じゃないんだからな。」
(剣のように、歳もとらないし折られても時間がたてば治るなら、いくらでも探せる。けれどもあいにく、ノーガルトは人間だから、探すにしても時間制限というのは確実について回る。第一、一本見つけるのに20年もかかったのだから。)
「最低でも、60年だぞ。そうなったら、俺は89歳だ。さすがに、よぼよぼの爺さんになってもお前の兄弟を探してくれ、といわれても無理だぞ。」
■ノーガルト > 『そうなったら、そうそうにお前を見限ることにするさ。』
「はは…、生まれてからずっと一緒だったお前に見限られると、さすがにショックかもな。」
(ダインの言葉を、ノーガルトは軽く笑い飛ばす。その場から立ち上がりながら、服についた草木を払った。)
「さあ、いつまでも此処にいて、魔族にでも見つかったら厄介だ。そろそろ、町のほうに行くとするか。」
『なら、早く立てかけてくれ。そろそろ剣が錆びそうだ』
(ダインの、そんな冗談とも取れるような言葉を耳にしながら、ノーガルトは街のほうへと歩いていった。)
ご案内:「タナール砦」からノーガルトさんが去りました。