2016/10/30 のログ
ご案内:「タナール砦」にテイアさんが現れました。
テイア > タナール砦。その所有が魔族と人間とめまぐるしく変わっていく。
魔族の国との国境でもあることから、対魔族の戦場の最前線にあたる。
主にその対魔族戦線を取り仕切る第七師団の将軍が行方知れずとなって随分と経つ。
現在も見つかったという報告は受けてはいなかった。
本来であれば、国の西側の他国との国境付近を守護する任についている女が、騎士団を率いてこの場にいるのはおかしな話であったのだが、魔族戦線の維持の緊急性や、第七師団将軍捜索の必要性から編成された騎士団の面々をまとめるのに、産休中である女に白羽の矢が立ったわけだ。
…というよりも、その必要性を団長に進言したのは女であったから、言いだしっぺの法則というやつである。
平原に、聖騎士団の旗をはためかせる軍勢が展開し魔族とのにらみ合いが続く。


「突撃、構え。突撃と同時に詠唱開始、斉射開始せよ。」

女の声とともに、騎士たちが場上槍や斧などを構え合図を待つ。
後方のプリーストたちは祈りの力を高め神言の準備に入り、砲台は砦へと照準を合わせる。
鷹が一羽、力強く羽ばたいた。
甲高いその声が合図となり

「――突撃!!味方の砲撃に吹き飛ばされるなよ」

掛け声とともに一斉に馬が走り出す。プリースト達は詠唱を始め、祈りにより浄化された聖水の詰められた砲弾が砦へと打ち込まれ、それは雨のように降り注ぐ。
下級魔族はそれだけでひとたまりもないだろう。
聖水に焼かれ悶える下級魔族を、馬脚が蹴散らし、聖水の雨に耐える魔族を槍が突き刺し、凪払う。

テイア > 見る見る間に軍勢は砦まで進行し、魔族の血が平原に広がっていく。

「風よ、奔れ」

長い馬上槍を引くと、魔力を通わせて風を起こす。
槍を中心に風が巻き起こると、突き出すと同時に暴風が幾重にもまとまり放たれる。
敵を巻き上げ、道を作りながらその先。砦の門すらも打ち破っていく。

「突き進めぇーー」

血しぶきをあげながら、前衛が砦の内部まで侵入を果たし白兵戦へと移行する。
その間も砲撃は続けられ、どぉん、どぉんと地面を揺らし聖水の雨を降らせ続ける。

テイア > 「残党処理、被害状況の報告、負傷者の手当急げ。」

外も、砦の中もほぼ制圧が完了しつつある。
白銀の鎧を魔族の血の色に染めながら、女が指示を出し続ける。

「プリーストは入場後、すぐにウォールシステムの構築に着手。準備ができしだい展開せよ。」

砦の外にいた後衛の騎士たちが、すでに神言の書き込まれた杭を砦を囲むように打ち込んでいる。
女は、砦に入るとすぐにその中央に位置する場所を目指した。
そして、たどり着いたそこに幾何学的な模様と七色に光る水晶を設置する。
水晶はまるでそこから生えるかのように根を張り、成長してクラスター状に天井へと伸びていき。
砦内へと入ったプリースト達は、東西南北砦の至るところに散り、先ほどとは違う神言を唱え始める。
次第に、打ち込まれた杭に光が灯り砦を中心に魔法陣が描かれていくか。
しだいに、光りは杭から天へと上り魔の者を拒む聖なる光の壁が出現する。
まだ実験段階であるが、よほどの力をもつ魔族でなければこれで砦に侵入することは難しいだろう。
侵入したとしても、光の壁の内側ではひどい不快感を感じることになるだろう。
その不快感に、物陰から何匹かの魔族が騎士たちへと襲いかかる。
その最後の一匹を切り伏せると目元のゴーグルをあげて女がひとつ吐息を零した。

「…これで、邪魔なく捜索活動ができる、か…。穴が塞がれていなければいいのだがな。」

報告によれば、将軍は砦の穴の中に落ちていったとのことだ。
入れ替わりが激しい分、損傷と修復を繰り返している故に穴自体が塞がれていれば探すのがまたひとつ大変になる。