2016/02/23 のログ
■エミリー > 「ぬ、抜けないー……」
壁に縫い付けられた状態から脱しようと炎を起こし炙り始める
腕力で抜くなんて真似はできない…それはゴーさんの仕事
「ゴーさーん。頑張れ~…」
援護ができる状況ではないので応援だけ、しかし甲冑の方は善戦している
転がったサロメを見据え剣を引き構える
追撃に出ないのは侮っているのではなく単純に、そして安全にこの構えが一番有効的
反撃を警戒しながら甲冑は動かず…上階ではエミリーが何とか腹に刺さった槍を抜こうと四苦八苦している
ご案内:「タナール砦」にサロメさんが現れました。
■サロメ > 「く───」
小兵故にサロメの戦型には移動を多用する部分が多い
「(……回復魔法のスクロールは使いきっていたか、さて…)」
砦を奪う際の激戦で、部下の手当にすべてを使いきっている
脚を奪われたならば正直に言えば分が悪い、しかしそれを悟られるわけにはいかない
「(やむを得ないな)」
額から滲む脂汗を拭い、その手を真っ直ぐに甲冑へと向けて魔力を収束させる
氷から不純物を一切取り除く、所謂ディープフリーズ、その硬度は鋼鉄に比肩する
「覆え…!!」
甲冑に向けて魔力を放つ
最硬の氷の牢獄に、その脅威を閉じ込めようと文字通り魔力を振り絞る
魔力が枯渇しかねない、が…現状の窮地を脱しなければ先はない
幸い、魔法が使えなくなっても自分にはまだ剣が扱えるのだ
■エミリー > 「………」
氷の牢獄に囚われた甲冑、自信を囲む氷の壁…それを見回す
そしてこの状態から取るべき行動はとても分かりやすい
「ア゛ア゛ア゛アァアァァァアァ…!!」
獣よりも獰猛な雄叫びと共に氷の壁に剣を叩きつける
一度で打ち壊せないなら二度、それでもだめなら三度
剣がどうなろうと斬る斬る斬る斬る殴る殴る殴る殴る
剣を、小手を、使い着実に壁を削っていく
数分はもつだろうがそれ以上は分からない…ふとエミリーの方を見てみればそこにもうエミリーの姿はない
あるのは突き刺さった槍と…少なくない血と臓物、無理矢理腹を引き裂いたのだろう
■サロメ > 「…出てこられたらかなわん、そこでしばらく凍っていろ…」
更に魔力を振り絞る
氷の壁は更に厚く、甲冑を完全に閉じ込めるように内側へ内側へと凍てついてゆく
万全ならば兎も角いまの脚の状態でやり合いたくはない
おそらく別所で苦戦しているのだろう自身の部下がこちらに来る様子も気配もない
───一瞬、ふらりと体が傾く
失血?否、魔力の枯渇だ
頼むから出てくるなよ、と氷の壁に念を送りつつ、串刺しになったエミリーのほうに視線を向ける
「───!」
消えている
そこにいた、残滓こそあるもののその姿はなくなっている
氷結魔法に意識を割きすぎたか、完全に見失ってしまった
■エミリー > 「――…ー…」
小さく更に上層から声が聞こえる
呟くような声で…何かを詠唱している?
「……」
甲冑が動きを止める…このまま殴っていても無駄だと思ったのか
それとも別の命令が下ったのか
「準備完了~…ファイアウォールー…!」
しっかり魔力を込めご丁寧に詠唱までした魔術が起動する
狙いはもちろん黒甲冑と氷の牢獄、中に居る甲冑ごと燃やし尽くす勢いで炎の壁が牢獄を覆う
■サロメ > 小さく聞こえる声
それが詠唱だと気づいた時には既に遅く…氷塊は爆炎に包まれる
いくら硬度を高めようと巻き上がる熱には到底もたず、融解し、罅が入り
僅かな間に牢獄は全て崩れ去ってしまう
「……」
床に剣を突き立て、右脚をかばいながら立ち上がる
「せめてでかい方だけでもと思っていたが…随分と仲良しなコンビだな」
剣を構え直す
流石に形成は大きく不利だ
……半日待てば王国から駐屯のための部隊も訪れる
「(このコンディションで半日は気が遠くなるな…)」
逃げるか
逃げるならば魔族の国の方面へ移動するしかない
進退窮まるとはこのことであろう
「…泣き言を言ってもはじまらないな」
地を蹴る
激痛が走り傷から血が吹き出すがそこは我慢でどうにかする
接敵すれば勢いのままに剣を袈裟懸けに振るい斬りつける
自身の魔力は枯渇せども魔剣の冷気は衰えない
斬撃と同時に凍てつく氷撃を甲冑へと叩き込む
■エミリー > 炎の中から現れる黒甲冑
氷に囚われ爆炎にさらされようとその動きは変わらず赤く光る眼光がサロメを捉える
「どうしよー……」
そしてエミリーも苦悩する
サロメが想定以上に折れない
外の兵達の連度も高くアンデット達も攻めあぐねている…仕方ない、彼らの希望を折る必要がある
「ゴーさん、やっちゃって~…」
刃が欠け鈍器となった剣を振るう
見事な踏み込みだがやはり傷の痛みか無傷の時よりも少しだけ軽い
振るわれる剣と打ち合わせるように全力の一閃
氷撃は甘んじて受けるがサロメの剣、そして腕には尋常ではない衝撃を与えるだろう
■サロメ > 「───」
成程、この甲冑は並ではない
巨躯にして俊敏、破壊するにも剣一つでは心もとない
動きを封じようにも、魔術に優れた主がそれを許さない
判断を誤ったか、魔族の国の方面とはいえ、逃走を計に入れておくべき───
だった
甲冑に弾かれた腕に伝わる衝撃、その隙に食い込むような豪撃に打ち飛ばされる
後方の壁にしたたかに打ち付けられた後、その手から剣を落とした
「……ぐ、ふっ」
呼吸をしようとして呻き声が漏れる
逆今朝に打ち付けられた一撃は充分すぎるダメージに足るもので、満足に腕すら上がらない
その戦型故の軽装に叩きこまれた一撃、傍目に見てすら明確な決着である
■エミリー > 「やったかなー……」
確認、と上階から顔だけを覗かせる
壁際に力なく倒れるサロメ…一応警戒しつつも黒甲冑が近づき腕を掴む
「ふー……一応勝てたかな…?」
意識は朦朧と言ったところか、少なくともあれを受けて剣は握れないだろう
フヨフヨと黒甲冑の元に降りる
さてここからが面倒くさい
「えーっとぉ、今から酷い事するけど…ごめんね……?」
黒甲冑がサロメの襟元を掴み持ち上げる。
打ち取られた首を掲げる様に兵達に彼女の姿を見せれば退いてくれるかもしれない
そんな期待と共に党の階下、アンデット達と戦闘を繰り広げる者達の元へ向かう
■サロメ > 「うっ…」
甲冑に掴まれれば細腕が悲鳴をあげる
抗おうとするも思うように体が動かない、そのまま襟首を掴み上げられ───
サロメの部下達は善戦していた
対魔物には慣れている上に、退魔術の専門家も僅かだが編成されている
いち早く異常を察知し、有利な位置で結界を展開しアンデッド達に一歩も引かずに戦っている
『王国からの駐屯予定の部隊はまだこないのか!』
『そんなに早くは来ない!せめて日が暮れるまでには到着してくれるといいが──』
『おい!結界を緩めるな!!』
負傷者も出てはいるが、その場所では戦いの怒号が飛び交っている
■エミリー > 「すぅ……みなさーん、この人殺しちゃいますよー…?」
やはり押されていた、数で勝っていても対魔族の騎士相手だとこんなものだ
しかし…そんな中水を打った様に声が響く
謎の黒甲冑と黒いローブの女、そしてそれに拘束されるサロメ…脅しとしては満点だろう
「皆さんが何かするより~、この人の頭を砕く方が早いですよ~…みんな帰って~」
のんびりした口調で告げる
撤退しなければ殺す、抵抗すれば殺すと
できればそんな事はしたくないが抵抗されれば仕方ない
彼らが何かをするよりも黒甲冑の手の方が早いのは明らかだろう
■サロメ > 「………」
屈辱的ではある
…が、部下達にある種の信頼をサロメは置いている
朦朧する意識の内で、驚愕の表情を見せる部下と眼があう
しかしその部下達の表情はその一瞬のみ
『退がるぞ!!』
自分達とアンデッドを阻んでいる結界を最大強化し、部隊は全員同時に後退する
一時の迷いもなく部下達は撤退しせいに入り、騎馬で王都へと向かうだろう
サロメを助けようとする者は誰一人としていない
それでいい
「(……しっかりと、言いつけは守ってくれたな…)」
常に最前線に配置される第七師団である
こういう状況も当然折り込み済みであった
あとは、王国から充分な部隊が編成されて砦へと出兵されるだろう
「(その時に私が生きているかどうかは、わからないが……)」
安堵とも諦めともわからないため息をつく
辺りからは人の気配が消え、アンデッド以外、砦の中の人間はサロメ一人となった
■エミリー > 「うわ~はや~い……」
見事と言えるほどに速い撤退だった
一悶着ぐらいはあるかなと思っていたが…何もなくスムーズに引いて行った
「じゃぁ…サロメちゃんは私の~…♪」
アンデット達を集め砦に籠城させる
そしてサロメを担いだ黒甲冑おとエミリーはと言うと…
「後で沢山来るらしいから~…逃げよっかぁ…♪」
嫌だが仕方ない、上質なアンデット達が大量にいれば交戦も考えるが現状そんなのは自殺行為
できるだけ塔に釘づけにしている間に自分達は逃げよう…そんな自分勝手な理由で逃げる準備を始めた
もちろん逃げる面子の中にはサロメも入っている
■サロメ > 「……殺せばいいものを」
いまだ打ち付けられた息苦しさを感じながら、虚ろな視線をエミリーへと送る
兵を引かせる口実に使ったあとどうするのかと思ってはいたが
どうやら殺すつもりはないらしい
悪趣味な実験に使うつもりか、子飼いにして王国軍相手への取引材料にするつもりかと色々考えたが
そのどちらもこの相手にはそぐわないような、そんな印象があった
一先ず、ダメージが深く口を動かす以外は為す術もない
■エミリー > 「嫌いな人は殺すけど~…そうじゃない人は別~…」
好き好んで死にたい輩なんていないだろう
だから嫌いな奴だけ殺しそれ以外は殺さない、何ならサロメに対して治療もするだろう
「私はエミリー、貴女のお名前は~…?」
彼女が居れば色々と動きやすいのもある
かなりの地位らしいし街に戻ってからも彼女の知恵は役に立つ…これからまた根無し草だと思い出すと少し涙が出てきた
でも一先ず名前を聞いておこう、いつまでも貴女では呼びにくい
■サロメ > 「………」
再びため息をついた
運が良いのか、悪いのか…
「…サロメ=D=アクアリアという」
普段ならば名乗る名などないと返すところだったが、
今回はエミリーの事情も本来ならば察するべくところがあった
自分の立場としては聞き入れるべきではないものだが、こういう状況になっては立場も何もないのである
■エミリー > 「サロメちゃんか~…じゃぁ、これ被ってね~…」
砦から持ってきたローブを差し出す
一応捕らえているのだからばれないように変装はしてもらおう
大男の全身甲冑にローブの二人組…怪しさ満点だが気にしない
「それで~とりあえず村に行くよ~……」
一先ず王都ではなく周辺の村を目指す
王都に入ればその場で捕まるのは目に見えている
そこを拠点にしてしばらく過ごす…その旨を伝えれば早速出発した
■サロメ > 僅かに回復してきたところで、なんとか自分の足で立ち、ローブを受け取る
多少右脚は引きずりそうだが歩くことはできそうだ
「(やれやれ…なんだか妙なことになったな……)」
脚さえどうにかなれば隙をつけば逃げれそうでもあるこの状況
どうにも緊張感を感じないエミリーの間延びした口調に調子を崩されながら、
言われるがままにその後をついてゆくのであった
ご案内:「タナール砦」からエミリーさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からサロメさんが去りました。