2015/10/21 のログ
■エドガー > 「ははは、そうだねぇ。そうしてくれると、万が一にも私が逃げやすいね。そこの魔族達が、先ほどから獲物を見るような目で見てくるからね。おぉ、怖い怖い。」
(万が一にでも、とりあえず逃げおおせることは出来るようだと分かり、態とらしく安堵の息を吐きだす。まだ盛り上がっているらしい軍勢の一部が、男へと顔を向けているのが良く見える。流石に魔王の前で無作法を働くような輩ではないだろうが、と軽口を叩きながら)
「その時は別の場所を探そう。なに、時間はたっぷりあるのだからね。」
(別に其処だけにこだわる必要もない。時間が沢山あるのだから、気ままに探してみるのも一興だと大して気にしていないような態度で答える。しばらく、目のやり場にしていた宝石だったが、気が済んだのか懐へと仕舞い込んで)
「昔は戦場を駆け巡ったものだがね…名を轟かせていたかどうかは知らないさ。既に、こんなになってから長いからね。誰かが私を覚えている方が珍しいのではないかな? ふふ、正体も何も…こんな顔をした単なる宝石好きさ。 …そうだねぇ、私はダイヤが良いかな。一番初めに見たのも、ダイヤだったからね。」
(フードを脱いで、その顔を見えるようにする。その顔を魔王が知っているかどうかは知らないけれど、特に知っていても知らなくても問題は無い。もし知っているのならば、どのようなものかに興味があったが。魔王の質問には笑みを浮かべて答えてみせて)
■魔王アスタルテ > 「みんな、当然のように全然暴れ足りないからねー。
その言い草から察するに、君もまた空間魔術の使い手というわけだね。
魔術は色々な流派があるわけだけど、結構な難易度である事が多い空間魔術を使えるという事は、やはり君はかなりの実力者という事だよ。
これだけの軍勢を前にして軽口を叩けている点からして、只者ではないとは思っていたけどねー」
(当然だが、魔王の前で弁えない行動をする魔族達ではない。
魔王あるいは四天王の指示がない限りは、同胞たるエドガーに手を出す事もない)
「宝石だったら、ダンジョンとかでも結構眠ってるよね?
キラキラなジュエルを求めて、ダンジョン探索とか結構やるの?」
(魔族には時間がある者も多い事だろうねー。
エドガーが宝石探索に興じる時間もまた、あるものだ。
戦利品はありがたくいただいていくけど、彼の宝石探索自体は趣味として良き事かな、とも思うよー。
宝石って、綺麗だもんね)
(エドガーがフードを取ると、魔王はその姿にピンとくる。
やはり、昔に名を上げた魔族だったよー)
「やっぱり、知っている顔だったよー。
君は、エドガーだよね?
魔族の間では、変わり者とすら認識されているね。
だけど昔の話をすれば、その力を振るって結構な名を上げた魔族でもあるよ」
(数多の魔族や魔物を束ねし魔王は当然、魔族事情に詳しい。
エドガーの顔を見て、すぐぴんときたのだ)
「ダイヤモンド~♪
あたしも、ダイヤは好きだよー。
宝石の王道で、特に綺麗に輝くよね!
エドガーにとっては、ダイヤが宝石に触れ合う運命の出会いだったというわけだね」
(ちょっとロマンチックな解釈をしてみる魔王)
■エドガー > 「おやおや、これは失敗したかな…?出来る限り、手札は明かさないようにしているつもりなのだがね。ははは、なぁに…単にどうなるかと思って、軽口を叩いているだけさ。 ま、少々頭にきているのもいそうなものだがね?」
(軍勢は全員が魔王に忠誠を誓っている。その魔王へと軽口を叩いている男の姿を見て、苛立ちを覚えない者が居ない方がおかしい、と思っている男。笑みを浮かべながら、視線を魔王から四天王、軍勢一人一人の表情を窺ってみる。仮に、激怒していたとしても男の態度が改まることはないのだが。)
「そうだねぇ…時には危険を冒して、冒険などしてみるのもありだねぇ。苦労して手に入れた宝石は、また格別に綺麗に見えるものさ。」
(宝石を入手する方法にこだわりはない。人間の店で買う時もあれば、魔王の言った通り探索をして手に入れることもある。苦労をすればするだけ、対価として宝石はより美しく煌めいて見えるのだと、掌をひらりと一度振って語ってみせた)
「あぁ、これはこれは…私のような老いぼれの名前を知っていてくれているとはね。光栄です、と言うべきなのかな? ふふ、変わり者というのは自分が一番分かっているよ。 あぁ、何気なく手にしたものだったが…今では宝物さ。」
(どうやら覚えていたらしい魔王の言葉に手を叩いて鳴らしながら言葉を返す。自分の評価と聞いて、少しおかしそうに笑ってから、宝石との出会いを思いだすように背もたれに凭れるような体勢になる)
■魔王アスタルテ > 「それはまあ、頭にきそうな者もいるよねー。
これだけの配下を目の前にして、君はこのあたし相手に、結構な軽口を叩いているわけだからね。
一歩間違えば、君に襲い掛かってくるかもねー。
あはっ♪ あはは♪」
(愉快そうに、そして無邪気に魔王は笑う。
もちろん、魔王に忠誠を誓う高位魔族の中には、その主たるアスタルテに軽口を叩くエドガーを睨む者も多くいる。
今にも襲いかかってきそうな魔族もいる。
なにせ高位魔族なのだから、その腕に自信がある者がほとんど。
だがアスタルテの腹心の部下たる四天王は至って冷静であり取り乱す事はない。
ただ魔王アスタルテに忠実なのだ)
「君程の者なら、結構なダンジョンを攻略できるんじゃないかな。
宝石の入手は情報や運次第になるかもしれないけれど、けっこー手に入れられそうだね。
確かに、達成感から得られるものって大きいよね。
分かるよー、それ♪」
(それが宝石マニアの宝石探索となれば、煌めきが増すのも想像できるよー。
きっと、とっても輝かしいんだろうね)
「遥か昔は結構な活躍をしてたもんね、エドガー。
だけどここ最近は、エドガーの名はあまり聞かなくなったよね。
昔は戦闘に明け暮れていたけど、宝石集めにジョブチェンジちゃった感じかな?
きっかけとなったダイヤはちゃんと所持しているんだね。
宝物かぁ、それはとっても素敵なものだよー。
そのダイヤとの出会いは、どんなものだったの?」
(興味本位といった感じで、何も知らない子供のように首を傾げて問うてみる)
■エドガー > 「まぁ、怖い物見たさっていうところがあるがね。それはそれは恐ろしいねぇ…いやはや、それだけ大勢で襲われたら私など八つ裂きにされてしまうよ。 ふふふ、流石にそこの四人は冷静だ…君は勿論のこと、彼らも敵には回したくないねぇ。 …頭でも下げておくべきかな?」
(男は睨んでくる者や今にも襲いかかってきそうな者に関しては何も言わない。ただ、魔王とその側近の四天王に対してのみ畏怖するような言葉を口にした。笑みを浮かべたままで、そんな問いかけまでしておく。魔王と四天王の取る態度を、男は余裕の表れと判断した。尤も、流石に喧嘩を売るつもりもない。拙くなったら逃げるだけのことだった)
「おや、君はどちらかと言うと苦労をしない側に居そうなものだが…意外だね。魔王と言えど、労力を費やすことがあるのかな?」
(片眉を上げて、意外そうな表情を浮かべる。魔王が自ら動いて達成しようとするようなものがあるのかと、興味を持った男は尋ねてみる。昔のことを思い出しながら、膝元で手を組むような姿勢を取り)
「若い頃は、その力を振るうことに喜びを見出していたのが、今は宝石を集めることに変わった…それだけの話さ。それに、特に人材不足というわけでもなさそうだからね。 はは、面白くもなんともないさ。ただ、戦場で落ちているのを拾っただけだからね。」
(宝物との出会いは、魔王が期待するようなものではなく戦場で落ちているものを拾っただけだと苦笑交じりに答えた。そして、ふと月を見上げて)
「さて…私はそろそろ行くとしようかな。それではね、顔を見れて良かったよ。」
(男は笑みを浮かべてそう言うと、転移魔法で姿を消してしまうのだった)
■魔王アスタルテ > 「空間魔術という逃げ手があるとは言え、その度胸は嫌いじゃないよー♪
君は君で、とても落ちついているからねー。
さらに君はこの状況で何が脅威かを判断するだけの能力も備えているわけだよ」
(その言葉は、『頭を下げておくべきかな?』という問いを肯定しているようにも聞こえるだろう。
しかし、頭を下げなくても、別に何をしようというわけでもなかった。
周囲の高位魔族よりも脅威なのは当然だが魔王と四天王。
その実力が群を抜いて高い事以外にも、例え高位魔族達から睨まれようとも、冷静な判断ができる軍勢のトップたる魔王と四天王に敬意を払えば、実質襲われる可能性も大幅に減る)
「魔王もけっこー苦労してるんだよー。
魔族や魔物を従えて、導いていく立場だからね。
組織の規模がでかくて、それをちゃんと運営していかないとだからね!
さらに人間の国の侵略とか考えたり、他魔族勢力に睨みをきかせたりとかで、魔王の職務は大変なんだよー。
詳しくは言えないんだけどねー。
まあそこまで言っておいてなんだけど、真の意味での苦労というのはここ最近ないねー。
苦労しない側というのは、その通りだよ」
(魔王アスタルテには野望があり、魔族や魔物を従えて導くためなら労力は惜しまない。
アスタルテは、魔王の職務を結構真面目にこなしていた。
だがそれが真の意味で苦労しているかと言われれば、また別だよ。
もちろん、まだまだ余力を残しているからねー。
それに組織が巨大という事は、リーダーは部下にお仕事を与えていくのが役目だね!)
「別の喜びを見出せたなら、それはとても素敵な事だと思うよー。
あたしが言うのもなんだけど、力を振るう事が全てでもないからね。
人材不足ではないけれど、魔王軍への加入はいつでも大歓迎だよ!
そっかぁ。元は、戦利品からエドガーの宝石集めが始まったわけだね。
それはそれで、エドガーが力を振るっていたから到達できたという事でもあるね」
(苦笑するエドガーに、無邪気に笑ってみせる)
「もう行くんだね。
あたしも、君と話していて楽しかったよ♪
またねー、エドガー」
(転移魔法で姿を消すエドガーに、アスタルテは手を振った)
ご案内:「タナール砦」からエドガーさんが去りました。
■魔王アスタルテ > (エドガーの姿が消えると、魔王は再び不敵な笑みへと戻る。
そして身体からはまた闇のオーラが発せられ、その魔王の威厳を発揮する。
その右手には、邪悪な大鎌が現れた。
その瞳は、禍々しい紅に光輝く。
さっきまではエドガーと気さくに話していたから幼女のように振舞っていたが、これからまた魔王として魔族達を指揮するのだ。
魔王が片手で大鎌をゆっくりと振り上げると、砦を攻めた高位魔族達は人間の女や価値のある物などの戦利品を持って帰ってくる)
「皆の者、御苦労だったね。
それでは、行くよ」
(その声は幼女のものでありながら、貫禄に満ちていた)
(大空が大きく揺れると、大鎌を向けた先、その空間がどんどん切り裂かれていく。
やがてそこに大きな穴が出現した。空間の裂け目である。
魔王アスタルテがまずその穴に消える。
そして四天王が続き、数百の高位魔族もその後を追った。
これにてタナール砦には、元々砦を攻めていた魔族しかいなかった)
ご案内:「タナール砦」から魔王アスタルテさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にオーギュストさんが現れました。
■オーギュスト > 「閣下、準備整いました!」
工兵の知らせにオーギュストは頷く。
もう何度目か分からぬタナール砦の奪還戦。
オーギュストはその攻撃の指揮を執っていた。
オーギュストは基本、この砦を守りきる気はない。
そんな事をしても無駄だというのは分かりきっている。
大体、魔族が本気を出せば神の加護ある都市以外の何処を守っても無駄に終わる可能性が高いのだ。
いちいちこんな辺境の砦を守る意味は無い。
「よし、ブチかませ!」
オーギュストの号令一下、爆音が鳴り響く。
とはいえ、魔法ではない。
オーギュストは今回の戦いに、ある物を用意していた。
それは「カノン」と呼ばれる新兵器である。
爆発の魔力を秘めた鉱石を使い、これまた爆発の魔力を秘めた魔石を撃ち出す、なんとも豪華な兵器であった。
■オーギュスト > それでも彼がこの砦を奪還する理由がこれだ。
彼は、この砦の攻防戦に、新兵器や新戦術、また新たな魔法をよく投入する。
それは、魔族に対し人族が「戦い方」を学び、編み出す為の方法だった。
「命中弾4、至近弾5、外れ12、不発4!」
「まだまだ使い物にゃぁならんな」
不満げに呟くが、命中した箇所の壁は大きく崩れている。
彼はそこから配下の第七師団を突入させた。
「データは大工房に送っとけ。
それと、外れるのはいいが不発は許さん、せめて稼働率を上げろと伝えとけよ」
まだまだこの兵器も実用には至らない。
武器とは、戦場で100%の性能を発揮できなければ意味がないのだ。
もっとも、稼働率を上げれば次に待っているのはコストの問題だが。
■オーギュスト > 砦は無事制圧できそうだ。
そこまで強い魔族の報告もまだ受けてはいない。
オーギュストは、戦いを通じて人族そのものを鍛えあげようとしていた。
生まれ持った能力の差で、人族は決して魔族に叶わない。
才能を覆す事は出来ない。それは彼もよく分かっている。
だが、人間が魔族に圧倒的に勝っている点、それは出生率と成長するという所だ。
人間は足りない物を補う為、徒党を組み戦術を編み出し戦略を考える。それが、魔族に戦いで勝る唯一の点と言ってもいい。
だから彼らが魔族に対抗する術を編み出し、それを後世に伝え、いずれ戦術と物量で魔族を駆逐する。
そんな日の為に戦っていた。
――少なくとも、半分は。
「さて、それじゃ俺も行くとするか」
■オーギュスト > 後詰の部隊の指揮を執りながら、オーギュストは砦内部に突入する。
もちろん、もう半分は純粋に戦闘が好きだからだ。
特に、戦場で命の駆け引きをするのはたまらない快感だ。
これに勝る酒も女もありはしない。
彼は快楽を愛するが、特に戦場を駆けるという極上の快楽を味わう事を至上としていた。
「おらぁ、このくらいの連中、とっとと制圧するぞ!」
■オーギュスト > 砦内部は人族と、それに倍する下級魔族の血で赤く濡れていた。
特にオーギュストが突入してからは、彼の直卒する精鋭たちが、砦の内部を蹂躙していた。
目指すは司令部。ここを制圧し、とっとと終わらせるとしよう。
ご案内:「タナール砦」にアブソリュートさんが現れました。
■アブソリュート > 「――外が騒がしくなってきたわね。」
複数の武装をした魔族達と、離脱の準備を行っていた悪魔が一人、呟いた。
両手を胸元の前で組み、広い司令室の奥で扉に背を向ける形のまま首だけを後方に向けつつ、溜息を零す。
ターナル砦を奪い返してから数日が経過した後、再び人間達の攻撃が始まった。
しかしその侵攻速度は稀にある高速な制圧速度と、新たな兵器の持ち出しがあり、十中八九噂の強者達による制圧であると話が持ち込まれてきている。
魔族も魔族で防衛の意志は薄く、強者と呼ばれる者達は守る気もなく制圧して獲物を捕らえるだけ捕え、満足したら帰って行くという行動を繰り返しているため、いつも防衛力が不足しているのだ。
"捕虜になっていた魔族の解放は済んでいる、此処もやがて攻め込まれるだろう。"と、低い声で呟く男性型の魔族。
それはどうだろうか、もう扉のすぐ側に居るかもしれない。
翼があるもの、足の速い者は既にこの場から離脱していて、残るは情報整理として残ったアブソリュートと少数の魔族のみ。
「指令を出す者をここで失うわけにはいかないし、あなた達も裏口から離脱して。無事出られるかはわからないけど、多分此処に残るよりは安全でしょ。」
身を翻すと数歩、扉の方へと足を踏み出してから組んでいた腕を解き、周囲に魔力を集中させ始める。
その影響からか、空気が僅かに冷え込み、アブソリュートを中心に床が僅かに白く染まり始めている。
"君はどうする?"という声を聞くも首を左右に振り、
「時間稼ぎなら私が適任。隙を見て離脱するから気にしないで。」
赤の他魔族に心配されるなど気に障るから早く出て行ってほしい、その程度の意味合いの言葉だったのだが、彼らは魔族の癖に情でもあるのか、やや心配したような言葉を呟いていたが、一切無視しているとそのまま彼らの気配が後方の隠し扉の方へと消えて行った。
(防衛なんてしても仕方ないけど……無駄に戦力を減らされるのもね。)
魔族はやる気がないが、下級悪魔や魔族はいつも捨て駒にされている。
悪魔という身分で立ち止まっているからなのか、ある種の同情のようなものがあった。
なので――少しでも時間を稼げば若干の犠牲は減るだろう。
魔力を自らの周囲に集め、展開しながら、扉の先に居るであろう人間達の訪れを待った。
蹴破るなり、素直に開くなりして足を踏み入れた人間達の視界には、一人の少女が立っているのが見える事だろう。
尤も、角も翼もなく見た目だけは人間に近く思えるかもしれないが。
■オーギュスト > あらかた片付き、オーギュストは司令部へと迫る。
いつもの事だが、裏口はあえて塞がず、脱出する奴を深追いするなとは命じてある。
が、司令官は別だ。色々と情報は欲しい所、残っているなら逃がすわけにはいかない。
「――ってと、ここで最後か!」
ガンっと乱暴に扉を蹴破る。
部下たちは左右の通路で司令官を助けようとする下級魔族を相手にしている。
そう、オーギュストと目の前の少女、一対一での対峙である。
「お前が今回の親玉か?」
■アブソリュート > 扉が蹴破られる音がする。
現れたのはやや歳の行った男性だろうか。
大きな大剣を背負った彼の姿を見れば前衛系タイプの人間である事はわかる。
しかし他の兵士が雪崩れ込んでくる様子もないところを見ると、表で下級魔族達が最後の抵抗を試みているのだろうか。
「いいえ、親玉…っていうレベルの魔族なら制圧した段階でお帰りになられたけど。」
冷めた声で発するのは見た目年齢相応の少女の声。
興味もないという様子で瞼を僅かに細めつつ、術の名を詠む。
「アイシクルレイド。」
集中した魔力の一部が二つ、アブソリュートの正面に浮かび上がるとすぐに氷が人型へと形を変え、兵士のような姿を模り、入ってきた男性の道を妨げるように現れた。
悪魔の用いる眷属で多少の強度を持つ彼らは地面に降り立つと鋭い両脚を地面に突きたて、停止した。
「私はただの悪魔よ。大物が目当てだったなら見当外れだったわね?」
小首を傾げ、そのような言葉を投げかけた。
自分の実力は王のクラスには到底及ばない、ある意味皮肉めいた言動であるが表情に色はなく、無表情だった。
■オーギュスト > 「へぇ……」
氷の人形を見て、ゆっくりと大剣を構える。
ただの悪魔という割には肝が据わっている。
通常、劣勢に慣れていない中級魔族は自分が不利になると動揺を隠せないものだ。だが、目の前の女はその魔力と同じように、冷徹だ。
なかなか面白そうな相手だ。
それに――
「楽ならそれに越した事はねぇな。
――もっとも、なかなかすんなりとはいかせてくれないようだがなぁ」
楽しめそうな相手で、それもいい女だ。
オーギュストは嬉しそうにエンチャント・ウエポンの呪文を唱える。
■アブソリュート > (相手は大剣使いの剣士……それだけじゃないわね。)
人間を分析する能力があるわけではない、しかし空気の違いというものは何となくわからないでもない。
前衛に立つ魔族ではないが、強者の風格というものは知っている。
彼はその強者であろう、直感的にそう認識した。
眷属では役不足かもしれない、だとすれば手を尽くして時間を稼がなければならないという事になるだろう。
「それは当然よ。表であなた達に抵抗していた魔族が居るように、私もその魔族と似たような立場だもの。」
言うや、男が呪文を詠唱し始めた事に気付く。
パワーで押し切ってきたかと考えたのだが、どうやらそうではないらしい。
(様子を見る必要があるかしら――。)
「……行きなさい。」
そう思えば、片方の眷属に攻撃の意志を伝えると、素早く地面から足を引き抜き、さらに一歩、一歩と高速に踏み出す。
正面からは仕掛けない、真横に回り込むようにして走り込み、回り込めたのなら、まずは無力化する為に大剣の柄を握る手目掛けて氷剣で出来た腕を突き出す事になろう。
■オーギュスト > 正面ではなく横から、それも素早く。
技と素早さを兼ね備えた攻撃、ならば――
「大気満たす力震え、我が腕をして波動とならん!」
短い詠唱を終えると、女の足元に対しフォースの魔法を唱える。
ダメージは期待しない、一瞬でも動きを止め、連携を止められれば――
「――人形じゃあ、ちと物足りねぇなぁ!」
眷属と呼ばれた人形に向かい、大剣を容赦なく振り下ろす
■アブソリュート > 「ん…!」
眷属が攻撃を仕掛けに向かった直後に男が別の術を詠唱。
自らの周囲に展開している魔力と違うものが足元へと急速に集まるのを感じた。
ともすれば、大きく地面を蹴り、後方へと跳躍して回避した。
結果。
集中の意志が一瞬でも途切れてしまえば、眷属はほんの数秒であるが動きを止める事となる。
――そしてそれは眷属た容易く真っ二つに破壊される要因となった。
「一撃……ですって…?」
絶命した眷属は氷の塊と化し、魔力の粉じんとなってその姿を消失した。
しかし、一撃とは。眷属は防御性能こそ高くないとはいえ、生物のように柔くはない。
それを彼の大剣は一撃で破壊した、その状況には無表情も驚愕へと変貌する。
――さらに威力は不明だが攻撃魔法を扱える、というのは厄介な事この上無い。
どうやら眷属に任せて高みの見物とは行かないらしい。
「ならば――!」
残ったもう片方の眷属に指令を出すが距離を一気に詰はしない。
自律行動――もっとも性能は低級魔族並になってしまうが、連携を防がれ的になるよりはいい。
その間、距離が離れている間に攻撃手段を形成する。
「アイスソード、連続生成開始。」
周囲の魔力が揺らぎ、魔力の粒子が剣の形へと変化を始める。
同時に生成できるのは十本迄、掛かる時間は5秒だが眷属を撃破され、男が距離を詰め始めれば移動をしながらも剣を連続で射出して迎撃しようとするだろう。
■オーギュスト > 眷属と呼ばれる人形の動きが遅くなる。
なるほど、捨て駒にして時間稼ぎをする気か。
なら――多少荒っぽくいくとしようか。
「――っしゃあ!」
大剣を水平に構え、眷属の腹に向かい一気に突き出す。
そして貫く事が出来れば――大きく振りかぶり、その人形をアブソリュートに向け叩き付けるように振りかぶり、吹き飛ばすだろう。
■アブソリュート > 眷属は男の動きを見据えるように一歩、二歩と近付き両腕の剣を構えた。
動きは格段に鈍くなっている、まさに捨て駒に近い状態だ。
――不意に、男が叫び声と同時に動いた。
アブソリュートの操作を外れている眷属はその咄嗟の行動に反応出来ない。
慌てたようにその剣を振り下ろそうとするが、今の行動は避けるべきだった。
硬質な素材で出来ているらしい大剣が硬質である筈の氷を貫き、振り上げた。
(まさか……投げつけるつもり!?)
通常、眷属を投げつければバランスを崩す事になるだろうと考える筈。
しかしアブソリュートにとってその行為は尤も厄介な弱点を晒す事に他ならない。
案の定、男の振りかぶった大剣から放たれた眷属。
生命活動は既に停止しているが崩壊には時間が掛かる。
しかし、そんなものは問題ではない。
――どうにか距離を取ろうと右へ飛ぶ。
しかし、それではもう、『範囲』からは間に合わない。
狙いを外れてまだ体を残した眷属は、突然違和感のある消滅の仕方を行った。
砕けたでもない、壊れたでもない。
魔力の消失とでも言うような蒸発――アブソリュートの魔力は有効範囲が決まっている為、その範囲に眷属が踏み込めば、例外ではない。
即ちそれがアブソリュートにおいての大きな弱点であり、魔法が使えない範囲へと入ってしまえば、自らの腕で白兵戦をしなければならなくなる。
「くそっ!!」
その手は考えていなかったと自らの失態を責めながら生成した四本の氷剣を男へ目掛けて、やや間隔をあけて一本一本解き放って行く。
機動は早いが、一直線にしか飛ばないその動きは彼によって読みやすいか否か、撃ち落とす事も容易かもしれないが、既に手段を選んでなど居られなくなったアブソリュートは片手を正面へと掲げ、周囲に飛び散った大量の魔力を集中させる。
もし氷剣の処理に手間取らず、最短距離で踏み込んでくるのなら恐らくこの手は不発に終わるかもしれないが、この状況では『アレ』を呼ぶ以外に彼を迎撃する手段をアブソリュートは持ち得ない。
■オーギュスト > オーギュストはそこまで魔力や魔族の生態に詳しいわけではない。
が、今の動きは明らかに不自然だった。
今までの鉄面皮が嘘のような慌て方――
「――――!」
何かある。
あの蒸発は、魔法の解除ではない……?
が、相手の次の手を見て悟る。あれは長距離用の魔法。すなわち、この女は白兵戦を避けようとしている。
「――ふっ!」
なら迷う必要はない。一気に距離を詰めるのみ。
氷剣はそのまま鎧に刺さるに任せる。無論、少なくないダメージを受けるが、ミスリルプレートとサーコートのおかげで、彼の魔法防御は非常に高い。
少なくとも、致命傷まではいかない。そう判断し、あろう事か氷剣の中を一気にアブソリュートに向けて突進する!
■アブソリュート > (気付かれたか…。)
近付かれる前に倒せればと思ったが、彼の表情の変化から迷う事なく叩き伏せるつもりなのだろう。
そうは行くものかと思い氷剣を放つが、その鎧に阻まれろくなダメージが入っていない。
魔法耐性の高い防具なのだろうか、これでは足止めにもならない。
完全な形で『鎧』を呼び出そうと思ったが、どうやらそれも不可能らしい。
ともすれば、これが最後の手か。
「――……アイシクルアーマー!」
不完全な状態で、突如として氷の、四本腕の巨体が突撃する男の背後に現れる。
30秒程度しか持たない巨人、この一瞬で倒せなければ万策尽きた事となるが――!
現れた巨大な巨人は振り上げた右腕の大氷剣を一直線に突進して行く彼へ振り下ろそうとする。
動きはとても鈍い、だがそのままただ突撃するだけであれば彼の背丈の倍はある剣の下敷きになってしまうが、どう動くか。
■オーギュスト > 「――ちぃっ!」
まだこんな隠し玉があったか。
普段ならヘイストを起動し避けて相手の懐まで突っ込むが、生憎魔力のチャージ中だ。
避けるのは間に合わない、あのデカ物を止める魔法は彼にはない。万が一避けれたとしても、体勢を崩しあの女悪魔に無防備な姿を晒す。それは死と同義。
なら――
「だらっしゃぁぁぁ!!」
手は一つ。その大氷剣に真正面から突っ込み、受け止め、そして叩き付ける!
臆するな。躊躇するな。避けようともするな。
力任せに突っ込むオーギュスト。アダマンタイトの大剣と、ただ、己の膂力のみを頼りに!
■アブソリュート > (せめて吹き飛ばしさえできれば…!)
巨体を動かしている間はそれ以外の魔法は操れない。
頼みの綱である氷の巨人も三十秒後には消失する。
しかも、直後に再召喚は出来ない、完全に最後の術である。
悪魔と対等以上に、肉体一つと魔術を用いて戦うとは――これではただの悪魔では太刀打ちなど出来る筈もない。
――さらに言うなれば。
「冗談、でしょ…?!」
受け止めた。
いや、受け止めた上に退けた。
鈍い故にパワーのある氷の巨人は一本の腕に大きな隙が生まれる。
だが残り三本、三十秒全てを使い、左上の腕を男目掛けて突き出す。
それが避けられれば右下の腕で胴体を切り払おうとする。
防がれれば大きく振りかぶった左下の腕で切り上げようとするだろう。
――その全てを防ぎきられたのなら、巨人は男による攻撃を待つ間も無く、粉々に砕け散って自壊する事となろう。
■オーギュスト > 一本は受け止めた。
残り三本。
流石に全てを捌く事は出来ずに、腹に一撃、肩に一撃、かなりのダメージを受け、鎧が吹き飛ぶ。
だが、それでも――氷の巨人の四撃を、耐え切る事は出来た。
既に満身創痍だが、それでも対峙する力は残っている。
男は嗤った。
獰猛な肉食獣のような表情で、アブソリュートに笑いかけた
■アブソリュート > 「……今の、普通の兵士なら大幅に数を減らしてる攻撃なのに。」
普通ではない相手がそこに居た。
膝から力が抜け、思わず座り込んでしまう。
氷剣は切り裂くよりも打撃武器に近く、放った一撃一撃が男へと確かにダメージを与えたのだが。
――倒れない、全力で戦ったのに笑う余裕さえある程に。
力なく氷の巨人はその体を粉塵へ、魔力の粒子へと変えて消え失せた。
室内には力なく座り込んだ魔族の少女と、獰猛な強者たる男が一人残っているのみだった。
「何者……なの、あなた。」
恐怖というよりも、唖然とした様子で他人事のように満身創痍である筈の男を見据えた。
魔族ではないはずだ、人間の筈だ――そんな思考が頭の中を延々と走り回る。
■オーギュスト > 「第七師団長、オーギュスト・ゴダン……お前らの相手は、慣れてるもんでな」
相手の戦意が崩れたのを見ると、オーギュストはゆっくりと少女に近づく。
外の戦闘はまだ続いているようだ。なんとも不甲斐ない。
座り込んだ少女に手を伸ばす。
そう、彼女は――戦利品、だ。
■アブソリュート > 「だ、団長……大物中の大物、じゃない。」
ふざけるな、相手が悪すぎる。
そう文句が言いたくなる程に、相手の名を聞いて恐れに背が震えあがった気がした。
魔力量のお蔭で多少対等に戦える事が出来たかもしれないが、その程度だ。
時間稼ぎくらいにはなっただろうか――そんな想いを浮かべた。
傷だらけの男ながらも逞しい歩みが近づいてくる。
他人事のように、彼を見据えていると手が伸びてきて漸く自らに手が下されるのだと自覚した。
殺すなら好きにしろ、そう思って瞼を伏せた。
(まさかこんなところで終るなんて…。)
相手の意図など考えぬままに死の覚悟を決め、両腕から力が抜けて床に落ちた。
■オーギュスト > 「そうでもねぇよ。所詮、ただの人間だからな」
勿論、殺しなどしない。
大事な戦利品だ――たっぷり楽しませてもらう。
抵抗しないのならば、彼女を持ち上げ、司令部の机に上半身を押し付けようとするだろう。
縛る必要も無い。力任せに犯すだけなのだから。
「何勘違いしてるんだ。簡単に殺すわけねぇだろ」
■アブソリュート > 「人間…?あの攻撃を耐え切るような人間なんて……。」
信じられない、としか言いようがなかった。
普通の人間なら死んでいてもおかしくない筈の攻撃だったというのに。
――油断していなければもう少し上手く立ち回れただろうか。
そんな今となっては確かめようもない結果を思い浮かべながら。
体を持ち上げられ、上半身が大きな机の上に押し付けられる。仰向けに押し倒される形となるだろうか、突然何の真似かと思い薄く瞼を開く。
「……拷問でもするつもり?」
簡単に殺すわけえがないと言えば、まぁそうかとも思いはする。
人間は魔族よりも仲間意識が強い。
それに情報を引き出す事も考えているかもしれない、なら納得のいく話だと思い、身構えるように身を竦ませた。
――どの道、魔力を一気に放出したせいで疲弊した体では力の強い男の体を押し退ける事などできはしない。
■オーギュスト > 「あぁ、なんだ――こうされるのは初めてか?」
この砦に居る女なら、この程度経験しているとは思ったが。
この悪魔の少女は、こういう事にあまり慣れていないのだろうか。
彼女に覆いかぶさりながら、乱暴に服を剥ぎ取ろうと手を伸ばす。
男は女に容赦も遠慮もしない。
まるで食事の包装を取るかのように、無造作に服を剥ぎ取ろうとするだろう。
■アブソリュート > 「…! そ、そう……あなたもそういう趣味なわけ……あっ!?」
勿論経験がないわけではない。
しかし、人間にそういう行為を強いられるという事自体はあるわけはなかった。話には聞いていたが、まさか彼程の実力を持つ者が――。
そこまで考えたところで、上体のノースリーブのシャツに手が触れ、乱暴に引きはがそうとすれば容易くその上体の衣服が破れてしまい、衣服越しとは裏腹に大きく発育した乳房が曝け出される事になる。また、敗れた衣服は魔力により構築されていた為に破られると同時に魔力の粒子となって粉々になり、消え去って行く。
「ゃ……、やめなさ…ッ!」
白い肌が男の前に晒される。
漸く抵抗する意志を思い出したように身を捩り、腕から逃れようとするが。
その力は所詮ただの少女のものにしか成り得なかった。
■オーギュスト > 「趣味?
ちげぇな、勝者の権利って奴だ」
勝者は敗者の持つ全てを手にする。
獣のようなこの男にとっては、それが全てだ。
もがく力は少女のもの。男にとっては、陵辱劇のスパイスに過ぎない。
意外な程に大きな乳房を乱暴に揉みしだき、歯を立てる。歯型がつこうが気にしない――流石に噛み千切らないようには留意するが。
そのまま、少女の足の間に身体を割りいれ、無理矢理大きく足を開かせようと
■アブソリュート > 「こんな行為に持ち込むのは物好きでなければ有り得な……あ"っ…ッ…ぅ……っ!」
勿論、言い分は魔族ながら理解出来ない筈はない。
魔族側もまた同じように人間を襲っているのだから。
つまりその対象が自分に変わっただけ、大差ない話だ。
両手で男の体を押し返そうとするも、全くその体を退ける事は敵わない。
そんな抵抗も虚しく、容易く乳房を揉みしだかれ、痛みに呻いた。
同時に片方の乳肉へ噛みつかれ、歯が食い込み、白い皮膚には容易く痕が残る事だろう。
反射的に身を反らすが、その動きを抑えこむように両足を開かされ、体が割りいれられたなら閉じるというささやかな抵抗さえ出来ない。
「っ…嫌……ッ!」
少女らしい、拒絶の悲鳴。
スカートが捲り上げられ、白いショーツを晒される姿は恥以外の何者でもない。
白い頬が僅かに赤く染めあげられて行く。
■オーギュスト > 「くくっ、そうしてるとただの小娘にしか見えねぇなぁ」
痕になった己の歯形を舐めあげる。
胸を乱暴に揉み、乳首を指で扱きあげる。まるで、品定めをするかのような手つき。
そして白いショーツが見えれば、無遠慮にそれをずらすだろう。
股間を探る手つきも遠慮なく、慣れていなければ苦痛に感じるかもしれない。
「いいぞ、抵抗する方がこっちも燃えるってもんだ」
実際、彼女の抵抗は男の興奮をかきたてるスパイスにしかなっていない。
無理に女を組み敷き、犯す快感。
原初的なその行為に男は満足していた。