2015/10/17 のログ
ご案内:「タナール砦」にルーキさんが現れました。
■ルーキ > 「――攻め攻められる、であれば。攻撃側がどうしても有利になるものか」
奪い奪われ、それを何度繰り返したかわからぬ程に。
すっかりその身をやつれさせた砦を少し遠目で見遣る影一つ。
今は人間が占拠しているらしいが、それもいつまで続くことやら……
冒険者たる己は面倒ごとを避けんとこうして近づかずにいるのだが。
「……ま。わたしにはあまり関係もないことだな」
確かに、王都まで攻め入られるのは困る。
しかし王族がそれを許す筈も無い。それ以上進めもしないのが動かざる現状でもあるが。
腰に帯びた双剣を指で緩く撫で擦り、小さく息を吐いた。
■ルーキ > 「最近は町に現れる魔族も増えていると聞くし……」
少し考え込むように、王都の方面を見遣った。
顎にあてた指が、ゆっくり輪郭をなぞっていく。
「……とはいえ父上に言うのも何だな。そもそも会いたくはない」
顔を合わせれば、冒険者としての生活はどうか、苦しくないか、金はあるのか――そういったことを際限なく問うてくる。
要するに過保護なのだ。過干渉を嫌う己としては是非とも避けたい事態だった。
ご案内:「タナール砦」にエルレストベーネさんが現れました。
■エルレストベーネ > (女は、砦に、一人で入ってきた
白い服に白い肌、白い髪、すべてが美しくすべてに均整が取れていた
そして、その水晶の剣を刃毀れさせることもなく、正面から堂々と、驚異的な動きで攻め入ってきた
それでいながら、目を引きつけられて離せないほどの美しさでもある
いなし、かわし、魔法を弾き、切る、もし上から見るのであれば、
すべてが計画されていたのではないかと思うほどに物事が進んでいく
何より、返り血の一つも浴びることもない
それもそのはず、彼女は誰ひとりとして殺していなかった
故に圧倒的な恐怖でありながらも、兵士たちは数でかかっていく
すべてが引きこまれ、彼女を中心にすべてが回っていた
その戦いはまるで、彼女のための舞を大勢で作っているようですらあった)
■ルーキ > ひく、と整った顔立ちが微かに歪む。
只ならぬ気配に、王都へと向けていた視線を砦の方に戻した、瞬間視界に飛び込んできたのは――
「……攻撃開始といったところか。…だが……」
遠目に見る限りは、一人の女だ。
此処からでも均整の取れた肢体というものがわかる程度には。
ほんの少しばかり躊躇した後……
「―――ままよ」
一歩を踏み出す。腰に帯びた剣に手をかけたまま、駆ける。
脚は比較的速い方と自負している。そう無く砦の、彼女の前へと辿り着くであろうか。
■エルレストベーネ > (周囲の兵士たちをすべて峰打ちにて切り伏せ、少女の姿を確認すれば微笑んで出迎える
あれほどの戦闘の後だというのに息も上がっていない
何より、誰も死んでいない、というのも異様だった)
……おや、司令官殿のお出ましですか?
はじめまして、エルレストベーネと申します
以後お見知り置きを
故あって、攻め落とさせていただきますがよろしいですか?
(その出で立ちの良さから、司令官だと判断したらしい少女は恭しく礼をした
その所作はいちいち絵になるほどに美しい
思わず見惚れてしまうほどに)
もっとも、嫌だと言っても落とすのですが
(そして、自信、というより、明らかにそうするのが当然、とでも言うようにそう言い放った)
■ルーキ > 息も上がっていない女の姿、何より一人の死体すら見当たらない。
その様に驚きを隠せぬ様子ながら、真紅の瞳は恭しく一礼する挙措を捉えた。
「――生憎だが、ハズレだな。わたしは司令官じゃない」
言ってゆっくりと剣を抜く。鞘の内を刃が走る、その感触を添えた片掌に感じながら。
「名乗られた以上、だんまりなわけにもいくまいね。……ルーキ。それがわたしの名だ」
「まぁ、攻め落とすのであれば勝手にするがいい。……キミは、魔族か」
絵になる程に美しい。まるで作り物のような造作を見つめながら、くるくると片手で剣を回した。
■エルレストベーネ > ……おや、では運が良いですね
責任を問われることはないでしょうから
勝手に、という割には随分とその気のようで?
はい、魔族です
我が主上から挨拶をしてこい、と言われましたので
(白い少女が匂やかに微笑む姿はここが戦場だと思えない
むしろ、ここだけ別場面のようだった)
貴女は、答えを持っていますか?
持っているなら、貴女を教えてください
(剣礼の後、踏み込むと、突きのように見せかけた変化した下段からの斬り上げ斬り下ろし
透明な水晶の剣は戦いとは思えないほど、演舞よりも恐ろしく美しい動きを見せるだろうか
そしてもし、対処に手間を取られれば、利き手の反対側の有利な位置をとられるだろう)
■ルーキ > 「わたしは兵士ではないしな。ただの冒険者だよ、これでも」
「……ふん。主上か。挨拶というには些かやりすぎな気もす―――」
言い終わるより先、問いが飛んで来た。答え?と首を捻るのも束の間――
彼女が、踏み込む。
中途半端に手にしていた剣をもって、斬り下ろされる刃を受けるも……
「――…っくぁ、ぐ……!」
手間というより、明らかに油断があった。
有利な位置を相手取られ、冷や汗が額に滲む。
片手は未だ鞘に収まったままの、もう一方の剣の柄を探る。
■エルレストベーネ > 言えた義理ではありませんが、それにしては少々出来過ぎた装備かと
……間に合いますかね?
(相変わらずの微笑、戦闘中だというのに見惚れてしまいそうになるかもしれない
相手の不利、その次の行動はそれほど選択肢はないだろう
仕切りなおしを狙う、今この場から切り返す、もう片方の剣を抜く、である
だがもし、このまま剣を抜くことを優先するならそこを狙い打たれるだろう
そうでなければ体勢を崩しながらも距離を取り、かわすことは出来るかもしれない
詰将棋の先を読まれているような嫌な感覚かもしれなかった)
■ルーキ > 「そうかな? これでも動きやすさを重視してはいるんだが、な……」
不利は誰に言われずとも、己がよく理解している。
片方の剣を抜きかけたその手が、ふと止まった。瞳が微かに躊躇いを見せた後――
「……なるほど。兵士達がこうなってしまうのも、わかる――っ」
交えている刃を、ぐっ、と引いて相手の体勢が崩れるのを狙う。
装甲のついた膝を、いわば膝蹴りの要領で――彼女の腹部に打ち付けんとしながら。
■エルレストベーネ > (手を止めた、その判断は良い、剣にこだわったなら剣を失っていただろう)
良いですね
その判断はよろしいです
ではさらに一つ先に進ませてもらいます
(果たして、体制が崩れ、その狙った一撃が入る……入ったが、明らかに手応えがおかしい、軽すぎる
体勢が崩されたのではなく、崩されるように自分から受けに来た上でその勢いを利用して回転しているためだ)
それで、貴女は自分、を持っていますか?
なら、それを教えて下さい
(髪をブラインドに使うよう回転した上で、水晶の刃が更に鋭く、左腕の死角側から切りかける
もっとも、今はまだ人の理解できる人の範疇ではあるのだが)
■ルーキ > 「……はっ。お相手様に褒められるとはね……、っ…!?」
手応えが無い。
目を瞠ったのも束の間、髪をブラインドに回転する彼女の姿を捉えた時は、死角より刃が迫り来る。
「――…っ、自分……!?」
地を蹴る。人の理解できる範疇ならば、まだ避けられる。
しかし一寸、間に合わず。腕に鋭い痛みが走った。
皮膚を切り裂き、一本の赤い直線が引かれているのを横目に、剣を構え直す。
「……わたしはわたしだ。…それ以外の何者でもないさ。誰が何と言おうと――ね」
■エルレストベーネ > ……では、その自分……すべて私にください
(剣を引く
既にそれで事足りた、というように)
相応の方とお見受けします
貴女が身を差し出すのであれば、私は引きます
どちらを選びますか?
もっとも、既にあまり選択権もないと思いますが
(それもそのはず、その水晶の剣は毒をはらんでいる
身を蕩かす快楽を送る、毒だ
無論、それ以外の効果はないし、剣は少女の一部であるから、そういったものの選択は容易だ
人間を処することに関しては、彼女は魔族以上である、そのための人形なのだから)
■ルーキ > 剣を引く様子に、怪訝な表情をしたのも束の間――
「…… ――…っ」
がくっ、と膝が折れる。丁度背後にあった壁に身を預け、ずるずると崩れ落ちていく。
内に燃え上がる何かを感じながら、真紅の瞳は揺れ、眼前の彼女を見遣る。
「……な、にを。……わたしを、お前、に……?」
震えるような吐息を零し、手放した剣が傍らに転がる。
それを横目に一瞥して。