2023/05/15 のログ
ご案内:「無名遺跡」にミルフィリアさんが現れました。
ミルフィリア > 王近郊にいくつもある遺跡のひとつ。
その中でも初心者向けのダンジョンと言われる場所に、魔物が棲みついたという。
近くの村からの依頼が冒険者ギルドに寄せられてから数週間。
依頼料の安さのせいか、全く受け手がおらず、半ば放置されていたそれを手に取ったのは、
初心者と呼ぶのさえ憚られるような学生パーティだった。

一応は、王立学院の生徒ではあるから、腕は確かなのだろうけれど。
実績は皆無。ギルドにも登録したばかりという状態で、早速討伐依頼を受けるという。
いくら規約に反していないとはいえ、困りきったギルドの受付嬢が頼ったのが、ひとりのシスターだった。

怪我をした冒険者を相手に、比較的安い金額で治癒を施して、孤児院の運営費に充てている少女への指名依頼。
冒険者に登録していないからと初めのうちは断っていたのだけれど、最後の最後には受付嬢の押しに負けてしまい。
そんなわけで初心者の学生たちと臨時のパーティを組むことになったのだけれど。

「あの……やっぱり、一度街に戻って準備し直してきた方が……」

少女が手にした杖の先には、柔らかい光を放つ光玉が浮かんでいる。
一方で、他のメンバーはそのような魔法を使うどころか、カンテラひとつ持ってはいない。
ダンジョンの入り口でこれなのだから、魔物との戦闘など期待できるはずもなく。
ため息をどうにか呑み込んで、出来るだけ角が立たないように言葉を選んで彼らに伝えてみる。

ミルフィリア > そうは言っても、相手はプライドだけは一流の貴族のお坊ちゃま
それも自分たちだけで十分だと言って、護衛も振り切って冒険者ギルドに登録してしまうほど。
そんな面倒な性格の彼らだから、ヒーラーの重要性は理解しつつも、
自分たちの実力が軽んじられたとばかりに不機嫌さを隠そうとはしない。
そんなお子様な彼らが、少女の忠告を素直に聞くはずもなく。

「ちょ、待ってください。灯りも無しに、そんなどんどん奥に行ったら……!」

最悪、質の悪い罠に引っ掛かって即死
運が悪くて、魔物からの不意打ちを喰らって死亡
幸運に恵まれたところで、何事もないのが関の山だろう。

灯りを掲げた少女を放置して、暗がりの先へと無防備に突っ込む初心者たちに何が起きるか―――

ご案内:「無名遺跡」からミルフィリアさんが去りました。