2023/04/04 のログ
ご案内:「無名遺跡」にシルスフィーネさんが現れました。
シルスフィーネ > 無数に点在する名もなき遺跡のひとつ
最近、発見されたばかりのそこは、一攫千金を狙う多くの冒険者が探索に乗り出していた。
エルフの少女もそのひとり。

とはいえ、血気に逸る他の冒険者とは違い、少女は一攫千金までは夢見ていない。
路銀を稼げれば十分だと、さほど深い階層までは潜ってはおらず。
一方で、欲に塗れた者たちは、中層以下の魔物に手ひどくやられて、時には全滅することも多いという噂だった。

「……そこまでしてお金と名声が欲しいんでしょうか。」

つい先ほど自分を追い抜いて行ったパーティも、そんな輩だった。
こちらがエルフで、しかもひとりだと知ると、上から目線で勧誘してきたのだった。
当然、丁重にお断りはしたのだけれど。

ご案内:「無名遺跡」にリュークさんが現れました。
リューク > 最近発見されたばかりだという遺跡は、多くの冒険者達が財宝を求めて集うのが常となる。
掘り尽くされた遺跡など、未発見の探索地域でもなければ大した儲けも見込めないわけで、新たな開拓地となれば人気が出るのも当然だ。

しかし、同じように冒険者として訪れたこの男の目的は金銭そのものではなく。もちろん、あわよくばと言うところはあるけれども。
では何が目的か、と言うと。

――簡単な話だ、新しく発見された遺跡であれば人の一人や二人、姿を消したところで大した騒ぎにはなりもしない。

魔物にやられて戻らぬものも、それ以外の理由で姿を消すものも、対外的に見れば何の違いもありはしないのだ。

「――ん」

そうして、獲物を求めてゆっくりと。時には出会った顔見知りに挨拶なんかをしながら、遺跡を進んでいると。
ふと、何者かの呟きが耳に入った。距離はそう遠くなく、声音からすると少女であろうか。
内心で弾む期待を抑えながら、声のした方へと歩みを進める。気配や足音を消したりなどはしない、却って警戒を招くから。

「どうだろうね、人にも依るだろうけど。や、エルフのお嬢さん、一人かな?」

そうして声の主に追い付き、姿を確認する。
外見はエルフの少女、後衛だろうか。
同行者の姿は見えない、と判断すれば。気さくな声音を作り、先の呟きへと答えながら距離を詰めて。

シルスフィーネ > 「……はい? ひとりだと、何だっていうんです?」

つい今しがた、それで楽しくない勧誘をされたばかり。
それを知ってか知らずか、声を掛けてきた相手に、つい邪険な扱いをしてしまう。
けれど、初対面の相手にいきなりそんな対応はさすがに不味いと思ったのだろう。
気を落ち着かせるように、大きく深呼吸をして。

「つい先ほど、不躾な勧誘を受けたものでして。
 それで、何かご用でしょうか。」

一応、謝罪のようなことを口にして頭を下げる。
とはいえ、さほど冷めた口調の温度は変わらない。
つっけんどんに、何用かと問いかけて。

軽く手を掲げると、その手のひらから蒼く輝く何かが尾を引いて宙を舞う。
よくよく見れば、それが小さな魚の姿をした何かだと判るだろうか。
魔法の心得があれば、それが水の精霊だということも知れるだろう。

リューク > ――思ったより、警戒心があるな。
パッと見の印象からは随分と無防備そうに見えたのだけれども、意外なほどに険のある反応が返ってきた。
内心でもっと楽にやれそうだったのにと舌打ちをするものの、それはおくびにも出さぬように努めて。

「いや、見たところ後衛だろうにひとりなんて珍しいな、って思ってさ。それ、水の精霊かなにか?」

あくまでも魔法に驚いた、という風な様子を見せながら、掲げた蒼い輝きに興味を示して見せて。
雑談を持ちかけながら、内心でこの後の段取りについて考える。
ひとまずは警戒を解く事を目標にしつつ、それが叶わない様であれば虚を突いて力尽く、といった流れになるだろうか。
相手の技量次第では、そもそも諦めることも視野に入るのだけれども。
こんな浅い層にいる以上、そこまでの力量の持ち主ということもないだろうと予測をしていて。

「不躾な勧誘、ね。一人なら守ってやろうとか、付いて来させてやるとかそんな辺りかな?
 用、って程でもないよ。歩いてたら独り言が聞こえたからさ。
 こっちも一人だし、何なら話し相手にでもってくらい?」

謝罪の体を取りつつ、こちらの警戒をあからさまにしている言葉に対し、あえて鈍感に振舞って。
己も一人だし害意はない、と示すように軽く両手を上げて見せる。
武装を解除しているわけでもない以上、ポーズ以上の意味はないのだけれども。そのポーズをとることには意味があるだろう。

シルスフィーネ > 「……そうなんですね。失礼しました。
 えぇ、水の精霊です。その辺りの木偶の坊なら、一発ですね。」

簡単に精霊だと看破して見せた相手に少しだけ目を瞠る。
どうやら、先程の失礼な輩とは違って、変な下心はないらしい。
冷ややかな視線は和らいだものの、空中をまるで泳ぐように旋回する精霊は、姿を見せたまま。

「まさしくそんな感じです。
 あんなお子ちゃまは、こっちが願い下げですっ」

ふんっ! と、鼻息荒く言い捨てる。
どんな勧誘だったのか詳しくは語らないまでも、失礼なものだったのだろうということは伝わることで。
そんな主の機嫌を宥めるように、ふわふわと精霊が周囲を漂って。

「ふぅ……あんなことで怒ってちゃ、大人げないですね。
 話し相手といっても、私はあまり深くまで潜るつもりもありませんし。」

軽く首を傾げながら、言外に「退屈ですよ?」と伝え。

リューク > 「別にいいよ。こんな国だしね、警戒心なんてありすぎるくらいでちょうどいいでしょ。
 あ、本当にそうだったんだ。それっぽいなとは思ったけど確証はなかったんだよね。へぇ、威力もあるんだ」

ちょっとしたパフォーマンスも意味はあったらしい。完全に警戒心を解いたとまではいかずとも、多少は和らいだのが雰囲気で判断できる。
我ながらわざとらしいかとは思うものの、少女を心配するように言葉を返し、手管に感心して見せて。

「あぁ、やっぱり? こういう場所に飛びつくようなやつらって、自分の実力を弁えない自信過剰な奴ら多いもんね。
 ふふ、おこちゃまって。やっぱりエルフだし、見た目通りの年齢じゃなかったり?」

鼻息荒い様子に、小さく笑って。これは演技ではなく、その口振りこそおこちゃまっぽく見えて面白かったのだ。
少女の怒りに同調するように訳知り顔で頷いて。少女について尋ね、少しずつ距離感を詰めていく。物理的にではなく、精神的に。

「どんな事言われたのかは知らないけど、怒りたいなら怒ってもいいんじゃない? 大人げないのはあっちなんだろうし。
 ん、別にいいよ。……っていうか、深く潜るつもりなら僕だって人を連れて来てるしね。
 新しい遺跡だって聞いたからどんなものかの下見に来た、くらいのものだし」

落ち着こう、と息を吐く少女の言葉に寄り添うような言葉を掛けて。
少女の問いには、肩を竦めて答えてみせる。
実際、深くへ一人で潜ろう、という気は元よりないし、潜るとしてももっと支度を整えてからでないとそんな気にもならない。

シルスフィーネ > 「一目でこの子の正体を言い当てるって言うのは、なかなかですよ。
 実力のほどは知りませんけれど、大怪我をして帰ってくるんじゃないでしょうか。
 女性に年齢を訊くのは、マナー違反ですね?」

憤慨するこちらに同調してくる相手の評価は幾分高くなる。
感心したように褒める一方で、問題の輩のほうは仮に怪我をして泣きついて来ても、ポーションを投げつけてやろうと。
それでもポーションを使ってやるだけ、良心的な対応と言えるだろう。

腰に手をやり、右手の人差し指を振って、ダメですよ、と示す。
エルフとしてはまだまだ年若いものの、人からすれば既に高齢者。
年齢を伝えたところで、あまり意味はないだろうと、具体的な返事は避け。

「そうですね、下の方の階層は、魔物が棲みついているようです。
 何度か逃げ帰ってきた方々と遭遇しましたから。
 今のところ、浅い階層に罠の類はほとんどないです。」

相手がどれだけ探索を終えているか分からないけれど、
こちらが知り得る情報を開示してみる。
このくらいなら、しばらくこの辺りを歩いていれば分かることで。

リューク > 「そこまで評価されちゃうとちょっと困るけどね、確信があったわけじゃないし。ただの魔法じゃなさそうだしってだけでさ。
 大怪我で済めばいいけれどね。そういう連中ってさ、割と致命的になるまで危ないって気付かなかったりするし。
 それもそっか、ごめんね。許してくれる?」

だいぶ当たりが和らいで来た、と思う。やはり人間、仲良くなるには共通の相手の悪口を言うのが一番だと思う。
確信がなかったのは本当なので、褒める言葉はやんわりと遠慮しておきつつ。興味も同情もない相手については切り捨てて。

年齢について誤魔化されれば、やはり見た目通りの年齢ではないのだろうと思いつつ、素直に謝罪をしてみせる。
恐らくは見た目通りどころかそれなりの年齢なのだろうが、言動からすると種族で考えれば若い方だろうと予測もつく。
それに、見た目がこれなら全然問題なく食べれるし、などと笑顔の裏で考えて。

「ふーん。実は僕もここに来てから罠やら魔物には殆ど当たってなかったんだよね。
 てっきりもう他の連中が漁った後だからかとは思ってたんだけれど、そういう訳でもなさそうかな。
 あくまで入り口ってことかもね、この辺りは」

少女が開示した情報に頷きながら、自分が持っている情報もやはり大差はない、と返して。
実際、この少女と言う獲物に出会うまで、遺跡での収穫らしい収穫は殆どないも同然だったのだ。

「ま、こうやって腕のよさそうな精霊術士に知り合えただけでも来た意味はあったと思うけどね。
 ……っと、名前も言ってなかったね。僕はリュークだよ。君の名前を訊いても良いかな?
 後は嫌じゃなかったら、話し相手ついでに少し同行とかしない?」

軽く相手の自尊心を擽る様に褒めつつ、あえて遅らせていた自己紹介をして相手の名前を尋ねる。
そうして、この辺りを探っていても実入りも碌にないのだし、と。
深くまでは行かないまでも、もう少し遺跡の先まで向かうのであれば同行者がお互いに必要ではないか、と提案して。

ご案内:「無名遺跡」からシルスフィーネさんが去りました。
リューク > 【一時中断】
ご案内:「無名遺跡」からリュークさんが去りました。