2021/05/03 のログ
ご案内:「無名遺跡」にルルーサさんが現れました。
■ルルーサ > かちゃり、かちゃり、と音をわずかにさせながら遺跡を歩く女の影が一つ。
短い槍を握ってこの遺跡に単身挑んだ女は、いわゆる冒険者と呼ばれる身分。
「………歯応えは無かったけど。罠が多いのは厄介よね。
やっぱり仲間でもいた方がいいのかしらね。」
ため息を付きながら、槍の先で床を、壁を突いて確認しつつ、じっくりと足をすすめる女。
気性的にちょいと集団行動ができない女である。
■ルルーサ > 槍の扱いは、少々直線的になる癖はあるものの優秀。
4本の槍を手足のように扱い、筋力は槍の鋭さでカバー。
魔術にも優れ、一人で冒険するその素養だけは備えていると言ってもいいだろう。
生来の男性嫌いと、その勝ち気過ぎる性格が災いとなって、結果として単独行動となっているのだが。
「………罠は、ないわね。」
床と壁を調べ終わったポニーテールは、よし、と一息ついて足を進める。
先程怪物は倒したばかりだ。もうこれ以上は出てこないでよね、なんて悪態をつきながら、通路を歩く。
■ルルーサ > 「趣味が悪いわね……」
ため息を付きながら、鍵のかかった鉄格子に手をかけて、がしゃり、っと揺らす。
別段囚われているわけでもなく、迂回することもできるだろうが………。
それでも、通ろうと思っていたルートが塞がれているのは気分が悪い。
チェインメイルの音がしばらく響いて、鉄格子をなんとかしようとするが………。
純粋な膂力では、鉄格子を曲げたり、持ち上げたりするほどでもない。
ただただ、その豊満な肢体をちょっと揺らして汗をかくだけで終わるだろう。
ご案内:「無名遺跡」にネメシスさんが現れました。
■ネメシス > 「「副団長、どうやら誰かいるようですぜ。」」
冒険者が通った方角から下卑た男の声が聞こえる。
同時に聞こえた複数の足跡からそれらが集団であることを物語っていた。
この辺りは冒険者狩りを行う野党のような輩が出てくることもあると言う。
そして、不幸にもこれから姿を現すのはそんな連中であった。
「あら、見覚えのある人じゃない。」
粗末な装備に身を包んだ6人の男たちに護られた白銀の鎧を纏った騎士。
一見まっとうな騎士に思えるが、この騎士こそがこの集団の頭目である。
白銀の騎士であるネメシスは一度見えたことのある相手が単独でいることにほくそ笑んだ。
おまけに冒険者の行く手を塞ぐ鉄格子。
「「へへ、ついてましたね。」」
下卑た男二人が短い槍を構えつつ、冒険者の元へ接近しようとする。
どうやら彼らは目の前の冒険者のことをあまり知らないようだ。
■ルルーサ > 「………………。」
振り向いて身構える。
冒険者同士の不文律では無いが、よく慣れた冒険者ほど、自分の仲間内ではないメンバーには軽々に近づかない。
この国では尚更だ。
「………。」
だからこそ、すぐに心構えはできた。
ある程度の使い手ならば分かるであろう殺気を彼女を中心に球状に放ち、それに入ることを拒むかのように槍を構える。
「………ツイてると思うなら、そこから一歩も動くな。
ツイてない日になるわよ。」
視線の鋭さはいつもどおり。殺気とて衰えてはいない。
■ネメシス > 「「しゃらくせえ!」」
接近中の男は二人は突然纏わりついた殺気に表情を凍らせるが、
己の中に生じた恐怖を言う感情を押さえつけるように怒声を放ち、
槍を手に突撃する。
左右から刺突を繰り出すと言う、単純ながらも確実な一手である。
それが手練れの相手でなければ。
「…アレの用意を。」
後方で様子を伺っていたネメシスは部下に命じて何やら準備をさせる。
あの時の腕前を思えば次の展開は予想がつくからである。
■ルルーサ > 槍はまるで生きているようだった。
しなやかに穂先をブレさせながら男の槍に絡みついて、全力で突き出すその力のベクトルを変えてしまえば、左右の通路にがつり、っと男二人の槍を導いてしまい。
「………良い子だからさっさと帰れよ。」
その男の喉元へと短槍を突きつける女。
そこで、ドスリと突き刺すほどの冷たさは無いにしろ。
下手なことをすれば突き刺す殺気くらいは放つことができる。
ただ、戦いになると素晴らしい才能は持っていても、指揮官にはなれない。リーダーにはなれない。
視野がそんなに広くはないのだ。
男たちの後ろで何かをしていることには、気が付かない。
■ネメシス > 槍を突きつけられた男たちはその場で震えていた。
元々実力では到底差のある相手である。
どこかでこうなることは分かっていただろう。
「そこまでよ、冒険者さん。
次は私が相手になるわ。」
ネメシスは両手に銀色の槍を構え、冒険者に自らの存在を誇示する。
槍には魔力が纏わりついており、一般的な品でないことは明らかであった。
槍を手にしたネメシスは、冒険者の元へ真っすぐ接近し、牽制の刺突を繰り出す。
その姿を護衛に来ていた男が二人見守っている。
ただ、最初に姿を見せていた護衛は6人。
つまり、2人姿を消していることとなる。
物陰などに隠れているであろうことは明らかだ。
■ルルーサ > 「雑魚を露払いにしてる時点で、レベルが知れるってのっ!」
魔力の籠もった槍であれば、そうそうあっさりと受けはしない。
身を屈め、閃かせ、狭い通路の中を感じさせないほどに通路の中で舞って。
その上で、槍の手元を思い切り叩いて落とさせようとはするだろう。
槍の威力は相手の方が圧倒的に上。
ならば、相手の腕前が自分より劣る可能性に賭けるしかなく。
……そんなことはないだろうし、何より彼女は周りの男がどう動いているのかなど、見てもいないのだが。
■ネメシス > 「数が多い方が何かと有利なのよ。」
牽制で繰り出した一撃すらも躱されてしまう。
鎧を纏っているとは思いにくい程の身のこなしにネメシスは舌を巻いた。
「状況判断が早いわね。此処が闘技場なら既に負けているかも。」
槍そのものにかかる衝撃に思わず得物を落としてしまいそうになる。
実際に槍の腕前では冒険者の方に軍配が上がるだろう。
だが、この展開すらもネメシス達の中では予想できた流れで。
物陰に身を隠していた男たちが小型の投げ矢を放つ。
先端部分に痺れ薬や媚薬などを沁み込ませた矢が複数発、冒険者の鎧の隙間を狙う。
■ルルーサ > 「闘技場でなくても、このくらい………っ!!」
槍が鋭く風を裂き、唸りを上げて飛んで………来ない。
薬はとすん、とスーツに突き刺さって。
「……ぁ、あ、っ………この。………」
小さくうめき声をあげながら、膝をついて。
槍を握り締めるも、その場に倒れ伏して動かなくなる。
■ネメシス > 「なんとか、取り押さえたわね。」
ネメシスは胚から思いきり息を吐き出す。
それに呼応するように部下たちが一斉に安堵の表情を見せる。
矢を投げつけた者達はこの中では器用な方なのだろう。
既に荒縄を手に戻って来ては、冒険者を縛り付けようとしている。
そのまま、どこかしら邪魔の入らないような場所へ連れて行くだろう。
ご案内:「無名遺跡」からネメシスさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からルルーサさんが去りました。