2020/08/18 のログ
ご案内:「無名遺跡」にアルヴァニアさんが現れました。
アルヴァニア > 数十名の部下を連れてやってきたのは、以前からマッピングやら財宝の回収やらを進めていたとある遺跡。
5,6人からなる小隊に分けて魔物退治に罠の解除、財宝回収に更なる探索と手際良く進めていた。
己と言えば、取り敢えず安全は確保された場所で報告を受けては指示を出し、運ばれてくる財宝を部下と一緒に選別などと言った雑務を行っていた―――のは、実の所、既に数時間前の話である。

「仕込みが巧妙なのよねえ…。」

今は、と言えば、他人と擦れ違うのに苦労しそうな薄暗い狭い通路を一人進んでいた。
運ばれてきた財宝は別の場所にあった物が一所集められる。
異なる場所にあった物を揃えると、持っていた者が強制転移で飛ばされるなど、誰が考えただろうか。
以前のマッピングと殆ど内部が変わっていなかった事に疑問を持つべきだったのかもしれないが――時既に遅しである。
小さな溜息を一つ吐いては何処とも分からぬ出口を求めて彷徨って。

ご案内:「無名遺跡」にレナード・イーストさんが現れました。
レナード・イースト > 「おい、誰もおらんのか!」

俺は見知らぬ部屋に一人怒鳴り声を上げていた。
右手には伝来の剣を持っており、気に触る者は当たるを幸いに切り捨ててやるつもりだ。

数名の冒険者を引き連れ、貴族の依頼で見知らぬダンジョンへと入り込んだのが不味かった。
一人の間抜けが魔方陣を起動させるスイッチを触れた所、あろうことか雇い主である俺が転送されたのだ。

あやつらめ、見つけた時にはどうしてくれようか…。
剣を持つ手を怒りのあまり震わせていると、靴跡で近づいてくるではないか。

音のする方へ顔を向けた俺は思わず口元に笑みが浮かんだ。
確か、下人からの報告通りだと傭兵団の一部隊を率いている隊長格のはずだ。

「其方、傭兵団の隊長だな。
俺も傭兵で仲間と逸れた所だ。
どうだ、合流するまで一緒に行動せんか?」

さて、相手はどう出てくるか。
傭兵ともなれば世情に聡い。
俺の過去を知っているとなればやっかいなのだが。

アルヴァニア > 安全地帯だと高を括ったのも、部下が近くにいるからと通信術具も持っていなかったのも、全てが悪手だった。
現在位置を知らせる為の道具は持っているが、まだマッピングが済んでいない場所は方向位しか分からない。
長期戦も覚悟しておかなければ。

そんな風に思考を巡らせながら進んでいれば、進行方向から何事か怒鳴る様な声が聞こえてくる。
やがて辿り着いた部屋の入口へと身を晒した刹那、中から掛けられた声にぴたりと足が止まった。

「……あらあ。それは大変ね。」

如何やら自分の事を知っているらしい相手に多少警戒心を抱くのは仕方のない事だろう。
改めて見ても、覚えのない顔だ。彼の過去の行いと名前は知っていても、顔までは知らなかった、と言うのが一番正しいのだけれど。
頬へと片手を添え、態とらしい仕草で小首を傾いでみせ。

「でも――名前も知らない殿方とこんな所で一緒、って言うのもねえ…。」

レナード・イースト > (…ぐぬぬぬ。)

俺は静かに米神をひくつかせていた。
かつての俺であればこのような態度を取れば即座に剣の錆にしていたことだが、こと今の状況ではそうもいかない。
おまけにバイコーン部隊の隊長ともなれば今後の事を考え、誼を結んでおく方が賢明だろう。

俺は僅かな間で心を落ち着かせ、口を開く。

「これは失礼した。俺はレナード・イーストと言う名の傭兵だ。
王城の貴族からの依頼でダンジョン探索の途中、仲間と逸れた所だ。
その方はバイコーン部隊の隊長であろう。
良ければ暫くの間同行願えないか。」

イーストは故郷を追い出されてからの仮の苗字である。
本来はもっと長い家名があるのだが、王都では名乗っていない。
顔を知らぬ相手となれば俺の過去を全て思い出すことは無いと思うが、どうなることか。
ちらりと、相手の顔を眺める。
よくよく見ると傭兵にしては整った顔立ちをしているではないか。