2020/07/04 のログ
■タマモ > 適当に歩いてみた、壁があった。
壁沿いに歩いてみた、壁ばっかりだった。
「………おやん?」
しばらく、そうして歩いていれば、やはり感じるのは違和感。
何もないどころか、扉も無い、窓も無い、一面壁ばかりっぽい?
かくん?と首を傾ければ、すいっ、と歩いていた足が、壁に。
すると、不思議な事に、壁をまるで地面のように、真上に向かい歩き出した。
どうやっているのかは、まぁ、秘密としておこう。
とは言え、少なくとも、重力を扱っている訳ではなく。
上に歩いていれば、髪や着物の袖とか裾とか、重力に逆らわず地面に向かい垂れる訳で。
と、そうして壁を歩けば、そう経たずして辿り着く天井。
「むむむ…本当に、何もないようじゃな…」
たん、と壁を蹴れば、ふわりと宙を舞う。
今度は重力に逆らわず、くるくると宙返りをし、しゅたんっ、と着地。
再び、壁に沿って歩き出すのだ。
とりあえず、この部屋の広さを確かめる為に。
ご案内:「無名遺跡」にグラウ・ブレックさんが現れました。
ご案内:「無名遺跡」からグラウ・ブレックさんが去りました。
■タマモ > 結局のところ、ここには本当に何も無かった。
前後左右、上下さえ、白い壁ばかり。
どうやら、ここへ転送し、そのまま朽ち果てるまで…そんな感じの罠だったらしい。
となれば、少女としては、これ以上留まっていても、仕方無し。
後を追って、誰か来るかもとの可能性が、今だない訳でもないが…
待つのも飽きたか、少女の姿は、しばらくすれば、影も形も無くなっていた。
ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にシゲンさんが現れました。
■シゲン > 賑わう酒場の中程の席、1人食事を摂っているとすぐ後ろの席に座った冒険者の一行が何やら声を荒げて揉め始めた
粗末な食事を食べ勧めつつ、聞かずとも耳に入ってくる怒声によれば報酬の分配が不服だとかまあ、よくある話で
そのうち、皿やマグカップが飛び交い、剣呑な事である、と思っているうちに眩いばかりの光に包まれた
―――気がつけば全く見覚えのない場所にいた
ここが何処であるか、何が起こったのか、皆目検討はつかぬが脳裏に浮かんだのは、
まだ食事を半分も食べてはおらず料金は先払いであったから損をしたなあ、という事であった
そのうち、冷静になってどん詰まりの部屋のあちこちを調べたが、
見慣れぬ風景から、ここが王都ではないという事は判ったし、どうも飛ばされたのは自分ひとりである
という事くらいなものでさてさてどうしたものか、と取り敢えず部屋の外に出てみることにした
外に出れば異様な機械の壁に薄暗い通路。鼻先を掠める乾いた空気に混じった微かな獣臭にすえた匂い
これはどうも、冒険者の集う酒場などより余程、剣呑な場所に飛ばされたのだと自覚し、
一歩踏み出せばカチリとなにかを踏み込む音がして
はて?と首を傾げるや否や、壁から無数の触手が這い出てきて我が身を目指し向かってくるものだから、
反射的に後方へ飛び退き様に腰の刀を、抜き斬り落とせば思いの外、重量があるようで触手の先端が
ぼたり、と異様な色の液体を零しながら床に落ちる
「…さて、何に巻き込まれたやら…?」
薄刃を構えたまま、周囲を確認すれば無数に飛び出た触手はそれ自体に意思があるのか、
飛びかかること躊躇するようにうぞうぞと蠢くばかりで此方へ向かってくるのを止めている
ジワ、ジワ、と触手からは無色の液体が分泌され触手とは対象的に無機質な遺跡の床を濡らしている
「…何事かは判らないけれども、趣味が悪い…
そしておそらく、運も悪い」
無数の触手を刀一本で相手にするには分が悪い
じりじり、と刀を構えたまま後退を始めると無数の触手も等間隔に此方へ向かってくる
しかし決して、それ以上の距離を詰めようとはしてこなかった
■シゲン > このままの距離を保ちながら後退していけばいつしか触手の長さの外に出ることが出来るだろう
ちらり、と背後を確認すれば薄暗く果ては見えぬが通路はずっと続いているようである
だが、触手もそれは判っていようから、何れかのタイミングで一斉に掛かってくるであろうという気はする
そもそも、何が目的で作られた装置なのか、自分にはさっぱり判らぬが
「見れば見るほど、気色悪い生物だなあ…いや、そもそも生き物なのか?
植物や機械の類には見えないけれど…蛭や蚯蚓に…似てないこともない…けど…」
斬った感触は見た目よりズシリ、としたものであった
この無数の触手が何であるか、自分には判らぬが此方に敵意のようなものを持っているのは確かである
しかし、生物と言うには殺気を感じられない…ここ何処でアレが何であるか判らない事だらけであったが、
眼前に迫る無数の触手が此方を襲って来てくれたから、冷静になれる
ジリジリと後退を続ければ僅かに通路が狭まり、そこでぴたり、と後退の足を止めた
ここで仕掛けてくるな、と思った矢先、天上が一段、低くなったスペースに触手が達すれば、
一気に身体を目掛けて触手が襲い来る。それらを交わし、斬りを繰り返しながら此方も速度を上げて後退する
薄らぼんやりと剣術を習っていた頃、複数人を相手に立ち会う修行を思い出した
触手の突撃は、道場の先輩たちの剣撃よりも質は落ちたが、それでも勢いと量とは此方が数段上であった
「(そのうち、圧倒される―――)」
此方は1人、向こうは無数
魔術の類を使えぬ身ではこの量はいずれ捌ききれなくなり、息も少々上がり始めた
そう感じていたからあるところまで来ると一気に反転して薄暗い廊下を駆け出した
元より、逃げるのは得意である。刀を鞘に収め、無我夢中で駆けていると
後方で触手の近づく気配が止まり、逃げ切った、と思った矢先であった―――
「―――なるほど、これは先が見えないわけだ」
踏み込んだ足が空転したたらを踏む
通路は途切れ身体が浮遊感を感じるのと同時に奈落の底へ落ちていく
「…あの酒場に入るのではなかったな…」
今更ながらにそんな後悔が脳裏をよぎる
血の底へと落ちていきながらさてさてどうしたものか、と酷く呑気に思い悩むのであった――――
ご案内:「無名遺跡」からシゲンさんが去りました。