2020/03/04 のログ
タマモ > 「むむむ…着いたとして、鉱石…のぅ。
考えてみれば、持って帰るには、重そうな気がしないでも…」

と、そんな呟きを漏らす少女。
何とも今更な事だが、ここまで来て、引き返すのも癪であって。
時折、地図にある案内とは別の道へと寄り道し、何かないかと探りを入れていた。
それも、ただ目的を果たすのもあれだ、と考えたからだ。
ついでに何か見付かれば、少しは、楽しみようもあるだろう。

「………とは言え、こう言うのは、あれじゃぞ?」

ぴくん、と耳が揺れれば、そう言葉を次いで。
それに合わせたように、頭上から落ちてくる何か。
たんっ、と床を蹴れば、その何かを避ける。

タマモ > べちゃり、そんな音を立て、その何かは床に落ちた。
触れたらぷるんぷるんしてて柔らかそうな、ゼリー状の何か…何かと言うか、どう考えても、これは、あれだろう。

「………」

距離は開けている、すぐに襲って来るとかは、なさそうだが…
そんな、床でぷるぷる震えてる何かを、少女は黙って眺める。

「いつも、見ていて思ったのじゃが…
これってあれかのぅ、啜ってみれば、美味しいとかないじゃろうか?」

そして、開口一番、これであった。
言うだけで、試す気はないが、気になるには違いないもので。
………そこ、下らないとか言わない。

そんな事を考えている間も、じわりじわりと近付いて来ている。
一定距離まで近付かれなければ、襲い掛かるにも、距離が足らずとなるはずだ。
相手?もそれは分かっているのか、感覚で認識しているのか、近付いてくる以外は何もしてこない。

「まぁ、気になりはするが、したところであれかのぅ…」

そうであるならば、無理に相手をするのも。
ふむ、と頷けば、すたすたと離れるように、歩いて行く少女であった。
色々と、興味引かれたりもするが…今回は、諦めよう。

ご案内:「無名遺跡」にゴ・イゥンさんが現れました。
ゴ・イゥン > 少女が天上から垂れてきたゼリー状の魔物を無視し、歩き出した途端。
ぶぉぉん、という音と共に、びりびりと地面が揺れる。

魔物が、知性が無いからこそ本能的に怯え。
少女に迫っていくことを止めていそいそと去っていく。
音の正体は、少女が歩く廊下の隠し部屋からだ。

『ム。誰か居るのか』

再び、何か大きなものを振るような空気が裂かれる音。
辺りを見てみれば、雑に隠された扉が見えるだろう。
中から聞こえるのは、くぐもった野太い声だ。
微妙に発音がおかしく、喋るのに慣れてい無さそうな声。

『俺の宝を奪いに来たのでなければ、入るといい。
丁度、暇、で、武器を振り回していたところだ。休憩していけ』

ぶぉん、ぶぉん、と音は続き。
中のオークとしては暇潰し程度ではあるが。
誰も来ないというのも存外暇すぎるため、通りがかった雰囲気を感じ取ればそう声をかけて

タマモ > 「………うん?」

それは、偶然だった。
隠し部屋を探そうとかどうとか、普段、そんな事はしない少女だからだ。
今、聞こえた音…声?は、確かに、廊下のどこかから聞こえた。
それが、問うような言葉となれば、気になるのは仕方ないだろう。

まぁ、発音がおかしいとか、あるようだが、そんな事を気にする少女ではない。
今まで、そうした相手であろうと、普通に会話をする事もあったのだから。

「む…むむむ…?
おぉ、これはあれか、隠し扉と言うものか!?
よく分からんが、せっかくの誘い、受けるべきものじゃろう」

声の方向に視線を向ければ、そこで、やっとそれに気付く。
雑に隠された扉、声は、確かにそこから聞こえていた。
それならば、やる事は一つだろう。

すぱーんっ、いつもの調子で、少女は豪快に扉を押し開けた。
あれだ、もし扉が古かったりしたら、壊れてしまうかもしれない。

そうして、中で待つオークの前に、一人の少女が現れる。
どう見ても、冒険者とか、旅人とか、そんな服装でない着物姿。
狐の耳と九本の尾を持つ、その存在を、相手が何と思うかは、相手次第だろう。

ゴ・イゥン > 扉を開けるとそこには。
遺跡内部を大きくぶち抜いた広間だった。
水場があったり木が生えていたりと、森の中を思わせるような場所

扉は、元々壊れかけだったのか勢いよく吹っ飛び、『く』の字に折れ曲がってしまった。

「おお、入ってきたか。大抵、驚いて逃げていくのだが」

その中に居るのはとても大きい…少女の何倍もありそうな体躯をもったオーク。
振り回していた鉄塊をずぅん、と置いて、傍らにあった宝箱に腰かける。
オークが座れる宝箱もこれまた大きい

相変わらず、少し聞き取りづらい声をあげつつ。
特に、扉を壊したことについては怒っていないようだ。

「珍しい女だ。鎧も付けておらんし、尻尾など生えている。可愛らしくはあるが、遺跡には不似合いだな
この遺跡、昔はよく物音がしたものだが…何をしに来た?」

滅茶苦茶に大きい水桶で水を汲み、どん、と少女の前に置く。
ある理由から人間と定期的に関わってはいるが、世俗には少し疎い。
定期的には関わっているものの、それ以外で誰かと話すのは久しぶりだ。

水は、彼なりのもてなしらしい。
飲むには相当苦労しないといけないだろうけれど、もてなしはもてなしだ。

タマモ > 「………あ゛」

自分でやっておきながら、折れ曲がった扉に、そんな声が洩れる。
まず、そんな反応を見せていた少女だが、こほん、と咳払いを一つ。
気を取り直し、中へと足を踏み入れた。

中にあったのは、より自然を思わせるような、室内とは思えない光景。
そこに佇む、大きな体躯をした存在。

「ふむ…まぁ、好奇心には逆らえぬ、と言うものじゃ。
にしても………何を食ったら、そんなでかくなるものか」

宝箱へと腰掛けたオークへと、自慢げに胸を張って答える。
が、続く言葉は、純粋な疑問であった。
まぁ、種族が違うから、とか言ったらそれで終わりだが。

「いやいやいや、むしろ、珍しいのはお主ではないか?
なんぞよく見る魔物?とやらに近いと思えば、普通に話すしのぅ。
で、何をしに来たか、じゃったか?
そんなもの、暇潰しに決まっておろう、それ以外に何がある?」

目の前に置かれた水桶、一度それを見てから、改めて相手を見遣り、答える。
この辺りを巡り、何度も魔物に会ったが、目の前の存在のような相手は始めてだった。

ちなみに、出された水は、自然に近いものだ、十分飲めるものだろう。
が、問題はその量だ。
どう見ても、飲み切れるとは思えないだろう…ってか、飲み切れない、確定。
ともあれ、出されたものだし、とりあえず、受け取って…

「………のぅ、もう少し、小さなものはないのか?」

うん、無理。
持てる事は持てるが、気軽に飲むとか出来ないレベル。

ゴ・イゥン > 扉さんは無残に蝶番毎壊れました。
けれど、ぼろぼろではあったから、仕方ない部分ではある。

「は、は。俺はまあ、イゥンの部族の中の変異に近いからなァ
喰ってるのは、肉、酒、果実…人は不味いから中々食わんが、そんなもんだ
俺の姿を見ても驚かんとは、好奇心というのは強いな」

空気を震わせながら、笑うオーク。
やせ型とはとても言いづらい体型だが、その実身体のほとんどは筋肉だ。
膨れた腹などに触る機会があれば、妙に硬い感触だろう。

「言葉は、迷い込んだ…あー、学者?を捕まえて教えさせた。
は、は。暇潰しか。確かにこんな掘り尽くされたところまで来る輩は暇だろうよ」

未だ少したどたどしいが、話せないというわけでもない。
発音が怪しい事に目を瞑れば、十分だろう。
水桶の水は、湧き水の源泉でもあるのか、澄んでいる水だ。
例え人間が飲んだとしても、病気などにはならないが。

「ム?、ああ、そうか。唐突な来客は、久しぶり、だからな
ちょっと待て」

ぐぐぐ、と大きな体を再び立ち上がらせ。
広場の片隅にある、雑多に色々なモノの山…主に冒険者が持っていたものだ…を、漁り始める
その間に宝箱に眼をやるなら、留め具が緩んでいるのか、中の宝物が見えるだろう。

「これでどうだ」

持ってきたのは…彼が持つと非常に小さく見えるが、普通サイズの杯。
これもまた意匠が施されており、大方、冒険者が漁っていたこの遺跡の宝物の一部だろう。
それで、ざば、と雑に水桶から水を掬い、狐少女に手渡そうとするオーク。

「酒を呑めるなら出してやるが。どうやら宝を狙ってきたわけではないようだからな」

彼にとっては、見た目年齢など関係ない。
呑めるなら出してやる、というだけだ。
再びずん、と宝箱に座って、品定めするように狐少女を見る

タマモ > 「いうん?…あー…まぁ、その辺りは、よく分からん。
肉、酒に果実…そう大きく変わらんのに、おかしいのぅ。
ちと変わった見た目とは思うが、それだけじゃろう?」

そもそも、種族さえも、よく分かっていないのだ、仕方無い。
さらりと答えながら、軽く肩を竦めてみせる。
相当おかしいとか、そうでない限り、驚く理由にはならないだろう、多分。

「やはり、どちらかと言えば、お主の方が変わっていよう。
もっとも?だからと言って、どうこう言うつもりもない。
そうしたいから、そうしたのじゃろう?
それをどうこう言うても、意味はなかろうて。
………む?…ここは、掘り尽くされておるのか?
そんな場所で、本当に掘れるのか、疑問み思え始めたのぅ」

少女からすれば、聞き取れるレベルであれば、それで良い。
それよりも、オークの言葉に、小首を傾げ唸り出す。
掘り尽くされている場所で、鉱石が出るのだろうか?と。

とりあえず、言うべき事は言った。
そうすれば、オークは、今度は程よい杯で水を汲んでくれた。
しかし、その後に続く言葉に、ぴくん、と耳が揺れる。

「うむ、何じゃ、ちゃんとしたのがあるではないか。
もちろん、酒があるならば、酒を貰うぞ?当然じゃな」

今度はちゃんと受け取れた杯、一息付こうと、ぐいっと飲み干す。
…うん、水は水でも、やはり、自然の水は良い。
なのだが、酒もあると言うオーク。
それもまた、当然と言わんばかりに、求める少女だった。

品定めするような視線、それに対しては、気にする様子はない。
初見の相手は、己の見た目を気にする者が多いからだ。
普通に考えれば、間違いなく珍しいであろう、それは理解していた。

ゴ・イゥン > 「女が俺ほどにでかくなっても、番の貰い手がいなくなるだけだと思うが…
そんな姿になりたいのか?」

少女の言葉を、憧憬と取ったか、そんなことを。
宝箱に座るオークの見た目は、単純にオークを更にマッチョにしてでかくしたような風体だ。
見た限りでは大きさ以外変わったところは無いが、大きいというのはそれだけで変わった部分だろう。

「ああ、全く、その通りだ。
掘れる…、暇潰しに石堀りか?だが、少し前はがたがたと騒がしかったが…
最近は静かだ。だから俺は人間がここに興味を無くしたのだと思っていた」

貪欲な人間が来ない、ということは。
ここに価値がない事になっている可能性が高い。

「飲めるのか。いいだろう。久しぶりの客だ…、あー…、と」

でかい宝箱の裏から、大きな金属の筒を取り出し。

「昔、俺の好敵手と競った時の戦利品でな。
中に入れたものを美味いまま保てるものらしい。そら、杯を出せ、狐女」

水を飲んだ後の杯に向けて、筒に付けられた細い出口を向ける。
そこからだばだば、と…飛沫が飛び散りながら強い酒が注がれて。

「いや可愛らしいが、酒も嗜むとは。異様とは言わないが、お前も相当変わっているな。
そういえば、何を掘るのだ。冒険者が持っていたものもあそこに溜めてある。
もしかすると、狐の探しているものがあるかもしれんぞ」

自分はその筒から直接酒をぐびのみ。
ぶはあー…と大きな酒臭い息を漏らしながら、会話を進めていく。

タマモ > 「あぁ、いや?
興味があっただけで、なろうとは思わん。
妾は、このままが一番じゃからのぅ」

その部分は、きっぱりと、そう答えた。
どうやって大きくなったか、それが分かれば面白いと思った、それだけの理由の問いだったからだ。

「うむ、であれば、妾から特に言う事もない。
よく分からんが、ここにある鉱石が必要らしくてな?
あるべき場所を探れば、見付かるんじゃと。
ま、他の連中がどうとかは、妾も分からん」

ここの価値とか、気にするだけ無駄である。
少女にとって、価値があるものとは、己の興味や好奇を満たすものなのだ。
とりあえず、他の者達とは違うが、目的があった事を伝えておこう。

「ふふんっ、飲めねば、楽しみのいくつかをふいにするようなものじゃろう。
………?…ん?」

えっへん、とまたも胸を張りながら、取り出された金属の筒を、不思議そうに見詰める。
言われるままに、水を飲み終えた杯を差し出せば、次に注がれるのは酒であるのが分かった。
それを見れば、うむ、と満足気に少女は頷く。

「………可愛らしい…可愛らしい…やはり、それが来るか。
変わってる、変わってないで言えば、確かに妾は前者じゃろうな、それは分かっておる。
…さてな、妾も詳しくは聞いておらん。
………忘れた訳ではないぞ?本当に、聞いておらんだけじゃ。
行く場所に行けばある、そう言うておったからのぅ」

注がれた酒を、軽く一口。
………なかなかに、良い酒っぽい。
飲みながら、次いでの問いに答えるも、その答えは微妙なもの。
さすがに、実は忘れました、と正直には言えないのだ。
ただ、地図に示された場所にはある、とは覚えている。
それだけが、今の少女の頼りであった。

会話を続けながらも、少女はしっかりと、杯の酒は空けて。

ゴ・イゥン > 興味を持たれても、俺にもわからんな、と応えて。
自分が何故大きいかなどわからない。
ただ単に好きなようにしていたところで、でかくなっただけだ。

「鉱石か。色味がわかればあの山であれば探しても構わんがな
ただまあ、暇潰しには付き合え」

鉄塊が真横に転がってはいるが、一先ず今は酒宴だ。
中々に酒精が強い酒だが、その割には口にさ、と風味が広がった後、しつこくないように喉へと流れていく。
杯が空になれば、か、か、とまた笑ってオークはすぐに狐娘に酒をつぎ足し。

「ん?可愛らしい、というのは褒め言葉ではなかったか。
後は…狐娘は強くもあるようだが、俺には及ばんだろうしなァ」

ぐびー、と酒を煽りつつそんなことを。
どうやら、一定の自負があるようで。
ぶふー…とたっぷり息を吐いてからまた笑う。

「はっはっは。そんなことをわざわざ言う時点で怪しいな。本当に忘れているんじゃないか?
だが確かに、あてもなく探すのは良い暇潰しにはなるだろうさ」

他人と呑むなどいつぶりかわからないオークはぐびぐびと酒を飲み進めていき。

「俺は約束があるからな。ここを軽々に離れるわけにはいかん。しかし、まだ鉱石とやらを探すなら、ここを休息に使え。
そういえば、狐女、名は?」

何回目か、酒を煽ってからふと思い出したように。

タマモ > まぁ、確かに、興味を持ったから何だ、と言う訳でもないか。
大きくなろうとしてなった、ならばともかく、そうでないのに理由なんて分かる訳もない。

「………ま、まぁ…目的地に着く事に、意義がある。
妾は、聞いた通りの場所で、探すとしよう。
おっと、もちろん、気の済むまで妾も飲ませて貰うのじゃ」

実のところ、その中に、その鉱石があったとかどうとか。
しかし、二人共それを知る由もなかったのだった。
そんな事よりも酒だ酒、そんな感じである。
見た目とは裏腹に、少女は酒に対しかなり強い。
満足するまで、付き合う事となるだろうか?

「………あ、あー…褒め言葉じゃ、確かに、褒め言葉じゃな。
まぁ、ちと思うところがあるだけじゃ、気にするでない。
ほほぅ…なりの違いが、酒の強さに当て嵌まるとは限らぬ。
そうは言っても、飲み比べと言うのも、楽しいものじゃがのぅ」

注ぎ足された杯を、ぐいっと傾ける。
ぷあー…飲み干せば、ふむ、と言葉と共に頷いてみせて。
好きに飲むのも楽しいが、そう言うのも、また好きなのだ。

「うぐっ…男子は、余り細かい事を、気にするものではないぞ?
にしても、ここで約束か…また、えらい場所での約束じゃのぅ。
………?…あぁ、そう言えば、互いに名を知らぬままじゃったか。
妾はタマモ、覚えてこれと言う事もないし、覚えるも忘れるも、お主の自由じゃ」

はふー…同じく、何杯目かの酒を飲み干し、答える。
まったく酔ってない訳ではないが、良い感じではあるようで。
だがしかし、飲み比べとするならば、ここからが勝負とも。

ゴ・イゥン > 元々知性はあったようだが、それを育てたことが努力といえば努力か。
けれど、今は特に触れるべきことでもない。

「小さい癖に豪快な奴め。
いいだろう、俺も酒を足すとしよう」

酒は蓄えてあるのか、樽を広場の奥から持ってくる。
勿論、樽も彼に合わせて巨大サイズだ。

「負かした奴に発破をかけてな。持ってこさせている。
呑み比べなら、俺が負けるものか。しかしそれなら…俺も杯を用意するか」

どうやらオークも自信がある様子。
水桶を持ち上げ、一度中身を泉に戻し。
酒を代わりにだばだばと桶に入れていく。

「くく。からかうのは楽しいものだ。
タマモか。俺はゴ。…イゥンは部族の名のようだな。好きなように呼べ
まあ、約束とは言っても、ヤツは忘れっぽかったからな。永く待ったが、そろそろ潮時かもしれん」

異様に短い、一音のみの名前を告げ。
なつかしさに浸るように少し笑ってから。
乾杯、といいながら水桶を掲げ、ごくごくごく、と酒を飲んでいく。

「そら、杯が空いているぞ、タマモ。特製の酒だ。美味いだろう」

豪快に笑い、酒の飛沫を飛ばしながらまた狐少女の杯に酒を注いでいく。
潰れようとも構わない、ペースなど全く無視して、どちらかの杯…オークの杯は大きな水桶だが…にどんどん樽から酒を注いでいく。
少女が粘るなら、オークの側もまた、ほの赤くその豚面が赤くなっていく

タマモ > オークに合わせ、酒を飲む。
酔いの程度であれば、似寄った状態ではあろう。
しかし、二人の差は別のところで現れる。

「なるほどのぅ…まぁ、そのお陰で、こうして飲める。
それはそれで、悪くはなかろう」

ぷあー…次の一杯を飲み干し、一息。
そう言いながらも、その手を一度止めようと。
…理由は簡単だ、注がれる器の許容量である。
酔い潰れはしない、代わりに、入らなくなってくるのだ。

「まったく、良い性格をしておる。
お、覚え易いようで、覚え難そうな名じゃのぅ。
ゴ、か…むむむ…ごーちゃんの方が、親しみを覚えんか?
にしても、約束か…して、その約束とは、どんなものなのじゃ?」

質量が変わる相手の杯、さすがは、体の大きさよ。
そんな事を考えながら、とりあえず、次の一杯を注ぎはさせよう。
と、ふと、約束の話に、浮かんだ疑問を向けてみた。

「うむ、酔い自体は、まだまだいけそうなんじゃがのぅ…?
少しばかり、間を置くとしよう」

飲み休み、と言った感じか。
満腹感だけは、どうしようもない、それが収まるまで、と。
もちろん、そうなれば、また飲みを再開するだろう。
量はともかく、気分的に、もう少し、飲み足りない。

ゴ・イゥン > どんどんと上機嫌になっていくオーク。
やはり、退屈を紛らわせるのはとても楽しい。

「おォ、よくその体で呑む呑む」

手が止まれば、オークも水桶を一度置いて間を置く。
酒の余韻を味わっている間に、まだ回る頭で質問に答えよう。

「ごーちゃん…?いや、呼びたいならそれで構わんが
ちゃん、というのは可愛いものに付けるものだと聞いたぞ。
それならば、俺がタマモにタマモちゃん、とするのが良いのではないか」

学者からの知識を思い起こし。
拒否感や怒るとかは無いものの、それでいいのか、と確認を。

「ム。俺と武力を競い合った者が居てな
お互いが集めた財宝を宝箱に入れ、それを賭けて血を滾らせる勝負をしようと誓ったのだ。
だが、まあ、来ないがな。ははは」

競い合った、とは言っているが、実際は友のようなものだったのだろう。
最後に豪快に笑い…その相手のことはわかっていると言いたげだ。

「よしよし。ああ、せっかくだ。冒険者がやけに大事にしていたモノがあったな。
宝箱の中身をやるわけにはいかんが、俺が先に潰れたらそれをやろう。値打ちモノと俺は見ている」

などと、酒の合間に勝負を持ち掛けて。
雑談など交わした後、狐少女の様子が戻ってくれば。
また酒宴は続けられる。
樽が1つ、2つ、と…二人の酒豪によって開けられていくか。

タマモ > 違いはあるも、同じ退屈を持て余している存在か。
こうした場と言うのは、それを紛らわせるのには良いもので。
己が手を止めれば、相手もまた、同じように手を止めた。
この軽く酔いの回る、ほろ酔い状態と言うのも悪くは無い。

「うん?必ずしも、可愛い者に付ける、とは限るまい?
まぁ、こうするのは、覚え易くなるから、と言うのもある。
ごーちゃんも、そう呼びたければ、そう呼べば良かろう」

はて?そう言うものだったか?みたいな、そんな感じに首傾げ。
うん、一文字違いだ、大丈夫。
良い良いと、ひらひら手を振りながら答える。

「ほほぅ、つまりは、力比べじゃな?
妾も好きじゃぞ、なかなか、楽しめる相手も居らんがのぅ。
しかし、約束か…連絡の一つも…いや、連絡が出来る時点で、すでに出来る状態じゃろうか」

ふむ、と腕を組みながら考え、そう言葉を紡ぐ。
その様子から、その相手とは、良い好敵手だったのだろうと、そう思わせるもので。
と、続く言葉に、腕を組んだまま、軽く相手を見遣る。
身丈の関係上、上目使いに見上げる形となるだろうが。

「酒の勝負は、ほれ、量的に難しそうじゃろう?
ならば、ここは一つ、力比べといってみんか?
まぁ、その相手程かは分からんが、待った分の気晴らしにもなろう。
その結果で、お宝だの何だの、決めれば良かろう、どうじゃ?」

手を止め、なんだかんだと話している間に、調子は戻っている。
ぐりんぐりんと腕を回し、解すようにしながら、問う。
最近、そうした方面でも、なかなか思うようにいっていないのは己も同じ。
せっかくの、どちらの意味でも楽しめそうな相手。
ならば、誘いを向けてみても良いだろうと考えて。

ご案内:「無名遺跡」からゴ・イゥンさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。