2020/02/09 のログ
ご案内:「無名遺跡」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > こつん、こつんと鉄格子の向こう側から足音がする。
鉄格子の向こうから現れるのは、ランタンの光と、青い闘牛士服の男の姿。
男は、あれ、と何か予想外の物が現れたかのように、シスターと鉄格子を見て、
「……ちょっと、待ってて」
と、一旦通路の奥へと戻っていく。
そして、五分ぐらいで再び現れた男は、凄まじく気まずそうな表情をしていた。
そして、一度ガシャンガシャンと鉄格子を揺らすと、非常に情けない声でこう言った。
「すいません、助けてください……!」
脂汗さえ掻いたその表情は、『詰んだ冒険者』特有のそれであった。
■シスター・マルレーン > ………目をぱちぱちとさせながら、知っている人が目の前に現れれば。
「……え、奥は行き止まりです?
今開けますから、ちょっと待っててくださいね。
特に得意ってわけではないですけど。」
相手の声を聴けば、了解です、と言わんばかりに鉄格子を明るく照らし、詳細に眺める。
鍵穴を確認するも、鍵は無し。
レバーで開くようなものでも無し。
謎解きをする、というわけでも無し。
「………何か、開きそうな方法ってわかります?
無ければ、なんとか強引に開けてみますけど。」
大丈夫ですよ、と鉄格子越しに手を伸ばして、手をきゅ、っと握る。
こういう時は人の体温が安心するものだ。
■クレス・ローベルク > 「というか。何か冒険者の仕事で来てみたら、突然退路が隔壁で閉じちゃってさ……悪いね」
そう言うと、彼女が鉄格子に近づいてきた。
それでやる事を察して、こちらも鉄格子を見聞する。
鍵穴、なし。この鉄格子を釣り上げるような大掛かりな仕掛けが無いことは、先程鉄格子を揺らした際の音や力のかかりかたで確認済み。
「……目的は解らないけど、侵入者を此処に閉じ込める為の仕掛けっぽい。
来た時の隔壁の方は、明らかに魔法的なもので俺じゃ手の出しようがないし……」
と、そして続く言葉が一旦途切れた。
あ、と言う言葉とともに、握られた手に視線が行っている。
その表情は、安心、というよりは困った、という表情。
手を握ったシスターには、その手が一瞬びくり、と痙攣の様な震えを得たのが解るだろうか。
「あー。多分、力づくでないと無理だね。
罠は無いと思うから、悪いけど、やってもらっていい?」
と言うと、後ろ歩きで二歩ほど後退。
特に振り払いはしないが、手を伸ばそうとでもしない限りは、自然とその手は離れる事になる。
■シスター・マルレーン > 「いやー、私は落とし穴から落ちまして。」
あっはっは、と笑って。笑いごとではないのだけれども。
落ちた先が針山だったら死んでいたわけで。運があった、としか言えない。
それでも、相手を安心させるように手を包んで微笑みかける。
彼女はそれが本職だ。 きっと。
「………はい、わかりました。
ただその、あんまり見たことは言わないで下さいね?
あと、もうちょっと離れてください。 怪我しますよ。」
ウィンクをぱちり。色っぽい女性とは形の違うハートマークを飛ばして。
こちらも一歩、二歩、三歩………どんどん離れていく。
「……いきますよー?」
すると、彼女を覆っている濃紺の修道服がきらきらと、光り輝き始める。
棍を強化する、手袋を強化する。それと同じように服も強化できるわけで。
疲労度は段違いだが、それでも。
「…………っ、……そい、やぁぁああっ!!」
全力ダッシュからのタックルが鉄格子をぐにゃ、っと捻じ曲げる。
一度で無理ならば、もう一度離れて。
■クレス・ローベルク > 「落とし穴かー……物語とかだと大体、男の方が落とし穴に落ちるとか物理的に酷い目にあって、女の子の方が牢屋の中でヒロインっぽく泣いてるんだけどなあ……。
OKOK。元より、女の子の秘密をバラすなんて勿体ない事しないさ」
そう言うと、更に三歩離れていく。
更に、念には念をとしゃがんで、腕で頭を隠すようにする。
間は抜けているが、万が一鉄格子の破片が飛んできても、大体は腕か足に当たる構えだ。
「よしこい」
と、威勢よく言うと同時、彼女の衣服が輝きに包まれた。
やっている事は、特に驚きを覚えない。棍が強化できるなら、同じノリで衣服も強化できるだろう。
だが、それで棍のそれとは違い、全身を輝きに纏った彼女の姿は、綺麗と言えるものだった。
「(腕が邪魔でよく見えないのが残念だな――)」
尤も、ただ華美であるだけではない。
彼女のタックルは、一撃で鉄格子を捻じ曲げてしまった。
そして、もう一回と言わんばかりに、後ろに下がるのを見て、
「(いや、前言撤回。あのパワーを間近にするとか、間違ったら俺ミンチになるじゃん)」
とはいえ、鉄格子の強度的に、後一回のタックルで、ぶち破れるだろう。
男は、念の為もう少しだけ腰を浮かせて後ろに下がり、彼女のもう一撃を見ることにした。
■シスター・マルレーン > 「………いやー、この遺跡、趣味悪いですからね。
良かったですよ、スライムの中とか、化け物と一対一とか、見渡す限りのゴブリンとか。………そういうのでなくて。」
ため息をつく。
そうなったら何が起こるかの覚悟くらいはしているのだろう。そこだけは、ほっと安心した素振りを見せて。
「………そりゃあああっ!!」
ぶち破って、鉄格子の内側に勢い余って頭からスライディングをする女。
はー、はー、っと荒い吐息を幾度となく漏らしながら地面に突っ伏し、すぐに服装も濃紺に戻っていく。
「………器用でしょう?」
へら、と、汗だくの顔で最初に放った言葉はそれだった。
■クレス・ローベルク > 鉄格子が、ぶち破られた。
鉄棒が折れる音は、意外と軽く。
うわ、凄い、と素直にそう思えたのは最初だけ。
彼女が、勢いよく頭から地面に突っ込んだのを見ると、すぐさま駆け寄る。
「……いや、確かに器用だけども。っていうか、そんな事言ってる場合じゃないでしょ」
平静を装いつつ、顎を持ち上げて瞳孔と呼吸をチェック。
激しく疲弊しているだけか、意識レベルが正常であるかを確認する。
腰のポーチから、傷薬用の軟膏を取り出しつつ、
「全く、この全力全開お人好しめ。この状況自体が罠だったらどうする気だったんだ君は。
俺は一応、闘技場で女を犯すのが生業のダイラス式クソ野郎なんだよ?」
と言いつつ、男は軟膏を彼女の近くに置く。
自分で塗っても良かったが、流石にそれは距離を詰めすぎだろう。
「取り敢えず、体力とかどれぐらいで回復しそう?」
■シスター・マルレーン > 「おや。」
顎を持ち上げられれば、目をぱちぱちと瞬かせ。
相手が心配そうにしているのを見れば、ころころと笑う。
「大丈夫ですよ、この程度は怪我のうちにも入りません。
あれは、すごーいエネルギーを使うだけですから。
………もしそうだったとしても、目の前で鉄格子をぶち破る女をどうこうしようなんて思いますー?」
んっふっふ、なんて笑いながら、よいしょ、っと体を起こす。
とはいえ、お仕事の話になれば少しだけ頬をぽりぽりと掻いて。
「………………んー。
それは困りましたね。まあ、確かにこの状況で本気で襲われたら危ないっちゃ危ないですけど。
あ、少しだけ時間をください。 すぐになんとかなりますよ。」
頬だけ、軟膏をちょろ、っと塗り付けて。
ある意味これもまた、不用心に過ぎる行為かもしれない。
■クレス・ローベルク > 「いや、闘技場やってると、それぐらいの怪力の娘を戦って犯す事あるからね?
寧ろ、『それぐらいの力を持つ女の子を犯すのが好き』って言うの、結構メジャーな性癖だからね?俺もそういうケはあるし」
とんでもないぶっちゃけトークだが、まあ過去含め情けない所を見せまくった女の子だ。
今更(仕事で会った場合は別として)犯す気はないし、かといって彼女がこちらに好意なりなんなり持って、一夜を……という展開も無いだろう。
そういう意味では、純粋に心配できる相手ではある。
「時間は大丈夫だよ。携帯食料と水はあるし、依頼の締め切りもまだ先だ。
だから、無理をして起き上がろうとか、そういうのホントやめてね?流石に命の恩人に説教とかしたくないし」
そう言いつつ、鉄格子の通路の手前側に立つ。
いざという時の見張りは必要だし、指をなめて風を感じれば、大体の出口を把握できるかもしれないからだ。
……一度、溜息とともに「何やってんだ、俺。キャラ違うだろー」と肩を落としたのは、ダンジョン攻略中らしからぬ、無駄な動きではあるが。
■シスター・マルレーン > 「………………。」
こほん。
「………そういう趣向があることは初めて聞きましたけどねー。
なんとなく感じることはありましたけどー。」
頬をちょいと赤くして視線を逸らす。
鉄格子を壊すことができても女性である。それっぽい仕草くらいはするのだった。
「なら、せめてちょっと移動して休憩しましょうか。
鉄格子壊す音、凄かったと思いますから。 ここで休憩してたらそれはそれで危険です。
なーに、歩くことくらいはできますよ、っと。」
ふー、っと吐息をつきながら立ち上がって、大丈夫です! と胸を張って見せる。どやっ、とした顔を見せて。
「いいんですよ、もっと褒めてくれても。」
なんて言いながら、どっちが出口かわかります? と横から顔を覗き込んで。
■クレス・ローベルク > 「そこで顔を赤くして視線を逸らすのも、結構ストライクな感じなんだけど……。
うん、万が一君と剣闘士として戦った時には出来るだけ初心な反応見たいし、敢えてこれ以上は言わないでおこうかな」
と言って会話を打ち切る。
まあ、実際彼女と闘技場で出会ってしまったら、それこそ天命だ。
それに、こういう男も居ると知ったら、少しは彼女の無茶も減るだろう。教会から直接司令が来たらどうしようもなかろうが。
「いや、確かにそれはそうだけど、消耗してる君を抱えて移動する方がよっぽど……」
と言い掛けると同時、彼女が立ち上がった。
得意げな顔は、それはそれは可愛らしい。
そういうのが男を惹きつけるんだけど、無自覚なんだろうなあと思いつつ、
「……OK、俺の負けだ。でも、体調崩したら倒れる前に言いなよ?
解んないから、君に任せる。どっち進めばいい?」
彼女のそれが強がりだとしても、それならそれでカバーする。
それぐらいは出来るだろうと思い、彼女に任せてみることにした。
■シスター・マルレーン > 「口説く場所を選びませんかねー?」
ぺちり、と裏手でツッコミを入れておきながらも、やっぱり顔はまあ赤い。
もう、と不満げにしながら。
「だーれが消耗してるって言うんです?
あ、強がりですけど、倒れるようなことはありませんよ。
戦えますし、そうそう遅れは取りません。」
きっぱりと言いつつ、そうですね………と。
「……そういえば、ここに来るまでに部屋があったはずです。
罠が無いか確認した上で、その部屋で休憩する、ってのはどうですか?
ちょっと落とし穴に落ちてから、ちゃんと探索もしたんですよ。」
言いながら、こっちです、と先導しようとして。
先に進もうとするならちゃんと譲る。 まあ、本調子ではありませんしね。
しばらく進めば、言う通り小さな部屋にまでたどり着くだろうか。
■クレス・ローベルク > ぺしりと叩かれたのは甘んじて受けつつ、しかし顔はどうしても苦笑を隠せない。
強がりを実行できる力や意思があるのは頼もしいのだが。
しかし、彼女の所作のせいか、何処かそれが可愛らしく思えてしまうのだ。
「成程、確かに此処で未知の部屋に前進するよりはリスクは低いな」
音を聞きつけて来た敵が調査するとしたら、鉄格子の先を見るのが最初のはずで、少なくともその間は休息に回せるのだ。
悪くないアイディアだ、と頷く。
「解った。先導してくれ」
そう言うと、彼女を前に出して、男が後ろを歩く。
彼女が見たというならば、前方のリスクは低いだろうし、問題はない。
あまり過保護過ぎるのもな、という気もするし、未知領域である後方からの備えもパーティとしては大事だ。
「(ま、気は抜けないが、差し迫ったリスクもないし。
ゆっくり休んでもらって、二人で確実にダンジョン攻略に取り掛かろう)」
と、そんな事を考えながら。
■シスター・マルレーン > 「落とし穴に落としておいて、それでいて探索をさせようっていうわけですから。
……趣味の悪い罠が多いと思いますしね。」
少しだけ渋い顔をしながらも、扉を開けて中に入り。
……おそらく、このダンジョンを作るための作業員の部屋か。
石材を削る道具やら藁の簡易ベッドやら。
ベッドをぽんぽんと叩けば、すっかりしけっているのか、溜息を一つつくのだけれど。
「罠とか、特には無いですか? やですよ、ここに閉じ込められるとか。」
ころころと笑いながら冗談を返しつつ、こちらはこちらで壁を注意して見て回る。
罠があるのであれば、まあ、シーフではない二人だ。
ひっかかってしまうかもしれない。
■クレス・ローベルク > 「ふむ」
見る限り、『ダンジョン』といった趣ではない。
何か異国か古代の言葉で書かれた書類や図式もあるし、『スタッフルーム』に近いものなのだと思う。
尤も、そう見せかけて……という可能性を考慮しない訳には行かないので、探索自体は真面目にやるの、だが。
「特に何か怪しいものはないな……魔力も特に感じないし」
そのへんにある椅子だのベッドだのがいきなり空中浮遊して襲いかかってくる!みたいなイベントはどうやらなさそうだった。
となると、寧ろ手がかりという欲が出てくる。
一応、文字は読めないにしろ図柄から何か読み取れないかと、置いてある書類を見聞していく。
「……そっちはどう?何か見つかった?」
と、彼女の方に確認してみる。
よく見れば、ベッドの下に隠されるように、何か箱の様な物が置いてあるのに気付くだろう。
ベッドは固定されているため、箱を取るなら身体の方を突っ込むしか無いが……
■シスター・マルレーン > 「んー………ちょっと古臭いですね。
人間じゃない方が寝ていたんでしょうかね?
サイズ的には人間サイズだとは思うんですが。」
とはいえ、彼女は隠されたスイッチやらを見つける能力はほとんどない。
置いてあるものが古いなあ、といった程度の発見で………。
「あ、何かありそうですよ。 ちょっと待ってて下さいね。」
大工やら工事やら、そんなことばかりやっているからか、こういうことに躊躇が無い。
膝をつけば、ベッドの下に身体を突っ込んで、手を伸ばして箱を取ろうとする。
■クレス・ローベルク > 彼女が何かあったと報告してくる。
しかし、こちらにはまだ未読派の書類がある。
魔力の反応がない以上、罠があったとしても物理的なもの。
今更、それに遅れを取ることもないだろう、と判断し、
「ん?ああ。解った。気をつけて」
と、結局書類から目を離さず言ってしまった。
流石に彼女がやる事を目にすれば、止めはしないまでもきちんと監視したりしたのだろうが、この辺はお互いの性格をまだ理解できていない齟齬が出た。
――侵入者だけを罠にかける尤も簡単な方法は、侵入者しか行かない様な所を作ることである。
そして、ベッドの下など、普段誰も見はしない。
この部屋を、家探しでもしない限りは。
そして、今回罠にかかった哀れな少女の前で、箱が独りでに開いた。
そして、その中から、何かが這い出てきた。
それは、機械じかけの手だった。
『……侵入者を認識しました。
これより無力化処理を行います』
次の瞬間、明らかに箱の質量や広さを無視して這い出る手。手。手。
それらは、彼女が掴んだり殴ろうとしてもひらりと躱し、逆にその手首を掴んでしまう。
そして、抑えつけに参加していない手が、まるで虫の様に彼女の身体に近づいてくる――
■シスター・マルレーン > 「ぎゃー!?」
色気も何にもない声をあげながら、ガンッ、とベッドに頭を打つ音が響く。
ついでに、いたぁい! という分かりやすい声も。
「ちょ、ちょ、ちょっとまって、待った! これは流石に……っ!」
手首から先、手袋を光らせて一本、二本とへし折ろうとするも。
手首を掴まれるとヤバ、と思わず声が漏れる。
彼女の戦闘力は強化された武器防具、衣類にある。
本人の身体能力が強化されているわけではないのだ。まあ、奥の手こそあるが。
それはつい先ほど全力を使いつくした彼女にはちょっと難しく。
「ちょ、引っ張って! 引っ張ってください! 何かいます! いるんです!」
足をバッタバッタと暴れさせながら助けを求める。
へるぷ! へるーぷ!!
■クレス・ローベルク > 「おいおい、幾ら安全だからって頭ぶつけるのは平和ボケしすぎだろ」
と、そこでようやく目線が書類から剥がれた。
そして、改めて見ると、何か彼女がベッドに突っ込んで足をバタバタしている。
何かがおかしいと思い、慌ててベッドに向かう。
一方その頃、ベッドの下では、動けなくなった彼女の身体に、手が纏わりついていた。
手は、この街の遺跡には珍しく、胸や尻などは一切触らず、腹や脇腹などに手を添えていた。
だが、それは脅威が無いというわけではなく、
『無力化処理を開始します』
手が、蠢く。
服越しに、脇腹や脇をひっかき、臍の回りをかき回す。
所謂『くすぐり』という動きである。
激しい痛痒感が、シスターを襲う。
■シスター・マルレーン > 「安全じゃ、な、くて、ちょ、本当にっ………!」
流石の彼女も若干の恐怖を覚え、声を引きつらせる。
こんな状況では抵抗もままならない。毒だろうがなんだろうが、いいようにされる。
こうなれば奥の手も、と考えたところだった。
「ひゃんっ!?」
びくり、っと跳ねた。
手を添えられただけで、そのくすぐったさに声が漏れ。
「……ぁ、あはははははははっ、ちょ、だめ、や、あはは、あはっ!」
擽られる。分厚い修道服とチェインメイルがあって、ここまで感謝した日はない。
だって、それ越しでも十分に効いているのだ。
「ひぅ、んっ!?」
がく、がくっと暴れて足をばたつかせ、ベッドががたがた、っと揺れる。
聞こえてくる声からなんとなくは想像できるだろうが。
■クレス・ローベルク > 『対象のアーマー装備を確認。装備にて守護されている箇所予測、施術リストから削除します』
『管理簡易化のため、誘導用オブジェクトを透明化』
手の動きが、鎧を避けるものに代わり、首や足に狙いを絞ったものに変化する。太ももや足の裏を責めるものに。
それと同時に、ベッドが透明になった。
笑い悶ているシスターの姿が、顕になる。
ベッドが透明になり、一瞬驚くが、直ぐに平静を取り戻す。
笑い転げる彼女の姿はまるで童女の様で。
それに、望まぬ刺激を与えられて悶える姿は、
「……エロいな……いや、そんな事を言ってる場合じゃないか」
とにかく、抑えつけられている彼女を解放しなければと、足を持って引きずり出そうとするが。
手は、意外と力が強かった。ぐい、ぐいと二度三度引っ張るが、びくともしない。
「……あ、これ駄目だわ」
引きずり出そうと無理に引っ張ると、肩を脱臼したりしそうだ。。
命の危険や貞操の危機があるならば、それも致し方ないが、現状彼女は擽られているだけである。
此処で強硬策に出ない事も含んでの罠なのかもしれないが、流石に脱臼の原因が擽りでは彼女も納得できまい。
「あー、ごめん、ちょっと対策考えるから待ってて」
本当に弱った娘にはそれなりに親切だが、そうでもないならば無責任な性分である。
一応、真面目に考えてはいるが、その声にはまったく謝罪の意思も切迫感も感じられないだろう。
ご案内:「無名遺跡」からシスター・マルレーンさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からクレス・ローベルクさんが去りました。