2020/01/02 のログ
■白冥花 > 迷宮に咲くにしては可憐な純白の花。
どれもが肉厚な花弁をもち、迷宮だから吹かない筈の風に揺られたように螺旋に捻れた蕾を花弁を広げさく大輪の花をゆらりゆらりと揺らしている。
それらが振れるたびにフワッフワッと少しだけ甘い花の香が狭い迷宮の通路内に広がり、少しでも嗅いだ者が居ればその好奇心を誘い、迷宮の直ぐ其処に純白の花が群生する行き止まりにその者を誘う。
無意識に誘われるもの、知覚して花を採取するために自ら足を進めるもの、どちらにしても行き止まりで純白の花が待っている。
近づけば次第に通路の天井にも壁にも新緑の蔦が蔓延り、其処だけが緑の迷宮と思って尾もおかしくない光景が広がる、行き止まりであるが。
その緑に包まれた通路は4,5m程。
奥に向かい群生地に向えば床にもまた新緑が蔓延り、踏みしめれば蔦は潰れて甘い香りとは別に緑の香りがふわりと広がっていく。
ご案内:「無名遺跡」にミユさんが現れました。
■ミユ > 「もふっ…」
さして、遠くもない無名遺跡。朝出発すれば昼には到着する程度の距離で、道も山道ではあるが、
今まで小遣い稼ぎに来てたであろう冒険者たちによって綺麗にならされて、半分整備された道のようなものである。
「今日もお願いしますね~」
なんて、相応しくない格好のミユは、軽く会釈して袖の下を通す。別に腕試しでも宝箱目的でもない。
シーフツールは持っては居ないがアンロックの魔法で大体空くので気にしていない。
ミユはこのあたりでは採れない薬草が目的である。
確かに格好からして、魔物が出れば殺されそうな格好ではあるが、
ここで出る魔物程度は重くてなんの防御力もないメイド服でも十分戦える程度の腕は持っている。
普通の冒険者では雑草にしか見えない。知る者でも気付くかわからない。そんな薬草が時々手に入るのだ。
ミユはワクワクしながら、遺跡の中に足を踏み入れば、早速とばかりに初級階層を慣れた足取りで物色しはじめた。
「ん…?」
そんな中、いつもとは違った違和感といったものを感じる。
匂い?雰囲気?なんだか誘惑するかのような気配? ミユは興味を示し注意しながら、
その行き止まりに行くであろう通路を進んだ。
―――――――
行き止まりまであと4~5mといった所か。やはり、いつもとは違い、白い花々が沢山ひしめき合う様に咲いている。
誰も来なかったのか…足元の蔦に他の者が踏んだ形跡はない…
(もしかしたら、新しい種類の薬草かも…?)
なんて見た目と匂いだけで、薬草類だと思い込み、最奥へと踏み込んでゆく…柔らかい蔦はミユが踏むだけで、
青臭い香りを放って潰れる…でも、蔦は蔦でも沢山の種類がある。一回踏んで潰れた蔦がヘンな動きを示さなければ
まずは襲ってこないであろう…なんていうのも思い込みかもしれず。
■白冥花 > 純白の花は白冥花(ハクメイカ)は植物なので視力などない。
その代わりに発達したのが嗅覚・触覚・聴覚である。
嗅覚は言わずもがな触覚も同様、だが聴覚はどちらかと言えば音を直接感じるのではなく、声や仕草による空気の微弱な震動を感じる事が出来る。
――…つまり、少女が違和感を感じたが故に純白の花咲き乱れる行き止まりの通路を進む、その一歩一歩が僅かに揺らす空気に震動で苗床になりそうな獲物が近づいたことに感づき、咲き乱れる純白の花や蕾達は目覚め、徐々に不自然な揺れを止め、柔らかな蔦を踏まれれば感じたことが確定的となって純白の花達は喜び、行き止まりの通路から広げていく甘い香りをほんの少し濃くして。
踏んだ形跡も無ければ誰かが訪れた形跡も白い花達を採取した形跡すらない。
有るとすれば今本人が踏みつけた蔦がつぶれた痕くらいであろう、潰れた若い蔓が香らせる香りは人間には緑の香りであるが、白い花達にとっては合図とも警戒ともなる香りで、それでも奥に少女が進むのであれば、捕食行動に似た動きを始める。
――…それは万病に効く薬の素材でありながら、同時に魔物である。
壁や床といった目立つ場所に蔓延る蔦や花や蕾は動かない。
だがしかし、死角となるであろう天井に蔓延る蔦は動き出す。
ぞろり
と蔦同士が擦れあう微かな音と同時に、するりと天井より1本の蔦が垂れ落ちてその勢いがままに少女の首へと絡み付こうと素早く空でシュルッしなりながら切っ先を伸ばし、蔦に生えた微細は繊毛で首をなぞろうと。
狡猾なるヘビか、それとも熟練者の鞭かと言わんばかりの速度は白冥花がその手の行動に慣れていて、既に幾つものの苗床を生み出し栄えた経験のある花だから。
■ミユ > ――――何もないただの花だろう…
なんて、気を緩めてしまったのが、仇となっただろうか…そのハクメイカと言われる一般的には薬草の類に入るものの
存在は知っていて、花の香を濃くした空気は、ミユの鼻腔を擽り、一度は香った事のあるこの香りにビックリする。
なんせ、薬草や薬品類に精通したミユでさえ、一度しかお目に掛かった事がなく、さらにその見たものは既に乾燥処理
され、知らない者が見れば、乾燥した変な雑草程度のものである…
「こ…これって…こんなに綺麗な花だったんだ…」
口に手を当てて、しばしの間呆然と立ち竦むミユ。花の香にアテられてなければ、本当は歪な花で綺麗という表現は出て
こなかったかもしれない。
その美しさに見とれてなければ、頭上の蔦の希薄な存在感、動きや、音にに気づいていたのかもしれないが…
(これだけ多かったら、もう少し大きいバックを持ってくるべきでしたね…)
すこし、落胆の表情を見せる。なにせ、この花の量である。持って帰って売ればそれこそ一攫千金所では済まないし、
この貴重な薬草を使って、様々な薬品の研究も、これだけあれば沢山の研究ができるだろう…
急いで摘んで持って帰っても、この洞窟の規模にしてみればまだまだ入ってすぐ…くらいの距離である。
他の者が気づいて、次帰ってきた時にはもう刈り尽くされてる可能性の方が高かった…
しかし、今持てる量でも花々の三分の一は持って帰れるだろう。
こんな稀有な「出会い」にミユは満面の笑みを零して、足元の蔦の汁に足元を取られない様に気を付けながら、
まずは、一番奥に咲いている一番大きな花を摘もうと、歩を進める。
完全に花に気をとられている…というよりは既に花の香りにアテられているミユは頭上などまるで無警戒であろう。
捕食行動に動き始めている蔦は多分簡単にミユを捉える事もできるかもしれない。
ミユは、大きな花の目の前に立つと、その茎に手を伸ばす…根まで使える万能薬草である。根ごと引っこ抜いて帰った
ほうが価値は高い。故に腰につけてるダガーに手を伸ばす事はなかった。
もしかしたら、ダガーで茎を切っていた方がミユにとっては幸運だったかもしれないが…
■白冥花 > 本来で有れば急に獲物の急所である首を狙う事はない。
通常の白冥花は相手の行動を阻害するような、例えば足や腕を拘束する方法を選ぶだろう、麻痺効果のある花粉や地面や壁に相手を縫い付けるために濃度の高い粘液を吐くなどだ。
しかしである。
今宵咲くのは月の光も落ちぬ遺跡の中。
花弁を広げて月の輝きを受け止め魔力に変換することも出来ず、陽光を月光の代わりにする事も出来ず、生命力は低下するのみ、栄養を得られるのは石畳の隙間に埋め込んだ根が吸い上げる水分だけ、となると白冥花は色々と餓えた状態で有り、栄養を吸い上げる手段を選ばない。
――…流石に獲物を絶命状態に落として屍骸に根を張る、その選択肢はない、殺さず生かしておけばその肉体から延々と栄養を吸い上げられる事を知っているからだ。
それは美しく可憐な花である。
肉厚の花弁は捻れて蕾となり、咲き乱れる花達も大輪を咲かせ白く艶やかな花弁を広げている、ただ花の至ってはその花弁の中央に植物ならある筈の雄しべがない、が。
通路の行き止まり。
その壁際に咲くどれよりも美しく大きな花は群生する白冥花の中心であり、一番栄養を蓄えているが故にどれよりも大きくどれよりも美しい花を咲かせている、そして周囲に広がる甘い香りもまたその花が一番多く花の中央のポッカリと開く空間より滲ませ、花弁を伝って香気が液体になりぽたりと床に糸を引いて落ちている。
茎に手を伸ばす。
手を伸ばせば一度はフルりと純白の花は嫌がるように揺れて見せるが、それはあくまでも気をその花に向けておくため。
だから花に伸ばした手が茎に触れて数刻立たぬうちに、天井より伸びたその襲撃者の蔦がキュルルと少女の首に巻きついて、ギチリと一度だけきつく気道を塞ぐように首を締め上げると、瞬間に絞め上げを緩めたまま少女の身体を吊り下げようと持ち上げようと引っ張りあげ始める。
その動作は引き金。
純白の花が魔物としての顔を見せる瞬間。
少女の首に巻きついた蔓以外にもそれを感じて動き始める天井に蔓延る蔦達。
すぐさま青基調で白いエプロンに包まれた肢体を苗床に相応しい熟成具合か確認すべく、二本の蔦がメイド服の袖からモゾモゾモゾモゾと衣服の中に潜り込みはじめ、蔦に生えた微細な繊毛で腕や脇の辺りをなぞり触れていく。
■ミユ > 「あら…?…ってっ!なに!?うぐっ!?」
茎に手を伸ばすと、風もないのに揺れ動く白冥花。ミユの掴もうとしていた手も空ぶり、さらにそこに集中してしまったか
茎を掴みなおして、ぐっと力を入れた瞬間…あっさりとミユの首は蔓に巻き付かれる。そうなるまで全く気付かなかった。
(し…しまった…かもっ!)
植物系モンスターの傾向はそれなりに今までの冒険で心得てはいたが、そこも仇となったか、もう一つ、仇となった点は、
蔦と花が一体のものであると気付かなかった点である。一つ一つの花はその根を使って一個体として、どこからか養分を
吸い取ってるからこそ、これだけ生え揃っていると考えていたからである。
しかし、これもまた勘違いかもしれない。花は花であって、蔦は蔦かもしれない。しかし今は分からない。
ただ現実として、首に巻き付かれて、持ち上げられそうになっているわけであり…花の仕業かもしれないし、そうでない
かもしれないが、ただミユが「捕食対象」であることだけは確かではあった。
「や…やめっ…!」
両手で首に巻きつく蔓を持ち、剥がそうとするも、気道確保が精一杯でびくともしない。
精一杯の力で、じたばたと藻掻くミユ…このままでは首吊り状態であの世行きである…
人生一度しか見たことのない花。その希少性もあって、その生体についての研究本位は目を通しているべきではあったが、
それを怠っていた。目を通していれば、物事をもっと慎重に進められていたかもしれないが…
「うあっ…うあっ…!」
服の裾から入ってくる二本の蔦…その繊毛がミユの肌を舐めまわす。
首の一点だけで持ち上げられてる躰。地面になんとか足先がつく程度の高さまで持ち上げられてる状況では、両手を離す
訳にもいかず、ただ躰を捩り、その繊毛が与える嫌悪感に呻き、涙を流すしかなかったか…
せめて、腰に刺すダガーに手をかける事が出来れば、蔦を切り逃げる事もできるかもしれないが、
両腕は、首が締まりきってしまわないように蔓を掴むのに精一杯。
手を離せばダガーで蔓を切るより先に絶命する方が速いかもしれず…
もう息は限界で、とても苦しい。赤く染まっていっていた顔も少し青ざめてきているかもしれず。
ミユは下級迷宮と思ってナメていた…それが命取りになる事も覚えていた筈なのに…
蔦の繊毛が肌に触れれば、ミユに宿る淫魔の魔力が滲み出ていることに蔦は気付くかもしれない…
そしてその膨大な魔力量にも気付くかもしれないが…
■白冥花 > 新緑色をした蔦は触感、嗅覚、聴覚に優れたものであり、それを用いて捕縛対象から栄養を啜り上げる事は出来ないが感じる事は出来る、特に感覚器である繊毛は今夜掴まえた獲物が十分な栄養を含んだ肉体であると知れば、その首に巻きつかせた新緑の蔦は再びギチと首吊り状態の少女の首を締め上げた後に首を絞める強さを緩めながら、吊り上げる高さも栄養の啜りやすい様な高さへと調節する。
是が掴まえた獲物が男であれば容易くその首を圧し折ったが、捕まえられたのは幸運にも栄養の塊のような雌、植えた白冥花には希少な存在であり、その肉袋に種を植え付けても十分に生育してくれそうな雌であるのだ。
吊るす縄から新緑なる首輪に。
天井とその首をつなげることで獲物を逃がさない為の鎖とする為に少女の足先が辛うじてつく高さから一応足裏がつく高さに下ろすが、首に絡めている蔦は解かないで、そのまま少女の首を彩る飾りとする。
――…その代わりに少女が手にしようとしていた大輪の花を咲かせた白冥花が動く。
重たい腰をあげる、に近しいのそっとした動きで蔦を伸ばすと咲き広げた純白の花弁をムクと震わせ肥大化させて、少女の頭部を包むに十分な大きさへと変わると、刹那隙も与えず少女の相貌に張り付き、視界を多い闇をもたらすと同時、その嗅覚も押さえ込み、花弁は少女の髪を超えて後頭部までも確りと包み込む。
そんな危い状態に貶めてから、逃げぬように仕込んでから純白の花達は更なる動きを見せた。
相手は瑞々しい果実のように果汁の如き力を滴らせる少女。
少女が着ているメイド服の袖口から送り込んだ新緑の蔦はウゾウゾウゾと繊毛を動かし、おぞましいそれを使い少女の柔肌を舐めるように触れるのだが、それは更に少女のシャツの中へと潜り込んで先端をチロチロと上下にくねらせながら、胸元に生肌を生の乳房を触りに這い進む、下着があればその中に入り込むくらいには人間を熟知している。
そしてメイド服の青い色合いのスカート。
安産型の桃尻の方にもスカートの中を膨れ上がらせるほどに白冥花が殺到し、蕾も花も入り混じってもぐり込む事で、スカートの布地に幾筋も何かがもぐり込んだ姿を浮かばせ、太股にも脛にも蠢く繊毛がはえた蔦は身体をこすり付ける。
――…そんな中で少女が人ではなくミレー族と気がついた花があったか、少女の愛らしい尻から伸びる猫の尾に1本の蔦がしゅるるる、と巻き始める、その毛並みもまた繊毛の餌食にしつつ。
■ミユ > 「んふうぅっ…んはっ…はあー」
なんとか立てる程度…辛うじて息ができる程にまで緩んだ首の蔓。
服の中をモゾモゾと這い回る蔦とその繊毛が非常に気持ち悪いが、今はそんな事を言ってる場合ではない。
顔面に迫り来る悍ましい程にまで大きくなった白冥花。ミユの首に絡む蔓が緩んだ瞬間に手を離し…
「遅いっ!」
と口ではいうものの、ミユもそんなに速い訳ではない。片手で腰についたダガーを一気に抜き取ると、
迫り来る大きな白冥花の大きな雄しべを下から両手で一閃するかのように切りつけた。
どの程度ダメージを与えたかは分からない。そもそも植物系である…痛みすら感じてない可能性の方が高かった。
飲み込まれる両手とダガーと頭部…一気に視界も嗅覚も聴覚も遮られれるが、今の一撃で状況が変わるかもしれない…
そう期待するしかなかったか。
頭部を完全に飲み込まれた形では、そもそも息ができない…その上両手を巻き込まれている…直ぐに苦しみが襲ってくるが、
それはもう天命に賭けるしかないか…
「…!?ぁぁぁ…!」
服の中で蠢く二本の蔦は直ぐに下着をつけていないミユの双丘を見つけ、先端でこそばせながら、乳房を舐めまわす様に
動いていくのに少し感じ始めるミユ…藻掻いて汗ばみ屹立しはじめている乳首に達するのも時間の問題かもしれず。
「はあっ…あうっ…やめっ!やめてっ!」
花の中の酸素濃度も低く辛いものになってゆくが、それよりも、おぞましいのはスカートの中。
いくつか分からない程沢山の白冥花…そしてその茎や蔦が一気に下半身に襲い来る…ショーツすらつけてないミユの下半身。
特に敏感な内股…そして割れ目、ミレーの性感帯でもある尻尾にまで絡みつかれれれば、嫌でも襲ってくる快感。
逃げるように腰をくねらせ、尻尾も振り払う様に振り回すも、柔軟性の富んだ白冥花に自ら性感帯を擦りつける様な
動作にしかならず…このまま続ければ陰部も湿り気を帯びてくるかもしれず…
■白冥花 > 白刃煌めかせる少女振るうダガーの一閃は確かに白冥花の茎へと触れて一級品とも言えるキレのいい刃が茎を裂いたかのように傍目からは見えた。
ぐにゅんっ、と刃を持つ少女の手には不気味な程に柔らかな弾力と複雑に絡み合った強靭な繊維が刃を滑らせ押しかえる感触を返すと、変わりに少女の首に巻きつかせた別の白冥花の蔦が反応し、再び少女の首をキリキリと締め上げ始める。
危険に対して反応を見せたのだろう。
其処に更に加えるのは少女の頭部を包み込んだその白冥花からの危険に対しての反応である。
パックリと少女の頭部を咥え込んだ白冥花の花の中央の穴よりふわりと滲み出すのは獲物の身体を無力化させる麻痺効果のある花粉、吸うことを拒めないようにしてから、すぅ、と密閉した中で吐き出した。
ダガーと言う危険物を無力化し、それが完了するまでは新緑の首輪も頭部の咥え込みも止める様子はない。
その行為とはまた別に少女のメイド服をもりあげながら、二本の蔦は目的の頂を見つけたようで、汗ばむその汗に反応し蠢く繊毛で汗を捕らえながら、左右の膨らむ乳房の先端に絡ませて、蔦と乳首とを密着させた状態でせん繊毛を使い少女のそれをウゾウゾと撫で回す。
密閉空間と化し、白冥花が殺到する少女のスカートの中ではまた一段と花達は騒ぎ出す。
細かな繊毛で太股の表面や膝裏までモゾモゾとなぞる白冥花もいれば運よく少女のくねる腰の踊りに合わせ、縦筋に触れる事が出来た白冥花が蔦や蔓などではなく、軟らかく肉厚な花弁の蕾を押し付けるように前後に動くと、他の白冥花が小さく咲いた花の中央から紫色の細い触手を雄しべの代わりに伸ばし始めた。
猫の尻尾に絡みついた白冥花も同じ。
咲いた花の中央から紫色の肉を伸ばしチロチロと尻尾を根元に向けて舐めながら確りと巻きついてしまおうと進む。
■ミユ > 【次回に続く】
ご案内:「無名遺跡」から白冥花さんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からミユさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」に鈴さんが現れました。
■鈴 > 幾つもある無名遺跡のどれか、その一室に仄かな輝きが起こる。
そして、その輝きが収まるのに合わせてポスンッと音が立った。
「あやー…どこかに飛ばされてしまったみたいですねー…?」
音の主は、その場で尻餅を付いている一人の少女。
おっとりとした口調で呟きながら、ゆっくりと立ち上がる。
ポンポンッとお尻を叩きつつも辺りを見渡した。
正しくは、見渡すような素振りをしたのだが。
「うーん…真っ暗くらでなーんにも見えませんねー」
灯りも無い状態なのだから見えないのは当然なのかもしれない。
困ったな、みたいな感じに少女は小首を傾げた。
もっとも、灯りが無いのだから普通にそれを見る事もない訳だが。
発端は、この遺跡に用事があった方々に出会った事。
お腹を空かせて困っていたところ、助けられたのだった。
一人くらい増えてもどうって事ないと同行の勧め。
ここの探索を終えたら、王都まで送って貰えるはずだったのだが…
テレポーターのトラップに引っ掛かり、また一人になってしまったらしい。
状況はどう見ても悪化しているだろう。
ご案内:「無名遺跡」にチマキアさんが現れました。
■チマキア > 無名遺跡の通路に明かりがともっている。松明を片手に進んでいる男が一人いた。
商人の荷物を守る仕事をしていたのだが、余りにも何も起こらないし、男の仕事ぶりから
他の日銭を稼いだ冒険者で十分と考えた雇い主は代金をケチってこの男だけもう途中で帰ってもらう事になった。
王国までは遠い道のりだったので態々反対側まで繋がる遺跡の通路を歩いているというのが
男がこうして松明を持って夜に通路をぶらぶらと歩いている経緯だった。
それはそれは安い手間賃と、温情で貰った荷物の一部である魚を数匹。
だらしなくぶら下げながら歩いていると珍しく遺跡の仕掛けが動いているような音が聞こえる。
丁度通り道だった為、そのままトボトボと進んでいくと、相手とも鉢合わせるかもしれない。
■鈴 > 真っ暗な中、遠くからの灯りが見える。
少女自身五感が鋭い訳ではないし、今は戦いの場に起こる緊張感もない。
さっきの人達だろうか、そんな考えが浮かぶのは当然と言えよう。
僅かな灯りの間は、その灯りを頼りに壁伝いに少しだけ近付く。
ある程度周りが見えるようになれば、パタパタと駆け出した。
「皆さんそちらにいらっしゃったのですねー。
飛ばされちゃった時は、どうしようかと思ってしまいまし…たー?」
灯りを手にした男がはっきりと見えるようになれば、思っていた相手と違う事には流石に気付く。
結果、男の側まで駆け寄って小首を傾げる事となるのだ。
少女がそこまでの行動を行うまで、男が素直にそれをさせればの話ではあるが。
■チマキア > ぱたぱたと何かが駆け寄ってくる音が聞こえるとすっと床を見ていた目線が上がった。
肉を食う事に必死な治世の無いバケモノとも思えないし、手はだらんと魚をぶら下げたまま
気にせずとぼとぼと歩いていると話しかけてきた。どうも他の人達と行動していたようだったが
残念ながら目の前に現れるのはさえない老いぼれの魔族であった。
「こんにちは」
小首をかしげる少女に対して、その外見からは想像も付かないぐらいゆっくりと深めのお辞儀と
軒先で寝ている老婆のようなおだやかでとろくさい、幼子にでも交わすような挨拶の言葉だった。
男の身なりは何処かの国の兵士のようだが、それを着崩し、片手には近所の買い物帰りのように
魚を5匹ほどぶら下げ何とも間抜けに見える風貌で、交わした挨拶以外は何もする事無く
ただ立ち尽くして少女の方を見ていた。
■鈴 > 目の前まで駆け寄った相手の姿、その第一印象はお爺さん。
一緒に居た人達はおじさんとかお兄さんだったので、違うのは一目瞭然だろう。
自分達以外も誰か居たんだ、ふっとそんな事を考えていたところでの挨拶が耳に届いた。
「あ、はいー、こんにちはですよー。
お爺さん、ここに何か御用だったのですかー?」
ペコンと頭を下げて挨拶を返しながら、単純に思い浮かんだ質問を向けてみる。
のだが、視線が下がった事で眼に映ったのはぶら下げられたお魚。
自然と視線はそこに釘付けになってしまっていた。
まだちょっとお食事の時間には早いけど。
因みに相手の見た目や種族はあんまり気にしない性質だ。
その対応は誰とも変わらないものである。
■チマキア > 「んー…荷物を、守ってた。仕事で…」
細めた目でゆっくりと顔を上げながら、手に持っている松明を眺めつつ
やはり年寄りのように話し始めた。首が凝っているのが癖なのか少し肩を上げ首を曲げつつ
覇気のない態度でとぎれとぎれ考えながら話している。
「そして何も起きなかった。途中だったけども……それで、こんなに人はいらんなって話になって」
「…己(おれ)だけ途中でクビになった」
そして悲壮感溢れる話で締めくくられたのだった。ぼんやり、トボトボと歩いてはいるが
男にどうにも落ち込んでる様子は見られない。そして少女の目線が魚に行っているのが目に入ると
不思議そうにソレを男も顔近くまで上げて眺めながら
「……コレはな、駄賃と一緒にお情けで貰った干し魚だ」
■鈴 > 「うーん…?
よく分からないですが、お仕事が終わった帰り道なのですねー?」
自分から聞いておきながら、断続的な言葉に適当な解釈をしたらしい返答。
それだけで少女が大雑把な性格なのが分かるだろうか。
性格もあるが、要らないとか、クビになったとか、理解し難かったらしいのもあるが。
とりあえず、駄賃を貰ってるイコール仕事が終わったと受け取ったらしい。
ただ、見た目が若いにも関わらず年はいっている男。
それを理解した上でお爺さんと言っている少女をどう見るかは男次第だろう。
「私はですね、迷っていたところを拾ってくれた方達についてここに来たのですよー。
ここの用事が終わったら、王都に送って貰う約束だったのです、がー…
どうやら罠に掛かってしまったらしく、はぐれてしまったようでしてー。
せっかくですし、お爺さん、代わりに送って貰えませんかー?
それまでの道中お世話をお願いする代わりに、戦いは私に任せて下さって結構ですのでー」
そして、続くは少女のこれまでの経緯説明とお願い。
その間、変わらず視線は魚へと向けられていた。