2019/12/26 のログ
ご案内:「無名遺跡」に獣魔目録さんが現れました。
獣魔目録 > 其処には財宝があった。
御伽噺で聞くような財宝である。
金銀宝石に魔法の込められた武具に装飾品。
ありとあらゆる物が狭い部屋に敷き詰められて、その財宝を照らすように部屋の四方には光を放つ魔力を動力源とする光り輝く球体が浮遊している。

その部屋の真ん中にこれ見よがしに祭壇があった。
黄金で出来た祭壇、祭壇と呼ぶには煌びやか過ぎる其処に1冊の本が浮遊している。

祭壇から数十センチの高さに重力に反して浮かんでいる魔獣の皮で装丁された見た目は中々に高級そうな本に見える。

その本の名は獣魔目録。
世界に存在する「確認された」魔獣の生態などが詳しく書かれていると言われている魔導書である。
だがその魔導書には不吉な噂が付き纏う。

曰く、本より魔獣が飛び出して襲われた者がいる。
曰く、本に取り込まれた者が存在する。 等など

どれも魔導書に良くある曰くではあるが、この本に纏わるものは事実である。

獣魔目録。
それを知っている者が手にすれば本から飛び出す魔獣はどんな魔獣であれ本の制約下の元で行える契約のチャンスであり、力なきもの本より現れた魔獣に組み伏せられ気に入られた物はそれと共に本へと封じられる、次にその頁を呼び覚ますものがいない限り外へは出られない。

今宵の獣魔目録は手で触れるモノがいないのに開かれている。
風も無いのにパタタタタタタと頁が捲れ、最後のページに辿り着くとパタンと本は閉じて再び開いてページを捲り始める。

――…香ってしまうか。
本が閉じる度、頁が捲れるたびに濃厚な獣臭が。
それも発情した雄の香り、早く雌よ来いと本に触れて我らを呼び覚ませと誘う淫靡な香りが……。

ご案内:「無名遺跡」にユイキスさんが現れました。
ユイキス > (研究には資金が必要。それ故にこの危険も付きまとうけれど、見返りとして数多の財宝、武具、魔道具。それらの発見の伝承があるここへ縋る思いで足を運びました。
逃走する為の煙玉に、匂い消しなどの生き残り、逃げる為の道具。それから爆薬や麻痺毒等の逃げ切れなかった場合に戦う為の薬も用意して、危険の待つその遺跡へ挑戦を。 ・・・傭兵、なんてものはお金がないので雇えず単身での挑戦になるのですから、準備は入念に。

そうして、たどり着いたのは一つの部屋。一面に広がるのは金銀財宝に、数多の見たことのない武具。)

まぁ・・・!

(思わず、感嘆の声が漏れたのは致し方のないことでしょう。目的の金額に届くまで下手をすれば何度も挑戦することを覚悟していたのにまさかの初挑戦でここに至ったのですから。これだけあれば、ある程度の期間はなんとかなるでしょう。今までお金が足りずに揃えることのできなかった道具もきっと手に入る。

そんな夢を描くけれど、何よりも目を引くのはその祭壇に置かれた浮遊する一冊の本。高級そうな見た目といい、中心にて浮遊するいかにも感といい、この本が恐らくこの場所で最も価値のあるお宝、となるのでしょう。 ・・・私としても、知識の宝庫である本、恐らくあれは魔本、の類でしょう。 それは幾らあっても良い。知識は幾らあっても良いもの、ですから。

・・・主から技術は授かった。けれど、知識と経験は非凡な身。それが此度は災いしたのでしょう。ある程度の経験と知識を持つものであれば、その本の怪しい魔力と匂いに警戒したのでしょうが、そのひとりでにページの開かれる本を”そういうもの”と認識して、無警戒に手を伸ばして・・・)

獣魔目録 > 金銀財宝は時として最悪の枷となる。
武具はその重みで動きを阻害し、宝石は見るものを魅了しその場に踏み止まらせる誘惑になり、敷き詰められた金銀と共に歩むもののその歩みの邪魔をする。

そしてその罠は幸福と災いの眠る宝物庫、財宝眠るこの部屋の中央に浮かぶ魔導書のため、魔導書がより力を得るための罠である。

黄金の祭壇の上に浮かぶ獣魔目録に伸ばす侵入者の手に魔獣皮で装丁された魔導書も「手」を伸ばす。

形状は決してではない、本より滲みでる魔力が陽炎の如く揺れ動く煙にも見えるそれが無警戒な女の手に伸びて、まとわりつき、頁をめくり我を読めと誘惑する。

もし、その無警戒なままに伸ばしたその手に本を納めるのであれば獣魔目録は空中に浮かび雌を招いていた時と同じく、その手の中で自動的に開き、「そういうもの」と認識した通りに再び最初の頁からパララララと頁が自動的にめくれていく。

そうして、色素の薄い女の瞳に数多の魔獣の名称や特性、その姿を絵にして見せると、特に女が意識してしまった頁で自動的に捲れ挙がるのは止まる。

それは無名遺跡でよく見かける黒犬(ヘルハウンド)か、それとも空を浮かぶ目玉に触手を生やしたモンスターか、それともそれ以外であるか、獣魔の書は女の為に止めた頁にある名を女が唇で紡ぐのを待ちわびるだろう、それが始まりと召喚の合図なのだから。

ご案内:「無名遺跡」からユイキスさんが去りました。
獣魔目録 > ――…そう、始まってしまう。
獣魔目録に眠る魔獣達が目覚め、望んだか望まないか無警戒に手を伸ばしてしまった女の意思などお構い無しに、幸運にも女が選んでしまったその魔獣が長き眠りから覚め、その身体に溜まったものを晴らし解き放つ悪夢の宴が。

逃げようとすれば金銀財宝が女の足を阻み、魔獣はその最中に戯れるように女に喰らいつこう。

始まってしまったそれを拒むことが出来るタイミングは過ぎてしまった、逃げるタイミングもまた。

財宝の部屋に木霊するのは悲鳴か嬌声か財宝の部屋の扉は静かに閉じて、直ぐに遺跡には沈黙が訪れる、偽りの沈黙が……。

ご案内:「無名遺跡」から獣魔目録さんが去りました。