2019/12/12 のログ
ご案内:「無名遺跡」にデドロスさんが現れました。
デドロス > (無名の遺跡、手付かずの遺跡には足を踏み入れないが、何度か探索された安全が確保された遺跡。
そこを好んで探索していた。取り分は少ないが、危険な魔物や罠は大抵解除されている。
情報も出回り、地図も出回るのだから危険性は少ない。
地図に記されていない隠し部屋があれば、一攫千金も狙える、と。

中堅程度、有名には程遠い実力しかない冒険者としては悪くない話。
それと、途中行き倒れの冒険者がいれば遺品を拝借も出来る。
こつ、こつ、と定期的に遺跡の壁を拳で、ブロードソードの鞘で叩いて音の違いを確かめながら進んでいた。
石造りの迷宮、ところどころに苔は生えているがこれは売り物にならないだろう。

手にはランタンとブロードソード、足元を慎重に照らし、時折足をとめては魔物がいないか注意深く。
いや、臆病と言えるほどに注意を払って見回していた。)

「カビくせぇ遺跡だよなぁ。魔法の財宝があるって噂だが、まぁ見つけりゃ儲け。
見つからなきゃ地図の更新してギルドに売っ払えば良いだけだかんな。

オマケで財宝とかみつからねぇかなぁ。」

(其の割に言葉だけは軽口。余裕があるように見せかけた、虚勢を張っているのは目の動きや神経質な注意の払い方からも明らかだった。)

デドロス > (こん、こん、こん。ごん、こん、こん。
音の反響で一箇所だけ違った。ぴた、と足が止まる。
一本道の通路、それも先には分かれ道が存在しているので、ついついそちらに意識が向かいがち。
足元も確りと平坦に作られているので、見落としやすい条件は揃ってはいる。

表情に訝しげなモノが混ざるのは、その音が違う場所が物凄く狭い範囲だったことに由来していた。)

「隠し扉ってワケでもねぇよなぁ?
幅が狭ぇ、どっちかっつぅと建造の穴っぽくはあるんだが。
どれどれ、中に誰かいるかぁ?可愛い女の子でもいるかぁ?」

(ごん、ごん、ごん。
拳で念入りに音が違う部分だけを探り当て、手元の白いチョークで大雑把に範囲を描いた。
仮に大人の男がこの幅で、この高さで潜り抜けようとするなら四つん這いにならないと頭がぶつかりそうだ。

もう一度ノックをするように壁を叩いて、今度は耳を押し当てた。
これだけハデに音を鳴らしているのだ、向こう側に化け物がいてこんにちは、とされても困るが。
変な生き物の気配、というか音が聞こえないか、耳を押し当てて向こう側を確認しようと。

傍から見れば大層気味悪い光景だろう。
大の大人が。
四つん這いのようにして壁に耳を押し当てているのだから。)

デドロス > (ふ、と。壁に小さな穴が開いた訳でもないのに空気が流れる。
遺跡、屋内それも深い場所での本来考えにくい風の発生。
その意味に気が付く前に。カンテラの火が消えた。

意味がないと知っても自らの手で自分の口を押さえつける。
驚愕の声を出さない為に。そして、空気の流れの正体に気づかれない為に、ただ息を殺すのだった。

闇の中、何が見えたのか。街に戻る頃にはげっそりやつれた冒険者になっていた。)

ご案内:「無名遺跡」からデドロスさんが去りました。