2018/09/12 のログ
ご案内:「◆無名遺跡(イベント開催中)」にラファルさんが現れました。
ラファル > [お約束待機です]
ラファル > [時間間違えてたので、出直します。]
ご案内:「◆無名遺跡(イベント開催中)」からラファルさんが去りました。
ご案内:「◆無名遺跡(イベント開催中)」にラファルさんが現れました。
ご案内:「◆無名遺跡(イベント開催中)」に影時さんが現れました。
影時 > ――地の底に、天の使いの似姿が蠢く。

諧謔を弁えた識者が思うならば、これは皮肉と呼ぶべきなのだろうか。
最近跋扈するかの者達が真にその名の如く、天の使いであるか否かを知るものは居ない。
少なくとも論客ではなく、実際に戦う者たちにとっては至極どうでもいいことだ。
彼らがそのような畏怖すべきものでも、あるいは崇めるものであろうともなかろうとも、討てば少なからず金になる。
天の使いを堕とせば明日の糧になると思うならば、真相もその価値等も結局のところ、どうでもいい話でしかない。

ここは九頭龍山脈の麓に存在する古い遺跡の一つ。名もなき遺跡であり、浅い階層は既に踏破し尽くされた感さえあるもの。
だが、不思議と「枯れた」という評判は聞かない。得るものは何かを得て、運の悪いものはその命も含め、何かを失う。
故に何よりも重視すべきは、生還するということである。
弁えた冒険者達がどれだけ注力しても、時に果たせぬこともある事項をそれでも己と同行する者たちに言い聞かせる。
今もまた、然り。カンテラも何もなく、ただ夜目と卓越した気配察知の技を以て、跋扈する魔物をすり抜けつつ進む影がふと、立ち止まる。

「――ふむ。……この先に居そうだな」

その中で背のある姿がしゃがみ込み、地に触れて微かな振動を拾う。人間の其れではない。ヒトとするには大きい。
苔むした石壁が連なる通路の先に四角く、微かに光が漏れて来る箇所が遠く見えて来る。
きっと、彼らがそこにいるのだろう。そう見立てる。人に似て、ヒトではないものが。

ラファル > ――闇の中、幾年もの過去がその場所を支配している。
 それは、自分の親とか、竜族であっても、短いと言うことの出来ない年月なのであろう、生まれたばかりの少女には些か把握しきれない時の流れ。
 カンテラがないのは師の判断、それがなくても、風と、嗅覚と、聴覚など、人を超えた五感により、問題がなく歩ける。
 今回は、師の教えに従い付いてきている、此処にある過去の残滓と、対峙するために。
 そして、この遺跡に入り、まずしたことは、風の精霊にお願いをして、師と自分の周囲の空気の浄化である。
 こういうところには、瓦斯が溜まりやすく、呼吸ができなくなる可能性もあるから、念の為に。
 空気で覆ってもらわなかったのは、五感を澄まして聴いたりする必要があるから。
 ふたりの周囲の空気は常時新鮮なものになるようにしてある。

「――……うん、わかる。」

 苔とか、地面の匂いではない、あからさまな、金属の匂い。
 でも、今まで嗅いだことのないそれに、少女はこくん、とうなづいた。
 闇と同じ色のナイフを腰から引き抜き、少女は軽く構える。
 彼らは、話のできる相手ではない、最初から戦うつもりで来ているのだ。
 竜の血が、久しぶりの闘争に沸き立つのを、感じていた。

影時 > 古来より、ヒトは闇を厭う。闇はヒトではない別の何かの住処故に。
故に火を以て仮初めなれども、闇を祓う。日々の暮らしを寄り集まって守ろうとするのだろう。
明かりがなくとも闇を往く心得を持つのは、そうする必要があるからだ。
火を持っていれば、その有様は微かな火種であったとしても、はるか遠くから見えてしまう。
闇に紛れ、忍ぶ術を心得ているから忍者という職を己は名乗る。
呼吸を整える。不思議とここに澱みを覚えることがないのは、事前に浄化を弟子からの恩恵として得たからだ。

「……分かるか。あと、地の震えにも心を遣っとけ。――数が居るのがわかるぞ」

有難いと内心で思いつつも、合わせて微かに講義として教えの一端を投げかけておこう。
気を付けろ、とは言わない。元よりここはヒトの領分ではない。故に最初から気を付けておくのは当然のことである。
地より伝わる振動で内部の動きを測りつつ、纏う装束の隠しポケットより二本の棒状のものを取り出す。
先を尖らせた柳葉状の刃は手裏剣、と呼ぶ。其れを指の間に挟み、微かに練り上げた氣を流す。

「俺の見立てだと、数は三だ。
 お前さんの背丈で見るなら思った以上に大きいかもしれンが、其処は慌てずにな。……じゃァ、行くか!」

告げつつ、深く身構える。両手を地に付け、屈めた姿勢でバネを撓めるように力を籠める。
合図はしない。弟子にとっての初見となるならば、己が先に往くことで注意を引き、観察の時間を作ることが良いだろう。
その判断のもとに走り出し、この通路を突っ切ってその先のフロアへと躍り込もう。

其処は闇が満ちた場所ではなく、青白い光が灯火代わりにそこかしこに灯った地の底の伽藍めいた処だ。
聖堂の如く太い柱が幾つも並ぶ中に、魔物の骸や古びた武具の残骸が打ち捨てられている。
そして、この場に果たして白銀を纏った巨大なヒトガタが3つ立つ。
全高5、6メートルはあろうか。起動状態の証である、幾何学模様を浮かべた光背と光輪を背と頭上に浮かべたモノだ。
風を纏った躍り込む影が投じる手裏剣が、そのうちの一体の装甲に半ば突き立って震える。

戦闘態勢に即座に移行する彼らが、手に手に光を生み、深紅の槍を掴み取る。
いずれも注意は愉しげに嗤う闖入者に向く。其処に隙を見出すか否か。

ラファル > 少女もまた、ヒトではない、闇は少女を妨げるものとは成り得ない。
 さらに言うなれば、師とは別の意味で闇を駆け抜ける職を持つもので、基礎地は有るのだ。
 闇を使い、闇に溶け込み、闇を駆ける、ストライダー。
 その瞳は、真紅に光るその光を、しっかりと見据えることができた。

「地の震え……?」

 少女は、風の竜、空を舞い地に足をつけることの少ない空気のような存在。
 師の教えに首を傾ぐのは、あまり意識のしない、地面を探る物故に。
 視線を地面に、感覚を研ぎ澄ます、師に教えてもらった……自然と一体化する方法。
 ヒトの手で作られた遺跡が自然というべきかは、疑問が残るがそれでも、なんとなく感じるものはある。
 音で判別するのはいいが、機械と言うものは、機構というものは画一的なものである、個体差のない歩みであれば、時計のように、いくつあっても音はひとつになりやすい。
 空気の震えの大きさから、個体ではないと判別できるぐらいだろう。
 師の武器を見て、それが纏う気を認識する。普通の武器でも、気を通せば硬度も増すのだろう。

「あい!」

 少女はナイフを片手に師の後に一つ……二つ呼吸をおいて走り出す。
 観察の時間をくれるから、それをしっかりと掴むために、師の行動、機兵の倒し方を、観察するために。

 さらに、師のように気を使わないのは、油断ではなく実験のために。予め、師に機械兵の事は聞いていた。
 その上で、まずは自分で知るために様々な方法を取ることを進言してある。
 彼とは違う己のモノが、どれだけ通用するのか。
 自分の身で戦う時には、彼の言葉と自分の経験が必要となるから、その経験をフォローのあるときに試すべきだと判断したから。

 気を込めた棒手裏剣は突き立つ、なれば、少女の持つ、古竜の爪から作られたナイフはどうであろうか、
 地面を踏みしめる、足の裏が地面を踏みしめ、全身のバネをしっかりと貯めていく。
 音のない滑るような走りは加速する。

 隙を取ったとは思わないことにする、そう考えることが、自分に隙を生むと師に習った。
 なので、ほかの二体からの攻撃に対して盾になるように右手前の一体に駆け寄り……加速。
 彼らは鈍重だと聞いている、だからこそ。彼らを通り越し、背後へ、背後から、左側へ。
 一番右から一番左側へと移動し、少女はその首筋にナイフを全力で突き立てる。

影時 > 師と弟子で名乗る職は異なる。しかし、重なる点がある故に技能として共有し得る点がある。
さらに種族も違えば、方法は異なっても最終的に闇を物ともしない視覚を得ている。
だが、それも弁えた上で教えておくことは幾つもある。目視に寄らない察知手段だ。
地を伝播する震えに関して察しは難しいかもしれないが、隠形の心得として自然と一体化することの重要さは説いたと思う。
そのうえで、媒体は違えども、振動は大気を、大地を、そして水であろうとも伝播するのだから。

『!!』

そして、白銀のヒトガタ達が本格的に動き出す。忍者に二体、そして竜の少女に一体の配分で赤い槍持つものたちが動く。
大気が震える。微かに熱を帯びたように感じられるのは、彼らの内部から放散される熱によるものかもしれない。
速さの申し子の如き竜の子に対し、機兵たちははるかに鈍重に見えるだろう。
駆け寄ってくる姿に薙ぎ払おうと赤き槍を振るえば、それよりも速く、疾く、首筋に黒い刃が閃いて火花を散らす。
だが、まだだ。まだ倒れない。ぎ、と、が、ともつかぬ金属音を立てつつ、五指を開いた左手で掴み、払いに掛かる中――

「首筋狙いは俺もやったなァ。言っとくが、そこは急所じゃねぇぞ、とっ……くぉ!!」

惜しい、と。声を投げつつ、二体の機兵が迫ってくる様を見る。前に見た個体と同型――ではない。やや違う。
と、いうのもだ。頭上で緩やかに回転する光輪が回転速度を増し、内側に眩い光を生む。光線を放ってくる。
己が咄嗟に飛びのけば、先ほどまでの立ち位置を舐めるように走る光が、煙を上げて射貫く。
これはまずいとばかりに呻き、腰の後ろに手を遣る。じゃららら、と蛇のように走り出る鎖鎌を掴んでは、鎖の先にある鎌を叩き付ける。
氣を鎖を経由して籠める刃であれば、通じよう。

そんな思考を先ほど手裏剣を叩きつけた個体が前に出て、手にする槍を高速回転させる。形成される障壁に弾かれる。
――彼らとて、ただの木偶ではない。如何なるロジックに動いているかは不明だが、戦うためのモノであることに相違はない。
斯様な実感を得れば、面白ェと笑って鎖鎌を引き戻す。

ラファル > 教えて貰ったことは、少女は蓄積していく。こう見えてまだ、生まれたばかりだ、何もかもが足りなくて、学んでいくことは多い。
 それが人より優れたものであろうとも、学んでいく時期というものはあり、少女は、今その時期なのである。
 スポンジが水を吸うように、という言葉通りに、師の教えを学んでいくのだ、彼の教えで、少女の隱業はさらに、精度を増しているのだから。

「ー……っ。あー。」

 首筋を狙ったのは、動物的な本能から、弱点とかそういうのは聞いていなかった、それは師が、あえて教えてなかったのだ。
 残念だ、と言わんばかりの言葉、それと同時に機械の手のひらがこちらに向いた。
 少女の残念そうな声は、歯が立たないというものである、勝てないというわけではなく、実際に噛んで攻撃する事が無理だという認識。
 食べてみたかったな、という願望が打ち砕かれた残念。
 ともあれ、攻撃されたら溜まったものではなかろう、少女は突き刺さったナイフを軸に、両足で頭を全力で蹴っ飛ばす。
 その勢いでナイフを引き抜き跳躍し反転、壁に着地する。

「これは、どうだろ……っ!」

 次に行う手段は……遠隔攻撃にする。
 慣性で壁に張り付いたまま、少女はナイフを高速で振り抜く。……生まれるのは風の刃……衝撃波ーsonic・boomー
 首がそうであれば、両腕両足もそうであろうが。連結部分の、人間で言えば、関節部分、そこに当てればどうであろう。
 さらに、追い打ちをかけるように、精霊に願い、追い打ちで真空波。
 物理と、魔法の風の刃が、槍を持つ右手の関節部分にそれぞれ一発ずつぶち込まれよう。

 師匠に関しては、意識を向けて、観察している。
 彼のほうが熟達している、能力の差を覆す技量があるので、信頼している。
 それに、なにかして欲しい時は、サインがあるはず。
 それさえ見落とさなければ、問題はない。
 楽しそうに笑って戦っているから、邪魔しても悪いだろうし。

影時 > 知らぬことは覚えてゆけばいい。五体満足で帰還することが出来るなら、幾らでもその機会はある。
知ることに若きも老いも関係はないのだ。
しかし、どうせ覚えるならば他者からの教授だけではなく、己としては自得する機会をどちらかと言えば貴ぶ。
経験則は偏りの源であるが、曖昧とした語句を並べるだけよりも、実際に得る手ごたえの方が何よりも強いのだから。

「――ついでに言うなら、肉の身をもたぬが故に半端な牽制は手ごたえが薄いときたもんだ」

その上で、もう一つ言い足そうか。巨人が鎧を着こんだようにも見える見た目であるが、その実態は全く違う。
内部構造までは機能停止すると自壊する機能があるらしく、完全に見通せてはいない。
だが、関節の筋を狙うなどと言ったことにも強いとも考えられる。きっと、脳震盪の類も起こすまい。
頭部を蹴られても勢いの分だけ揺れはするが、白銀の機兵は一歩下がって踏みとどまり、槍を構え……た、刹那。
竜の少女が風を生む。ナイフが放つ刃風が衝撃波と化し、叩き付けられる。その圧にまた、揺れる。
続けざまの精霊が生み出す真空波を受けるも、然程ものともせず姿勢を立て直し、右手に持つ槍を叩き潰すとばかりに打ち込む。

「でー……こっちは、どうしたモンかねェ。
 前に遣った手段が一番早ぇんだろうが、この連携を抜かんときついな。

  って、ヒトサマが考えている時に殴りかかってくるたぁ、気配りの出来ん手合いよな――ッ、ぬ!?」

さて、此方はどうしたものか。分身を形成して攻めるか。消耗を考えなければ、幾つか手立てはなくはない。
問題は準備のための隙を如何に作るか、見出すかだ。
後衛を司る機兵が光背からの熱線を精度よく繰り出し、己の動きに慣れてきたのか前衛の盾を務める機兵が殴りかかってくる。
するりと騎兵の懐に入り込み、鎌で切りつけるが如何しても刃の特性上、深く切り込むコトには向かない。
拳を掻い潜り、足の間を抜けて先に居る機兵に肉薄しようとすれば、させじとばかりに一際強く収束した熱線が放射される。

右に飛びのいて躱す――躱された熱線が床を焼き、そのまま遺跡の壁の一角まで勢いよく舐める。
そうすると、不意に焼け焦げの走る壁が崩れ落ちる。隠し部屋だったのだろう。
その中にきらりと、鋭く瞬く光がある。――まさか。微かな直感に何かを覚え、その中へと走ろうか。