2018/03/02 のログ
ご案内:「無名遺跡」にレナーテさんが現れました。
ご案内:「無名遺跡」からレナーテさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にレイン・レジネスさんが現れました。
レイン・レジネス > 「そーろそーろ外に出なきゃなぁ……」

怠惰なりし貴族令嬢は、自分の体から生えた触手で自分を引きずりながら呟いた。
〝ちょっと調子にのりすぎて〟の失敗から勝手に傷心し、ダンジョンに引きこもってかれこれ一ヶ月。
面倒ごとを徹底的に嫌う彼女にしてみれば、珍しくモンスターもほぼ住まぬダンジョンは快適であった。

が、流石に飽きた。

せめて美少女か美人でもたびたび訪れてくれるのならば良いが、ここには昼も夜もなく、そして来訪者も滅多に無い。
いかに落ち込んでいたとしても、時間経過で心は癒える。
たんまりと休んで回復した彼女は、ずるずると粘着質の足音を立てて地上へ向かい始めた。
衣服は纏っていない。一着を着まわしている間に敗れたので、捨ててしまった為だ。
裸体から無数の触手を生やして動き回る様は、まるで彼女自身がモンスターのようでもあるが、一応は立派な人間である。

レイン・レジネス > 「んっ、んん……あー、あー、あー」

咳払いを数度、声を高く低くうねらせるように。
何をしているかといえば、ここ数日は独り言も含めて言葉を発していなかった為、喉を起こそうとしているのだ。
一応は生まれの高貴故、賛美歌が如き高らかな美声。しかしそれも、迷宮奥深くに住まう触手女が発しているとなれば奇妙そのものの光景であろう。

歩みにはよどみが無い。一ヶ月近く住み着いたが故、この迷宮の構造は完全に把握している。
はるか古の先人が築き上げたトラップの数々も、目を瞑ったままですり抜けながら、裸形の触手女は上階を目指す。

レイン・レジネス > しばしの後、女は迷宮の外に出た。
外は月も無い闇夜で、そこは森の奥深くであった。
周囲に人の目はなく、獣の目はあるが敢えてこの異形に近付こうとするものも無い。

「あー、んー、んっ。ん、良し、戻った」

喉の荒療治を終えた女は、記憶を頼りに人の住む集落へと歩き出す。自分の足は使わず、触手で体を持ち上げるようにして。
まずは街へ出るための衣服を調達し、それから屋敷へ戻り――その後の算段までを、既に決めている。

「とりあえずバフートに行こう。うん、そうしよう……ふっふー」

何をするのも面倒がる女ではあるが、情欲を満たすことだけは勤勉であった。

ご案内:「無名遺跡」からレイン・レジネスさんが去りました。