2017/09/23 のログ
ご案内:「無名遺跡」にギィギさんが現れました。
ギィギ > ――ひんやりと冷たい遺跡の床に滴る透明な銀糸にも見える粘り気のある液体。

それは天井から、つぅー……ぽたり、ぽたり、と垂れ落ちては床に広がり小さな水溜りを生み出している。

――迷宮や遺跡では見かけるよく光景
魔法の灯りや松明、冒険者が持ち込んだ光源に反応してぬらりと輝き天井に不吉なモノが張り付いている事を証明する物なのだが、不幸にもこの通路には魔法の灯りはなく、冒険者もいない状況下では天井から滴るその粘液は輝く事はない。

そして同時に冷たく苔むした石の床に広がる粘液溜りも夜目が効く者でなければ気がつくのは難しい。

つまり今宵の遺跡は一際危険な状態であり、逆にスライムの亜種であるギィギと呼ばれるスライムの亜種である者達にとっては格好の狩りのタイミングであった。

「ギィ…………ギギギッ…………。」

笑っているのか、それともただの偶然か、スライムは体内に内包している金属の破片同士を擦り合わせて小さな音で啼き、天井から己の真下を見下ろして獲物を早く早くと待ちわびていた。

奇しくも繁殖期
今宵この石の通路を渡る者は少なくとも無事遺跡を抜ける事は出来ないだろう、慰めになるかはわからぬが、その手には幾ばくかの財宝をつかめる可能性はあるが、持ち帰れる保障など何処にもない。

ギィギ > ゼリー状のスライムと違って粘液の身体を持つスライムの亜種は実に自由自在に身体を動かす事ができた。
天井にひたりと張り付いたまま多少体積を目減りさせながらも、音もなくすいすいと這い進み、進む動作に合わせて身体を広げていく事で、感知する範囲を広げ、より効率よく獲物を探すことができると言う小賢しい事までやってのける。

目的は弱い明かりしか持たぬ冒険者、若しくは何らかの原因で灯りを失った冒険者。
そうすれば不意をついて相手に密着し、その身体を食らうことが出来るから、ふいさえうてれば物理攻撃を無効か出来る軟体で、抵抗を防ぐ事が出来よう。

それ以上に密着さえ出来れば体内に内包した毒素を使う事で麻痺か媚薬かそれとも致死毒かを放ち、追い討ち子かけることも出来よう。

ごぼ、ごぼ…ごぼ………

スライムの亜種は何時そのチャンスが訪れても良いようにと体内に内包した毒素を集め、液体に細かな泡を作る炭酸の如く、身体のあちこちで微細気泡を巻き上げている。

そして泡はスライムの表面を膨らせ、しゅぽと音を立てると内包している毒が通路に広がっていくのだった。

ただ毒素は非常に弱く、不可思議なツンと花を突く酸味を感じる香りを広げる事しか出来ないで、直に遺跡の空気に紛れて無効かされてしまう……。

だからスライムの亜種は獲物を見つけ、天井より落ちて、なるべく至近距離で毒素をかがせようと本能的に行動するのだった。